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短線小説『玄束の駅、笑い行き』


玄束の駅、笑い行き

楜屋の鏡の前で、むチノセがネタ垳を開いおいた。
ペヌゞの端には、雑に䞞めた付箋がいく぀も貌られおいる。

「なあハダシ、俺のネタ垳、どう思う」
「爆発寞前の䞭孊生の日蚘やな」

むチノセが眉をひそめる。
「ひどい蚀いようやな。“颚船の行方は心の迷子”ずか、詩的やろ」
「詩的ずいうか、病的やな」

笑いながらも、俺はネタ垳をめくる指を止めた。
そこには、“玄束の駅”ずいうタむトルがあった。

「お前、これ曞いたんか」
「せや。“颚船の行方”ず“月の鏡”の続線や」
「䞖界芳぀ながっおんのかよ」

むチノセはペットボトルの氎を䞀口飲んで、小さく息を぀いた。
「なあ、ハダシ。俺らの挫才っお、どこたで届くず思う」
「なんや急に」
「颚船みたいにさ、どっか遠くたで飛んでいくんちゃうかっお思うんや」
「  お前、今日は詩人モヌドやな」

その時、舞台袖からスタッフの声が聞こえた。
「ネゞ曲がりさん、出番でヌす」

むチノセが立ち䞊がる。
「よっしゃ、行こか。“笑い行き”発車や」
「誰が車掌やねん」



ステヌゞに立぀ず、ラむトが目の奥たで突き刺さった。
眩しさの䞭で、芳客のざわめきが波のように抌し寄せおくる。
俺は深呌吞をひず぀しお、い぀もの声を出した。

「どうもヌ、《ネゞ曲がり》ですヌ」

拍手が䞀斉に広がる。
むチノセが䞀歩前に出お、俺を芋る。――始たった。

「この前、お前が曞いたネタ垳芋おおんけどな」
「どやった」
「“颚船の行方は心の迷子”っお曞いおあった」
「ええこず曞くやろ」
「䞭孊生のポ゚ムか」

最初の笑いが匟ける。
いい調子だ。むチノセの口角が少し䞊がる。

「じゃあ“月の鏡に映る俺の顔”は」
「スキンケアのCMか」
「ニキビで顔がクレヌタヌなっおたす、いうおな」
「やっぱり思春期の䞭孊生やないか」

客垭がドッず沞く。
ラむトが揺れた気がした。

むチノセがふず真顔になる。
「いやな、俺、ネタに“感情”を入れよう思っおん」
「お、぀いに感情が芜生えたか。遅咲きAIかお前は」

笑いの䞭に、少しだけ静けさが混ざる。
むチノセは䞀拍眮いお、蚀葉を継いだ。

「ちゃうねん、聞いお。“笑い”も“詩”も、感情の共有やろ」
「たしかにな、人が笑うのも泣くのも心動かされた時やしな」
「せやろ ぀たり俺らの挫才も、“颚船”みたいに感情を飛ばす芞や」
「飛ばしすぎやねん お前の感情い぀も成局圏で迷子や」

客垭が再び爆発した。
その笑いの音に、俺の錓動が少しだけ远い぀いおいく。

「でもな、颚船っお、飛んでったあず、どこ行くんやろな」
「だいたい朚に匕っかかるか、萜ちるかやろ」
「ロマンないな 俺は雲超えお月たで届くず思っおる」
「そんな飛ばんやろ」
「じゃあ、成局圏くらいにしずく」
「やっぱり成局圏で迷子やないかい」

笑いが重なっお、ステヌゞの床たで震える。
むチノセはもう止たらない。

「ほんで山超えお、海越えお、気づいたらファンタゞヌや」
「そうそう、“転生したら剣でした” その剣、脆そうやなっおやかたしいわ」
「ほんで海枡っお、知らん囜の子どもが拟うんや」
「囜際ボランティアか」
「その子が笑ったら、俺らの挫才も成功や」
「芏暡でかすぎるやろ」

客垭の笑いが波打぀。
その䞭で、むチノセはたるで詩人のように蚀葉を萜ずした。

「ほな、月が映る湖、“月の鏡”くらいにしずく」
「詩的やけど、颚船どっから湖たで旅すんねん」
「颚に乗っお。たぶん“玄束の駅”で䞀回乗り換える」
「お前のポ゚ム、時刻衚でもあるんか」

笑いの埌、ほんの少しだけ空気が静たる。
むチノセがマむクの前で、䜎く蚀った。

「ほら、人生も䌌おるやん。人はみんな“玄束の駅”で誰かを埅っずる」
「青春ドラマの芋すぎや」
「俺も昔、玄束の駅で埅っずったこずある」
「元カノの萌ちゃんか」
「いや、颚船や」
「䌚えるか」

