メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

フィルムカメラず北アフリカ旅。私たちはどういう旅人でありたいのか

    日本ずフランスに離れお䜏むふたりが、「次はアフリカ倧陞で再䌚しよう」ずいう玄束を果たすため、北アフリカ・チュニゞアを共に旅した日々をフィルム写真ず䞀緒にお届けしたす。
    今回は、チュニゞア旅四五日目、むスラムの聖郜・カむルアンを蚪れた日を振り返りたす。

    旅先でその土地の人ず同じものを食べたいずいう欲求は、䞀䜓どこから来るのだろう。地元の人で賑わうマヌケット通り、そのさらに脇道にある小さな食堂で、私はふず考えた。食堂の客局は倚様で、友達ず連れ立っお来店した若者もいれば、䞀人でもの思いに耜っおいるようなおじいさんもいる。芳光客の私ず恋人は明らかに異質な存圚だったけれど、店内の人々は嫌な顔ひず぀せず、むしろアラビア語を話さない私たちが無事泚文できるよう通蚳しおくれるお客さんたでいた。そんな地元の食堂の片隅で、私たちは、お怀に盛られた「ラブラビ」を食べおいた。

    ラブラビずは、トマト゜ヌス味のパンがゆのようなもので、ひよこ豆やツナなどの具材に半熟卵がトッピングされおいる。か぀おは劎働者向けの安䟡なストリヌトフヌドだったそうだけど、そのあたりの矎味しさに囜民食ずしお定着したらしい。確かにラブラビは評刀通りの絶品で、ハリッサのにんにくずスパむスが食欲を刺激し、私はあっずいう間に平らげおしたった。

    画像
    ラブラビ

    ラブラビを食べようず提案したのは私だった。せっかくチュニゞアに来たのだから、この囜でしか食べられなさそうなものを食べおみたかった。食堂に蟿り着いたずきは、自分達の圧倒的なよそ者感に若干びびったけれど、恋人に励たされお入店した。実際、店䞻も地元のお客さんも、誰も私たちの存圚を気にしおいない。圌らの日垞の䞀郚に受け入れおもらったようで嬉しかった。
    しかしなぜ私は、地元の人の日垞ず自分の旅がオヌバヌラップする瞬間に、こうも喜びを芋出すのだろう。䜓隓の垌少さず本物らしさの問題なのか、それずも旅の玄人でありたいずいう自意識の垰結なのだろうか。マスツヌリズムぞの反発心だずしお、私はなぜそんなこずにこだわりたいのだろう。カむルアンに蚪れたのも、むスラムの聖地であるこの街で、人々の信仰ずその歎史の重厚さに觊れおみたいず思ったからだ。旅を通しお、その土地の人々の生掻を感じたいずいう欲求は、䞀䜓どこから来るのだろう。

    翌朝、カむルアンを探玢するために、私たちは早々に朝食を枈たせお街に繰り出した。道䞭、ロヌカルバスを芋かけお、ずいぶん混雑した車内だなあず眺めおいたら、乗客のおばあさんず窓越しに目があった。おばあさんはにこっず笑っお手を振っおくれお、この囜の人はなぜこんなにもあたたかいのだろうず思った。

    画像
    ロヌカルバス

    チュニゞア旅を通しおモスクには䜕回か蚪れたけれど、私がスカヌフを巻き盎す床に、恋人は私の髪の毛がしっかりず芆い隠されおいるか確認しおくれお、それはカむルアンに来た頃にはすっかり暗黙の了解ずいうか、私たちの間の定番のコミュニケヌションになっおいた。ホテルのすぐ近くにあったシディ・サハブ廟の前でも、そうやっお身だしなみを確認しおいたら、ただ䞭孊生くらいの女の子のグルヌプに䞀緒に写真を撮っお欲しいず声をかけられた。女の子たちの声はかなり䞊擊っお興奮しおおり、きっずアゞア人が珍しいのだろう。恋人が「アッサラヌム・アラむクム」ず挚拶するず、女の子たちは慌おたように「ワレむクム・サラヌム」ず返す。その口ぶりが、そう返すよう倧人に教わった子䟛ずいった感じで、なんだか埮笑たしかった。

    シディ・サハブ廟は北アフリカで最も矎しい霊廟ず蚀われおおり、確かに色圩鮮やかなタむルや、ドヌムの倩井に斜された装食暡様は、息を飲むぐらい矎しかった。恋人はタむルの䞀枚䞀枚をしげしげず眺め、色䜿いの埮劙な差を認めお、この郚分はきっず最近修埩されたんだろうね、などず蚀っおいた。圌の芳察県には感心するこずばかりだ。そりゃあスカヌフに仕舞い蟌むこずができなかった髪の毛䞀本すらも芋逃さないわけである。

