
『未練配達員』ー文学戦隊アイマスクーー毎週ショートショートnote
夜中。
つむぎ、布団の中でスマホを握りしめる。

つむぎ
「夜中にな……」
「目ぇ覚めるやろ?」
「ほんでnote見てまうねん……」
「スキ増えてへんかなって……」
天井から、黒い影がゆっくり降りてくる。
怪人
「フフフ……」

つむぎ
「うわっ!?」
「誰やお前!」
怪人
(巨大な郵便カバンを開く)
「我が名は――未練配達員」
封筒が大量に飛び出す。

『今から伸びるかもしれない』
『朝になれば増えるかもしれない』
『まだ読まれていないだけかもしれない』
つむぎ
「やめろや!」
「全部うちの頭ん中や!!」
怪人
「ご注文の品をお届けに参りました」
つむぎ
「頼んでへん!」
怪人
「午前一時四十八分……」
「二時十七分……」
「二時四十二分……」
「熱心なリロード、ありがとうございます」
つむぎ
「アクセス履歴読むな!! 恥ずいねん!!」
⸻
(どこからともなく)
アイマスク
「午前二時
通知の幻
追いかける」

つむぎ
「皆さん、この子今“寝ろ”を五七五で包んでますよ!」
怪人
「余計なお世話だ!」
「期待なくして創作はない!」
アイマスク
「その悩み――文学で片付きます。」
「フランツ・カフカの『城』です」
つむぎ
「嫌な予感しかしない……」
アイマスク
「ある男が、
城に辿り着こうとします。」
つむぎ
「うん」
アイマスク
「最終的に――」
「一生、辿り着きません」
つむぎ
「やめろや!!」
「noteの通知も来ぇへん言うてるやん!!」
怪人
「うっ……」
アイマスク
「noteのスキは
LOVEにはなりません」

怪人
「うぎゃ」
つむぎ
「うぎゃ」
アイマスク
「評価への未練。」
「反応への未練。」
「届いた証拠への未練。」
(静かに)
「『読まれていない』と認めることへの未練。」

未練配達員
「うぎゃあ!」
つむぎ
「うぎゃあ!」
アイマスク
「…効いていますね」
つむぎ
「お前のせいやろ!!」
未練配達員
(ふらふら)
「堪らん……」
「もう帰る……」
つむぎ
「帰れ帰れ!」
未練配達員
「また三時頃……」
つむぎ
「もう来るな!!」
アイマスク
「来ますよ」
つむぎ
「なんで分かんねん!」
アイマスク
「あなたが注文主ですので」

つむぎ
「うぎゃあ!!」
つむぎ
「見ぃひんかったら済む話やねん!
(間)
見てまうから困っとるんやろが!!」
今回参加させていただいたのは
田原さんのこちらの企画です。