
たい焼きにまつわるエトセトラ
非常勤講師として英語を教えている。授業でよく使うコミュニケーション活動のひとつに、「This or That」というものがある。
教師が2つの選択肢を提示し、生徒は自分の好みや意見を選んで、その理由を英語で伝える活動だ。選択肢は例えば、「Soccer or baseball?」「きのこの山 or たけのこの里?」といった具合。
身近なトピックを使って、他者の考えに興味をもったり、自分の意見を表現したりする練習を促す。
◇
さて、「どっち派?」といえば、たい焼きの食べ方が思い浮かぶ。
頭から食べるか、尻尾から食べるか。
私はなんとなく頭から食べる。尻尾のカリカリは最後に楽しむ派だ。娘は気分によって頭から食べたり尻尾から食べたりするらしい。ふむふむ。
「頭の方が尻尾よりあんこが多いよね」なんて、義実家で他愛のない話をしていると、義母が言った。
「私、お腹から食べる」
――!
こんなことで目から鱗が落ちている場合ではないけれど、たい焼きをお腹から食べる人に初めて出会った。いや、お腹から食べるという選択肢が、そもそも自分の中になかったことにびっくりして、
ほぇぇぇ。
変な声が出てしまった。
◇
義母を通して「This or That」の向こう側を見た気がして、授業をするときの心持ちがちょっと変わった。
思いもしないような発想や、ものの捉え方は、自分に見えていないだけで、そこらじゅうにいっぱいあること。
それを心に留めて、今日も教室へ向かう。