メインコンテンツへスキップ
見出し画像

お金があるほど幸せ? 収入別幸福度変化【2万人独自調査レポート】

    お金があるほど幸せか? 収入別幸福度変化2万人独自調査の調べた結果、「幸福度」は年収2000万までは収入が増えるほど上がり続けるが、それを超えると「幸福度」は下がるとなった。
    (結論)お金があるほど幸せではないが、一定の生活ニーズを満たす経済的余裕がないと足らない分だけ「幸福度」が下がる。「幸福」はお金じゃ買えないが、お金は不幸を防ぎ「幸せ」をつかむ糧となることがデータで確認できた。
    本記事では詳細なデータの傾向と、なぜ収入が増えるほど上がり続けることはなく、一定金額を超えると「幸福度」は下がるのか?原因について仮説を述べる。
         *************
    私のイーハピネス社実施の"ハピネス*ウェルビーイング・メーター(幸福度調査毎月統計)。2024年までの比較レポート続編(日本全国勤労者、各年約5000人,累計約20000人のデータ)

    お金は、あればあるほど幸せなのでしょうか?
    結論から言うと

    • 「お金があるほど幸せ」とも

    • 「お金があるほど幸せではない」

    とも言えます。

    なんだ結論じゃないだろう!
    と突っ込まれそうですが、
    それはどういうことか?

    あらためて
    最新の私(イーハピネス社)が
    独自に調べた最新の調査データ
    を見て見ましょう。

    働いている日本国民の
    世帯収入別「幸福度」の変化を
    調査・分析してみました。
    下記のグラフをご覧ください。

    【幸福度の世帯収入別幸福度変化グラフ】

    (約2万人,2021年1月~2024年12月)

    画像
    (N=約2000,2021年1月~2024年12月,層化抽出,webアンケート)

    「幸福度」は年収2000万までは収入が増えるほど上がり続けるが、それを超えると「幸福度」は下がる

    世帯年収2000万未満までは
    収入が上がるほど「幸福度」は上がるものの、
    「幸福度」は年収2000万で頭打ちとなり、
    それより世帯収入が多いと「幸福度」は低下
    することが表れています。

    ここで言う年収は世帯年収である
    ことに注意が必要です。
    個人の年収ですと1000万強
    になると思われます。

    実際、同様の調査を
    2019年に実施したことがありますが、
    「幸福度」は個人の年収が約1000万で頭打ち
    となっていました。

    この原因としては、
    下記の二つが働いていると考えます。

    豊かになるほど、お金のありがたみが薄れる

    ******************
    「限界効用逓減の法則」が働き、経済的に
    豊かになるほどお金の価値、ありがたみが薄れる
    ******************

    「限界効用逓減の法則」は近大経済学の言葉です。

    経済学でいう「効用=幸福」
    と考えることにしますが、
    「限界」とは変化の割合を指します。

    「限界効用逓減の法則」とは平たく言えば
    「貨幣等の財の効用(≓満足、幸福)の変化は
    少額の段階ほど大きく、
    お金等の財産が豊富になるほど
    効き目(効用≓満足、幸福)、価値が薄れる」
    ということです。

    食うや食わずの極貧状態では、
    お金は少額であっても、その差は決定的
    な価値の違いを持ちます。

    比較的収入が少ない段階では、
    収入の増加によって得られる衣食住、
    耐久消費財や住宅等による「幸福度」の差は
    目覚ましいものとなり、
    切実な消費欲求の充足度に比例して
    幸福度は上がります。

    しかし、だんだん必要なものが揃って
    一定の贅沢の欲求も満たされると
    お金のありがたみ=幸福度は頭打ちとなり、

    逆に経済的な豊かさを得る為の仕事の負担等
    によって生じる他の要因(交絡因子)が
    新たな不幸の火種となって
    人々の幸福度のばらつきを産むかもしれません。

    経済的豊かさは「幸福度」に直結しない法則性の発見

    お金と「幸福度」の関係については
    先行研究が多くあり

    経済的豊かさ=「幸福度」では無く、
    経済的豊かさは必ずしもダイレクトに「幸福度」
    に結びつくわけではないという
    ことを初めて研究で明らかにしたのは、

    R.イースタリンというアメリカの経済学者です。
    1974年に発表された研究(注*1)で
    イースタリンは、

    一人当たりの所得が増えても、
    ある一定値を超えると、
    一人当たり所得の伸びと「幸福度」の伸び
    が明確な相関を持たなくなる

    という現象を発見しました。

    年間所得が1~2万ドルを超えるあたりから、
    所得が増えても幸福度は高くならず、
    頭打ちになり場合によっては下がってくる。

    この研究によって、
    経済的豊かさと「幸福度」が一致しないことは、
    「イースタリンパラドックス」または
    「幸福のパラドックス」
    と呼ばれるようになりました。

    次いで、2010年、
    プリンストン大学の
    ダニエル・カーネマン名誉教授と
    アンガス・ディートン教授
    (お二人ともノーベル経済学賞受賞)は、

    年収と幸福度の関係について重要な研究
    を行いました(注*2)。

    彼らの研究では、

    年収が7万5000ドル(日本円にして約800万円)
    までは、収入が増えれば増えるほど
    幸福度は比例して大きくなるが、
    それ以上では幸福度は上昇しなくなる

