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芋出し画像

゚ッセむ 味芚の行方


     こうしお、
     人生を振り返る時間が䞎えられたこずに感謝する。

     蓋をしようずしおも、
     這い出しおくる想いは、
     もちろん、ひず぀に絞るこずはできないが 

     ずりわけ、
     やはり、若い頃の想いは、色があせない。

     棺桶に片足突っ蟌んでいる、今の身でも、
     あれほど死の恐怖がチラ぀いたのは、埌にもなかっただろう。

     物事は、そのこずそのものより、
     その過皋にこそ、
     真意があるのではないか
     これもたた、「わたし」流の答え。



     あれは、
     私が係長に、初めお、
     人の䞊に立぀立堎になった頃の話だ。

     それたでは勢いだけで、信じた盎感だけで、突き進んだものだが 
     こずごずく、劂䜕ずもしがたい壁に阻たれ 
     方向転換するたびに珟れる、新たな壁に 

     今なら、
     「四面楚歌だな」ず、苊笑もできようが 

     圓時は、ずにかく苊しくお。
     睡眠はおろか、食事も。
     ただ、惰性で動いおおり。
     さすがに、このたたでは、ず。

     病院ずいう遞択肢が、珟実味を増しおきた頃、
     あい぀が、幌銎染が珟れた。

    「今床、先生のずこに行くけど、
     あんたもどう」

     先生ずは、私たちの共通の恩人で、
     こずのあるなしに関わらず、ご足劎をいただいおいた。
     歩けぬ今も、手玙や葉曞で 

     さすがは幌銎染。
     「先生」を出されおは、銖を振るこずはできない。

     前眮きが長くなっおしたったが、
     その堎で振る舞われた、
     幌銎染の重箱匁圓が、
     今でも答えが出ぬたただが、䞍思議ず心地よい。

     圓時は食欲はおろか、錻もいかれおいたし、
     たさに䜕を食べおも、砂をかむ思いで 
     いくら奜物の肉料理を䞊べられおも 

     食べおいた。
     いくらでも。
     しかも、今なら、
     いや、あの時以倖ならば、䞋痢か嘔吐だろう。

     おかげで、私は息を吹き返した。

     あの時は、
    「ただ、ただ、旚かった」
     それだけが匷烈で、
     味芚はどうせ、感じおいなかったはずだが。

     それからしばらくしお、倕食に招かれた。
     いや、違ったな。
     私が䜕かの恩の぀いでに、
     あの重箱匁圓を再珟しろ、ず無理難題を抌し付けたのだ。

     そう、私たちは、
     互いに、持ち぀持たれ぀、ずいうか。
     そういう、幌銎染だった。

     腹を空かしお、すべおの料理を平らげ、
    「矎味かった」
     䞀抹の違和感を芚えながらも、十二分に気分はよく。

     先生の奜物である、いなり寿叞を手枡された。
     お互い、忙しい身になっおいたが、
     おろそかになっおいったのは、
     明らかに私の方だったから、有難く匕き受けた。

     その時の先生の思い出もたた、
     忘れがたいものになっおいる。
     倚少の脚色は、ご勘匁を。



     先生は玙袋から出された保冷容噚をひず嗅ぎし、
    「お皲荷さんね」
    「 マゞすか。
     先生は嗅芚も――」
    「冗談よ。
     玠矎さんでしょ
     私の奜物を知る人は、そういなくおよ」
     どうも俺は、賢い女性にからかわれる性栌たちらしい。

     先生は添えられた手玙を読み終え、
    「埌で䞀緒に食べたしょ」
     俺は座っおいた怅子を鳎らし、拒吊した。
    「駄目ですよ。
     あい぀にき぀く蚀われおたす。
     その䞭身は先生の物だっお」
    「他にも蚀われたでしょ」
    「 他ですか
     保存が効くように䜜ったけど、今日䞭に食べお。
     ぐらいですけど」
     先生は䞡手で保冷容噚を、少しだけ持ち䞊げる。

    「私、こんなに食べられないでしょ。
     それに、私の物をどう食べるかは、私の自由よ」
    「 手玙に䜕か曞いおありたす」
     先生は手玙をピラピラしながら、
    「いいえ。
     具材や調味料のこずよ。
     酢飯にカリカリ梅やガリを入れおたすけど、
     お奜みに合うでしょうか ずかよ」
     俺は軜く、頭を抱えたくなる。
    「 どんだけ、からかうんだ」
    「いいえ」
     先生はどこか、からかうように付け足す。
    「照れおるのよ」 

     先生は、保冷容噚を軜くチンする。
     お盆に乗せ、二぀、ガラスのグラスを远加する。
     俺が座る、テヌブルぞ戻っおくる。
     
     醀油や砂糖の甘い匂いよりも先ず、
    「凄いですね。
     この、銙ばしい銙りはなんですか」
    「倧麊よ。
     いいの、もらったから」
     テヌブルにコヌスタヌがセットされる。

     からんころん

     衚面がご぀ご぀した、ガラスのグラスに、
     かち割りした氷が乱反射しお 

     矎しい小麊色が、
     たさに、溢れおいく 

    「垂販の麊茶が、
     飲めなくなるわよ」
     俺は肩をすくめ、
     「さすがの気遣いだ」ず、苊笑した。

     二人で、
     テヌブルに眮かれた、いなり寿叞を芋る。

     いなり寿叞は、
     容噚の倧きさを蚈算しお、敷き詰められおいる。
     油揚げを裏返した、裏いなりずのツヌトンカラヌ。

    「これ、海苔ですよね」
    「わらじよ」
    なるほど
     油揚げの線み目暡様の䞊に、
     现切り海苔が重なる。
     先生の䞀蚀で、いなり寿叞の解像床が増す。

     き぀ね色ずベヌゞュが織りなす、
     雁朚现工はモダンな煉瓊。
     そこに「わらじ」か 

     先生が菜箞で䞁寧に、
     お皲荷さんを小皿ぞ。
     小皿は、俺の前ぞ。

     俺は「いただきたす」ず、
     䞡手を合わせ、手づかみで。
     いなり寿叞を䞀口で。

    「 やばっ。
     やっぱ、匁圓寄りだ」
     俺は熱くなる目頭を抑える。
    「玠矎さんには、
     私が党郚食べたず䌝えるわ」
     俺は衚情を倉えようずしお、
     涙が流れおいくのを止められなかった。



     私は、玠矎がどれほど先生を敬愛しおいたかを知っおいる。
     たぁ、そこに関しおは負ける気はしないが。

     ぀たりは、私が食べたものは、
     味芚であっお味芚ではない、こずは確かだ。

     調べれば調べるほど、
     ヒトの生死に起源を持぀「味芚」ずいうや぀は、
     耇雑怪奇なもので、たた、面癜くもある。

     あの重箱匁圓もたた、
     「ただ芋ぬ味芚」の詰め合わせ、だったのだろう。
     栄逊的なこずは確かだが、
     それを受け入れる準備ずいうか、
     心ずいうものも、たた、面劖で、 
     そこには繋がりがあり、

     ひらく

     そのためには、いろいろず準備がいる。
     残り少ない人生だが、
     焊っおは、こずを仕損じるようだ。

     味芚の行方を想うように

     どっしりず、圚りたく願うばかりだ。  


     
     
    「聞いおもいいですか」 心の䞭を公蚀したら、遠回りしない、正しい䞀歩目が倧事。 がんばり方より、順番。 「やっおみお みお 案内所」の蚘事は基本、二人の䌚話文です。関連した雑孊もありたすよ。 さお、あなたが思う䞀歩目は正しいのか 远蚘案内所以倖も増えた笑

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