
【バレエ布教日記⑤】ジゼル
ジゼル
幻想的な世界に憧れを持つ、ロマン主義の時代に生まれた不朽の名作だ。舞台はドイツの山間の村。第1幕の村人たちの溌剌とした踊りと、第2幕の暗い墓場の対比を楽しむことができる。
ピュアピュアなジゼルちゃん
「なぜ墓場?」と思った方も多いのではないか。そう、ジゼルは恋人であるアルブレヒトの裏切りによってショック死してしまう。ジゼルは身体が弱いのだ。
ロイスと名乗るアルブレヒトは、ジゼルと恋を楽しんでいた。ある時、2人と村人たちが踊っている村に貴族の一行が通りかかる。その中にいた侯爵の娘バチルドがアルブレヒトの婚約者であることを明かされ、ジゼルはショックで狂い、死んでしまう。
それまでのジゼルはとっても可愛らしい少女だ。ベンチに腰を掛けたジゼルの横にロイスが座ると、ジゼルは恥じらいから思わず逃げてしまう。ジゼルが咲いている花を摘んで「好き、嫌い、好き…」と花占いをし、花びらを数え終えると、占いが悲しい結末になることを知って花を捨ててしまう。しかし、ロイスがこっそり花びらを1枚ちぎってジゼルにもう一度「好き、嫌い」とやってみせる。占いが成功するところを見るとジゼルは大喜びし、2人で軽やかに踊り出す。
侯爵の娘バチルドに会ったときもジゼルは彼女のドレスの美しさに思わず手を触れてしまう。さらに彼女からペンダントをもらうと、心臓が弱くて踊ることを止められているにも関わらず、嬉しさで笑顔いっぱいにソロを踊る。こんなにも感受性が豊かで可愛らしいジゼルちゃんだ。
できることなら裏切り者のアルブレヒトに鉄槌を喰らわせたい!(切実)
ジゼルは真実を知り、心が壊れて狂ってしまう。このシーンは「錯乱の場」と呼ばれており、ダンサーの演技が見どころだ。ロイスとの思い出を振り返るように花占いをする仕草や一緒に踊ったダンスを放心状態で踊る。純粋だからこそ繊細な心を持っているジゼルを見ていると胸が痛くなる。ダンサーの表現力に注目すべき場面だ。

第1幕の甘い雰囲気にきゅんとする

ダンサーによって違う演技が楽しめる
亡霊なのに美しい。墓場のシーン
第2幕、ジゼルの墓場では「ウィリ」と呼ばれる未婚のまま亡くなった女性の霊が現れる。ウィリたちは墓場に来た男性を死ぬまで踊らせようとするのだ。
墓参りに来たアルブレヒトはウィリの女王ミルタの命令で、ウィリに囲まれ踊り殺されそうになる。いいぞ、もっとやれ。と言いたくなるが、ウィリとなったジゼルが彼を守り、舞台は幕を閉じる。(悔しい)
白いロマンティックチュチュに身を包んだウィリの一糸乱れぬ群舞は圧巻だ。亡霊の不気味さを演じながら、列をみださないよう踊るのは非常に難しい。中心で踊るダンサーだけでなく、周りで踊る群舞にぜひ注目してほしい。

足先から爪先までぴったりと揃った群舞に注目