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【温泉ファンタジー】魔界湯士Sa・Ga 第7話 秘湯の向こう側

     亀裂が走る。
     次の瞬間。
     ドゴォォォォォン!!
     轟音。
     魔物の外殻が砕け散った。
     巨体がゆっくり傾く。
     地面が揺れる。
     そして___。
     魔物は、完全に沈黙した。
     静寂。
     しばらく誰も動かなかった。
     やがて。
     スパロウが大きく息を吐く。
    「……勝ったぁぁぁぁっ!!」
     スパ子はその場へ座り込み、ぐったりと空を見上げた。
    「はぁ……。もう二度とチェーンソーなんか振り回したくない……。」
    「でも助かったぜ、スパ子!」
     スパロウが笑いながら手を差し出す。
     スパ子は少しだけ迷ってから、その手を取った。
     立ち上がる。
     そして二人は、同時に秘湯を見る。
     白い湯気。
     静かな水面。
     まるで何事もなかったように、そこに在った。
     スパロウがニヤリと笑う。
    「入るか。」
    「ええ……。」
     ____
     二人は秘湯へ浸かる。
     湯気が静かに揺れる。
     戦いの熱が、ゆっくり溶けていく。
     スパロウは肩まで湯へ沈みながら、大きく息を吐いた。
    「はぁぁぁ……。やっぱ秘湯は最高だなぁ……。」
     スパ子は少し距離を取りながら湯へ浸かる。
    「……太郎。」
    「ん?」
    「そっち狭いでしょ。こっち来てもいいわよ?」
    「おっ、いいのか!?」
     スパロウが嬉しそうに近寄る。
     スパ子は顔を逸らしたまま、小さく呟いた。
    「……見るなよ?」
    「見ねぇよ。」
    「今ちょっと間があった。」
    「ちょっとしか見てねぇ。」
    「見てるじゃない!!」
     山奥へ、スパ子の叫び声が響く。
     その夜。
     魔界の霧は、少しだけ薄くなっていた。

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     山を下りる途中。
     スパ子がふと振り返る。
     霧の薄くなった山の奥。
     ほんの一瞬だけ。
     見たこともない景色が見えた気がした。
     青い空。
     光る湖。
     そして、巨大な温泉郷。
     だが次の瞬間には、もう消えていた。
    「……今の、何?」
    「ん? どうした?」
     スパ子は小さく首を振る。
    「……なんでもない。」

     ____
     翌朝。
     魔界の山には、静かな風が吹いていた。
     昨日まで辺りを覆っていた白い霧も、今はかなり薄くなっている。
     鳥の声が聞こえた。
     魔界へ入ってから、初めてだった。
     スパロウは大きく伸びをする。
    「いやぁ、いい秘湯だった!」
    「命懸けだったけどね……。」
     スパ子は呆れながら荷物をまとめる。
     ちなみにチェーンソーも、いつの間にかパレオのどこかへ収納されていた。
     もう突っ込まない。
     スパロウは鳥居の方を振り返る。
    「結局、あいつは何だったんだろうな。」
    「さあね。本当に守り神だったのかもよ?」
    「いや、バケモンだったろ。」
    「それはそう。」
     二人は顔を見合わせ、小さく笑った。
     そして山を下り始める。
     秘湯を巡る旅は、まだ終わらない。
     世界には、まだ見ぬ秘湯がある。
     まだ見ぬ温泉。
     まだ見ぬ絶景。
     そして___まだ見ぬ楽園。
     スパロウはニヤリと笑う。
    「次はどこの秘湯へ行く?」
     スパ子は肩をすくめた。
    「はいはい。付き合うわよ、温泉バカ。」
     朝日が山道を照らす。
     二人の背中が、ゆっくり遠ざかっていく。

    第6話 チェーンソーは乙女の秘密   目次

    Sa・Ga2 秘湯伝説 ~境界の秘湯と温泉女神~

     
     
    DERAです。 ガンダムやMSについて、好きな機体や勝手な仮説を書いていきます。 走る前から何かがズレるマラソン日記、普通なら流すところに引っかかる雑談、温泉に3分入ると強くなる男の創作ファンタジーを書いています。

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