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社労士試験 予備校では教えないポイント解説 vol.122 ~厚生年金保険法(11) 費用の負担等、不服申立て、雑則等

    ※ここも、今までの学習や常識的な判断で乗り切れるところですので、ざっと説明していきます。

    ①厚生年金保険事業の財政

    1)財政の均衡

    『厚生年金保険事業の財政は、長期的にその均衡が保たれるものでなければならず、若しくはその均衡を失すると見込まれる場合には、速やかに所要の措置が講ぜられなければならない。』
    ※ざっくりと『長期的に』とされており、その期間は明確にはされていませんが、次項2)の通り、おおむね『5年ごとに見直しをかけつつ100年先まで』ということです。

    2)財政の現況及び見通しの作成

    政府は、少なくとも5年ごとに、次の内容の『財政の現況及び見通し』を作成し、遅滞なく、これを公表しなければなりません。
    ①保険料及び国庫負担の額並びに厚生年金保険法による保険給付に要する費用の額その他の厚生年金保険事業の財政に係る収支についての現況
    ②財政均衡期間(『財政の現況及び見通し』が作成される年以降おおむね100年間)における①の収支の見通し

    3)調整期間

    政府は『財政の現況及び見通し』を作成するに当たり、厚生年金保険事業の財政が、財政均衡期間の終了時に保険給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金を政府等が保有しつつ当該財政均衡期間にわたってその均衡を保つことができないと見込まれる場合には、保険給付の額を調整する期間(以下『調整期間』といいます。)の開始年度(※具体的には平成17年度とされています。)を定めるものとされています。そして、政府は、調整期間において財政の現況及び見通しを作成するときは、調整期間の終了年度の見通しについても作成し、併せて、これを公表しなければなりません。
    調整期間において、国民年金法においては『年金たる給付(付加年金を除く。)』の額を調整すると規定しているのに対し、厚生年金保険法においては『保険給付』の額を調整すると(だけ)規定しているので、『一時金』も調整の対象となります。

    【積立金】

    年金特別会計の厚生年金勘定の積立金及び実施機関積立金(厚生労働大臣を除く実施機関の積立金のうち基礎年金拠出金の納付を含む厚生年金保険事業に係る部分として政令で定める部分をいいます。)をいいます。

    【終了年度】

    財政の現況及び見通しにおいて、保険給付の調整を行う必要がなくなったと認められるときは、政令で、調整期間の終了年度を定めるものとされています。

    ②国庫負担

    公庫負担公庫は、毎年度、予算の範囲内で、厚生年金保険事業の事務(基礎年金拠出金の負担に関する事務を含みます。)の執行(厚生労働大臣を除く実施機関によるものを除きます。※つまり、厚生労働大臣のみとなります。)に要する費用を負担しています。
    また、国庫は、毎年度、厚生年金保険の実施者たる政府が負担する基礎年金拠出金の額の2分の1に相当する額を負担しています。
    ※国民年金についても、2分の1の国庫負担が入ります。従って『保険料の全額免除』であっても、原則の2分の1の給付があるわけです。

    ③積立金の運用

    『年金特別会計の厚生年金勘定の積立金(以下、『特別会計積立金』という。)及び厚生労働大臣を除く実施機関の積立金のうち一定のもの(以下『実施機関積立金』という。)の運用は、積立金が厚生年金保険の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の保険給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって、厚生年金保険事業の運営の安定に資することを目的として行うものとする。』
    特別会計積立金の運用は、厚生労働大臣が、上記の目的に沿った運用に基づく納付金の納付を目的として、年金積立金管理運用独立行政法人に対し、積立金を寄託することにより行うものとされています。(法79条の3-Ⅰ)

    【『寄託』と『預託』の違い】

    ここで『寄託』という言葉が出てきましたので、似たような言葉の『預託』との違いを簡単に説明します。試験午前中の『選択式』でここを出題されるかも知れません。
    〈寄託〉
    民法657条以下で規定される法律用語
    『当事者の一方(寄託者)が、自己の物を相手方(受寄者)に預け、相手方がこれを保管することを約する契約』
    これを寄託契約といいます。
    ・コインロッカーに荷物を預ける
    ・銀行の貸金庫に貴重品を預ける
    などをいい、基本的には、『物(動産)の保管』が目的です。民法上は受寄者は原則として無償で保管する義務を負いますが、実務では有償が多いです。『無償であっても保管する義務を負う』というニュアンスでしょうか?
    〈預託〉
    民法上の定義はありません。法律用語ではなく慣用的な表現です。
    一般的に『金銭や物を、一定の目的のために人や機関に預けて託すこと』をいいます。行政法人や商取引でよく使われます。
    ・学校給食費を『学校に預託する』
    ・農協に出資金や販売代金を『預託』する
    などをいい、保管に限らず、一定の目的(運用・管理・処理など)のために預けるという広い意味で使われます。
    以上を踏まえると、上記の規定では『寄託』ではなく『預託』の方が正しいような気がしますが、『銀行にお金を預ける』という日常的な行為は、寄託ではなく『消費寄託』に当たります。銀行預金の法的性質については、
    ・民法657条の『寄託』は、原則として『預けた物をそのまま保管し、返す義務』を負います。上記の例で言えば、コインロッカーに入れた荷物は、当然、同じ荷物が返ってきます。
    ・ところが銀行に預けた『お金』は、その預けた紙幣がそのまま返ってくるわけではありません。銀行はそのお金を自己の資金として運用し、預金者には『同額の金銭を返す義務』が生じます。この仕組みは、民法666条の『消費寄託』と呼ばれ、預けた物(=金銭)を受寄者(=銀行)が消費でき、同種・同等・同量の物を返せばよい、という契約です。
    したがって、上記の規定で使われている『寄託』は、『消費寄託』という意味で使われていると思います。(※筆者の推定です。)

