メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo byjankenpon_gcp

PTAに、なっちゃった

    ある晴れた、昼下がり、小学校へ続く道。
    今年度の委員の初回の集まりに参加するため、私は落ち着かない上ずった気持ちで歩いていた。
    我が子が通う小学校は、卒業するまでの六年の間に必ず一度は委員をやることが義務付けられている。
    うちは二人兄弟なので、一人一回ずつ、計二年間の執行義務がある。

    今回は上の子の分、初めての委員参加だが、友人も今年度同じ委員に参加することもあり、そこまでの緊張感はなかった。
    しかし、心に何かが引っ掛かってゾワゾワするというか、脳みその端っこがザワザワするというか、とにかくナゼか落ち着かないのである。
    初めての委員参加で緊張してるだけだ、と自分に言い聞かせ、委員会が行われる教室に向かった。

    私が今年度参加する図書委員は、各学年二名ずつの、計12名で構成されていた。
    二名お休みの、参加者10名。そこに昨年の図書委員の委員長と、今年度のPTA役員が一人参加していた。

    司会役のPTA役員と、昨年の委員長がなにかを話していたが、正直、あまり覚えていない。
    ただ、昨年の委員長が「私でも勤まったので、今年度の委員長になられる方、あまり気負わないで下さい」というようなことを言っていたのは覚えている。

    そう、この日のメインイベントは、今年度の委員長決め、この一択だ。

    私のザワザワの原因は、言わずもがな、この委員長決めに対してのものだ。これは自分でも自覚済みだ。
    しかし、もうひとつ、自覚したくない予感が確かにあった。


    突然だが、私はスピリチュアルというものがけっこう好きだ。
    好きなのだが、霊感があるわけではなし、直感も鋭い方ではなく、特に第六感が働いた記憶もない。だが個人的にはこういうこともあるに違いないと、むやみやたらに信じている。

    そんな私が、その日は第六感的なものをビンビン感じていた。
    「委員長に、オレはなる!」
    と確信していた。

    誤解されないために付け加えると、私はリーダーシップを発揮するタイプでも、目立ちたいタイプでもなく、出来れば何事も委員長さんにお任せし、イチ委員として存在感を消しながら活動するタイプである。
    モチロン、委員活動には全面的に協力しますよ、というスタンスで、「子育て頑張って。ぼくも協力するよ」と当事者のオマエが言うなというようなことをしゃあしゃあと言う夫のような、人任せな性格なのである。
    委員長に立候補するなんておこがましい考えは微塵も発生しない。
    なので、私が万が一委員長になるとしたら、くじ引きで委員長の座を射止めたときくらいである。


    きっと神様は私の真の姿が見えていなさる。
    この結果は神様のお導きだ。
    と、何事も前向きに考えられるのは、私の長所だと思う。
    私がひいた割りばしの先には、委員長の座を射止めた者だけが目にすることが出来る、真っ赤に染まった先っぽが輝いていた。
    委員長に、オレはなった。

    その日はその後、ひどい目にあった。
    さっそく委員長として、やれ委員全員と連絡先を交換しろだの、この先生に挨拶しろだのを強要された。
    委員長のみ、PTA役員に入れられるという、理不尽な取り決めを初めて聞かされた。
    どっさりと重い資料を押し付けて来て、委員長の仕事の説明を呪いのようにしゃべり続ける昨年の委員長の言葉を恨めしい気持ちで聞いた。
    割りばしの先っぽが赤かっただけの見ず知らずの私に、いきなり図書委員運営費ウン万円を渡してきたPTA会計に、心の中で「持ち逃げしてやる」と毒づいた。

    神様、あなたの目には私の真の姿がどう映っていなさるかわかりませんが、私はさっそく打ちのめされております。。

    あの日の慌ただしさとは打って変わって、その後の委員活動はほぼ放置プレイであった。
    放置されているのはもちろん私で、挨拶させられた先生も、PTA役員も、特に私になにをしろとは言ってこない。
    委員長ってほんとに、自分で決めて自分から動かないといけないのネ、と改めて勉強させられる。いやあ、もう五十年くらい生きてるんだけどネ。

    そんなこんなで私のPTA人生は始まったばかりである。


    あなたへのおすすめ