カッケーなぁ
カッケーなぁ
『ボーンド、ジェームズ・ボンド』
チャーラチャ♪チャーラチャ♪
チャラチャチャチャ♪
ズーンズーンズーンズン♪
お馴染みの映画『007』のはじまり。
昔、学校の帰り道に友達と、
「大きくなったら何になりたい?」
なんて話をすると、
お医者さん。
総理大臣。
アイドル。
プロ野球選手。
宇宙刑事。
(いやいや、架空のヒーローじゃん!)
リカちゃん。
(もはや人形じゃん!)
などなど。
今ならツッコミどころ満載な
職業?もありながら、
あらゆるジャンルの
なりたいもの、夢を話していたなと思います。
そんな中、
私は頑なに、
『ジェームズ・ボンド』
と言っていた。
(控えめに、生意気な小学生です。)
それこそ職業じゃない。
人の名前じゃねーか!
って、ツッコミたくもなりますが……
でも、本当に
ジェームズ・ボンドに
なりたかったのだから仕方がない。
なぜかって?
小学生になったか、
ならなかったかくらいの頃。
お正月の夜。
なかなか眠れなくて、
祖母の脚の間に挟まって、
一緒にテレビを観ていました。
そこで放送されていたのが、
ショーン・コネリーの
映画『007』。
もう、子供ながら、
カッケーなぁ。
それしかなかった。
ショーン・コネリーは、
歳を重ねても
色気と品格があって、
それでいて、
少し茶目っ気もある。
今見ても、
やっぱり
カッケーなぁと思います。
しかも、吹替は若山弦蔵さん。
渋ーい。
渋すぎる。
それがまた、
ショーン・コネリーにピッタリで。
声で惚れる。
カッケーなぁ。
若山さんでない
ショーン・コネリーは、
私にはショーン・コネリーではないのだ。
それほどに、
子供の頃の記憶は絶対になる。
そして007といえば、
やっぱり秘密兵器。
アストンマーティンには、
機関銃。
回転式ナンバープレート。
防弾シールド。
そして、
助手席の射出シート。
ひょえーっ、飛んじゃう!
大丈夫なのか?と思ったら、
パラシュート付き。
腕時計には
特殊な機能が仕込まれている。
欲しい。
欲しすぎる!
盗聴器や小型カメラ、
特殊なワイヤーまで登場する。
それらを駆使して
敵地へ潜入。
いやいや。
子供心をくすぐる
エンターテインメント満載でしょう!
そりゃ、
なりたくなるよ!
車は格好いい。
時計も格好いい。
スーツも格好いい。
綺麗なお姉さんと一緒。
ピンチになっても、
なぜか余裕がある。
たぶん私は、
ジェームズ・ボンドに
なりたかったというより、
あの人がまとっていた
「格好いい大人」
になりたかったのかもしれない。
あれから、
ずいぶん時間が経ちました。
残念ながら、
私はジェームズ・ボンドには
なれませんでした。
当たり前ですが……
車に機関銃も付いていません。
(警察に捕まります)
ナンバープレートも回りません。
助手席も飛びません。
(車検通りません)
……まあ、
飛ばれても困りますけどね。
でも、
格好いい車を見ると、
今でも心が躍る。
機械や道具に、
うん、妙に惹かれる。
ちょっと洒落た
格好いい大人にも、
うん、
いまだに憧れています。
考えてみれば、
そんな私の「好き」の原点は、
あのお正月の夜だったのかなぁって……
祖母の匂いに包まれながら、
脚の間に挟まって、
頭の中は
すっかり覚醒しているのに、
眠い目をこすりながら、
テレビの中の
ジェームズ・ボンドを見ていた。
あの小さな男の子は、
ずいぶん大きくなりました。
ジェームズ・ボンドには
なれなかったけれど、
あの頃と変わらず、
格好いいものを見ると、
やっぱり思う。