    【運用職員の秘密保持義務】

    積立金の運用職員は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならず、厚生労働大臣は、運用職員がこれに違反したと認めるときは、その職員に対し国家公務員法に基づく懲戒処分をしなければなりません。

    ④保険料額

    1)保険料の徴収と額

    政府等は、厚生年金保険事業に要する費用(基礎年金拠出金を含みます。)に充てるため、被保険者期間の計算の基礎となる各月につき、保険料を徴収しますが、その保険料額は、標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ保険料率を乗じて得た額になります。

    2)保険料率

    第1号厚生年金被保険者の保険料率は、被保険者の種別及び算定(徴収)対象月の区分に応じ、次のようになります。
    〈算定対象月〉〈第3種被保険者以外〉〈第3種被保険者〉
    ※第3種被保険者とは、坑内員、及び船員である被保険者です。
    ・平成27年9月~平成28年8月:1000分の178.28:1000分の179.36
    ・~平成29年8月:1000分の181.82:1000分の181.84
    ・平成29年9月~:1000分の183.00(統一)
    なお、各号の被保険者について、元々は全く別の組織だったので、保険料率は違っていました。それに伴って、第2号厚生年金被保険者と第3号厚生年金被保険者については平成30年9月まで段階的に引き上げ、同月から第1号厚生年金被保険者と統一されました。また、一番保険料が低かった第4号厚生年金被保険者については、原則として令和9年4我まで段階的に引き上げ、令和9年4月以後の厚生年金保険の保険料率は、1000分の183.00に統一されることになっています。

    ⑤保険料の納付

    1)保険料の負担と納付義務
    被保険者(事業主の同意のない高齢任意加入被保険者を除きます。)及び当該被保険者を使用する事業主等は、それぞれ保険料の半額を負担します。また、事業主は、その使用する当該被保険者及び自己の負担する保険料(※つまり、保険料の全額)を納付する義務を負います。一方、事業主の同意のない高齢任意加入被保険者は、保険料を全額自己負担し、その納付義務も負います。
    ※『被保険者が船舶に使用され、かつ、同時に事業所に使用される場合においては、船舶所有者以外の事業主は保険料を負担せず、保険料を納付する義務を負わない者とし、船舶所有者が当該被保険者に係る半額を負担し、当該保険料及び当該被保険者の負担する保険料を納付する義務を負う者とする(令4-Ⅳ)』と規定されています。この規定だけを読むと、『船舶所有者以外』での報酬に対しては保険料が生じないようなイメージになりますが、前記規定は、『保険料に関して、二重加入・二重納付を防ぐ』という目的で、保険料の負担及び納付の義務を船舶所有者だけに『一元的』に課し、船舶所有者以外の事業主には課さないというだけの規定です。船舶所有者は、船舶所有者以外の事業主が負担すべき保険料も併せて納付する義務があります。この場合、船舶所有者以外の事業主の事業所は、事業所としては扱われません。なお、船舶所有者が、船舶所有者以外の事業主が負担すべき保険料をその事業主に対して請求、又は徴収するという規定はありません。(※以下、筆者の意見です。)本来的な理由は、『船舶での報酬の方が、比べる余地のないほど高い』という事実からきた規定と思いますが、もし、仮に、ほとんどの日数を船舶所有者と同じ事業主である陸上の事務所で労働し、ごくたまに船舶内で労働するというような労働者である場合、上記の取扱いをしなければ、非常に少額な報酬を元に保険料が算出されてしまうことになり、『保険料の抜け道』とされてしまう可能性がありますので、船舶所有者がすべての報酬を支払ったものとして、保険料の算出や、その保険料の納付義務が課せられているものと思います。
    ※ただし、船舶に使用される被保険者が同時に『2以上の船舶以外の事業所』に使用される場合は、各事業主が報酬月額や賞与額に応じ、保険料を按分して、それぞれ半額負担と(全額の)納付義務を負います。これは、按分計算の際に、各事業所で支払った報酬額が明確にされるため、二重加入や二重納付という問題が回避できるからです。(※理由は、筆者の推定です。)

