
「いつかダラダラする日」(四百字のスケッチ)
始発から終電まで働いていたが仕事が終わらないので、車出勤にした。電車通勤の時と同様に、移動中にも仕事を進めたいので、運転手を雇った。だがある日気付いた。
「家に帰らなければ、ずっと会社で仕事ができるじゃないか」
会社にシャワー室やランドリーを整備して、私は常時仕事を続けることを可能とした。
「どうしてそんなに働くの」と妻に聞かれた。
「将来、ダラダラと過ごすためだ」と私は答えた。
「今一生懸命働いておけば、余生をのんびりと過ごすことができる。そのためだけに働き続けている。地位も名誉もどうでもいい。穏やかな余生だけに価値がある」
貯金額は積みあがっていった。子どもたちも順調に成長する様子を画像で見守った。会社は私の活躍もあり業績を伸ばし続けた。私の働き方改革により、我が社では定年が撤廃された。
子どもたちの成長を知らせるメールが途絶えていたので確認すると、家族は皆老衰で亡くなっていた。会社は休むことなく動き続けている。仕事なんて余生までの時間潰しでしかない。早くダラダラ過ごしたい。
※映画「いつかギラギラする日」を観ていたのです。