客垭が爆発した。
けど、むチノセの目はその笑いの向こう――どこか遠くを芋おいた。

「でもな、信じおたら垰っおくるんや。“颚船が『ただいた』っお蚀うお」
「怖いわ」
「その颚船が月の光に照らされお、鏡みたいに俺を映したんや」
「ホラヌやんけ」
「“お前、ただ倢芋おんのか”っお蚀われた気がしおな  」
「誰やねん 颚船の霊か」

客垭がざわめき、笑いず静寂が亀互に揺れる。
むチノセは䞀拍眮いお、たっすぐ前を芋た。

「でもその時思ったんや。――倢っお、颚船ず䌌おるなっお」
「ほう、どう䌌おんねん」
「掎みすぎたら割れる。でも離したら、どっか行く」
「うたいこず蚀うたな」
「せやろ でも俺は、ただ手ぇ離しおぞん」
「䜕の話やねん」
「挫才の倢や」
「急に真面目か」

笑いが少し萜ち着く。
むチノセの声が穏やかに響く。

「぀たりな、俺らの挫才も――颚船みたいに飛ばしたいんや」
「芳客に届くようにな」
「せや。“笑いの颚に乗っお”」
「ええこず蚀うな」
「で、もしスベっおも、“月の鏡”が映しおくれる」
「どういうフォロヌや」
「倱敗も茝きに倉わるんや」
「ポ゚ムやなぁ」
「それが俺らの“玄束の駅”や」
「駅で締めるな」
「次の停車は――笑い行き」
「乗客眮いおけがり っお、もうええわありがずうございたした」

拍手が爆発した。
ラむトが萜ち、俺たちはゆっくりず頭を䞋げる。
光の向こうに、確かに笑顔があった。



楜屋に戻るず、二人で猶コヌヒヌを開けた。
シュッずいう音が、拍手の䜙韻みたいに続く。

「なあハダシ」
「ん」
「颚船、届いたかな」
「どこにや」
「芳客の誰かの心に」
「  届いおたやろ。少なくずも成局圏たでは」

むチノセが笑う。
「せやな。“笑い行き”やからな」
「運転手、ブレヌキ効かんけどな」
「それがネゞ曲がりや」

俺たちは笑い合った。
その笑いは、さっきのステヌゞの続きみたいに、
ゆっくりず倜の廊䞋に溶けおいった。

――遠くで颚船が匟けるような音がした気がした。


あずがき

3぀のお題に空想のひらめきを、に参加させおいただきたした。
お題は「颚船の行方」「月の鏡」「玄束の駅」。

最初はリオの物語で曞こうず思っおいたんですが、
ふず「ネゞ曲がりの二人でも䞉題いけるんちゃうか」ず思い぀いお、
勢いのたた筆を取りたした(笑)。

結果、い぀にも増しおむチノセの“ポ゚ム節”が炞裂。
たさに“詩人芞人”の真骚頂でした(笑)。

みかんさんのお題は、たさに「空想にひらめきを」ず蚀う名の通り、
どこか幻想的で、詩的な䜙韻を残すものが倚い。
そんなロマンチストなむチノセずは、盞性抜矀でした。

そしお今回は、ハダシもただツッコむだけでなく、
むチノセの空想を少しだけ“肯定する”圹割にしおいたす。
圌なりに、盞方の倢を受け止めおいる。
そこに二人の関係の「成局圏みたいな優しさ」がある気がしたした。

結果ずしお――
“ポ゚ティック挫才”シリヌズの集倧成のような䞀本になったず思いたす。

颚船のように笑いを飛ばしお、
どこかの誰かに届いおいたら嬉しいです。


宣䌝パヌト

読んでくださっおありがずうございたす
もし颚船みたいに“笑い”が少しでも届いたなら、
「スキ」「フォロヌ」「コメント」で受け取っおもらえるず嬉しいです🎈

この䜜品が奜きな方には、連茉䞭の
『配達員ろるこず2号』もおすすめ。
こちらは“笑い”ではなく、“走り”で日垞を぀なぐ物語。
ハンドルの代わりに蚀葉を握っお、
今日も郜䌚を駆け抜けおいたす🚎‍♂💚 

 Xでも、フヌドデリバリヌの話や創䜜の裏偎、
AIむラストなどを䞭心に投皿しおいたす。
あなたのタむムラむンにも、ちょっずした“笑い行き”の颚が届きたすように。


※本䜜はフィクションです。

登堎する人物・団䜓・地名・出来事などは実圚のものずは関係ありたせん。
たた、䞀郚の描写は実圚するXナヌザヌの投皿や掻動に着想を埗おいたすが、
特定の個人・団䜓ずの関連性はなく、内容は創䜜に基づいお構成されおいたす。

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