『2人のルーキー④』成長の勲章
会社でコピー用紙を一日に何枚使用しているのか。
会議時間を15分短縮したらどうなるのか。
週に5回ある会議を1回減らしたらどうなるのか。
残業は本当に利益を生み出しているのか。
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二人は地道に調べ続けた。
コピー機のカウンター。
会議の参加人数と時間。
売上と経費。
残業時間。
一つひとつの数字を拾い上げ、
利益にどう影響しているのかを分析していった。
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会社全体から見れば、
決して大きな数字ではなかったかもしれない。
しかし、
もしそれを毎日自分の財布から払うと考えたらどうだろう。
1ヶ月も経たずに生活は苦しくなる。
小さな無駄も積み重なれば大きな損失になる。
彼女たちはその事実を数字で証明した。
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もちろん、
机上の計算だけでは現場は動かない。
しかし、細かな数値を自分達の生活に
置き換えたら決して他人事にはなれない。
日々の業務をこなしながら、
プレゼンの準備も進める。
新人にとって決して楽な挑戦ではなかった。
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そして迎えた本番。
社長や役員を前にした晴れ舞台。
私は会場の一番後ろで他の部署の同僚と
見守っていた。
営業部門の発表はさすがだった。
数字が大きく、
インパクトもある。
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いよいよ二人の番。
緊張していると思った。
しかし二人は落ち着いていた。
驚くほど堂々としていた。
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私はその姿を見た時、
結果などどうでもよくなっていた。
ここまで成長した。
それだけで十分だった。
同じ歳の頃の自分より、
よほど立派に見えた。
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発表は練習通り。
いや、
練習以上だった。
最後まで堂々とやり切った。
会場から拍手が起こる。
二人の表情は達成感に満ちていた。
私も精一杯拍手を送った。
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そして結果発表。
優勝。
しかも満場一致。
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表彰式で、
二人はぐしゃぐしゃになって泣いていた。
最初の頃の悔し涙ではない。
努力が報われた涙。
認められた涙。
その姿を見て、
私も胸が熱くなった。
涙を忘れたと思っていた私でさえ、
鳥肌が立った。
本当に素晴らしいプレゼンだった。
彼女達への周囲からの目も
大きく変わり、見事に信頼を勝ち取った。
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そして、
あの日から十二年。
Mは検定も合格し社長室で活躍している。
Sは人事で頑張っている。
少し心に不安がある子なので
私と同時のタイミングで人事部へ異動
一年ちょっと名古屋で武者修行をして
今は私が心から信頼するなな子先輩のもとへ託した。
そして生き生きと働いている。
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あの頃、
子供扱いされていた二人も、
今では三十代。
立派な社会人になった。
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優勝トロフィーは、
いつか色褪せる。
表彰状も、
やがて引き出しの奥にしまわれる。
でも、
あの日の努力は消えない。
あの日の成長も消えない。
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私にとって本当の勲章は、
優勝ではない。
十二年経った今も、
二人が自分の足で立ち、
前を向いて歩いていることだ。
それこそが、
二人が手にした最高の勲章だと思う。