    2)保険料の免除

    育児休業等をしている被保険者(産前産後休業期間中の保険料免除の規定の適用を受けている被保険者を除きます。)が使用される事業所の事業主(第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る保険料については、当該被保険者 ※被保険者が国家公務員、又は地方公務員で『事業主』という概念がないからだと思います。)が、実施機関に申出したときは、次の①②に掲げる場合の区分に応じ、当該①②に定める月の当該被保険者に関する保険料の徴収は行われません。ただし、育児休業等が1月以下である者については、標準報酬額に係る保険料に限られます。(※つまり、賞与額については徴収されるということです。)
    ①その育児休業等を開始した日の属する月と育児休業等が終了する日の翌日(※つまり、最初に出勤した日)が属する月が異なる場合…その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの月の保険料を免除
    ※その期間が2月しかない場合は、結局、育児休業等を開始した月分のみが免除となります。
    ②その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが同一であり、かつ、当該月における育児休業等の日数として厚生労働省令で定めるところにより計算した日数が14日以上である場合…当該月の保険料を免除
    ※以前は『14日以上』という制限がなかったため、賞与支給月に5日ほど育児休業等を取得して、賞与額も含めた保険料を丸々免除申請できるという抜け道があったため、『14日以上』という制限が追加されました。
    また、産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主(第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る保険料については、当該被保険者)が、実施機関に申出したときは、当該被保険者に係る保険料であってその産前産後休業を開始した日の属する月から産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係るものの徴収は行われません。
    なお、任意単独被保険者及び高齢任意加入被保険者についても、これらの保険料免除の対象となります。
    ※高齢任意加入被保険者と出産との結び付きがイメージしづらいかもしれませんが、育児休業等の『等』には介護休業が含まれていますし、対象となる『養護されるべき子』は実子には限定されておらず養子でも構わないので、特段の違和感は不要です。また、産前産後休業の期間について、上記②に相当する規定はありません。これは、労働基準法において、産後休業については、たとえ医師の許可があっても最低でも産後6週間ということが規定されているので、休業開始月と休業終了月が同一月ということがあり得ないからです。
    ※以上の免除期間は、免除されていない通常の期間と同等の被保険者期間(保険料納付済期間)となるので、当該免除を受けたことにより、将来受け取る年金額が減額されたりするようなことはありません。『休業前と同じ保険料を納付したもの』として年金額が算出されるということです。また、これらの出産育児関連の保護を強化するという目的で、国民年金の保険料が10円アップしたという経緯もあります。

    3)納付期限

    毎月の保険料は、翌月末日までに納付しなければなりません。
    ※この規定を逆に見ることにより、権利発生のための納付期間を問うときに『前々月まで』という数え方をするわけです。『前月まで』とすると『権利発生に1月足りない』場合に前月分は正当に納付できるので権利が発生してしまうからです。

    4)口座振替による納付

    厚生労働大臣は、納付義務者から、口座振替納付を希望する旨の申出があった場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができます。
    ※以下、全くの蛇足的論点なので、試験には出ません。
    通常は、『口座振替=確実かつ便利=徴収上有利』と思えますが、条文に『有利と認められるとき』とわざわざ書いてあるのは、一部のケースでは必ずしも有利とは言えないケースがあるからです。
    『保険料の徴収上有利と認められない場合』とは、以下の状況が想定されます。
    ①金融機関のシステム上の制約
    ・保険料の納付期限に間に合わない金融機関(取扱開始が遅れている等)
    ・特殊な組合や一部地域の金融機関が未対応
    ※この場合、口座振替を承認しても実際には納付が遅延し、かえって徴収リスクが高まります。
    ②被保険者や事業主の信用
    ・過去に口座振替で何度も残高不足による引き落とし不能があった事業所
    ※この場合、口座振替を承認しても、催促や再徴収が増えるだけで、現金納付や電子納付の方が確実。
    ③事務コストとの比較
    ・保険料額が極めて小さい(たとえば、一時的加入などで徴収額がごく少額)場合に、口座振替システム利用の事務コストの方がむしろ高いとき。
    ④制度趣旨としての『保険料徴収の円滑化』
    ・この規定の文言は、厚生労働大臣(実際は年金事務所や健保組合)が『裁量』で口座振替を認める根拠になります。したがって、ほとんどの場合は『有利だから承認』となるのですが、上記①~③のケースのように『有利とは認められない』として却下できる余地を残していると解されています。

    5)繰上充当

    厚生労働大臣は、納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったとき、又は納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったときは、その超えている部分に関する納入の告知又は納付を、その納入の告知又は納付の翌日から6箇月以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰上げて納付したものとみなすことができます。
    また、納期を繰上げて納入の告知又は納付をしたものとみなしたときは、厚生労働大臣は、その旨を当該納付義務者に通知しなければなりません。
    ※6箇月以内の期日に納付されるべき保険料がないかも知れないので、上記規定は、『みなすことができます。』となっています。

    6)源泉徴収

    事業主は、第1号厚生年金被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができます。また、事業所は、第1号厚生年金被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を賞与から控除することができます。
    なお、事業主は、保険料を控除したときは、保険料の控除に対する計算書(※給与明細書等が該当します。)を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければなりません。
    ※上記規定により、報酬から保険料を源泉徴収しても、労働基準法における『全額払の原則』には反しないものとされます。

