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【Zombie Paradise Hustle!】第六話 悪い奴ほどよい音がする

     少しばかり重さを感じ、蓮は腕にぶら下がっている買い物かごを見た。
     入れた覚えのない菓子の箱が一つ、鶏むね肉の上に乗っていた。
    「事務所にまだあんだろうがよ」
     蓮が言うと、冴は舌を鳴らしながら指を振ってみせる。
    「分かってないね蓮クン。きかんげんてー、それも今までになかったあじとくれば乙女のうではのびるもの」
     胸を張って言う冴に鼻を鳴らし、蓮はその箱を摘む。
    「乙女が『チョコくり〜むぱんイチゴ味』なんざ買うかってんだ」
     その手に冴の打ち下ろしの平手が襲いかかる。ペチンという何とも気の抜けた音と共に箱がかごにまた落ちた。
    「甘いものは毎日いるの!」
    「分かったから暴れんな」
     シッシッと足で冴を払う蓮。彼女はそれを見てまたふらふらとどこかに行ってしまった。
     しばらくしてレジに並んでいると、冴がアルミホイルを持って戻ってきた。
    「お餅やきたい」
    「自由すぎんだろ」
     アルミホイルをかごに入れると、冴が少しだけ小さい声で呟いた。
    「こーいうことしてみたかったんだ。おかーさんのかごにおかし入れて怒られて」
     蓮はセルフレジの台にかごを乗せながら返す。
    「俺はお袋じゃねーぞ」
     そしてアルミホイルと菓子のバーコードを読み取らせるのだった。

     昔ながらの円筒状の丸型ストーブに火を灯すと、じきに空気全体がじんわりと暖まってくる。
    「だが暑いな」
     スーツを椅子の背にかけ、正晴が文句を言った。
    「ストーブにこだわってるからなあいつ」
     早速アルミホイルの上に餅を乗せ、冴はそれをじっと見ていた。
    「蓮クンさとーじょーゆ」
    「自分で持ってこい」
    「海苔も頼む」
    「事務所にんなもんねーよ」
    「その割に冷蔵庫に鶏むね肉が入っていたぞ」
    「コイツの世話しなきゃいけねーからな」
    「パサパサしていや」
    「我儘言うんじゃねえよ」
    「今に始まったことじゃないがな」
     餅が膨れるのを横目に軽口を叩き合う。
     と、事務所の電話が鳴り、蓮が応対する。
     その間冴は焼き上がった餅をアルミホイルごと皿に移し、意味もなく小さく切り分けていた。
    「依頼だぜ」
     受話器を置き、蓮は応接セットの片付けを始める。
    「その割には嬉しそうじゃないな」
     正晴が言うと、蓮は鼻を鳴らしてみせる。
    「クセの強えタイプだ。どうも金が第一みてえでよ、依頼料でゴネるかもな」
     それを聞くと正晴は目を瞑りフッと笑った。
    「そんな奴の相手がよりによってお前だとはな。あまり足元見るなよ?」
    「取れるだけ取るさ。マトモじゃねえ奴ならなおさらだ」
     そう言って薄く笑うと、応接セットのイスから糸くずをつまんでゴミ箱に放り投げた。

