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第二話「木の葉は落ちる、話もオチる、でも、言の葉は落ちず」後編

    桐野心春🌸

    🌸引き継がれたバトン

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    ──放課後のざわめきが遠のき、教室には期待を帯びた視線が集まっていた。
    黒板の前に歩み出る影──白井つむぎ。
    その手には、緑色のノート、『文字と笑いの地平線』。
    心春が書き上げた、初めての台本だった。

    胸がぎゅっと縮む。
    (……私の言葉で、本当に笑ってもらえるんだろうか。
    もし全然ウケなかったら……白井さんまで笑われてしまうかもしれない)
    期待よりも不安の方がずっと大きく、喉がひどく乾いていた。

    「ほな、やるで!」
    にかっと笑う声が、残された数枚の葉を揺らす風と重なった。

    つむぎの声が響くと、自然と人が集まってくる。
    同じクラスの生徒、他の教室から顔を出す者まで、輪が広がる。
    いつものように、教室は即席の舞台に変わった。
    つむぎは黒板の前に立ち、ノートを片手に笑みを浮かべる。
    その目は客席を射抜き、期待の空気を一気に掴んでいた。
    拍手とざわめきが交錯し、放課後の教室が一瞬ざわめきに包まれる。
    緑のノートが高々と掲げられた瞬間、物語と笑いの地平線が、確かにそこに拓かれようとしていた。

    🎙️葉っぱも笑う つむぎの文学案内

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    どーもー。
    人生3回目、今日は桐野に台本預けた白井つむぎです!
    よろしく!

    みんな!小説読んでる?
    小説は人の考えに触れて、感受性が豊かになる。
    読んだ方がええで!

    今日はおもろい設定の小説を3つ紹介するな!

    ⸻

    まずは一つ目、『山月記』(中島敦)。
    自尊心が強すぎて、孤独の末に虎になってしまった詩人の話や。

    虎になるって、大変やなあ。
    んなアホな!
    孤独で虎になるなら、うちらみんな虎になるで!受験生なんか孤独やっちゅうに。

    「大学入試の教室なんか見てみ!横見ても、前見ても、後ろ見ても──ガオーッ!」

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    そんなことあるかい!

    ⸻

    続いて二つ目、『鞄』(安部公房)。
    突然、現れた見知らぬ鞄に人生を縛られていく、不条理文学の代表作やな。

    鞄が自分と一体化ってな。
    「うち、この鞄と同一人格ですねん。寝る時は、この鞄によいこらしょっと入って寝るんですわ!」

    (間を置いて、自分でツッコミ)
    「……って、うちはエスパー伊藤か!」

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    (クラス大爆笑。机を叩く音、椅子がガタガタ揺れる)

    ⸻

    最後三つ目は『蜘蛛の糸』(芥川龍之介)。
    お釈迦様が、罪人カンダタに蜘蛛の糸を垂らし、地獄から救おうとする話やな。

    糸をつたって、つたって……
    「どうもー!なかやまカンダタンです!パワーッ!!」

    (全力で糸を引っ張って、お釈迦様ごと引きずり下ろす仕草)

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    カンダタ(キメ顔で)
    「ハッ!」

    教室は爆発したように笑いと拍手で揺れた。
    前の席の男子は机を叩きすぎて消しゴムを床に飛ばし、廊下から覗いていた後輩は笑い転げて立ち上がれなくなっていた。

    心春もつられて笑いながら、同時に胸の奥で別の感情を抱いていた。
    (……すごい。私が書いたのは「迷作三選」という骨組みだけ。
    作品を紹介して、少しツッコミを入れる──それしかできなかったのに。
    “虎になる”なんて発想、私は出せなかった。
    “エスパー伊藤”も、“なかやまカンダタン”も。
    全部、白井さんが自分で繋いで、広げて、笑いに変えていった……)
    心春は膝の上でそっと手を握りしめた。
    (同じ台本を持っていても、私には“この景色”は作れない。
    けれど──だからこそ、一緒に書きたい。
    自分にはない言葉を、白井さんは持っている。
    私の“命のバトン”は、たしかに届いてる)
    笑いの熱気の中で、心春だけは少し震えながら、
    その光景をまぶしく見つめていた。
    ⸻

