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【第10話】嵐の幕開け —— 新生プロダクションと西麻布の夢


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    「雲の上の予言」が的中した日
    「近いうちに人手が必要になる。しばらくお前のところでコイツ(私)を面倒みてやれ」
    年が明けるや否や、あの「雲の上の社長」が放った言葉は現実のものとなりました。私は、新しく設立されたばかりのプロダクションの一員として、そのスタートラインに立つことになったのです。
    出来立てホヤホヤの事務所は、わずか二部屋ほどのこぢんまりとした構え。しかし、事務所開きの日の熱気といったら、これまでの人生で一度も経験したことのないものでした。
    錚々たる顔ぶれと、立ち尽くす私
    朝から深夜まで、祝いの挨拶に訪れる人々が引きも切りません。
    在京の全テレビ局、ラジオ局、新聞社、レコード会社。さらには大手広告代理店や同業のトッププロダクション……。日本のメディア界を動かす錚々たる顔ぶれが、狭い事務所を埋め尽くしました。
    それもそのはず、訪れた方々の目的は、新会社の社長に祝辞を述べること。所属タレントが有名かどうかなど関係ありません。「社長」という一人の男の求心力が、東京中の熱を一点に集めていたのです。
    気配りが鈍く、手際も悪い不器用な私は、その圧倒的な光景を前に、何をどうすればいいのか分からず、ただただオロオロと立ち尽くしていました。今まで見てきた世界とは全く違う、本物の「芸能界」の凄みに、ただただ憧れるばかりでした。
    西麻布の夜、夢に夢を重ねて
    最後のお客様を送り出した後、スタッフ全員で西麻布の小さなスナックへ向かいました。
    そこで酌み交わした酒の味と、社長が語る壮大な夢。私たちはその言葉に自分たちの夢を重ね、新しい時代の幕開けを確信していました。
    不器用な男が、時代の中心地で産声を上げた。
    それは、震えるような高揚感と共に刻まれた、忘れられない一夜の記憶です。


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    あの日感じた圧倒的な場違い感。 あれは能力不足ではなく、自信不足だったのだと今なら分かる。 人は、実力より先に「その場にいる勇気」を試される。 あの場に立っていただけで、実は十分だったのだ。

    D-Wave 代表 豊岡 隆男 (Takao Toyooka) [Brain & Body Optimizer & 気功]

     
     
    東京を拠点とするインディペンデント・ポップアーティスト。遠隔エネルギーヒーリング「D-Wave」代表。気功歴19年から生み出される力で・「脳と体の最適化」と「心の平和」を届ける活動をしています。自伝エッセイ連載中。

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