     しばらくの後、事務所に依頼人がやってきた。
     四十を少し越えたぐらいの、化粧の濃い女である。
    「電話の竹田さんだな? そこにかけてくれ」
     蓮が応接セットを指すと、竹田という女は少しだけ眉間にシワを寄せてから座った。
    「電話で大まかなことは話しましたけど」
     冴の出したお茶をチラリと見てから、竹田は切り出した。
    「確認するぜ。ゾンビになったのはあんたの弟。その破壊が依頼、死体は必要なし。居場所は不明。こんなとこだろ」
     蓮が言うと竹田は頷いた。
    「不在者財産管理人から文句を言われてるんですよ。死亡した証拠を持ってこいとね」
    「ずいぶんあっさりしてるじゃねえか」
    「色々ありましてね」
     竹田はバッグから小さな水筒を取り出しそれを飲んだ。テーブルのお茶からはかすかな湯気が立ち上っている。
    「本当はね」
     と彼女は続ける。
    「もっとお安い業者に頼んだんですよ。そしたら話の途中だというのに、後ろに立っていた失礼なお坊さんが『死者を何だと思っておる!』だのなんだのと言ってね」 
     それを聞いて冴が口をへの字に曲げる。
    「あの座禅のときに肩を叩く棒で叩かれて寺を追い出されたんです。ほんっとひどい目に遭わされました」
    「で、うちに来たってわけか」
     前かがみになっていた蓮は、音を立てて背もたれに寄りかかる。
    「悪いがうちは安くねーぞ? なんてったって命がけの仕事だからな。その坊さんみたいに慈善事業じゃねえんだ」
     竹田の顔が少しゆがむ。
    「なるべく経費なんかは抑えて下さいよ。遺産にも限りがあるんですから」
     竹田のはめている指輪がキラリと光る。それをチラッと見て、蓮はかすかに笑った。
    「じゃあ」
     と切り出し、正晴に目で合図を送る。
    「具体的に詰めていこうじゃねえか」

     竹田が事務所を出ると、蓮はソファに乱暴に座り込んだ。
    「ろくでもねえ奴だな。俺らの目の前で言うことじゃねーぞ」
    「一言も二言も多かったな」
     スーツを脱ぎワイシャツの腕をまくった正晴が、いつの間に作ったのかポートエレンのロックを傾ける。
    「あの強いおぼーさんに怒られたんでしょ? もっと叩かれてくればいーのに」
     冴はどこから取り出したのか、ゆで卵の上にマヨネーズをとぐろを巻かせ食べ始めた。
    「すげえ食い方だな」
    「たまごとたまごはあいしょーがいーの」
     涼しい顔で卵にかじりつき、ニコニコと満足そうに笑う冴。
    「仕事そのものはなんてことねえが……、さて、どうするかね」
     そんな冴を横目で見つつ、妙な笑みを作る蓮。
    「またいしゅがえし?」
    「またってなんだ。んな陰険なこと俺はしねえぞ」
    「意趣返しとすら思っていないのがお前だからな」
    「イヤミセンセーに言われたかあねえよ」
     ともかく、と戸棚からベーコンパンを引っ張り出し、包みを無造作に開けゴミ箱に放る。
    「あの守銭奴高飛車女にちょっとばかし痛い目あってもらおうと思ってな」
     ゴミ箱にたどり着けず力なく横たわる包みを、蓮は足でつまんで改めてゴミ箱に入れた。
    「また遺体のドレスアップか?」
    「いや、俺らは大したことしねえさ。俺らはな」
     パンを口に入れたまま、そう言って蓮は冷蔵庫から牛乳を取り出しニヤニヤと笑うのだった。

     ラジオから教育番組の音楽が流れ始め、蓮は顔をしかめた。
    「せっかく人がやる気出してんのになにがジャンケンポンだよ」
     晴れた空にオンボロ軽のエンジン音と、間延びした子供向けの歌が響く。
    「やる気だと? 嘘つけ」
     相変わらず助手席に寝そべった正晴が、興味なさげに後ろを指した。
    「こいつは嬉しそうだぞ」
    「ガキだからな。……痛って!」
     冴が後部座席から手を伸ばし、蓮の髪の毛を二、三本引き抜いた。
    「なつかしーねセンセー。あたしが眠れないときとか歌ってくれたのおぼえてるよ」
     冴の言葉に蓮は目を丸くして横を見る。
    「あんたが歌だと? しかもこんなんをか?」
    「前も言っただろ、これでも子供には好かれてたんだ。それより前を見て運転しろ」
     正晴の言葉がまだ終わらないうちに、車は太ったゾンビをかすめて通り過ぎる。
     千切れて景気よく飛んでいった腕が道路に面した店のガラスに当たり、ボトッと落ちる。
    「あとで洗車しねーとな」
     バックミラーも見ず、蓮はアクセルを踏み込む。
     冷たい風がほんの少しだけ、車を後ろから押していた。

