
かおいろ探偵事務所〜第33章 張り込み
第33章 張り込み
翌日。
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白鶴組事務所。
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柳は机の上に広げられた地図を見ていた。
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歌舞伎町。
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3番通り。
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例のコンビニ周辺。
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神崎も向かい側に座っている。
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柳
「3番通りか。」
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神崎
「ああ。」
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柳は煙草を灰皿へ押し付けた。
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「今田。」
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「東。」
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奥の扉が開く。
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二人の男が入ってきた。
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今田。
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四十代前半。
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白鶴組古参。
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無口で冷静な男。
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そして東。
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二十代後半。
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血気盛んな若手だった。
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柳
「3番通りだ。」
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「売人かもしれん。」
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今田
「了解です。」
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東
「捕まえますか?」
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柳
「捕まえるな。」
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東
「は?」
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柳
「見るだけだ。」
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「泳がせろ。」
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東は不満そうな顔をする。
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柳
「東。」
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「余計なことするなよ。」
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東
「分かってます。」
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柳
「分かってる顔じゃねぇな。」
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東
「ひでぇなぁ。」
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今田が小さく笑った。
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柳は机の引き出しを開けた。
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中から小さな機械を取り出す。
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インカムだった。
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東が箱を受け取る。
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翔
「何すかそれ。」
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東
「インカム。」
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翔
「映画みたいだな。」
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東
「若頭が用意した。」
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神崎は受け取ったインカムを眺める。
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「懐かしいな。」
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悠馬
「探偵も使うんですか?」
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神崎
「昔な。」
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全員が耳へ装着する。
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すると。
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インカムから柳の声が聞こえた。
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『聞こえるか。』
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翔
「うおっ!」
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東が笑う。
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柳
『遊んでる暇はない。』
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『一応言っておく。』
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『それほど性能は良くない。』
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今田が補足した。
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「距離が離れ過ぎると繋がらなくなります。」
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レイ
「どれくらいだ?」
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今田
「歌舞伎町の数ブロック程度なら大丈夫です。」
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「ただ。」
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神崎
「追い過ぎるなってことか。」
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今田は頷いた。
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「はい。」
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柳の声が続く。
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『俺達の目的は逮捕じゃない。』
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『見失わないことだ。』
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『無理に追ってインカムが届かなくなれば意味がない。』
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神崎
「了解。」
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柳
『それと。』
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少し間が空く。
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『東。』
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東
「はい。」
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『走るな。』
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東
「まだ何もしてないですよ。」
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『する顔してる。』
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東
「ひでぇ。」
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今田が吹き出した。
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柳は神崎を見る。
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「現場は任せる。」
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神崎
「ああ。」
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「何かあれば連絡する。」
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柳
「頼む。」
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その夜。
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午前0時。
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3番通り。
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張り込み開始。
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神崎と翔。
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悠馬とレイ。
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そして少し離れた場所。
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白鶴組の車。
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運転席に今田。
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助手席に東。
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二人は周囲を見渡していた。
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東
「本当に来ますかね。」
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今田
「張り込みなんて来ない時間の方が長い。」
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東
「なるほど。」
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「勉強になります。」
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今田
「若頭に言われたんだ。」
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東
「ああ、なるほど。」
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午前0時30分。
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動きは無い。
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翔が欠伸をする。
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「来ないっすね。」
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神崎
「張り込みなんてそんなもんだ。」
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「地味な仕事だな。」
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「探偵ってのは地味なんだ。」
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翔は苦笑した。
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その時だった。
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悠馬が小さく言った。
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「いました。」
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全員の視線が動く。
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通りの向こう。
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ポストの前。
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男。
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帽子。
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マスク。
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前っちゃんの証言通りだった。
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神崎
「一人目だ。」
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男は何もしていない。
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煙草を吸う。
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ただ立っている。
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どこにでもいる男。
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だが。
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神崎の目は離れなかった。
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数分後。
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東が小さく呟く。
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「もう一人。」
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電柱の陰。
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別の男。
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少し離れた場所。
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前っちゃんの話と一致する。
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神崎
「二人目だ。」
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今田はインカムへ小さく話す。
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「別働隊。」
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「準備しろ。」
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『了解です。』
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翔が辺りを見回す。
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「別働隊?」
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今田は顎でコンビニ入口付近を示した。
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ジャージ姿の若者が二人。
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缶コーヒーを飲みながら談笑している。
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一見すると。
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どこにでもいる若者だった。
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翔
「え?」
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「アイツらですか?」
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今田
「そうです。」
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その時だった。
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午前1時。
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若い男が近付いてきた。
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周囲を気にしながら歩いている。
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ポスト前の男へ近付く。
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短い会話。
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そして。
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何かを渡した。
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翔
「金か。」
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神崎
「多分な。」
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すると。
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離れた場所にいた男が動く。
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ゆっくり近付く。
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そして。
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若い男へ何かを渡した。
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小さな袋だった。
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若い男はその場で中身を確認する。
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そして。
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足早に立ち去った。
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静寂。
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神崎
「黒だな。」
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レイ
「ああ。」
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悠馬も頷く。
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今田は小さく言った。
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「別れます。」
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神崎も頷いた。
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最初から決めていた。
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取引が成立した場合。
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三方向を追う。
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今田
『別働隊。』
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『動け。』
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『了解。』
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コンビニ前にいたジャージ姿の二人が自然に歩き出す。
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薬を買った男の後を追う。
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レイ
「俺達は?」
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今田
「金を受け取った方をお願いします。」
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レイ
「了解。」
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悠馬も頷いた。
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神崎は翔を見る。
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「俺達は渡した方だ。」
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翔
「了解。」
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インカムから柳の声が聞こえる。
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『全員聞こえるか。』
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『俺達が追うのは三人だ。』
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『無理はするな。』
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『見失うな。』
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『それと。』
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『あまり離れ過ぎるなよ。』
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『インカムが届かなくなる。』
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神崎
「了解。」
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レイ
「了解。」
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今田
「了解です。」
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翔
「了解。」
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東
「了解っす。」
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柳
『よし。』
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『動け。』
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三方向へ散る。
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歌舞伎町のネオンの中へ。
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