    ⑥滞納に対する措置等

    1)繰上徴収

    保険料は、次の場合においては、納期前であっても、すべて徴収することができます。
    ※いずれも『保険料の取りっぱくれ』が懸念されるケースです。
    ①納付義務者が次のいずれかに該当する場合
    1.国税、地方税その他の公課の滞納によって、滞納処分を受けるとき
    2.強制執行を受けるとき
    3.破産手続開始の決定を受けたとき
    4.企業担保権の実行手続の開始があったとき
    5.競売の開始があったとき
    ※破産宣告等に伴っての競売は、その意図がはっきりわかるように『ケイバイ』と読みます。
    ②法人たる納付義務者が、解散をしたとき
    ③被保険者が使用される事務所が、廃止されたとき
    ④被保険者の使用される船舶について船舶所有者の変更があった場合、又は当該船舶が滅失し、沈没し、若しくは全く運航に堪えなくなるに至った場合

    2)督促

    保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生年金大臣は、保険料を繰上徴収する場合を除き、期限を指定して、これを督促しなければなりません。
    ※つまり、前記の繰上徴収の状況に至った場合には、督促は不要ということです。また、督促をする場合、厚生労働大臣は、納付義務者に対して、督促状を発するが、督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければなりません。『督促状を発する日から』なので、『始期が24時間ない日』の一般的な期間の計算である『初日不算入』には反しますが、末日が『経過する日(最後の日の24時のことです。)』ではなく『経過した日(最後の日の翌日の午前0時のことです。)』なので、結果的には『10日間(以上)』となります。(※後半の期間計算に係る説明の部分は、試験には出ません。)そもそも、督促状を発せられるというのは保険料を滞納しているということですから督促状が発せられることは承知しておくべきであり、『初日不算入』云々を語る余地はないかと思います。

    2)延滞金の徴収

    督促をしたときは、厚生労働大臣は、原則として、保険料額(1000円未満の端数は切り捨てます。)に、納期限の翌日から保険料完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じ、年14.6%(当該納期限の翌日から3月を経過する日までの期間については、年7.3%に軽減されています。)の割合を徴収します。
    ※7.3%や14.6%という数字は、365の2倍が730であることから気が付くと思いますが、延滞金の計算上、1日分の割合計算が、0.02%や0.04%となり『キリのいい数字』というイメージとして覚えましょう。
    なお、当分の間、各年の延滞税特例基準割合(※財務大臣が告示する『平均貸付割合』に1%を加算した割合)が年7.3%に満たない場合には、その年中においては、次のような軽減措置の特例が定められています。
    〈1.納期限の翌日から3月経過後の期間の年14.6%〉
    延滞税特例基準割合+年7.3%
    〈2.納期限の翌日から3月経過する日までの期間の年7.3%〉
    延滞税特例基準割合+年1%(その割合が年7.3%を超えるときは年7.3%)
    ※令和7年現在の平均貸付割合が年0.4%と告示されていますので、延滞税特例基準割合は年1.4%となり、令和7年については、上記1.が年8.7%、上記2.が年2.4%となります。
    ただし、延滞税は、次の場合には徴収されません。
    ①督促状に指定した期限までに保険料を完納したとき
    ※督促状による納付を促すためだと思いますが、おおむね10日間なので、延滞税の割合は0.2%程度に過ぎず、たとえば、滞納額が45,000円であった場合の延滞金は90円で、下記③の規定により切捨てられてしまうからだと思います。(※筆者の推定です。)
    ※例えば、9月30日が納期限である保険料を滞納し、10月15日を指定期限とする督促を受け、10月20日に完納した場合は①のケースとはなりませんので、延滞金は、10月1日から10月19日までの日数(19日間)で計算されます。
    ②保険料額が1,000円未満であるとき
    ※原則としての『1,000円未満切捨て』を適用するとゼロになるからです。
    ③計算した延滞金の額が100円未満であるとき
    ※たとえば、住民票の発行手数料が300円であるように、100円未満の額だと事務費用の方が高くなってしまうからです。また、徴収金の端数処理の原則は、『100円未満切捨て』なので、その原則で言えば、徴収金額がゼロとなるからです。
    ④納期を繰上げて徴収するとき
    ※このケースは、破産手続開始の決定等を受けているわけですから、延滞金を徴収するということよりも元本の回収に努めることが優先されるからです。
    ⑤納付義務者の住所若しくは居所が国内にないか、又はその住所及び居所がともに明らかでないため、公示送達の方法によって督促したとき
    ※公示送達とは、差押や強制執行等、次の手続に移るための法律上の既成事実を作るため(つまり、『督促しましたよ。』という既成事実を作るため。)に役所玄関口等にある外向掲示板に掲示することであり、その本人が見ることはまずあり得ないからです。
    ⑥滞納につきやむを得ない事情があると認められるとき
    ※(以下、試験には出ません。)『延滞につきやむを得ない事情』とは、国税徴収法に基づく取扱いにより、個別事情を総合判断することになりますが、概ね不可抗力に近い、以下のケースが想定されます。(※一般論を記載していますので、厚生年金保険法には関係ない記載も含まれています。)
    1.天災・災害によるもの
    ・地震・台風・洪水・火災などで、自宅や事業所が被災し、期限内納付が不可能になった場合
    ・金融機関や税務署に行く手段が失われた場合
    2.納税者本人の健康上の理由
    ・納期限前後に重病・大怪我で入院し、意思表示もできない状態だった場合
    ・納期限前後に死亡した場合
    ※この場合、納付義務は相続人に移りますが、相続人は被相続人の財産が凍結されているので、遺産分割が完了するまで直ちに納付することができない、或いは、負の遺産が多いため『相続放棄』をするケースも想定されます。
    3.金融機関等の事務上の支障
    ・納期限の日に金融機関のシステム障害や通信障害が発生し、納付手続ができなかった場合
    ・税務署・自治体の誤案内や事務手続ミスにより、納期限内に納付できなかった場合
    ※徴収者側のミスで納付が遅延したため、延滞金は徴収しないということです。
    4.法的手続・不可抗力によるもの
    ・差押え・口座凍結などで納税資金・納付資金を一時的に使えなかった場合
    ・郵送による納付書送達が天候や交通途絶により遅延した場合
    以上のようなケースですが、要するに、納税者・納付者の責めに帰すことができない事情がある場合には、延滞金は課せられないということです。逆に、原則として『資金繰りが苦しい』『うっかり忘れた』『経営状況が悪い』といった理由では認められません。ただし、これは、厚生年金保険についての納付主体が営利団体である『法人』であるからであり、国民健康保険のように納付主体が『個人』の場合であれば、『生活が苦しい』という事情でも配慮されることがあります。