     車を走らせること二十分余り。
     緑が増え、山の入り口に差し掛かろうとする道の脇に車を停めて正晴はタブレットを取り出した。
    「ターゲットのアパートはこの辺り、近々のSNS更新情報を見ても遠出はしてないようだ」
     タブレットにマルチウィンドウを四つ展開し、それぞれの操作を同時に行いながら必要な情報を取り出していく。
     竹田からはターゲットたる弟の情報をほぼ聞き出せず、SNSのアカウントを持っているらしいという程度だった。
    「そもそも襲われた時点で対処しやがれってんだ。探すのめんどくせえなあ」
    「まあ、普通は恐怖で逃げ出すだろうからな」
     親の遺産の話し合いをするため、この近くで落ち合おうとしたところ、ゾンビが弟に襲いかかるのを見た。怖くて逃げ出し、その後どうなったかは知らない、というわけだ。
    「それってさー、ゾンビにおそわせたとかじゃないよね?」
     遺産を独り占めするために仲の悪い相続人を排除し、第三者に死亡認定させ丸く納める。
     そんな恐ろしいことを考える人間もいそうではある。
    「けど多分あいつは違うな。ただの小心者のゴウツクバリだ。ムカつく奴ではあるけどな」
     蓮が言うと同時に、正晴がタブレットを閉じる。
    「候補は絞れた。まず近くの産直、それからディスカウントストアが二軒。このどこかだろう」
    「ならついでに野菜でも買っていくか」
    「おいも食べたい」
     サイドブレーキを外しアクセルを踏み込む。
     まばらな雲が浮かぶ空に冷たい風。
     そこに響く、業務車を並び立てる子供の歌。
     オンボロ軽のエンジンは、わりかし軽快な音を立てていた。

     初めに向かった産地直売所では何も見つからず、それどころかゾンビすらいなかった。
     そこそこの人で賑わう店内を物色し、いくらかのお買い得野菜と、そして糖度の非常に高いさつまいもを見つけ、冴はそれを抱え込んだ。
    「帰ったらストーブでやく」
    「好きにしろ。だがリンゴと煮ても意外と美味いぞ」
    「なにそれ! やる!」
     中ぐらいのビニールがパンパンになるぐらいには買い物をし、改めてオンボロ軽はゾンビ探しの旅へ立つ。
     二軒目のディスカウントストアに向かう途中、よたよたと歩く複数のゾンビを発見した。
     かなり腐敗が進んでいるようで、融解は目前のようである。
    「あれか?」
    「かもな」
     少し離れたところに車を停め、蓮と冴がそれぞれの武器を持って車を降りる。
    「ちょいと確かめるか」
    「こわす?」
     ハンマーを振り回し、柔軟体操代わりに体を動かす冴。
    「だな。どうせ融解寸前だ、金にならねえ。女の相手は頼んだぜ」
    「おっけー」
     言うが早いかハンマーを構え突撃していく。
     二体ほどゾンビが検知し、冴の方を向く。
    「どけどけー」
     大きく横薙ぎの一撃を一体に見舞い、体が折れたゾンビは行動不能になる。
     そのまま一回転、勢いをさらにつけたハンマーをもう一体の右肩から斜めに打ち下ろし、地面に叩きつけて粉砕した。
    「ずいぶん派手にやるじゃねーか」
     蓮は呆れながら男のゾンビに素早く近付くと、腹に鉄パイプを突き刺し力任せに投げ飛ばした。
    「重てえな」
     地面に突き刺して拘束し、顔を改める。
    「そっくりな鼻してるじゃねえか」
     竹田ときわめて近い遺伝的特徴を認めると、蓮は鉄パイプを引き抜いてから、大きく振りかぶる。
    「悪いな。成仏してくれ」
     パイプを寝かせるように打ちつける。腐敗が始まっていた体は柔らかく、その一撃で内臓の多くは損傷し、ゾンビは活動を停止した。
    「センセーよ」
     完全に沈黙したのを見て取ると、相変わらず車にもたれて腕組みしている正晴に顔を向けた。
    「特異体ってのはこの場で判断できねえのか?」
    「できん」
     正晴は即答し、近寄ってくる。
    「活動停止後すぐに兆候が現れるタイプなら判断できるが、それ以外はサンプルを専門機関にでも送らないと無理だな」
     言いながら正晴は診断書を書き上げていく。
    「面倒くせえなあ。まあ、今回はどうでもいいけどな」
     車から遺体袋を出し、手早く竹田の弟をそれに入れる。いつもと違うのは、添付する書類がコピーではなく原本だということだった。
    「遺体は必要ないんだろ?」
     手間を避けたがるはず蓮の行動に正晴は眉をひそめた。
    「持っていっても引き取り拒否だろうな。カワイソーなこった」
     キャリーに遺体袋をくくりつけ、蓮はニヤニヤと笑う。
    「じゃーどーするの?」
     ラジオから流れる南の島の国王の歌を歌っていた冴だったが、飽きたのか蓮に寄ってきた。
    「この家族に見捨てられて可哀想なご遺体を、丁寧に、それはもう心を込めて送り出してやろうってんだ」
     合点がいったのか、正晴は鼻を鳴らした。
    「まったく。嫌がらせをさせたらお前はピカ一だな」
    「わかんなーい」
    「後から分かるから暴れんな」
     そして三人と遺体を乗せた車は、一路とある目的地へと進路を取るのだった。

