QC検定2級 W2 練習問題——二項分布・ポアソン分布・期待値と分散、自作8問+解説
この記事でわかること
W2の範囲(二項分布・ポアソン分布・期待値と分散)の自作8問
先に問題だけ、そのあとに解答と解説
W2で取りこぼしやすいポイントのまとめ
W2で扱った範囲(期待値と分散、二項分布、ポアソン分布、中心極限定理)の練習問題を8問作った。
先に問題だけ8問並べて、そのあとに解答・解説をまとめてある。
これは学習中の記録です。正確な内容は公式テキスト・品質管理検定レベル表で確認してください。
使い方と、ひとつお断り
過去問の転載はしていません。 問題はすべて自作です(出版社・JSAの著作物を避けるため)
電卓を使ってください。試験も電卓可です
数値は計算しやすいように作ってあります。実務的なリアリティより、考え方の確認を優先しています
問題(全8問)
問1
ある工程の不適合率は 2% である。この工程から 50個 を抜き取ったとき、不適合品の個数の期待値と分散を求めよ。
問2
ある生地は 1m² あたり平均3個 の欠点が発生する。この生地 2m² における欠点数の期待値はいくつか。
問3
次の①②は、二項分布・ポアソン分布のどちらでモデル化するのが適切か。
① 1,000枚の基板を検査し、そのうち不良基板が何枚あるか
② 1枚の基板上に生じるハンダ不良の個数
問4
あるくじは、当たり(賞金500円)の確率が 0.1、外れ(賞金0円)の確率が 0.9。このくじ1回の賞金の期待値を求めよ。
問5
問4と同じくじについて、賞金の分散を求めよ。
問6
中心極限定理の説明として、正しいものを次のうちから選べ。
(ア) 元のデータの分布が正規分布でなければ、標本平均の分布も正規分布にはならない
(イ) 元の分布の形によらず、標本のサイズを大きくすると、標本平均の分布は正規分布に近づく
(ウ) 中心極限定理は、二項分布には適用できない
(エ) 標本の数を増やすと、個々のデータのばらつき自体が小さくなる
問7
ある工程の不適合率は 10% である。この工程から 3個 を抜き取ったとき、ちょうど1個が不適合品となる確率を求めよ。
問8
ある工程の不適合率は非常に小さく p = 0.001。この工程から n = 2,000個 を抜き取る。
このときの不適合品数の分布は、二項分布の代わりにどの分布で近似できるか。また、そのパラメータ λ はいくつか。
解答・解説
問1:期待値 = 1個、分散 = 0.98
二項分布の期待値・分散の公式を使う。
期待値 = n × p = 50 × 0.02 = 1
分散 = n × p × (1 − p) = 50 × 0.02 × 0.98 = 0.98答:期待値 1個、分散 0.98
期待値は「平均的にこれくらい出る」という値。50個中2%なら、平均1個という感覚と一致する。分散は0.98で、期待値(1)に近い値になっているのは偶然ではなく、pが小さいときは np(1−p) が np に近づく(1−p が1に近いため)という性質による。
問2:期待値 = 6個
ポアソン分布は、単位あたりの発生率(λ)が分かれば、面積・時間・個数に比例してλを増やせる。
1m² あたり λ = 3
2m² なら λ = 3 × 2 = 6答:6個
「1m²あたり平均3個」を2倍の面積で見れば、単純に2倍の6個になる。ポアソン分布のパラメータλは、対象の範囲(面積・時間など)に比例して増減する。
問3:① 二項分布 ② ポアソン分布
答:
① 1,000枚中の不良枚数 → 二項分布(母数〈1,000枚〉に対する該当数)
② 1枚あたりのハンダ不良の個数 → ポアソン分布(1単位あたりの発生回数)
W2の本文で整理した「母数がはっきりしているか」の基準がそのまま使える。①は「1,000枚中いくつ」という分母がある。②は「1枚あたり何個」で、単位あたりの発生回数を数えている。
問4:期待値 = 50円
期待値 = 500円 × 0.1 + 0円 × 0.9 = 50 + 0 = 50答:50円
期待値は「各結果の値 × その確率」を全部足したもの。このくじを何度も引き続けたとき、1回あたり平均50円もらえる計算になる、という読み方をする。
問5:分散 = 22,500
やり方は2つある。まず定義どおりのやり方、そのあと公式の順に書く。
やり方1:定義どおりに計算する
分散の定義は「各結果と平均との差を2乗して、その確率をかけて、全部足す」。
平均は問4で 50円 と出ている。
当たり: (500 − 50)² × 0.1 = 450² × 0.1 = 202,500 × 0.1 = 20,250
外れ : ( 0 − 50)² × 0.9 = 50² × 0.9 = 2,500 × 0.9 = 2,250
分散 = 20,250 + 2,250 = 22,500これが分散の元の意味。平均からどれだけ離れているかを、2乗して均した値。
やり方2:公式を使う
分散 = E[X²] −(期待値)²E[X²] は「値を2乗してから、確率をかけて足す」。
E[X²] = 500² × 0.1 + 0² × 0.9 = 250,000 × 0.1 = 25,000
分散 = 25,000 − 50² = 25,000 − 2,500 = 22,500当然、同じ答えになる。
答:22,500 円²(標準偏差は √22,500 = 150円)
