最近、少しだけ生きるのが楽しくなった
少しだけ、生きるのが楽しくなった
最近、少しだけ生きるのが楽しくなった。
鬱病で、無職で、家にいる時間が長い。
朝起きても、特に予定がない。
「今日は何をしよう」と考えるより、
「今日は何とか過ごそう」
と思う日のほうが多かった。
何か大きな目標があるわけでもない。
将来やりたいことが明確にあるわけでもない。
「これがあるから生きたい」と胸を張って言えるものも、今の私にはない。
そんな私に、最近ひとつだけ楽しみができた。
また会いたいと思える人ができたのだ。
「次はいつ会えるかな」
きっかけは、コンカフェだった。
たまたま入ったお店で、私の好みにど真ん中のキャストさんに出会った。
いや、正確に言えば、私から営業をかけてもらいに行った。
Xで、「営業ください!」と呟いた。
我ながら何をしているんだと思う。
すると、ある男装キャストさんからDMが来た。
そこからやり取りが始まって、実際に会いに行った。
そして私は、見事にハマった。
話してみたら楽しかった。
見た目が好きだった。
そして、何より私のことをたくさん褒めてくれた。
「可愛い」
「綺麗な顔立ちをしてる」
そんな言葉を、冗談半分に受け取りながら、私はものすごく喜んでいた。
もちろん、仕事としての営業だということは分かっている。
私だけに特別な感情があるわけではない。
キャストさんにとっては仕事で、私はお客さんだ。
それでも、嬉しいものは嬉しい。
営業だと分かっていても、楽しいものは楽しい。
私はその時間を素直に楽しむことにした。
そして気づいた。
「次、いつ会えるかな」
そんなことを考えている自分がいる。
今までの私は、未来のことを考えるのがあまり好きではなかった。
明日のことを考えるだけでもしんどい日がある。
ましてや、何週間も先の予定なんて、楽しみにする余裕がなかった。
それなのに今は、
「次はこの日に行けるかな」
と考えている。
たったそれだけのことなのに、少し先の未来が楽しみになった。
生きる理由なんて、そんなに立派じゃなくていい
「生きる理由を見つけよう」
と言われることがある。
でも、鬱病の人間にとって、それは結構難しい。
家族のため。
夢のため。
将来のため。
やりたいことのため。
そういう大きな理由を持てたらいいのだろうけれど、そもそも「生きること自体がしんどい」時には、そんなものを探す余裕がない。
だから私は、
「また会いたい」
くらいでいいんじゃないかと思うようになった。
人生を変えるほどの理由じゃなくていい。
明日を頑張る理由じゃなくてもいい。
ただ、
「次に会える日までは生きてみようかな」
と思える。
それだけでも、十分じゃないだろうか。
そして、もうひとつ変わったこと
少し意外な変化もあった。
私は過食嘔吐をする。
そのせいで食費もかなりかかる。
これまで何度も、
「お金がもったいない」
「やめなきゃ」
と思ってきた。
でも、そう思えば思うほど、簡単にはやめられなかった。
ところが最近、
「次に会いに行くために、少しお金を残しておきたい」
と思うようになった。
別に、突然治ったわけじゃない。
今でも過食嘔吐をすることはある。
それでも以前より、少し減った。
「治すため」ではなく、
「次の楽しみのために、お金を残したい」
と思ったからだった。
自分でも不思議だった。
あれだけ「やめなきゃ」と思ってもできなかったことが、病気とは全然関係のないところから、ほんの少し変わった。
もちろん、これは私の場合の話だ。
誰かにとってコンカフェに行くことが回復になるわけでもないし、過食嘔吐が減る方法だと言いたいわけでもない。
ただ私の場合は、「楽しみ」ができたことで、結果的に少しだけ自分の行動が変わった。
それだけのことだ。
「推し」なんて言葉じゃなくても
最近は、好きな人のことを「推し」と呼ぶことが多い。
便利な言葉だと思う。
でも、私はあまりその言葉が好きではない。
少し陳腐に感じてしまうからだ。
私にとっては、もっと単純なものなのかもしれない。
「また会いたいと思える人がいる」
ただ、それだけ。
会えば嬉しい。
話せば楽しい。
褒めてもらえたら、帰ってから何度も思い出してしまう。
そして、
「次はいつ会えるかな」
と思う。
恋愛なのかと言われれば、たぶん違う。
現実の生活を一緒にしたいわけでもない。
ましてや、相手の人生を背負いたいわけでもない。
ただ、私はその人に会う時間が好きなのだ。
それでいいと思っている。
人生は、まだそんなに楽しくない
正直に言えば、今でも人生そのものはそんなに楽しくない。
鬱病が治ったわけでもない。
働けるようになったわけでもない。
過食嘔吐がなくなったわけでもない。
何もかも前向きに考えられるようになったわけでもない。
しんどい日は、普通にしんどい。
何もしたくない日もある。
それでも以前とは少し違う。
「次に会える日」がある。
その日までに少しお金を残しておこうと思う。
できれば、その日は可愛い服を着て行きたい。
何を話そうかな、と考える。
そうやって、少し先のことを考える時間ができた。
人生が劇的に変わったわけじゃない。
ただ、真っ暗だったところに、小さな明かりがひとつついただけ。
でも、真っ暗な場所では、その小さな明かりでも案外明るい。
私は今、それくらいでいいと思っている。
生きることを好きになれなくてもいい。
人生に大きな希望を持てなくてもいい。
「また会いたい」と思える人がいて、
「次はいつ会えるかな」と少し楽しみにできて、
その日まで、もう少し生きてみようと思える。
それだけでいい。
私は今、ほんの少しだけ、
生きるのが楽しい。
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