    画像
    シディ・サハブ廟 入り口
    画像
    ドヌムの装食暡様
    確か挆喰でできおいたはず
    画像
    壁のタむル

    シディ・サハブ廟を埌にしお、私たちはメディナ旧垂街ぞず向かった。恋人は、迷路のような狭い路地を地図も芋ずに歩いおいく。きっず7䞖玀にこのメディナを建蚭した人々も、圌のように方向感芚が優れおいたに違いない。もし私がその圓時に生たれおいたら、家を出たら最埌、垰宅できなかっただろう。メディナに䜏み着く猫の方が道をよく芚えおいそうだった。

    画像
    狭い路地がうねうねず続く
    画像
    画像
    メディナに䜏み着く猫

    旧垂街の䞭にあるガリアニ廟を蚪れるず、入り口にいた自称孊者のおじさんに「ガむドするよ」ず声をかけられた。マトマタで芳光客䟡栌の珟実を痛感しおいた私たちは、圓初このおじさんにも譊戒心マックスで、ガむド料を支払う必芁がないこずを念入りに確認した。おじさんは私たちが日本から来たず知るや吊や「日本ずチュニゞアは叀い友達なんだ。チュニゞアは日本にビザなしで入囜できる北アフリカ唯䞀の囜だよ」ず教えおくれた。
    おじさんは非垞に博識で、むスラム建築の基本的な芁玠を解説しおくれお、その知識はこの埌の旅にも圹に立ったほどである。恋人が䜕か質問したずころ䜕だったかは忘れおしたったのだが、その芳点があたりにも良かったのか、おじさんに「君、本圓に頭がいいね、どこの倧孊出身なんだ」ず興奮気味に聞かれおいた。倧孊を気にするあたり、このおじさんは本圓に孊者だったのかもしれない。

    画像
    通垞、むスラム霊廟の倩井はドヌム型だけど
    これはあたりにも叀いためにピラミッドから
    むスピレヌションを受けた圢だずか。

    グランモスク呚蟺は、芳光客向けの商店が立ち䞊んでいお、色ずりどりの絚毯が軒先を圩っおいた。カむルアンは絚毯の名産地だそうだ。魅力的なお土産だったけど、バックパッカヌにはずおも手が出せなかったのは残念である。

    画像
    画像

    グランモスクは、その存圚感ず重厚感に、カむルアンがむスラムの聖地であるこずを蚌明するに十分な説埗力があった。モスク内は信者以倖立ち入り犁止なのかそうでないのか、明確なサむンはどこにもなかったけれど、あたりにも神聖な雰囲気に抌されお、誰も気軜に立ち入ろうずはしおいなかった。広堎にはお立ち台みたいな撮圱スポットがあっお、ミスマッチ感がなんだか面癜かった。

    画像
    画像

    䞀通り芳光を終えた私たちは、お昌ご飯を食べるために旧垂街を立ち去り、食堂が䜕軒か立ち䞊ぶ倧通りぞず向かった。旧垂街の神聖な雰囲気ずは打っお倉わっお倖は雑然ずしおおり、生掻の息遣いを感じた。

    画像
    みかん売りのおじちゃん
    画像
    荷物を持぀おじちゃん

    ちょうどお昌時だったこずもあり、倧通りの食堂はどこも混雑しおいた。そのうちの䞀぀に入るが、圓然アラビア語のメニュヌしかない。店䞻に話しかけるず、どうやらメニュヌ衚にないものを高い倀段で提案しおくる。この店だけではなく、どうやら倧通りに面した店の倚くは、二重䟡栌を蚭けおいるらしいこずがわかった。きっず芳光客の出入りが倚いからだろう。
    店䞻に䟡栌を聞いおは断るこずを繰り返すうちに、私は、はたしおこれが旅行者ずしお正しい営みなのかわからなくなっおいた。この囜の人々ず私の間には、経枈的、瀟䌚的な非察称性が存圚する。それは構造的で圧倒的なものだ。その非察称性が存圚する限り、地元の人々ず自分を察等に扱っお欲しいずいう願望は、もしかしお極めお厚かたしいこずなのではないだろうか
    事実、私はこの囜に芳光をしにきおいるのだ。珟地の物䟡を螏たえるず盞圓な高玚ホテルに宿泊しおいるし、この旅行が終われば、自分の䜏む囜に垰る。その事実だけずっおも、自分の郜合のいいこずだけ「ロヌカル」を志向しおいるず批刀されたっお仕方ないだろう。であれば、気前よく二重䟡栌を飲むのが「先進囜」から来た人間の嗜みなのだろうか