    【保険料の一部につき納付があったとき】

    その納付の日以後の期間(つまり、滞納分が残っている期間)に係る延滞金の計算の基礎となる保険料は、その納付のあった保険料額を控除した金額(つまり、現に滞納している金額)によります。

    【徴収金の徴収】

    『保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金は、厚生年金保険法に別段の規定があるものを除き、国税徴収法の例により徴収する。』

    【厚生年金保険法による『別段の規定』の具体例】

    (以下、これも全くの蛇足的論点なので試験には出ません。)
    1.第83条(延滞金)
    延滞金の割合や計算方法について、国税徴収法ではなく、厚生年金独自の定めが置かれています。
    2.第87条(徴収金の納期前の徴収)
    国税徴収法では原則として納期限後に滞納処分が開始されますが、厚生年金保険法では、独自に『財産隠匿や国外逃避のおそれがあるときは納期限前でも徴収できる。』規定を置いています。
    3.第88条(督促)
    督促状の発付や督促手数料について、国税徴収法とは異なる規定があります。
    4.第89条(延滞金の免除)
    『やむを得ない事由があるときには延滞金を課さないことができる』という特則があります。国税徴収法にはない規定です。

    4)滞納処分

    1.滞納処分

    厚生労働大臣は、納付義務者が次のいずれかに該当する場合においては、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法に規定する指定都市にあっては、区又は総合区とします。)に対して、その処分を請求することができます。
    ①督促を受けた者が、その指定の期限までに保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金を納付しないとき
    ②保険料の繰上徴収による保険料納入の告知を受けた者が、その指定の期限までに保険料を納付しないとき
    なお、市町村は、当該処分の請求を受けたときは、市町村税の例によってこれを処分することができますが、この場合においては、厚生労働大臣は、徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付しなければなりません。

    【先取特権】

    保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものされています。
    ※つまり、一般債権者よりは上位ということです。

    【一般債権者などの下位の順位者が先に財産を取得してしまった場合】

    (以下、これも全くの蛇足的論点なので試験には出ません。)
    1.原則:先取特権者が優先回収できる
    先取特権は対抗力を持ちます。したがって、後順位の債権者が差押をしたり配当を受けていたとしても、先取特権者は優先弁済を受ける権利があります。つまり、下位の債権者が先に配当を受けても、その部分について不当利得返済請求や配当異議によって回収できます。
    2.具体例な手段
    裁判所の配当手続に参加している場合…先取特権に基づいて『配当異議』を出し、優先配当を主張します。
    既に下位債権者に支払われた場合…先取特権者は『不当利得返還請求』(民法703条以下)を根拠に返還を求めることができます。
    つまり、
    ・先取特権は物的担保に近い強い権利であり、順位が下の債権者が先に取得してしまっでも、優先弁済権が消えるわけではありません。
    ・ただし、第三者が善意(下位の債権者が財産取得後にその財産を第三者に転売した際に、その第三者がその財産に先取特権が付いていることを『知らなかった』ということです。)で取得した場合の保護(民法第339条以下)や、登記(土地や建物などの不動産に抵当権や根抵当権が付いている場合等)・登録を要するものについては対抗関係の問題が生ずることがあります。

