メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo bysoeji

私と義母の、なんでやねん。㉚「キャラクターカートは一人一台です。」

    あれは子どもたちがまだ小さかった頃。

    夏休みに日本へ帰省し、

    義母と私と子ども達3人でイオンモールへ行った日のこと。

    アメリカには、ショッピングモールに

    子どもが乗れるキャラクターカートがあまりない。

    だから義母は、

    「孫に乗せてあげたい」

    という気持ちでいっぱいだった。

    その気持ちはありがたい。

    ただ毎回、

    加減というものがない。

    当時、長女はすでに小学生。

    次女4歳と息子は3歳で、

    下の二人はキャラクターカートに大喜びする年頃だった。

    でも一人一台ずつ使えば十分。

    私は車の中でも、義実家でも

    イオンに着いてからも、

    「キャラクターカートは乗りたいのを一つ選んでね」

    と何度も説明していた。

    ところが。

    遠くから、義母の声が響く。

    「これこれ〜〜!! これに乗りや〜〜!!」

    振り向くと、

    義母が得意満面で押してきたのは――

    キャラクターカート四台。

    アンパンマン。

    ドラえもん。

    キティちゃん。

    ミニーちゃん。

    ……子ども、

    三人ですけど。(しかも長女は乗らないし)

    しかも義母は、鼻息荒く言う。

    「他にも乗りたいのあったら取って来たるわ!」

    いや、そういう問題ではない。

    私は慌てて、

    「ほかのお子さんも使いますから。一つだけ選ぼうね」

    と子どもたちと義母に声をかけた。

    義母にカートを戻すようお願いすると、

    返ってきたのは不満そうな一言。

    「こんなん乗れる機会ないんやから、ええやんか。

    タダやで、タダ!」

    さらに、

    「ユウコちゃんには子どもを楽しませたろっていう気持ちがないんやな」

    とまで言われた。

    違う。

    楽しませたい気持ちはある。

    でも、

    だからといって四台独占していいわけではない。

    しばらく言い合いをして、義母を黙らせ、

    ようやく買い物が始まった。

    これで一安心。

    ……と思ったのも束の間。

    義母は長女に近づき、

    真剣な顔で言った。

    「なぁ、長女ちゃん。

    このカート押しながら歩いたらええやん。

    そしたらもう一台キープできるやろ?」

    長女は久しぶりの日本で、

    文房具を見たり、

    友達へのお土産を選んだり、

    自分のペースで買い物を楽しみたい。

    なのに、

    空のキャラクターカート係。

    そんな役目を任されても困る。

    当然私は却下した。

    義母は不服そうだった。

    でも。

    その後、

    私と少し離れた隙を見て、

    義母はこっそり別のキャラクターカートに子どもを乗せ替えていた。

    ……やると思った。

    結局その日、

    私は買い物よりも、

    義母の動向を見張ることに神経を使った。

    そして隣を見ると、

    長女が私と目を合わせて、

    小さく苦笑いしていた。

    私も無言でうなずく。

    親子で思ったことは、

    たぶん同じ。

    キャラクターカートより先に、

    義母を一台返却したい。

    ほんまに。。。

    なんでやねん。

    ※この作品は創作大賞2026 エッセイ部門に応募しています。

     
     
    アメリカ在住。三児の母。 京都出身の強烈な義母との日常や、海外での出産・子育て・生活の体験をエッセイにしています。 笑うしかない出来事を、少しずつ記録中。 義母との「なんでやねん」な日々を思い出して書いています。

    あなたへのおすすめ