
【温泉ファンタジー】Sa・Ga3 温泉の覇者 第2話 温泉で動く機械
スパロウ
「見つけたぞ!」
スパ子
「早すぎるでしょ!?」
二人は崩れた岩肌をよじ登り、ぽっかりと口を開けた入口へ近づいた。
近くで見ると、その巨大さはさらに際立っていた。
壁面は金属。
だが見たことのない材質だ。
錆びているようにも見えるが、崩れてはいない。
スパ子
「これ、本当に遺跡なの?」
スパロウ
「さあ?」
スパ子
「さあって。」
スパロウ
「入れば分かる。」
スパ子
「それで今まで何回ひどい目に遭ったと思ってるのよ。」
スパロウ
「数えてない。」
スパ子
「私は数えてる!」
文句を言いながらも、スパ子はしっかり後をついてくる。
二人は薄暗い通路へ足を踏み入れた。
ひんやりとした空気。
長い年月、人の出入りがなかったのだろう。
静寂だけが支配していた。
スパロウ
「なんか変だな。」
スパ子
「何が?」
スパロウ
「遺跡なのに、あんまり壊れてない。」
言われてみればそうだった。
壁も床も古びてはいる。
だが崩落している箇所はほとんどない。
まるで今でも使えるかのように保存されている。
スパ子
「そう言われると……。」
その時だった。
コツッ。
スパロウの足が何かに当たった。
スパロウ
「ん?」
通路の隅に、小さな機械が転がっていた。
履帯。
アンテナ。
四角いモニター。
電源が落ちているのか、画面は真っ暗だった。

スパ子
「なにこれ?」
スパロウ
「機械じゃないか?」
スパ子
「見ればわかるわよ。」
スパロウはしゃがみ込み、機械を観察する。
側面には小さな給入口らしきものがあった。
スパロウ
「なんか入れられそうだな。」
スパ子
「だから何を?」
スパロウ
「温泉。」
スパ子
「なんで?」
スパロウ
「勘。」
スパ子
「その勘で何回ひどい目に遭ったと思ってるのよ。」
スパロウは聞いていない。
腰の水筒を取り出し、給入口へ秘湯を流し込んだ。
ぽちゃん。
数秒の沈黙。
スパ子
「ほら、何も――」
ピコン。
スパ子
「え?」
ピコン、ピコン。
ガコン。
ギギギギギ……
機械が震え始めた。
スパ子
「動いたぁ!?」
ガシャッ!
機械がゆっくりと起き上がる。
真っ暗だったモニターへ文字列が流れ始めた。
見たことのない文字だ。
やがて表示は縦線二本だけになった。
まるで目のようだった。
スパ子
「うわっ!?」
スパロウ
「やっぱり。」
スパ子
「やっぱりじゃない!」
機械は二人を見つめる。
そして、口を開いた。
ロボ?
「起動確認。」
ロボ?
「エネルギー残量、21パーセント。」
ロボ?
「システムチェック完了。」
スパ子
「しゃべった!?」
ロボ?
「初メマシテノ方ニ質問デス。」
スパ子
「なんか微妙に変な日本語ね。」
ロボ?
「ソコニ突ッ込マレルト困リマス。」
スパロウ
「なんだ?」
ロボ?
「温泉ハアリマスカ?」
スパロウ
「あるぞ。」
ロボ?
「ヨカッタ。」
そう言うと、機械は本当に安心したように沈黙した。
スパ子
「何その反応。」
ロボ?
「温泉ガ無ケレバ、私ハ再ビ停止シテイマシタ。」
スパロウ
「温泉で動くのか?」
ロボ?
「当然デス。」
スパ子
「当然じゃない。」
ロボ?
「理解不能デス。」
スパ子
「こっちの台詞よ!」
ロボ?は少しだけ首を傾げた。
そして通路の奥へモニターを向ける。
ロボ?
「案内シマス。」
スパロウ
「どこへ?」
ロボ?
「時空潜鉱艦ステロス。」
スパ子
「じくう……何?」
ロボ?
「本艦デス。」
スパロウ
「本艦?」
ロボ?
「ソコニアリマス。」
二人は顔を見合わせた。
その先に何があるのか。
まだ知る由もなかった。