標準偏差150円というのは、平均50円に対してばらつきのほうが大きいということ。当たり外れの差が激しいくじだと数字から分かる。
問6:正解は (イ)
答:(イ)
他の選択肢がなぜ誤りか:
(ア) 誤り。中心極限定理の核心は「元の分布の形によらない」こと。正規分布でなくても、標本平均の分布は正規分布に近づく
(ウ) 誤り。二項分布にも適用できる。元の分布の種類を問わないのが中心極限定理の特徴
(エ) 誤り。ばらつきが小さくなるのは標本平均の分布のばらつきであって、個々のデータ自体のばらつきが変わるわけではない
「標本のサイズを大きくする」対象が、個々のデータではなく標本平均だという点を混同しないことが、この問題のポイント。
問7:約24.3%
これも公式を出す前に、数え上げてみるとそのまま理解できる。
やり方1:全部書き出して数える
3個を1個ずつ見ていく。それぞれ「不適合(確率0.1)」か「適合(確率0.9)」。
ちょうど1個が不適合になるのは、次の3通り。
不適合・適合・適合 → 0.1 × 0.9 × 0.9 = 0.081
適合・不適合・適合 → 0.9 × 0.1 × 0.9 = 0.081
適合・適合・不適合 → 0.9 × 0.9 × 0.1 = 0.0813通りともかけ算の順番が違うだけで同じ値になる。だから足すのではなく、3倍すればいい。
0.081 × 3 = 0.243やり方2:公式にする
上の「3通り」が C(3,1)、「0.081」が p¹ × (1−p)² にあたる。まとめるとこうなる。
P(X = k) = C(n, k) × p^k × (1−p)^(n−k)
P(X=1) = C(3,1) × 0.1¹ × 0.9²
= 3 × 0.1 × 0.81
= 0.243答:約24.3%
問8:ポアソン分布で近似できる。λ = 2
λ = n × p = 2,000 × 0.001 = 2答:ポアソン分布、λ = 2
nが大きく、pが小さいとき、二項分布はポアソン分布に近づく、とW2の本文で触れた。np が一定(ここでは2)に保たれる条件のもとで、二項分布の代わりにポアソン分布(λ = np)で近似計算できる、という扱いになる。本来の二項分布の計算(nが大きいと組み合わせの数が膨大になる)より、ポアソン分布のほうが扱いやすい。
W2の確認ポイント(まとめ)
W2の範囲で、取りこぼしが起きやすいのは次の3つだと思う。
二項分布とポアソン分布の使い分けは、母数がはっきりしているかどうか。品数(個数のうち何個)は二項分布、単位あたりの発生数はポアソン分布
分散は E[X²] −(期待値)² の公式を使うと計算が楽になる場面が多い
中心極限定理は「標本平均の分布」の話。個々のデータのばらつきが小さくなるわけではない
覚えておく式(W2ぶん)
この8問を解くのに要る式は、これだけ。忘れると手が止まるのはだいたいこの5つ。
■ 期待値の定義 E[X] = Σ x・P(x)
(値 × 確率 を全部足す)
■ 分散の定義 V[X] = Σ (x − μ)²・P(x)
■ 分散の計算用の式 V[X] = E[X²] −(E[X])²
(どちらでも同じ。試験では下を使う)
■ 二項分布 E[X] = np V[X] = np(1 − p)
n個中ちょうどk個 P(X=k) = C(n,k)・p^k・(1−p)^(n−k)
■ ポアソン分布 λ = np E[X] = λ V[X] = λ
(n が大きく p が小さいとき、二項分布の代わりに使える)次のW3は、統計量の分布(χ²分布・t分布・F分布、標本分布)に入る予定。
つまずいたところ
自分で解いてみた結果は 11問中6問正解。止まったのは次の4か所だった。
1. 二項分布の分散の式を忘れていた(問1)
期待値の np は出てきたのに、分散の np(1−p) が出てこなかった。考え方が分からなかったのではなく、式を覚えていなかっただけ。上に「覚えておく式」としてまとめたのはこのため。
2. 分散を、公式からいきなり出そうとすると意味が掴めない(問5)
E[X²] −(期待値)² という式だけ見ても、何を計算しているのかが分からない。分散はもともと「平均からの離れ具合」なので、定義どおりに(500−50)²×0.1 +(0−50)²×0.9 を計算してみると、やっていることがそのまま見える。答えは公式と一致する。
式は「そういうもの」として覚えてしまってよく、意味は定義のほうで押さえておく、という分け方が自分には合っていた。
3. なぜ3倍するのかが分からなかった(問7)
C(3,1) の 3 が何なのかが掴めなかった。3個を1個ずつ書き出してみると、不適合になるのが1個目か2個目か3個目かの3通りで、どれも確率が同じ 0.081 になる。だから3倍する。
これは高校数学の「反復試行の確率」と同じもので、QC検定ではそれを二項分布と呼んでいるだけだった。新しく覚え直す式ではなかった。
4. ポアソン近似は、解説を読んだら理解できた(問8)
n が大きく p が小さいときに λ = np で置き換える、という形。詰まったのは式ではなく「いつ使っていいのか」の条件のほうだった。
※これは学習中の記録です。内容の正確性は公式テキスト・品質管理検定レベル表で確認してください。問題はすべて自作で、過去問・テキストの文章の転載はしていません。
