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提案書の横文字を消したら大事な条件まで消えてしまった

提案書の横文字を減らせば、その分だけ伝わるんでしょうか。

今朝7時42分、練習用の提案書を6文だけ書き直して、手が止まりました。カタカナは減った。読みやすくもなった。でも、読み手が作業を始めるのに必要な条件が2件、消えていました。

僕は、提案書の言い換えでは「短くなったか」より先に、相手が同じ作業をできるかを確かめます。横文字を消すだけだと、ここを見落とす。今朝はAIに渡す依頼文を直すため、元の文と、意味を削りすぎた文を手元で並べました。以下は架空のサービスを使った練習原稿です。実在製品の仕様や、顧客案件の成果を示す数字ではありません。

やさしい言葉にしたのに質問が増える

元の原稿には「オンボーディング期間中は、管理者が初回設定を代行します」と書きました。これを「使い始めをサポートします」に縮めたんです。読み口は軽い。僕も最初は、このくらいで十分だろうと考えていました。

でも、相手の席に座ったつもりで読むと、設定をするのが誰なのか分からない。初日に自分で触る必要があるのか、待っていればいいのか。元の文なら答えられた質問です。言い換え後の文では答えられません。

親切にしたつもりだったのに……。

9月7日のTechCrunchには、AIの用語や俗語が増えていることを背景にした用語集の記事がありました。知らない言葉を調べる入口があるのは助かります。一方、僕が提案書で片づけたいのは、その言葉を読んだ相手が、自分の仕事として何をするかまで分かる状態です。


用語の意味が分かっても、担当や作業の時期までは決まりません。たとえば「オンボーディング」を「利用開始の支援」と訳しても、今回の設定代行が含まれるかどうかは、その文に書く必要があります。辞書の説明と提案書の説明は、そこで分かれます。

消してしまった条件を元の文で数える

練習に使った元の6文は、これです。社内用語に慣れていない担当者へ、導入後の作業を伝える想定で書きました。

あ:オンボーディング期間中は、管理者が初回設定を代行します。
い:ダッシュボードの数値は、毎朝9時に前日分へ更新します。
う:レポートは、利用者が必要なときに出力できます。
え:通知先のメールアドレスは、利用者が変更できます。
お:サポートへの質問は、専用のフォームから送ります。
か:操作マニュアルは、設定画面から開けます。

比較用に短くした原稿も残しました。

あ:使い始めをサポートします。
い:集計画面で最新の数値を確認できます。
う:報告書は、利用者が必要なときに出力できます。
え:通知を受け取るメールアドレスは、利用者が変更できます。
お:困ったときの質問は、専用の入力欄から送ります。
か:操作の手引きは、設定画面から開けます。

「あ」では、管理者が初回設定を代行する条件が消えています。「い」では、毎朝9時に前日分へ更新する条件が消えました。「最新」と書くと、今の数値なのか、前日までの数値なのかを読み手が決めることになります。これで会議資料を作ってもらうのは困る。

どちらも、用語の難しさを気にして周辺まで削った文です。「う」から「か」は、担当や操作の場所を残したまま言い換えています。今回は、条件が抜けた文を1件と数えて2件。単語の置換数とは分けて数えました。

チェックには、元の文を横に置きます。言い換えた文だけを眺めていても、消えた情報は見つけにくいんですよね。紙に出したら、僕の赤ペンのほうが先にかすれました。替え芯、買い忘れていた。

AIへの依頼に読み手の仕事を入れる

依頼文は「初心者にも分かるように」だけで終わらせず、読む人が何をするかを書き足します。今回なら、現場の担当者が初日に自分で設定するかを判断し、翌朝の会議資料にどの時点の数値を使うか確認する。その用途を渡します。

僕がこの6文向けに組み直した依頼文です。別の提案書なら、読み手と用途の部分を置き換えます。

次の提案書を、社内用語に慣れていない現場担当者向けに直してください。

読み手の仕事:
初日に自分で設定が必要かを判断する。
翌朝の会議資料に、どの時点の数値を使うか確認する。

言い換えの条件:
- 元の文の担当者、日時、対象範囲、操作の場所を残す。
- 書かれていない機能や約束を足さない。
- 用語を残すほうが操作しやすい場合は、短い説明を添える。
- 意味が決められない箇所は、推測で直さず質問として残す。

出力:
元の文と修正文を、同じ記号で一組ずつ並べる。
それぞれに「残した条件」を書き添える。
最後に、元の文から抜けた条件がないか点検する。

原稿:
〈ここに原稿を貼る〉

ここで出る点検結果は、人が照合するときの下書きです。AIが「抜けなし」と書いても、元の文と読み比べる工程は残します。短文化も点検も一度に任せると、僕のほうまで読み飛ばしたくなるので。

照合では、同じ質問を両方の文に当てます。「誰が初回設定をする?」「会議に持っていく数値はいつの分?」。片方でしか答えられなければ、その修正文は戻す。答えを想像で補ったら合格にしません。

読み手が答えられるかを、元の文と修正文で比べます。

用語を残したほうが迷わない場合もある

カタカナを全部消す運用には、もう一つ困りごとがあります。資料と実際の画面で呼び方がずれることです。画面のボタンが「レポート」なのに、提案書だけ「報告書」と書くと、同じものか確かめる手間が増えます。今回の練習文では画面表示まで設定していないので、ここは追加で確かめる項目にしました。

実際の案件なら、画面の表記を確認したうえで「レポート(集計した報告書)」のように初出で説明を添える。その後は画面と同じ呼び名にそろえます。略語が通じる相手にまで、長い日本語を毎回読んでもらう必要はないですよね。

消す語の数を目標にすると、説明が回り道になります。

用語を残すか迷ったときは、読み手が画面で探す言葉かどうかを先に見ます。探す言葉なら残す。説明の都合だけで使っている言葉なら、読み手の作業に置き換える。この順なら、営業が口頭で補い続ける資料から少しずつ直せます。

今朝の6文はここまで直した

「あ」は「使い始めの期間は、管理者が初回設定を代行します」に戻しました。「い」は「集計画面の数値は、毎朝9時に前日分へ更新します」。どちらも、誰が動くか、どの数値を扱うかを文の中で答えられます。

「毎朝」と「前日分」は短い言葉です。それでも、落とすと読み手の仕事が変わる。難しい単語に赤を入れるより、この二つを残せたことのほうが、今朝の見直しでは手応えがありました。

次に直す提案書でも、最初の1ページだけを元の文と並べ、読み手の作業に必要な条件を照合します。確認する問いは、初日に誰が設定するか、会議で使う数値はいつの分か。短く書けた文もそこで一度止める。今朝の練習原稿では、6文のうち確認から漏れていた条件を2件、本文へ戻せました。


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