     街からは近いが、周りは自然に囲まれているあまり大きくない寺。
     砂利にトラロープが張られただけの駐車スペースに車を停めると、蓮はキャリーから遺体袋を解きそれを背負った。
    「おぼーさんとこ」
     木の板に力強い筆で書かれた扁額には『葬刹院』の文字が大書されている。
    「あの坊主なら無縁仏の供養もしてくれるだろ。んで、亡者の成敗もな」
     遺体袋を背負い直し、短い階段を登っていく。
     正晴は気怠げに、冴は脇に生えている葉っぱで遊びながら、蓮の後を付いていった。
     本堂に着くと、蓮は遺体袋を下ろして声を上げる。
    「たのもー!」
    「なんじゃ!?」
     間髪入れず奥から声が聞こえ、重々しい足音が響いてくる。
     床は濡れたように見えるほど黒くつややかで、香がまるで別世界のように香っている。
     よくあるような綺羅びやかな仏像ではなく、木彫りの、どっしりとした仏像が鎮座していた。
    「何かと思えばこの間の。殴り込みにでも参ったか?」
     そう言ってこの寺の主、断輪は呵々大笑。
    「まあそれに近いかもな」
     蓮がそう返すと、彼は目を丸くした。
    「なんじゃと?」
    「こいつをよ」
     と、遺体袋を親指で指す。
    「あんたに供養して欲しいんだ。遺族に引き取りを拒否された哀れなる無縁仏ってやつさ」
     むぅ、と断輪は唸る。
    「お主の言うことは今一胡散臭いが」
    「うるせえ」
    「死者を弔い浄土に送るは我が務め。しかと引き受けた。懇ろに弔う故安心せい」
     断輪は遺体袋に合掌し一礼すると、恭しく抱えた。
    「ご住職、変異したウィルスをご存知でしょうか」
     正晴が声をかけた。
    「聞き及んではおる。しかしどういった物かは分からんな」
    「現状ではそれが各々の遺体にどのような変化を及ぼすか分かっていません。そしてその遺体のウィルスが変異していないとも限りません。故に重々お気を付け下さい」
     ふむ、と断輪は頷いた。
    「忠告に感謝する。急ぎ弔いを済ませることにしよう」
    「くだものとかお供えするの?」
     冴が正晴の後ろからひょっこり顔を出す。
    「故人が何を好いていたかは分からんでな。お供えはワシのセレクトで我慢していただこう」
    「んじゃ頼んだぜ」
     蓮が踵を返し、正晴と冴がそれに続く。
    「それからよ、死体はいらねえがその診断書はいる奴が多分来る。あんたのいいように渡してやってくれ」
     背中でヒラヒラと手を振り、三人は寺を後にした。
    「今度は坐禅でも組みに来るが良い」
     後ろからかかる大声に、蓮はニヤついて舌打ちする。
    「冗談じゃねえや」