    2.国税滞納処分の例による処分に係る認可等

    滞納処分に関する厚生労働大臣の権限に係る事務は機構に委任されていますが、機構が国税滞納処分の例による処分を行う場合には、あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受けるとともに、機構が定め厚生労働大臣の認可を受けた滞納処分等実施規程に従い、厚生労働大臣の認可を受けて機構の理事長が任命した徴収職員に行わせなければなりません。
    また、厚生労働大臣は、機構からの求めがあったときなどには、自ら滞納処分を行うことができるほか、滞納者が悪質な場合には、当該権限を財務大臣を通じて国税庁長官に委任することができます。(※つまり、『財産の差押え』等が行われるということです。)
    また、機構は、滞納処分等をしたときは、速やかに、その結果を厚生労働大臣に報告しなければなりません。
    【国税庁長官の厚生労働大臣への報告】
    国税庁長官は、委任に基づいて滞納処分等の厚生労働大臣の権限の全部又は一部を行ったときは、滞納処分等の執行の状況及びその結果を厚生労働大臣に報告するものとされています。

    ⑦不服申立て

    1)保険給付等に関する不服申立て

    1.審査請求

    厚生労働大臣による被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をすることができます。当該審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときはすることができませんが、正当な事由によりこの期間内に審査請求をすることができなかったことを疎明(※『証明』よりも緩く、『多分そうであろう。』と推測できる程度で十分とされています。)したときは、この限りではありません。
    なお、厚生年金保険原簿の訂正請求に対する決定については、審査請求又は後記2.の社会保険審査会に対する再審査請求をすることができません、
    ※訂正をするかしないかという問題なので、審査請求しても結果は変わらないからですが、行政不服審査法に基づき、(直接、トップである)厚生労働大臣に対して審査請求をすることはできます。
    なお、上記の審査請求ができる期限として『処分があったことを知った日の翌日から起算して3月』について、被保険者の資格又は標準報酬に関する処分に対する審査請求は、たとえ処分があったことを知らなくても、絶対的な時効として、原処分があった日の翌日から起算して2年を経過したときは、することができません。

    【不服理由の制限】

    被保険者の資格又は標準報酬に関する処分が決定されたときは、その処分についての不服を当該処分に基づく保険給付に関する処分についての不服の理由とすることはできません。
    ※つまり、『被保険者の資格がない』『標準報酬額は○万円』と決定されたのに対して、『保険給付がされない』『給付額が少ない』ということの不服の理由にはできないということです。

    【代理人】

    代理人は審査請求人(再審査請求人)のために審査請求(再審査請求)に関する一切の行為をすることができます。ただし、審査請求(再審査請求)の『取下げ』については、特別の委任を受けた場合でなければすることはできません。
    ※依頼人が知らないうちに『取下げられて終わっていた。』ということがないようにです。

    2.再審査請求

    社会保険審査官の決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができます。当該再審査請求は社会保険審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2月を経過したときはすることができませんが、正当な事由によりこの期間内に再審査請求をすることができなかったことを疎明したときは、この限りではありません。また、審査請求をした日から2月以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができます。
    また、審査請求及び再審査請求は、時効の完成猶予(=時効の進行が止まること)及び更新(=時効がリセットされること)に関しては、裁判上の請求とみなされます。

    【送付された日の翌日から2月を経過した日】

    たとえば、謄本が送付された日が4月1日なら、その翌日4月2日から起算して2月を『経過する日』は、6月1日(の24時)、『経過した日』は、6月2日(の0時)となりますので、この例ですと、6月2日になったら再審査請求ができなくなるということです。

    【棄却みなし】

    この棄却みなしの2月が経過したら、次のステップである再審査請求ができるということです。この棄却みなし期間は、社会保険は『2月』ですが、労働保険は『3月』であることに注意です。この違いは『審査請求の件数の違い』から来ているというイメージです。
    労働保険(労災保険や雇用保険)は、事業主のほか、労働者本人も審査請求をしてきますので数も多く、また、その内容も複雑なものが多いので、『3月は下さい!』ということです。対して、社会保険は、事業主が正当に保険料を納付していれば労働者側が給付額などを審査請求する余地がなく、また、社会保険に関しての労使間のトラブルも少ないので審査件数も労働保険よりは少なくなりますので、『2月もあれば十分だろう』ということです。

    3.第1号厚生年金被保険者以外の被保険者に係る不服申立て

    第1号厚生年金被保険者以外の被保険者に係る実施機関による被保険者の資格又は保険給付に関する処分に不服がある者は、共済各法に定めるところにより、次に定める審査官に対して審査請求をすることができます。
    ①第2号厚生年金被保険者…国家公務員共済組合審査会
    ②第3号厚生年金被保険者…地方公務員共済組合審査会
    ③第4号厚生年金被保険者…日本私立学校振興共済事業団の共済審査会
    なお、上記①~③の厚生年金被保険者に係る実施機関による保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金の賦課若しくは徴収の処分又は督促若しくは国税滞納処分の例による処分に不服がある者も、上記の審査会に対して審査請求をすることができます。

