
「ハムスター同居幽霊」(四百字のスケッチ)
夜中に回し車の回る音で目が覚めた。飼っているハムスターのデズモンドが夜中に起き出したのかと思ったが、デズモンドは眠っていた。白い布で作られたような小柄な幽霊が脚もないのに回し車の中で回っていた。
「何してんの」
声をかけると、幽霊は黒目しかない瞳を大きく見開いて驚いていた。おかげでこちらが驚く機会を逸した。口がないので話せないらしいその幽霊は何か必死でアピールしているようだった。大方、一度回ってみたかったんだ、起こすつもりはなかった、とか言いたいのだろう。デズモンドが起きてきた。幽霊に噛みついた。
ひまわりの種でデズモンドの気を引き、幽霊から引き剝がした。幽霊は震えて涙を流していた。水分はどこから摂っているのだろう。
デズモンドとは別に幽霊用のケージを購入し、回し車も置いておいた。その日の夜中、また回し車の回る音で目が覚めた。しかし新しいケージには何もいない。デズモンドのケージでデズモンドの回し車を回す幽霊は、またデズモンドに噛みつかれていた。