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ひとりごと|家族の証明

    ※少しセンシティブな内容を含みます。



    早く子どもをつくらなければ、家族になれない気がしていた。

    夫とは紙一枚の関係。
    子どもがいなければ、夫とはいつまで経っても家族になれないと焦っていた。


    だけど、不妊治療をする勇気もお金もない。
    体に負担の少ない、病院指導のタイミング法と人工授精がせいぜい。



    夫は自分の両親に、
    「子どもは?」と帰省のたびに聞かれていた。
    いつのころからか、わたしを義実家につれていかなくなった。

    本格的な不妊治療じゃなくても、毎月病院に通う必要があり、職場に治療を受けていることを言う勇気もなく、仕事を辞めてしまった。


    40歳にさしかかり、なかなか職につかないわたしに、義母は
    「子どもも産まないくせに、いまだに働かない」
    と、親戚中に話していることを知ってしまった。


    夫は、わたしより10歳も年下。


    このまま、夫の人生をわたしに縛りつけたくなくて、何度も

    「わたしと居ても、子どもが居る人生を歩めないと思う。あなたには、まだ子どもを持てる人生がある」

    そう話して別れを提案したけれど、

    「子どもが欲しくて結婚したわけじゃないから。一緒に居たいから結婚したんだよ」

    そんなやりとりを繰り返した。

    初めは不安で仕方なかった。


    そうは言っても、時間が経てば子どもを理由に別れたくなるかもしれない。
    そのときは、わたしは素直に受け入れられる妻で居たい。


    気持ちはついていかないだろうけど……

    結婚して10年。
    子どもは、わたしたちのところに来てくれなかったけれど、それなりに一緒に過ごして、夫婦らしくなれてきた気がする。


    夫の兄弟が結婚し、子どもができたとき、
    あるいは、わたしが閉経したとき、
    夫の気持ちが「離婚」へと変わるかもしれない。


    その不安は消えないけれど、

    今、夫がわたしと一緒に居たいと言ってくれる気持ちを信じて、
    これからも、ふたりで過ごしていけたらと思う。






     
     

    とん

     
     
    日々の記録と、日常の延長のようなやさしい短編を書いています。 読んだあと、少しあたたかい気持ちになれる場所を目指しています。 趣味はYouTube、アニメを見ること。 おうちでまったりと、お茶と甘いものを楽しむのが好きです。

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