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十五夜

今日は十五夜だ…
お月見にはちょっと厳しいかな

幼稚園の頃だったと思います。

先生が昼間の空を見上げながら、

「お月さまには、うさぎさんがいてね。
お餅をついているんだよ」

と教えてくれました。

私はそれを、
疑うこともなく信じました。

本当に月にはうさぎがいて、
あの丸い月の中で、
ぺったん、ぺったんと
餅をついているんだと思っていました。

家に帰ると、
さっそく母に教えてあげました。

「ねぇ知ってる?
お月さまには、うさぎがいるんだよ。
お餅ついてるんだって」

たぶん私は、
とても得意そうな顔をしていたんだと思います。

自分だけが知っている
すごい秘密を教えてあげる。

そんな気分だったのでしょう。

母は、

「そうなの?」

なんて言いながら、
笑って聞いてくれました。

「そんなのいないよ」

なんて言わなかった。

子どもの私が信じている世界を、
壊さないでいてくれた。

母とは血は繋がっていなくても
今になって思うと、
あの笑顔まで含めて、
十五夜の思い出です。

いつの頃からでしょう。

月を見ても、

うさぎを探さなくなりました。

月がなぜ光って見えるのかを知り、
そこにうさぎがいないことも知りました。

少しずつ大人になって、
本当のことをたくさん覚えていく代わりに、

昔、本気で信じていたものを
ひとつずつ忘れていった気がします。

でも、

十五夜の月を見上げると、
時々あの頃のことを思い出します。

月の中で餅をつくうさぎを
本気で信じていた小さな私。

そして、

そんな私の話を
優しく笑いながら聞いてくれた母。

もしかしたら、

大人になるということは、
何でも分かるようになることではなくて、

昔信じていたものを
懐かしく思い出せるようになることなのかもしれません。

今夜、月がきれいだったら、
少しだけ目を凝らしてみようと思います。

もちろん、
うさぎがいるわけではないことは知っています。

それでも、

「まだ餅ついてるかな」

なんて思えるくらいの自分は、
残しておきたいなと思います。

月のうさぎさん
月見団子も良いけど
やっぱり
みたらしを3本で…
お願いします

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