
「ネット断絶備中高松城」(四百字のスケッチ)
「ネット環境を、絶つ」
秀吉の言葉に秀長は一瞬言葉を失った。
清水宗治の守る備中高松城を落とせずにいた秀吉は近くを流れていた川の流れを変え、城を水没させるという大胆な策に出ていた。孤立した城では僅かな兵糧しか残されていないのにも関わらず、まだ降伏しないでいた。
毛利軍の強さは主にネット環境の整備による情報戦略と、各種配信サービスを末端の兵にまで行き渡らせたことによる、戦意の安定であった。周知の通り、各種コンテンツで摂取できる精神的な栄養は、空腹を補うことができるのだ。高松城の兵士たちを飢えから救っているのは、アニメや映画、音楽や電子書籍であった。
「後世でどれほどの誹りを受けることか」秀長の言葉は震えている。温厚な人柄で知られる秀長は、人の道から外れることを嫌った。彼の死後、秀吉は暴走していく。
「歴史など、書き換えさせる」
ネット環境が絶たれた後、清水宗治は自らの自害と引き換えに城兵の命を守ることを条件として開城した。同時に秀吉は毛利軍のネット環境を手に入れる。明智光秀の謀反に対しての対応の速さは、その成果によるものだ。