コンカフェ依存症#0~扉の前~
【あらすじ】
孤独な会社員が、ある夜コンカフェの扉を開けた。
癒やしを求めて始まったその一歩は、やがて人生を大きく動かしていく。
推しの笑顔に救われ、別れに傷つき、それでも夜の街へ向かい続けた一年間。
笑えて、少し切ない、一年間の実体験エッセイ。
推し活に全力になったことがある人へ。
そして、誰かを推すことの意味を知りたい人へ。
本作は実体験をもとにしたエッセイですが、登場人物・店名等は一部変更しています。
私はいつしか、完璧主義に追い詰められていた。
何でも器用にこなせるという意味ではない。
自分のやったことに満足できず、「もっとできたはずだ」「まだ足りない」と、自分自身を責め続けてしまう。そんな心の癖のことだ。
当時の私は、小さな会社で働く、ごく普通の会社員だった。
給料や休日に大きな不満はなく、仕事が終わればゲームをしたり、画面越しにアイドルを眺めたり。それなりに平穏な毎日を過ごしていた。
そんな日常は、会社に経営コンサルタントが入ったことをきっかけに大きく変わる。
会議では仕事の粗探しが始まり、あらゆる行動に理由と根拠を求められるようになった。
「なぜ?」
「どうして?」
「エビデンスは?」
その言葉が、もともとの完璧主義をさらに刺激した。
メール、報告書、計画書。
どれも完璧にやろうとするほど仕事は終わらず、残業と休日出勤が増えていく。
頑張るほど心はすり減り、皮肉なことにミスは増えた。
ミスをすれば、また問い詰められる。
出口の見えない毎日だった。
「ちゃんとしなきゃ。」
その一言だけで、自分を縛り続けていたのだと思う。
気づけば私は、ひどく疲れていた。
能力も、実績も、根拠も求められない場所。
何かを証明しなくても、ただそこにいるだけで迎え入れてもらえる場所。
そんな居場所を、心のどこかで求めていた。
そしてある夜。
その答えを探すように、私は夜の街へ足を踏み入れた。