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Big Beat 2026

    「Big Beat(ビッグ・ビート)」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?
    会社の名前、お店の名前、スポーツチームの名前、あるいは矢沢永吉の楽曲名など、答えは様々だろう。だが、洋楽好きの人にとっては「昔流行った音楽ジャンルの名前」というのが、最も馴染み深いところではないだろうか。

    Big Beatは、パワフルなブレイクビーツやファンキーなサンプリング要素を特徴とするダンスミュージックであり、90年代後半に一世を風靡した。非常に大雑把な言い方をすれば、クラブミュージックとロックを融合させ、クラブ初心者から音楽玄人までを虜にした音楽である。

    今から約30年前の1996年は、Big Beat界の「3大レジェンド」たちによって歴史的名盤が生み出された、界隈にとって極めて重要な年であった。
    3大レジェンドとは、現在も世界最高のDJの一人として愛されるFatboy Slim、デビューから現在まで精力的なリリースとライブ活動で人々を魅了し続けるThe Chemical Brothers、そして全世界で1000万枚以上のセールスを記録した「カニのジャケ写」でもお馴染みのThe Prodigyである。

    この1996年には、Fatboy Slimのファーストアルバムであり、その後に続くフォロワーたちの教科書となった『Better Living Through Chemistry』が発売された。また、The Chemical Brothersが当時人気絶頂だったOasisのNoel Gallagherをフィーチャーし、全英1位を獲得したシングル「Setting Sun」や、The Prodigyの歴史的サードアルバム『The Fat of the Land』にも収録される大ヒットシングル「Firestarter」「Breathe」もこの年にリリースされている。まさに1996年は、Big Beatの夜明けとも言える年なのだ。

    当時高校生だった私は、DJになりたい一心で、少ない小遣いとバイト代をかき集めてはBig Beatのレコードを少しずつ買い集めていた。そんな私も、気がつけば人生の折り返し地点を過ぎた40代後半。いまだに中古レコード屋でBig Beatの盤を見つけると放っておけず、高円寺の「Yakusyu」にて不定期で開催している、Big Beatを聴きながら餃子を食べて踊るDJパーティ「ビッグビート餃子」で、集めたレコードを供養する日々を送っている。
    30年前と変わらず、いまだに「Big Beat」なんて言葉を使い、レコードを買い、プレイし続ける変人は、日本広しといえど私くらいなものだろう。

    だが、言い換えればこうも言える。世界的にヒットした楽曲はもちろん、日本で独自進化を遂げた楽曲、映画やCM、テレビ番組などで当たり前に使われるようになった背景……。ここまで一般化したはずの音楽ジャンルが、急速に「オワコン化」していった歴史は、このままでは公に記録されることなく、「そういえば昔そんなのあったね」で終わってしまう可能性がある。
    それならば、自分の情熱を注ぎ込み、Big Beatをトコトン深掘りして、その華麗な歴史を自分なりにまとめよう――そう思い立ったのが、2024年の年末だった。

    そうしてBig Beatについて調べ始めて出会ったのが、この本である。


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    https://www.amazon.co.jp/Little-Big-Beat-Book-English-ebook/dp/B086WHQVS6/ref=tmm_kin_swatch_0

    イギリスのDJ/音楽プロデューサー/映画監督である Rory Hoy氏によるおそらく世界で唯一のBig Beatの本。彼のことはかなり前から知っていたし、MixCloudでもよく彼のMixを彼のミックスを聴いていたが、本を出しているのは知らなかった。Amazonの紹介文にはこうある。

    Big Beat was once one of the biggest, but ironically, perhaps most misunderstood musical movements of the Mid-Late 1990's, lead by some of the biggest artists the Electronic Dance Music scene has ever seen, such as Fatboy Slim (AKA Norman Cook), The Chemical Brothers and The Prodigy. It's loud, eclectic sound with it's syncopated beats was a smash around the world, leading to nights of boozy (but good natured) hedonism, and it was the soundtrack to the advertising world of the late 1990's and early 2000's. But, somewhere along the way, the genre got a massive backlash from critics, leading to a very quick and painful death, and became the very victim of it's own success. Where did it go wrong and is there a chance for the scene to experience a revival? With new and exclusive interviews with Rory Hoy from 120 of those who were in the thick of it (including Fatboy Slim and Liam Howlett and Keith Flint from The Prodigy) - this is a celebratory (and sometimes humorous) look at a music scene that was short lived . . but had a very big impact.
    [以下日本語訳]
    ビッグ・ビートは、1990年代半ばから後半にかけてファットボーイスリム (ノーマンクック)、ケミカルブラザーズ、プロディジーなどダンス・ミュージックシーンの大物アーティスト達が主導した、最大規模でありながら、皮肉にもおそらく最も誤解されていた音楽ムーブメントのひとつだ。その大音量で様々なジャンルから寄せ集められたサウンドとシンコペーションの効いたビートは世界中で大ヒットし、酒浸りの(でも平和的な)快楽主義へと導いてくれた。また、1990年代後半から2000年代初頭にかけて広告業界にとっては必須アイテムにもなっていた。しかし、その過程で、このジャンルは批評家たちから大きな反発を受け、非常にスピーディかつ痛ましい死を遂げ、自らの成功の犠牲となってしまった。どこが間違っていたのか、そしてこのシーンが復活する可能性は残されているのか?当時その渦中にいた120人(ファットボーイ・スリム、ザ・プロディジーのリアム・ハウレットとキース・フリントを含む)への新規独占インタビューを通じ、短命ながらも非常に大きな影響を与えた音楽シーンを、祝祭的(時にユーモラスな)視点で振り返る。

    という非常に興味深そうな内容だったので急ぎKindle版を購入し、英語に苦戦しながらも年末の時間を使ってなんとか読了。読んだ感想としては
    「この人、すごすぎ」
    である。Big Beatの情熱や知識は自分よりも圧倒的に上だったし、Big Beatが生まれた背景、そしていかにしてメジャーシーンにの仕上がり、ブームが去った後はどうなったのか、インタビューと考察を交えながら非常に事細かく書いてある。もう自分がやりたいことの85%はここに書いてある。

    ただし、彼が記載しているのはあくまでもその生誕地であるイギリスを中心にした内容であり、CaptainFunkをはじめ日本のビッグビートシーンについても本書に記載が少しあるが、それは本当に一部のような気がした。Big Beatというジャンルは、日本では独自に解釈されメジャー・インディーシーンから様々なアーティストと楽曲が生まれていた。そして、イギリスや他の国同様に、日本でもBig Beatがなければ生まれなかった文化や出会いがあった。

    ということで前置きが長くなったが、Rory Hoy氏のBig Beatからの引用も含めながら、このnoteを使って、自分なりにBig Beatの全てを少しずつだがまとめていこうと思う。

     
     
    Big Beatを愛するDJ。 高円寺Yakusyuにて、Big Beatで踊りながら餃子を食べるDJイベント「Big Beat餃子」を不定期開催中

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