私のボス①カリスマ性を持った親分
私には、
「この人と一緒に仕事ができて良かった」
そう思えるボスが三人いる。
最初の一人は、
私を見出し、
育ててくれた人。
そして今もなお、
尊敬するボスだ。
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厳しく叱る。
だが、
その何倍も面倒を見る。
失敗した時は守り、
結果を出せば誰よりも喜ぶ。
まるで父親のような人だった。
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現状を冷静に分析し、
必要な手を打つ。
人脈も影響力も絶大で、
周囲からは
「黒でも白に変える人」
と良い意味で言われ
同時に頼られていた。
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可愛い部下には
とことん厳しい。
少しでも可能性を感じると
徹底的に鍛える。
私もその一人だった。
当時はまだ役職者ですらなかったが、
ボスからの指示は課長を飛び越えて
直接私に来ることも珍しくなかった。
何度も叱られた。
それでも不思議と嫌な気持ちにはならなかった。
期待されていることが
伝わっていたからだ。
色々あったが一番痺れたのは
『来週の会議でこの前の件、会長と社長の前で
話せ。もう、時間も取ってあるから。大丈夫、俺もいるから。』
予告も猶予もなく。
二十代の私からしたら
「獅子の子落とし」
それでも唯一救いなのは
『大丈夫、俺もいるから』の一言だった。
魔法のような言葉。
この一言がお守り。
言う人が言えばこんなに力強い言葉はない。
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そんなボスと私には
一つだけ大きな違いがあった。
ボスは
「無理だ」
と判断した人材は切り捨てる。
情に流されない。
それもまた組織を守るための判断だ。
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しかし私は出来ない。
相手が手を伸ばしている限り、
どうしても救いたくなる。
可能性があるなら
引き出したくなる。
その結果、
遠回りをすることも少なくない。
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ある時ボスに言われた。
「他人のことで、いちいち自分の時間を無駄にするな」
今ならその意味はよく分かる。
けれど、
やはり私は私だ。
簡単には見捨てられない。
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それでも、
人を見る目も、
決断する強さも、
人を育てる覚悟も、
私の中には
今もボスから教わったものが残っている。
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ボスは今春引退した。
だが、
相変わらず声がデカイ
親子のような関係は今も変わらない。
私にとって、
いつまでも越えられない、
そして越えたいと思う存在である
