メインコンテンツへスキップ
見出し画像

ChatGPTで2年分の仕事が消えた教授の話

    先日、Natureに変な記事が載っていた。

    大学教授がChatGPTの設定をいじったら、2年分の仕事が全部消えた、という話。

    経緯

    ドイツ・ケルン大学の植物科学教授、Marcel Bucher氏。ChatGPT Plusを2年間使い続けていた。メール作成、講義準備、助成金申請、論文推敲、試験作成。ほぼすべての学術業務をこのツールに頼っていたらしい。

    2025年8月、彼は「データ同意」オプションを一時的にオフにした。データを提供しなくても機能が使えるか、試してみたかったそうだ。

    その瞬間、全チャット履歴とプロジェクトフォルダが消えた。

    警告なし。確認画面なし。元に戻すボタンもない。ただ、まっさらな画面だけが残っていた。

    OpenAIに問い合わせても答えは同じ。「データは永久に削除されました。復元できません」

    理由は「プライバシー・バイ・デザイン」。データ共有を無効にした時点で、すべてを痕跡なく消す設計になっている。バックアップは存在しない。それがプライバシー保護だ、と。

    教授の言い分

    彼は怒っている。有料ユーザーなのに、なぜ保護がないのか。削除前の警告くらいあるべきだろう。復元期間もないのか。ワンクリックで何年もの仕事が消えるツールは、プロフェッショナルユースに安全とは言えない——というのが主張だ。

    まあ、そうかもしれない。

    OpenAIの設計は確かに不親切だと思う。設定を少し変えただけで全削除、警告なし。UXとしてひどい。

    ただ

    この人、大部分のバックアップを取っていなかった。

    助成金申請書も、論文の草稿も、試験問題も、ほとんどChatGPTの中だけに置いていた。クラウド上のチャットツールを、Dropboxか何かと勘違いしていたとしか思えない。

    ChatGPTには会話を「プロジェクトフォルダ」のように整理できる機能がある。見た目はNotionっぽい。ここに置いておけば大丈夫、という感覚になるのはわからなくもない。

    でも本質的に、ChatGPTはストレージではない。LINEのトーク履歴に仕事の成果物を2年分保管しているようなものだ。

    研究者なら実験データのバックアップには普段から気を使っているはずだろう。なぜAIツールだけノーガードだったのか。

    この記事がNatureに載ったこと自体、驚きがある。「OpenAIのせいで消えた」というトーンで、自分のデータ管理への反省がほぼ見えない。リテラシーとしてどうなのか。

    教訓があるとすれば

     
     
     
    毎日更新。 医師の雑記コラム日記。AIは主にClaude。 分析記事は最初から有料が多め。 無料記事も後に有料マガジン入り(目安:医療・AI関連2週間、他1〜2ヶ月)。 定期マガジン月500円、医療および過去記事込みはメンバーシップ。 サイトマップ参照 Amazonアソシ参加中

    あなたへのおすすめ