力車で運ばれた一杯
🎧 Kaya Project – playful new world
南インドは海風が吹いているから、
都心ほど暑さは感じにくい。
それでも湿度がかなり高いから、
歩いていると喉が渇く。
そんな時に見つけた、
力車の上のココナッツ。
山積みにされたココナッツから、
ひとつを選んだ。
店主がナタを手に取る。
カンカンカン、
バスっ。
上の部分を器用に落として、
ストローを挿す。
チューっと吸う。
それだけ。
ココナッツウォーターは、
暑い土地では水分・ミネラル
補給になるらしい。
なるほど。
今の私には、
ちょうどいい。
……と思ったけれど、
飲んだ直後、
温っ。
そりゃそうだ。
冷蔵庫で冷やしているわけでもなく、
炎天下の力車の上に
ずっと積まれていたのだから。
飲み終わると、
店主が聞いてきた。
果肉、食べる?
食べる。
すると今度は、
ココナッツを半分に割り、
中の柔らかな、
ぷるんぷるんの果肉を
ナタで器用に抉り取っていく。
取り出した果肉は、
小さな取っ手のついた袋に入れて
手渡してくれた。
飲んで、
食べて。
ココナッツひとつで、
二度楽しめる。
冷たくはなかったけれど、
なんだか妙においしかった。
残りの果肉の入った袋をぶら下げて、
ご機嫌でまた歩き出した。