    という結果が示されました。

    「幸福」はやっぱりお金でしょ?という話

    ところが近年
    「幸福はお金ではない」という仮説を覆す
    「幸福のパラドックス」に関する反証
    となる研究も出てきました。

    2023年、上記の
    ダニエル・カーネマン名誉教授は
    ペンシルベニア大学ウォートンスクールの
    マシュー・キリングスワース上級研究員と
    ペンシルベニア大学のバーバラ・メラーズ教授
    とともに、新たな研究を発表しました(注*3)。

    この新たな研究では、

    年収が7.5万ドル以上になっても、
    幸福度が高いグループの人々では
    幸福度は伸び続ける

    という結果が示されました。

    (結論)お金があるほど幸せではないが、一定の生活ニースを満たす経済的余裕がないと足らない分だけ「幸福度」が下がる。「幸福」はお金じゃ買えないが、お金は不幸を防ぎ「幸せ」をつかむ糧となる


    収入が少ない段階では
    収入と「幸福度」との相関は極めて強く、
    収入が十分上がれば「幸福度」は上がり続けるが、
    収入と「幸福度」の相関は弱くなる


    という法則性はあるものと考えられます。

    すなわち、
    お金に困っている人にとってお金の有無は、
    しばしば「幸せ」か「不幸せ」か
    を分かつ決定的要素となり、

    収入が少ないうちは
    収入の伸びは生活水準(Well-being)の豊かさ
    を左右する重要な要素だが、
    十分に金銭的余裕が満たされてくれば
    「限界効用逓減の法則」(上述)が働き、
    収入の増減は相対的にさほど重要ではなくなり、
    「幸福度」は他の要因に強く左右される。

    お金が「幸福度」、心身の「Well-being」の
    重大な決定要因であることは
    今回の私の調査でも再確認できました。
    安易に「心の時代」などと言うのは
    偽善に過ぎません。

    「幸福」はお金じゃ買えない、
    しかしお金は不幸を防ぎ、
    幸せをつかむ糧となる

    当たり前ですが
    「お金」=「幸福」ではなく
    「幸福」そのものはお金では買えません。

    しかし
    お金は不幸を防ぎ、幸せをつかむ糧
    となります。

    逆説的ですが
    「幸せであるためには、
    まず取り返しつかない不幸から身を守ること」
    が私の持論です。

    「幸福」であるには、
    まず重大な「不幸」の危機を防ぐことが大切です。
    「不幸の三大リスク」は、
    **********


    1. 健康

    2. お金

    3. 人とのつながり  


    です。これらは相互に密接な因果関係
    がありますが、
    お金の果たす力に焦点を当てると、

    「健康」の維持には
    予防、検査、治療の為の費用がかかります。

    「人とのつながり」を維持する為の
    お付き合いにも一定のお金が必要です。

    これらに必要な最低限のお金の確保が、
    まず必須となるでしょう。

    お金が「幸福度」向上に
    決定的役割を果たす収入のレベルまでは、
    まずは一人ひとりが経済的自己管理、
    さらに公的制度・政策、企業経営の課題
    として留意する必要があります。

    まとめ

    幸福度の世帯収入別変化を調査した結果「幸福度」は年収2000万までは収入が増えるほど上がり続けるが、それを超えると「幸福度」は下がるとなった。
    「幸福度」は収入が増えるほど一定金額までは上がり続けるが、それを超えると「幸福度」は下がるのは「限界効用逓減の法則」により「お金の有り難みが薄れる」ためと考えられる。
    結論として、お金があるほど幸せではないが、一定の生活ニースを満たす経済的余裕がないと足らない分だけ「幸福度」が下がり、「幸福」はお金じゃ買えないが、お金は不幸を防ぎ「幸せ」をつかむ糧となる。

    【関連記事↓】本記事は下記全体レポートの続編です。ぜひご覧ください。

    下記の続編レポートを記事にし投稿する予定です。


    • その他の属性別の「幸福度」クロス分析の傾向

    • 「幸福度」に与えるウェルビーイング要因各種(自己実現や経済状況、人間関係、経営の諸要素等)の分析


    最後までこの記事を読んでいただき
    ありがとうございます。
    今後も幸福に関連する記事を
    毎週数回は投稿してまいりますので、
    好き・コメント・フォローなど
    いただけますとありがたいです。
    イーハピネス株式会社 代表取締役 松島紀三男*プロフィール*

    (注*1)Easterlin, R. (1974) ‘Does Economic Growth Improve the Human Lot?’ in P.A. David and M.W. Reder, (eds). Nations and Households on Economic Growth: Essays in Honor of Moses Abramovitz, New York: Academic Press, Inc.
    (注*2)Daniel Kahneman(2010),’High income improves evaluation of life but not emotional well-being
    Daniel Kahneman kahneman@princeton.edu and Angus DeatonAuthors Info & Affiliations, August 4, 2010 (sent for review July 4, 2010)
    (注*3)Killingsworth MA, Kahneman D, Mellers B. Income and emotional well-being: A conflict resolved. Proc Natl Acad Sci U S A. 2023 Mar 1;120(10):e2208661120.

     
     
     
    幸福、従業員幸福度をライフワークとするコンサルタント。2013年世に先駆け「従業員幸福度(EH)調査® 」開発。熊本大学文学部哲学科芸術学コース卒。(株)ビジネスコンサルタントでコンサルタント、執行役員。㈱イマージョン専務取締役を経て2019年イーハピネス(株)設立。

    あなたへのおすすめ