    2)保険料等に関する不服申立て

    厚生労働大臣による保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金の賦課金若しくは徴収の処分又は滞納処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求することができます。
    なお、当該審査請求の請求期間は、社会保険審査官に対する審査請求の場合と同様です。(※つまり、3月以内。文章又は口頭。)
    ※不服の申立て先が社会保険審査官ではなく、直接、ひとつ上の社会保険審査会であることに注意です。対象となる延滞処分などは社会保険審査官が決めているので、同一人に訴えても同じ結論になるからですし、滞納処分などの不服の申立てに時間を費やし、結局、滞納処分が正しかったという場合、延滞金が多く発生することになるからです。(※一部、筆者の推定です。)

    3)訴訟との関係

    厚生労働大臣による被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分の取消の訴えは、原則として当該処分についての審査請求に対する社会保険審査官の決定を経た後でなければ、提訴することができません。
    ※『原則として社会保険審査官の決定を経た後で』なので、前記2)は、直接社会保険審査会に不服申立てをするので社会保険審査官は通しておらず、『例外的に』直接、厚生労働大臣に訴えることができます。
    ※この場合、直接、裁判所に訴えることになり、その方が手っ取り早いというイメージですが、裁判は手続も複雑なので、結局、弁護士に依頼するなど、時間と費用を費やすことになりますし、それで有利な決定を得られるという保証もないので、審査専門機関である社会保険審査官や社会保険審査会に判断しでもらうのがよいのではと思います。(※筆者の意見です。)
    ※以上を簡単にまとめると、
    ①(3月以内)審査官→(2月以内)審査会→裁判所、又は、審査官→(直接)裁判所のパターン
    1.被保険者の資格に関する処分
    2.標準報酬に関する処分
    3.保険給付に関する処分
    ※以上、おおむね、事業主が正しく保険料を納付していれば発生しない事案
    ②(3月以内・直接)社会保険審査会→裁判所、又は、(直接)裁判所のパターン
    4.保険料の賦課・徴収に関する処分
    5.督促・滞納処分
    ※以上、のんびりと構えていたら、延滞金や差押えまである事案

    ⑧雑則

    1)時効

    『保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利(※短期債権)は、これらを行使することができるときから2年を経過したとき、保険給付を受ける権利(※長期債権)は、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過したとき(※『初日算入』なので『経過した日』という原則です。)』、当該権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる保険給付(※このような一定期間ごとに発生する権利を『支分権』といいます。)の支給を受ける権利は、当該日の属する月の翌月以後に到来する当該保険給付の支給に係る支払期月(※『偶数月』など)の翌月の初日から5年を経過したとき、保険給付の返還を受ける権利(※機構側が過払いや誤払いをしたケースです。)は、これを行使することができる時から5年を経過したときは、時効によって、消滅する。』
    ただし、年金たる保険給付を受ける権利の時効は、当該年金たる保険給付がその全額につき支給を停止されている間は、進行しません。
    また、年金時効特例法(※属にいう『消えた年金問題』への特例法です。)により、厚生労働大臣は、平成19年7月6日において厚生年金保険法による保険給付の受給権者である者又は同日前において受給権者であった者(未支給の保険給付の請求権者を含みます。)について、記録の訂正がなされた上で裁定(裁定の訂正を含みます。)が行われた場合においては、その裁定による当該記録の訂正に係る受給権に基づき支払われる保険給付の支給を受ける権利について消滅時効が完成した場合においても、保険給付を支払うものとされています。
    ※『消えた年金問題』は、機構側のミスにより生じた問題なので、時効に関係なく支給するということです。
    また、たとえば、老齢厚生年金の受給権者が裁定請求をしないまま死亡した場合におけるその未支給給付の請求は、当該老齢厚生年金の『受給権が発生』したときから(※受給権者が『死亡した』ときからではありません。つまり、時効の進行については、受給権者の死亡という事実は関係ないということです。)5年以内にしなければなりません。
    なお、保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金の納入の告知又は督促は、時効の更新(※時効がリセットされること)の効力を有します。
    ※つまり、2年以内ごとに納入の告知や督促をし続けると、永遠に消滅時効とはならないということです。(※実際には、こんなことはしないとは思いますが。。。)

    2)資料の提供

    実施機関は、被保険者の資格、標準報酬又は保険料に関し必要があると認めるときは、官公署(実施機関を除きます。)に対し、法人の事業所の名称、所在地その他必要な資料の提供を求めることができます。
    また、市町村長は、実施機関又は受給権者に対して、当該市町村の条例の定めるところにより、被保険者、被保険者であった者又は受給権者の戸籍に関し、無料で証明を行うことができます。
    ※この『証明』は戸籍抄本のようなものを発行するのではなく、持参した証明書に署名押印するようなものになるかと思います。

