
「プラスチックプラネット」(四百字のスケッチ)
草も土も生物もプラスチックでできているその惑星は、かつて地球と呼ばれていた。
「昔の住人は、腐ることができたそうです」プラスチック生命体であるデズモンドはそう言う。割れたり欠けたりしても、そこらにあるプラスチックで埋め合わせができるので、彼らに死という概念はない。
微細なプラスチック粒子が溶け込んだ海は、液体樹脂のようで、波打たず、とろみを帯びている。潜ることのできないペットボトル型の魚たちが、海面を転がるように泳いでいる。
デズモンドの元で暮らしている間、プラスチック製の料理が振る舞われた。私の胃では消化できず、そのままの形で排泄していた。デズモンドはかつての恋人の写真を見せてくれた。私のように他の惑星から来た有機物生命体だったという。死んでしまったから忘れられないのだという。
「私も殺してしまいたいのだろう」
「少し。いや、とても」
地球を離れることにした私に、デズモンドは彼の欠片を押し付けてきた。食べて、排泄して、それっきりだ。