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「見上げる場所」

入社してから

一人の時に必ず立ち寄る場所がある。

東京駅、丸の内北口のドーム天井だ。

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初めて会社へ出社した日も、

私はその天井を見上げてから出勤した。

緊張で身体はガチガチ。

一時間以上も早く着いてしまった。

今でも鮮明に覚えている。

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当時の天井は、

今のような華やかな姿ではなかった。

無骨で、どこか力強い。

戦後の日本を支えた誇りのようなものを感じた。

そして十数年前、

美しく修復されたドーム天井は

万華鏡のような表情を見せるようになった。

朝の光。

夕方の光。

季節によっても違う顔を見せてくれる。

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このドーム天井は、

親も知らない誰も知らない

私の姿を知っている。

仕事で失敗して落ち込んだ日。

失恋して肩を落として歩いた日。

うつ病を抱えながら、

それでも這いつくばるように会社へ向かった日。

大きな仕事を成功させ、

自信に満ち溢れていた日。

旅行へ旅立つ楽しそうな日

出張から解放された晴れやかな日

大切な人との待ち合わせで

胸を弾ませていた日。

仲間と笑いながら歩いた日。

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あの日から二十七年。

振り返れば本当にあっという間だった。

私もそれなりに歳を重ね、

大人になったつもりでいる。

けれど、

百年以上の歴史を見続けてきたあなたから見れば、

まだまだ子供なのだろう。

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だから、これからも。

優しい眼差しで送り出してください。

いつも見守ってくれてありがとう。

そして、今日もありがとう

これからもよろしくお願いします。

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