     車に戻り、エンジンをかける。
     途端にラジオからは、お金を忘れた云々の童謡が流れ出す。
    「さて、なんか食って帰ろうぜ」
    「天ぷらがいいな。穴子とかどうだ」
    「おいも」
    「芋なら抱えてんじゃねえか」
    「これは帰ってストーブでやくの」
    「また事務所が暑くなる」
    「スーツなんか脱いじまえよ」
    「あたしは脱がないよ」
    「それ以上何を脱ぐってんだお前は」
    「えっち」
    「なんでだよ」
     いつものようにワイワイと、エンジンと童謡をBGMにオンボロ軽は走り出す。
     少し山の方に進路を取り、目指す天ぷら屋へ車を走らせる。後部座席では冴が芋を転がして遊んでいる。
    「その前に、だ」
     コンビニに車を停め、蓮は一人で店内に入っていく。
     しばらくして彼はコーヒーとジュースを抱え、笑いながら戻ってきた。
    「きっちり振り込まれてたぜ。三十万」
     正晴にコーヒー、冴にフルーツジュースを放り投げ、自分はジンジャーエールを開ける。
    「取れるだけ取ったな」
    「あたりめーよ。死体袋の分も上乗せしといたからな」
    「さっすが詐欺師蓮クン」
    「詐欺じゃねーよ。双方納得済みのクリーンなお取引じゃねーか」
     言い合いをしながら運転することしばし、小さな公園の駐車場に車を停めた。
    「善は急げってな」
     ケータイを取り出し、蓮は電話をかけ始める。
    「もしもし? 請負の早瀬だ。依頼は完了してるぜ。ああ、診断書はうちにねえ、葬刹院って寺に置いてきた。あんまりにも弟さんが可哀想だったからよ、ちゃんと供養してやりたかったのさ。あ? ああ、そうだよ、あんたが断られたあそこさ」
     聞きながら正晴が、よく言うと呟く。
    「そこの坊主に頼んでるからよ、取りに行ってくれ。じゃあな、またのご依頼お待ちしてるぜ」
     電話からはなおも金切り声が聞こえていたが、蓮は構わず通話を切る。
    「これで終わりだ。遺産が欲しけりゃあの坊主にビシバシ叩かれてこいってんだ」
     自分の弟の遺体すら引き取りを拒否し、しかし遺産のために診断書だけは欲しい。
     まして一度叩き出された身である。のこのこ出向けば断輪からこっぴどく打ち据えられることは想像に難くない。
    「遺産が欲しけりゃ叩かれ、それが嫌なら金は手に入らない、か。お前の底意地の悪さは筋金入りだな」
     正晴も笑いながら言う。
    「お金ってそんなにだいじかなー」
     ヘッドレストに顎を乗せ、蓮の上から冴が言う。
    「あって困るもんでもない。実際俺も有り余るほど欲しいしな。酒が無限に買える」
    「ふーん?」
     鼻を鳴らして冴は引っ込む。
    「ま、ともかく金は手に入ったんだ。穴子にピーマンぐらいなら付けてもいいぜ?」
    「おいも」
    「しつけーな!」
     蓮が叫び、アクセルを踏み込む。
     冷たい風、高い空、野菜と土の匂い。
     料理ができると繰り返し歌うラジオ。
     どこからか警策の音が聞こえた気がした。

     
     

    Ron

     
     
    Twitterからお題やらなんやら拾って書き散らしています @RONwithYAKINIKU

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