
㊼(最終話)日常must go on
夢のようなオーケン還暦祭ライブが終わって、大阪へ帰り、いつもの日々に戻った。
子供の頃に否定され、途中手放し、それでも好きで、いつも何かある度に助けられ、心の傍に置き続けてきたバンドが、今もステージに立っている。
私もどうにかここまで生きて、私のステージ、バーのカウンターに立てている。
こんな感慨深いことがあるだろうか。
得体の知れないパワーを貰って、更なる目標に向かって進む決意とワクワクに満ちて、あの頃のエスパーマユミちゃんよろしく「空も飛べるはず!」くらいの自信が溢れてきた。飛ばないけども。
もう何だってできる気がするぜ!怖くないぜ!と息巻いて店を開けたら初めましてのお客様が入ってきて、また緊張であわわあわわと慌てふためくという、まだまだ私は私なのであった。
さすがにそんなところまでオーケンも助けられんだろう。こればっかりは私自身のこれからの修行にかかっている。
ライブで買ったオーケンの詩集「幻と想」の帯に、
『未だ世界にうまくなじめないあなたへ──。』
と書いてあった。
ホントにこの人にゃ、ずっと見透かされている。
私だけでなく、たくさんの『世界にうまくなじめない』みんながそう感じているだろう。
だからこそ、なるほど私だけじゃないんだな、独りじゃないんだな、と思わせてくれる詩がたくさんそこにある。そうしてオーケンは知らない間に多くの人を救ってきたんだろう。そして「救われました」と言われ過ぎて、ちょっと『困ったなぁ』って顔をするのだろう。
これから「楽しいことしかない」と思えるようになったのはオーケンを始め、その都度出会ってきた大切な人達のおかげだ。
今度は私から恩返しをしていきたいので、続く日常の中で、私の言葉で誰かの気持ちを軽くしたり楽しくしたりできるといいなと思っている。
そしてもし、夢が叶うなら、今度こそオーケンに感謝と共に伝えたい。
「私がどんなに大槻ケンヂが好きか、あなたは知らない」
終