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青春コロリ #4最終回 アメフトに救われて

四年目

一部リーグ昇格。

3年間、いつもあと一歩で負けていた。
これまで試合に出ることが精一杯で現実感がなかった。
4回生になれば、話は別だ。
「俺たちの代で成し遂げてやった」と先輩たちを見返してやりたかった。
人数こそは少ないが、他校からも一目置かれるQB小宮山やエースRB朝倉がいる。
加えて「入部依頼未達成」というドラまで乗っている。

「僕らなら本当にできるんじゃないか」

程度の差こそあれ、4回生はみんな同じことを考えていたと思う。

中年オヤジ

1月。毎日のように部室に集まり、ホワイトボードを囲み、来季のオフェンス戦略を考えていた。
僕もフルバックリーダーとして肩身の狭い中参加した。
そこに中年親父が一人混じっている。
冬場なのに半袖半ズボン。
体重120キロを超える体。
土俵際から逃げてきたかのような風貌。
サンクチュアリの悪役で出ていてもおかしくない。
それが今年からオフェンスコーチになった金森だ。
来年から実家に帰るらしく、その年は退職前のためよく部に顔を出すようになった。
最初に交わした会話は覚えていない。
ただ、彼は、フルバックを用いた戦略をあまりよく思っていなかった。

僕らは強豪校ではない。
学生主体であらゆることを考えてきた。
そこへ突然現れた外部の人間が、あれこれ口を出してくる。
面白いわけがなかった。

奪われた春

3月。未知のウイルスの報道がニュースを独占した。コロナウイルスと呼ぶらしい。
他人事だったのも束の間、部活動は「無期限の活動休止」となった。
4回生は今後についてzoomで話し合いをするが、もはや僕らでどうにかできる問題ではなくなっていた。
「このまま引退なんかな?」
先の見えない不安を抱えながら、日々が過ぎていった。

いっそのこと

小宮山からポジション変更の話がきたのは、練習再開の目処も立たない5月くらいのことだった。
「秋はオフェンスラインになったから、8月までに95キロまで増やして」
電話口で事実を押し付けるように伝えられた。
どうやら金森の方針らしい。

「なんであんな奴に従うんだよ」

この3年間、どれだけ食ってきたと思っているんだ。
白米を見てPTSDを発症しなかったのは奇跡だ。

「金森さんの意見は正しいと思う」
「あいつについてったら負けるぞ」
言い合いになった。
「達成できなかったら試合には出れない。頑張れ。」
ようやく手が届きかけた場所から、名前ごと剥がされた。
達成したとしても、再開できるかも分からない。
積み上げては壊される。

白米を口に運びながら、何度も考えた。
もういっそのことやめるか。

一日5食。白米3合。
意味はないかもしれない。
ここでやめたら本当に終わってしまう気がした。

試合に出られなくても筋トレをする。
結果が出なくても体重を増やす。
理不尽な目に遭ってもグラウンドに行く。
思えば、この3年間同じことをずっと繰り返してきた。

夜な夜な

6月。大学から来月から練習再開の許可がおりた。
そんな矢先、アメフト連盟から連絡が来た。
「試合はしていいけど、出れないチームもいるし、昇格降格はなしね」そんな内容だった。
「来年を見据えて、試合は3回生以下で行うべきなんじゃないのか」
「もう引退でいいんじゃない」

夜な夜な4回生でzoomミーティングが開催された。
同期同士でも意見が食い違い、毎日揉めた。
一方僕は、どちらとも言えなかった。
幾度かの話し合いの末、4回生は試合全勝を掲げて、練習再開することにした。
「4回生のエゴだ」という意見もあった。その通りだった。

アメフトに救われて

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