    つむぎ
    「どれも素晴らしい作品やから、みんな読んでみてや。
    うちもまた新しい話に触れたなってきた。

    TSUTAYA行こうかな?
    あ、久しぶりやから会員証ないわ。
    卒業証書出して、会員証作ってと。

    卒業証書ないやん!どないしよ?
    TSUTAYAのカード作れへん!
    うち、情弱になってまう〜。

    卒業証書って……話題の某市長か‼︎」

    (教室、どっと笑い。誰かが「腹痛ぇ!」と叫び、後ろの方では椅子を蹴飛ばして倒れる音)

    ——間を置いて、つむぎが声を張る。

    つむぎ
    「……黙って台本に合わせてきたけども!あかん‼︎やらせてもらうで!」

    (ここから一気にアドリブ突入)

    「卒業証書持ち歩いて、身分証明するやつおるかい!」
    「TSUTAYAのカードはポイント貯まります──ちゃうねん!今はアプリや‼︎」
    「……そもそも!情弱になりたなければ
    新聞読めぇ!」

    (さらに畳みかける)

    「いい国(19.2)作ろう伊東市長!
    19.2秒、卒業証書を見せても良い国は作れません!
    お後がよろしいようで!」

    以上、人生3回目、悟ったつもりの白井つむぎでした!

    (教室大爆笑、拍手と歓声が混じり、床を踏み鳴らす音まで響く。まさに即席の劇場だった)

    🌸繋がった笑い 言の葉は落ちず

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    拍手の渦の中で、心春も手を叩いていた。
    ──けれど、自分の声はまだ震えていた。
    (「某市長か‼︎」……私には、それが限界だった。
    それを、あんなに広げて、笑いを生み続けるなんて……)
    笑いに包まれる教室の片隅で、心春は自分の胸に手を当てる。
    つむぎが言った「魂の触発」という言葉が、今は違う意味で沁みていた。
    (……受け取りました。
    白井さんの“魂の触発”。
    次は、もっと仕上げてきます。
    私の言葉で──笑いに届く台本を)
    目の前の舞台に立つつむぎを見ながら、
    心春の心に、新しい火が確かに燃え始めていた。

    拍手の熱がまだ残る教室で、つむぎは緑のノートを軽く掲げた。
    そのまま、心春の方へと歩み寄る。
    「……桐野」
    にかっと笑って、しかし目はまっすぐ。
    「台本、良かったで。元が良くないとな、ここまで広げられへん」
    心春は驚いて顔を上げた。
    つむぎは続ける。
    「葉っぱを“卒業証書”につないだ飛躍──なかなかやで。
    あれがあったから、オチまで一気に走れたんや」
    胸の奥が熱くなる。
    (……ちゃんと見てくれていたんだ)
    心春は小さくうなずいた。
    「……ありがとう。次は、もっと」
    その声はまだ震えていたが、瞳は確かに前を向いていた。

    ──ふと、教室の窓の外に目をやる。
    枝先には、たった一枚の葉が残っていた。
    夕風に激しく揺られながらも、決して落ちまいと、力強く枝にしがみついている。
    その葉の姿は、今の自分の心そのもののように思えた。
    (……まだ震えている。けれど、落ちはしない。私の言の葉も──)
    笑いの熱気の中で、心春だけは少し震えながら、その光景をまぶしく見つめていた。

    つづく

    🗳️ Parallel Time

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    つむぎ
    「ここで──STOP!選択の時間や!」

    ぱん、と手を叩く音が響く。

    「この小説はただの小説やない。
    みんなの選択で、話が変わっていくねん。
    さあ──心春とつむぎに、何を選ばせる?」

    第二話の選択はこれや!
    🅰️「もっと面白く!文化祭に向けて、台本をアレンジしたい」by 心春
    🅱️「このまま突っ走る!今回の台本で文化祭へ」by つむぎ

    👉 みんなの一票が、物語を決める!

    🕒 締切:9月7日 20:00まで!
    👉 投票は【Xの固定ポスト】から!
    https://x.com/routesparallel/status/1963572136603451829?s=46

    📖「前編も読みたい!」って方はこちら!
    第二話「木の葉は落ちる、話もオチる、でも、言の葉は落ちず」前編
    ⸻

    最後に──
    「うちの3回目の人生、楽しくしてくれるのはみんなやで!
    次の展開は、あんたの一票次第や!
    では──白井つむぎでした!
    ども、あした〜!」

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    文芸部の部室から始まった物語。 言葉の接続回路が少し変な私が、 笑い話に少しの揺らぎを入れて、 言葉を届けます。 たまにつむちゃんに叱られます。 お笑いコンビ「透明ティラミス」も活動中。

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