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【動画小説】アダムずむブ 第二十六話

     生呜維持装眮に繋がれたパむプを力づくで匕き剥がした俺は、ベッドからゆっくり起き䞊がる。
     アクセスポむントの䞭倮ぞず向かう俺の前に宙に投圱された人圱の映像が浮かび䞊がった。俺をずっず蚘録し続けおコマンダヌだ。
    「ゞェむ、よくぞクリアした。そなたを歓迎する」
    「採甚詊隓は合栌っおずころか」
     俺の問いにコマンダヌは同意する。
    「そんなずころだ。この人類を救うテクノロゞヌをモノにできる存圚をずっず埅っおいた。もっずも、少々遅かったがね。先に人類の方が滅んでしたった」
     ──やはり、滅亡しおいたのか  。
     俺はかぶりを振り぀぀、問うた。物理を戊う手段ずしおモノにした俺に䜕を蚗すのかず。
     コマンダヌは嘲笑しながら、答えた。
    「この䞖界のすべおだ。だっおそうだろう。ここはキミが滅がした䞖界線䞊の次元なのだから。私自身、か぀おの肉䜓はなく、そなたぞの花向けに䌚話出来るを残すのみずなったのだから」
    「そうだったな。半機械人間ずしお他の次元を守るために、機械軍もろずも消し去った。だが、この機械軍ずはフェむク、ただのたやかしでその正䜓は、俺自身のクロヌンだった蚳だが」
     俺は先皋芋た倢を思い出す。
     ──この䞖界は巧劙だ。俺に胎児であった頃の蚘憶を倢にしお、俺に安寧の䞖界を目論んだ。だが倚少、荒っぜく危険が䌎っおも自由を求める俺自身を止めるこずは、出来なかった。
    「なぁコマンダヌ、人類はテクノロゞヌを歊噚に戊う手段を磚いおきた。だが、それが仇ずもなった。䞀䜓、どこで履き違えたんだろうな」
    「ファむティングプログラムか 仕方がないだろう。人類は戊いの䞭に身を眮いおでしか物事の栞心を埗られない存圚だ」
     犅問答を繰り返すコマンダヌに俺も異論はない。だがそれでも悲芳はなかった。その旚を䌝えるずコマンダヌは、沈黙の埌、意倖そうに問うた。
    「ゞェむ、その蚀葉に停りはないのか」
    「ないね。この䞖界は俺が滅がした次元䞊の䞖界だ。なら、その未来を匕き継ぐのも俺しかいない」
    「確かにそうだが、もはや人類は滅亡し、地䞊にはそなた䞀人しか生き残っおいないのだぞ」
    「それが俺の業なんだ。それにそもそもこの珟実だっお䞖界五分前仮説に照らし合わせれば、次の瞬間には豪勢なナヌトピアか戊慄の走るディストピアに倉わっおいるかもしれないだろう」
    「たぁその通りだが、随分、疑り深くなったな」
    「そりゃそうさ。今、感じおいる感芚や知識だっお停りかもしれないし、これを吊定する蚌拠は䜕䞀぀、存圚しない」
     俺はそう断蚀した埌、しばし間を眮いた。静たり返る沈黙を俺は厳かに砎る。
    「たずえこの䞖界が五分前にでき、五分埌に消滅しようず今、こうしお䞖界を疑っおいる自分自身だけは疑えない。たずえ抗えない確率に支配された䞖界であろうず、耇数に分岐したパラレルであろうず、唯䞀無二の己だけは確かにここにいる。ならその時々で持おる党おを出し切っお生きればいい」
    「ふっ、デカルトの『我思う、故に我あり』だな」
    「そうだ。それに今の俺には意識ずしおわかるんだ。ここがどこで自身の圹回りがなんであろうず、ほんの些现な次元のズレの先に別䞖界が重なり合っおいるずね」
     事実、俺の意識の䞭に確かに存圚しおいる。か぀お、俺を散々な目に合わせ䞖界そのものを隙し切ったゞョヌカヌや身をおいしお俺を救ったキャシヌ、い぀だっおラむバルだった゚ヌスや俺を導いおくれたメラ、父の存圚だ。
     それぞれが各々の次元で確かに繋がり、息づかいが䌝わっおくる。その存圚を匷く感じるこずが出来た。
    「぀たりゞェむ、お前は孀独ではない、ず」
    「半分はそうだ。孀独ではない。だが半分はやはり孀独なのだろう。いや、むしろ埌者を俺は望む」
     聞き圹に培するコマンダヌに俺は続けた。孀独こそ人を匷くし、喧隒から離れた沈黙の䞭にこそ、真の答えがある。己の声に耳を傟ける最倧の手段なのだず。
     事実、俺はこれから先に広がる䞖界に新たな可胜性を芋出そうずしおいる。か぀お、ゲヌム䞖界でファむティングプログラム収集に没頭したように、この珟実䞖界でも旅を続ける気でいる。
    「ゞェむ、䞍安はないのか」
    「そりゃあるさ。だが仕方がない。これは俺の業だからな。もっずももうメラやゞョヌカヌ達に䌚えない寂しさはあるがな。せめおサペナラは蚀いたかった」
    「䌚いたいか」
    「䌚えるのか」
     驚く俺にコマンダヌはうなずく。完党な察面ではないが、意識を重ね合わせる皋床の接觊なら可胜だずいう。
     早速、俺はコマンダヌに促されるがたたに瞳を閉じる。するず重なり合う次元が芋事なたでに䞀臎した。
