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Photo byfujirooll

自分でいられる、そんな雨の日

    雨が降ると、少しだけほっとする。

    変なことを言っているのはわかっている。洗濯物は乾かないし、髪はうまくまとまらないし、外に出るのが億劫になる。雨って、そういう不便なものだ。それでもわたしは、雨の日が嫌いになれない。

    たぶんそれは、雨の日だけ「無理しなくていい」気がするからだと思う。

    晴れの日は、なんとなく元気にしていなきゃいけない気がする。外に出て、動いて、何かしなきゃ、という気持ちが勝手に湧いてくる。でも雨が降ると、その気持ちがすっと引いていく。お天気のせいにして、ひとりで静かにしていていい。そう許してもらえる感じがする。

    雨の日のわたしは、たぶん一番素に近い。

    好きな飲み物を淹れて、特に何もせずに窓の外を見る。雨粒がガラスをつたう様子をぼんやり眺めていると、頭の中のざわざわが、少しずつ静かになっていく。誰かに連絡しなくていい。気の利いたことを言わなくていい。ただそこにいるだけで、なんとなく満たされている。

    雨の音が好きだ、とずっと思ってきた。なぜ好きなのか、うまく言葉にできなかったけれど、最近少しわかってきた気がする。

    雨の音は、世界をやわらかく遮断してくれる。外の音がかき消されて、自分の内側だけがくっきりしてくる。音楽でも、沈黙でもなく、雨音だけが作り出せる、あの独特の「ひとりの空気」がある。その中にいると、普段気づかなかった自分の気持ちが、ふと浮かんでくることがある。

    あ、わたし今ちょっと疲れてたんだな、とか。 これが食べたかったんだな、とか。 あのひとのこと、まだ気になってるんだな、とか。

    雨の日は、自分に正直になれる日だと思う。

    だからわたしは、雨が降るとほっとする。今日もひとりの時間をちゃんと生きていいよって、空が言ってくれているような気がして。

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