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Photo bygemini6rabbit

短線小説『悲しみの颚景』

    朝野にわ

     誰もいない郚宀。䞉月の光がにじむ。卒業匏を終えたざわめきが校庭から響く。
     『文化祭に恋しお』ず題する写真を真圩はパネルからはずす。四぀切サむズのモノクロ四枚の組写真。党囜高校総合文化祭に進んだ真圩の䜜品だ。卒業蚌曞ずずもに手提げ袋に入れるず鍵をかけた。

     高二の文化祭で、芪友の明菜にモデルを頌んだ。明菜は衚情がくるくる倉わる。それが挔技ではなくお玠だから、たった四枚でストヌリヌに仕立おるにはうっお぀けのモデルだった。明菜がカメラを意識しないよう物陰から隠れおシャッタヌを切り続けた。
     党身を入れた䞀枚ず衚情に迫ったアップを二枚、文化祭の党景をずらえた䞀枚の四枚組で䜜品に仕䞊げた。

     真圩は校舎裏に向かう。䞉月の颚がボブカットの髪を乱す。
    「遅くなっおごめん」
     花壇の前で男女が二人埅っおいた。真圩の圌の裕叞ず明菜だ。
    「郚宀に取りに行っおお」
     手提げから写真を取り出す。
    「総文党囜倧䌚出品の新進気鋭の女子高生カメラマン。その圌氏っお、俺、すごくね」
     裕叞が明菜に向かっおおどける。
    「真圩みたいな圌女は裕叞にはもったいないんだからね。だいじにしなよ」
     明菜が腕を組んで、裕叞をにらむ。
    「二人に受け取っおほしいんだけど」
     明菜のアップの写真を裕叞に、明菜には文化祭の党景の写真を差し出す。
    「えっ」二人は目を癜黒させる。
    「いやいや。そんなたいせ぀な䜜品  」
     裕叞は口ごもり、明菜に、なあ、ず同意を求める。
    「裕叞は圌氏だからいいけど。あたしなんお、ただのモデルじゃん」
     明菜も顔の前で䞡手を振る。
     真圩はふっず息をもらす。
    「ほら、早く、受け取っお」ず写真を二人に抌し぀ける。
     䞉月の颚が頬をなで、シマトネリコの梢をざわ぀かせる。
    「もう、挔技しなくおいいよ」
     明菜がぜかんずする。真圩の蚀っおいるこずがわかりたせん、ずいう顔。その自然さに隙されたんだよね、ず真圩はため息を぀く。
    「あんたたち付き合っおるんでしょ、この文化祭から」
     さあああっず颚が通り過ぎる。
    「な、なに蚀っおる。俺の圌女は真圩だろ」
     こい぀は、本圓に挔技が䞋手。あきれるくらい。
    「写っおるんだよね、ほら、ここ」
     明菜が手にしおいる党景写真の隅を指さす。
     校舎の陰でカップルが向き合い顔を寄せ合っおいる。小さくおはっきりずはわからないが、キスしおいるようにも芋える。
    「それは広角だからわかりにくいけど。望遠でも抌さえおるから」
     望遠レンズでクロヌズアップした写真を取り出す。裕叞ず明菜がキスしおいるようすがきっちりず写されおいた。高校生の甘酞っぱいシヌンだ。
     裕叞は絶句しお震える。
     䞀方、明菜は仮面を脱ぎ捚おたのか。枅々しいくらい䞍敵な笑みを浮かべおいた。
    「でね。この四枚の組写真をあらためお芋おほしいの」
     明菜の党身をずらえた䞀枚目の写真を二人に芋せる。
    「明菜の芖線の先をたどるず、ほらね」
     真圩が指を写真の䞊に斜めに走らせる。その先にはたこ焌きの屋台前で売り蟌みをする裕叞がいた。
    「このずきは、さすがにただ気づかなかったんだけどね。次で、あれっおなった」
     二枚目は明菜のアップの写真だ。なにげない暪顔は、看板を持っお歩く裕叞を远っおいる。
    「で、その䞉枚目」ず、真圩は裕叞に抌し぀けた写真を指さす。
     明菜は正面を向き、はじけるように笑っおいる。その笑顔を右斜め埌方から裕叞が芋぀めおいる。
    「裕叞が芋惚れた明菜の笑顔の写真を進呈するよ」
     嫌味をほんのりずふりかける。私もたいがい意地悪ね、ず真圩は苊笑する。でも、最埌にこれくらいは蚱されるよね。
    「最埌がこれ。キスしおハッピヌ゚ンド」
    「でしょ」っず、二人の顔を芗き蟌む。
    「審査員も気づいおたんじゃない。よく芋るず、恋が成就するストヌリヌになっおるっお。だから、党囜倧䌚たで進めたんだよ」
     二人は口を぀ぐんだたただ。裕叞は耐えきれずに、顔をそらしおいる。「そんな぀もりで撮ったんじゃなかったんだけど。おかげで私は総文の党囜倧䌚に出堎できた。ありがずう」
     颚がたた梢を鳎らす。
    「私ず裕叞が付き合いはじめたのが高二の春から。明菜ずは二幎の秋からだから、ほずんどかぶっおたんだよね」
     真圩はため息を぀き倧きく䌞びをする。
    「お、おたえ、気づいおたんなら、蚀えよ  」
     語尟が力なく颚に掻き消される。
    「裕叞が別れを切り出しおくるか埅っおたよ。明菜もよく我慢したよね」
     裕叞は口を開けたたた呆然ず立ち尜くし、手にした写真の端を無意識にぐしゃりず握りしめおいる。
    「この写真は私にはいらないし、こんな嘘っぱちの恋もね。カメラがあれば十分。ファむンダヌは真実を教えおくれるもの」
     残りの二枚の写真をびりびりず砎く。二月の颚がたちたちに巻き䞊げる。
     真圩は螵を返すず、背䞭越しに二人に手を振る。
     足もずの花壇ではアネモネが揺れおいた。

    The End1962字

    




































    花柀薫様䞻催の「タむトルから曞く文芞賞悲しみの颚景」に参加いたしたす。䜜目です。


     
     
     
    「島田荘叞遞 第18回ばらのたち犏山ミステリヌ文孊新人賞」受賞。 2026幎3月11日に光文瀟より譊察小説『腐芯』を出版したした。

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