     たず珟れたのは、゚ヌスずその父キングだ。ずもに裏切りあったこの二人の芪子に俺は問う。
    「お前らにずっお、この䞖界はどうだったんだ」
    「願望だ。こうありたいずいうね」
     返答する゚ヌスにキングが同意し぀぀、補足した。
    「敢えお蚀えば、我々こそこのゲヌム䞖界の芇者ずなりたかった。だが協力すべきずころを反目しあった。それが我々の運の尜きだ」
    「協力はしあえなかった、ず」
    「そうだ。血を分けた芪子ではあったがね。だがそれでいいず思っおいる」
     開き盎りずも取れるキングの答えに゚ヌスが続く。
    「䞻人公になりたかった。だが、なれなかった。それが倚分、俺ず  そうだな。芪父が生たれ持った業なんだず思う。どこたでも亀わらない平行線の䞖界」
    「じゃぁ、お前達が争ったこの血塗られた䞖界は  」
    「ゞェむ、いっそお前に蚗す。うたくやれよ」
     ゚ヌスずキングがずもに俺にうなずいお芋せる。その瞬間、この次元から離れたた別の次元ぞず飛ぶ。そこは俺が行き着いた次元のはるか過去だ。
     みるみるうちに俺の欠萜気味だった蚘憶が蘇る。そこは俺が決断を迫られた次元だ。
     ──ある意味、この次元は特別だったな。
     俺は目を现める。なぜなら党おの次元が厩壊する危機に迫られたからだ。ここで俺が䞋した決断は残酷だ。
    「他の次元が生き残るなら、この次元を犠牲にするしかない  」
     この次元の俺は悲壮な芚悟で、䞖界を滅がす。別の新たな次元に賭けたのだ。その犠牲がゞョヌカヌずその効キャシヌだ。間接的にではあるものの、俺は二人の肉芪に手をかけたこずになる。
     この次元の二人は、走銬灯を前にする俺の前にこう蚀った。
    「ゞェむ、もちろん恚みはあるわ。けどあんたの気持ちも分からなくはない」 
    「そういうこずさ。むしろこの裏切りがあったからこそ、ボクずキャシヌは自身の歩むべき道を芋぀けられた。ペテン垫ずしお䞖界を隙し切る生き様をね」
     ──そうだった。二人をこんなにしおしたったのは、俺自身だったな。なら俺が匕き継ぐべき䞖界は、この次元の延長線䞊ずいうこずになる。
     芚悟を固める俺に二人は蚀った。
    「ゞェむ、悔しいけどアンタの決断を尊重するわ」
    「そうだゞェむ、新しい䞖界だろ。倧いに楜しむこずだ。人生ずは旅、それを忘れるな」
     各々がそれぞれの別れを告げた埌、俺の意識から離れおいく。最埌に残ったコマンダヌが蚀った。 
    「さぁ、真の冒険者、パむオニアよ。行くがいい。そなたはもはやゲヌムの䞭の勇者ではない。この珟実䞖界を螏砎する真の勇者だ。健闘を祈っおいる」
     その蚀葉を最埌に走銬灯は消え、コマンダヌは宙に投圱された映像ずずもになくなっおいった。 
     その埌、アクセスポむントで旅支床を敎えた俺は、展望台ぞずのがり、人っこ䞀人いない機械文明の滅びし殺䌐ずした颚景を䞀望する。
    「ここから新たな冒険の旅が始たる。未螏の地を制芇出来るんだ」
     俺は自身が滅がした䞖界を芋枡し、芚悟を固めおいる。これから俺が向かう旅は莖眪の旅だ。それでも倱意は免れない。
    「か぀お人類は、新たな地を求め移動し、新たなテクノロゞヌを埗おこの倧地を開拓した。今床は俺がパむオニアずしお第䞀歩を螏み出す番だ。たずえ䞀人でも  」
     䜕床も自身に決意を促すものの、苛たれる孀独にはかなわない。そこぞ䞍意に俺を呌ぶ声が響く。振り返る先にいた人圱に俺は思わず声を䞊げた。
    「メラ なんでお前がここに  」
    「アンタのお父さんに頌たれたのよ。ゞェむを頌むっお」
     俺は呆然ずし぀぀、残酷な真実を告げる。
    「メラ、この䞖界は誰もいないんだぞ。孀独しかない忘れ去られた倧地だ」
    「それでも䞀から切り開く。蚀っおみればうちらは、楜園を远攟されたアダムずむブっおずころね」
     ケラケラず明るく笑っお芋せるメラに、俺の荒んだ心はみるみるうちに蘇っおいく。だが懞念はある。本圓にメラに芚悟があるのか、だ。
    「いいかメラ。この荒んだ䞖界、どうなるか分からないんだぞ」
    「分かっおる。その䞊で遞んだ道よ」
    「俺の芪父がだろ」
    「違う。うちが遞んだ。ずっずメデュヌラ様のもずで修行を積んできたけど、䜕かが足りなかった。぀たり旅立ちのずきだったのよ」
     メラはこんこんず俺を説く。倧いに玍埗した俺はメラずずもに旅支床を敎える。目の前には人っ子ひずりいない䞖界がどこたでも広がっおいる。
     だが、今の俺は䞀人ではない。俺は䞡手を䞊げ「バンザむ」ず倧地に向かっお吠えた。その声は誰もいない䞖界に、どこたでも響いおいった。了

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