    【報告】

    厚生労働大臣を除く実施機関は、当該実施機関を所轄する大臣を経由して、標準報酬額等平均額の算定のために必要な事項について厚生労働大臣に報告するものとされており、厚生労働大臣は、当該事項等について、実施機関を所轄する大臣に報告を行うものとされています。
    ※所轄大臣ですが、以下の通りです。(試験には出ません。)
    〈第2号厚生年金被保険者〉
    国家公務員なので、
    ・一般職国家公務員…内閣総理大臣になります。ただし、人事院が中心的に管理しており、人事行政は、人事院が独立して実施しています。
    ・特別国家公務員(国会議員、裁判官、自衛官など)…各機関の長。つまり、国家公務員は衆参両院の議長、裁判官は最高裁判所長官、自衛官は防衛庁長官になります。
    〈第3号厚生年金被保険者〉
    地方公務員なので、地方公務員法に基づき、基本的には、それぞれの地方公共団体の長(知事や市町村長)が所轄しますが、制度全般の所轄大臣は、総務大臣になります。
    〈第4号厚生年金被保険者〉
    私立学校の職員なので、文部大臣になります。

    3)書類の保存

    事業主は、厚生年金保険に関する書類を、その完結の日から2年間、保存しなければなりません。
    ※この2年間というのは、徴収金の徴収又はその還付についての時効の2年間とリンクしているというイメージです。保険給付を受ける権利の時効は5年ですが、これは被保険者側のことで、被保険者は原則として年金手帳を持っていますので、年金手帳について『保存期間』は『死亡するまで』に決まっているので、改めて『保存期間』として問われることはないかと思います。

    4)罰則

    1.事業主に対する罰則

    事業主が、正当な理由がなくて次のいずれかに該当するときは、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
    ①被保険者(70歳以上被用者を含みます。 ※わざわざこう注記しているのは、原則として、厚生年金保険の被保険者は70歳未満だからです。)の資格の取得及び喪失(70歳以上被用者にあっては、所定の要件に該当するに至った日及び当該要件に該当しなくなった日)並びに報酬月額及び賞与額に関する事項等につき、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき
    ※この①の事項以外の事項につき、事業主が届出をせず、又は虚偽の届出をしたときは、10万円以下の過料に処せられます。
    ②厚生労働大臣から通知された事項を被保険者に通知しないとき
    ③督促状に指定する期限までに保険料を納付しないとき
    ※この場合、延滞金も徴収される上に、懲役まであるということです。
    ④厚生労働大臣の物件提出命令に違反して、文書その他の物件を提出せず、又は行政庁職員(機構の職員を含みます)の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき
    ※上記①の説明で『過料』が出てきましたので、『罰金』との違いを簡単に説明します。(ただし、一般論です。また、刑法の話なので社労士試験では問われないと思います。)
    1.罰金(刑法上の刑罰)
    ・刑罰の一種(刑法に定めあり)
    ・刑事事件において裁判所が科すもの
    ・前科が付きます
    ・上限・下限我法律で決まっています
    ※例:窃盗、暴行、道路交通法違反などの刑事事件で科せられます。
    2.過料(行政上の秩序罰)
    ・行政罰の一種(行政法や特別法に定められています。)
    ・刑罰ではないので、前科は付きません
    ・行政庁や行政手続に関して科せられることが多い
    ・行政上の義務違反に対して制裁として金銭を納めさせるという趣旨
    ・金額は法律や条例で定められます
    ※例:住民基本台帳法による転居届を出さなかったときの過料
    ※戸籍法の規定による死亡の届出義務者が、受給権者が死亡した旨の届出をしないときは、10万円以下の過料に処せられます。(これが、刑法上の『罰金』ではないのは、届出義務者(主に相続人)が1人とは限らないので、特定の者に刑法上の罰金刑を科すことは難しいというイメージです。)

    2.事業主以外の者に対する罰則

    事業主以外の者が、行政庁職員(機構の職員を含みます)の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。

    3.調査拒否者に対する罰則

    次のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処せられます。
    ①保険料の滞納者の財産についての徴収職員の質問に対して答弁せず、又は虚偽の陳述をしたときの当該違反行為をした者
    ②徴収職員の財産に関する帳簿書類の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は当該検査に関し偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類を提示したときの当該違反行為をした者

    【両罰規定】

    上記1.~3.について、法人の代表者、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、上記1.~3.の違反行為をしたときは、法人又は人に対しても、それぞれに定める罰金刑を科すものとされています。


    ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

    以上で厚生年金保険法は、終了です。次回からは国民年金法です。
    『アウトプット(本試験)で思わぬ勘違いを起こさないように』という趣旨で、『本試験での出題順(健康保険法→厚生年金保険法→国民年金法)』にあわせて、『予備校での学習順』とは逆にしています。
    最後の『大科目』となりますので、頑張っていきましょう。
    なお、本試験での出題順は、単に、『法律の制定順』であり、他意はありません。

     
     
     
    【人に寄り添う社労士】を目指す受験生の皆様へ 3年連続『選択式の1科目だけ基準点に1点足らず』で涙を飲んだ経験から、受験生の皆様へ最大限のリスペクトを込めて書いています。 私を『リアル』で知ってる方、全力応援させて頂きます。ご連絡下さい。 メッセージ受け付けONに設定しています。

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