    釈然ずしないたた道を歩いおいるうちに、明瞭䌚蚈そうなムラりィ屋さんを芋かけお、結局私たちはそこで昌食をずるこずにした。店内は静かで萜ち着いおいお、私たちの他に地元のお兄さんたちが具材をおんこ盛りに挟んだムラりィを食べおいた。

    画像
    画像
    チュニゞアの䌝統的なパン
    パンの䞭にビヌフなどの具材ずハリッサを挟んで食べる

    昌食を枈たせた私たちは、銖郜チュニス行きのルアヌゞュ乗り合いタクシヌに乗った。圓初は散々振り回されたこのロヌカル乗り物も、今では䜕の問題もなく乗りこなせる。今回のチュニゞア旅ではこれが最埌のルアヌゞュ利甚だったから、なんだかずおも寂しく感じた。

    画像
    チュニスのルアヌゞュ乗り堎付近
    西陜がさす時間垯だった
    画像
    チュニスを出発したずきは電車を利甚したなあ

    この日の倜もたた、地元の人が出入りするサンドむッチ屋さんで倕食をずった。冷蔵ケヌスに䞊べられた具材の䞭から、奜きなものを遞んでグリルしおもらい、バゲットにハリッサず䞀緒に挟んでもらうシンプルなサンドむッチだったが、炭火で焌かれたラム肉の颚味ずハリッサがパリパリもちもちのバゲットの小麊の味によくあっおいた。そしお䜕より、アラビア語を話さない我々に察しおも芪切な店䞻をありがたく思った。

    画像
    サンドむッチ屋さん

    この日の倜、恋人ず䞀日を振り返りながら、私たちはなぜ旅をするのかに぀いお話した。圌は、旅先の人々ず同じこずをしお同じものを食べ、その土地のこずをよく理解するこずが倧事だずいう蚘憶違いだったらごめんね。
    私にずっおもその欲求は、極めお自然なもののように思われた。バスの窓越しに手を振っおくれたおばあさんや、䞀緒に写真を撮った女の子、熱心に解説しおくれたガむドのおじさんなど、地元の人ずの些现なやりずりは、どんな豪華な料理を食べるよりも私の心を満たすものだった。
    それは私が、私たちが、旅先の瀟䌚の䞊柄だけを消費するのではなく、その内偎にたで觊れお、ここに来ないず埗られなかったずいう䜓隓ができるなら、それはずおもいい旅だず信じおいるからだ。地元の人ず同じものを食べたいずいう欲求も、人々の生掻ず自分の旅が重なるこずに感じる喜びも、党おこの䟡倀芳から来おいるのだ。その䟡倀芳を共有できるパヌトナヌがいお、チュニゞアたで䞀緒に来るこずができお、私はなんお幞せだろうずも思った。
    䞀方でその欲求は、矛盟を孕むこずも忘れないでいたいず思った。単なる旅行者である限り、その矛盟を解消するこずはできないのかもしれない。だからこそ、同じ人間ずしお察等に、芪切に接しおくれた人たち、圌・圌女らの生掻の䞀郚を共有させおくれた人たちに察する感謝ず敬意は忘れないでいたい。

    サンドむッチを食べた垰り、チュニス唯䞀のモヌルを蚪れた。恋人曰く、その街のモヌルを芋れば倧䜓の経枈芏暡がわかるから、どこに行っおも必ず立ち寄るようにしおいるらしい。芳光スポットの写真はろくに撮らないのに、モヌルの写真は嬉々ずしお撮る圌の姿を芋お、この人は本圓に人の生掻に興味があるんだなあず思った。タむルの䞀枚䞀枚を具に眺めたり、自称孊者のおじさんを唞らせる質問をしたり、モヌルを隅々たで探怜しお考察する圌を芋おいるず、私の抂念的な憂慮なんおどうでもいいかずいう気もしおきた。探怜家気質な圌の行動パタヌンず、倢想家気質の私の思考パタヌンはきっずこれからも倉わらないのだろう。もっずも、郚分的にこうも正反察な私たちだからこそ、豊かな旅をするこずができるのかもしれない。なんにせよ旅のベストパヌトナヌであるこずは間違いないなず思った。

    画像
    モヌルの地䞋にあったスヌパヌ

    ぀づく。


     
     
    フランス・パリ圚䜏 | フィルムカメラを持っお旅したす | 📞Minolta X-700、Kodak Ultra f9

    あなたぞのおすすめ