
サービスの磨き方 [第2回] サービスの定義(全般)
経済学・経営学におけるサービスの定義
「サービス」という言葉は非常に多義的で、使われる文脈によって定義が異なります。
よく見かけるのは「サービス」を「モノ(財)」と対比した以下のような定義です。
無形性 (Inseparability):形がなく、触れることができない
同時性・不可分性 (Inseparability):生産と消費が同時に行われる(作り置きができない)
異質性・変動性 (Heterogeneity):提供者やタイミングにより、品質が一定になりにくい
消滅性 (Perishability):在庫として蓄えておくことができない
「なんとなく言っていることは分かるが、いまいちピンとこない」という方もいらっしゃると思いますので、コンタクトセンターを例にあげて具体的に考えてみます。
無形性 (Inseparability):サービス利用者がコンタクトセンターに電話して得られるのは「疑問の解決」や「安心感」であり、触れることができる物体ではありません
同時性・不可分性 (Inseparability):サービス提供者であるオペレーターが回答(「生産」)しているその瞬間に、サービス利用者は回答を聞いてそれを「消費」しています
異質性・変動性 (Heterogeneity):「ベテランのAさんが対応すると3分で解決するが、新人のBさんだと10分かかり、さらに説明が分かりにくい」なんてことはよくありそうです
消滅性 (Perishability):夏などの閑散期にオペレーターが待機している「時間」を蓄えて、忙しい引っ越しシーズンに回すことはできません
こうして具体的に実際の場面に当てはめてみると、確かに納得感がありますよね。
この記事におけるサービスの定義
一方この連載では、「モノかサービスか」という区別をせず、「すべての経済活動はサービスである」と考えたいと思います。
携帯電話や自動車などの「モノ」は、通話や移動という「サービス」を提供するための道具である
という考え方です。
では具体的に自動車の例で説明してみようと思います。
新しく発売された自動車に試乗するためディーラーを訪問したところ、とても手厚い“もてなし”を受けて気分がよくなり、気が付いたら購入していた → これはもちろん「サービス」
待ちに待った納車の日、ディーラーを訪問すると豪華な花束をプレゼントされ、記念写真まで撮影してくれた上にスタッフ総出で見送ってくれた → これも「サービス」
実際に運転してみると、車内は驚くほど静かで加速もスムーズ、内装も豪華で道行く人が振り返る → 従来の考え方だと「モノ(自動車)」が発揮する「機能」だが、これも「移動」という「サービス」の一部
故障は全くなく、使い方が分からない時はフリーダイヤルのカスタマーサポートに連絡すると、あっという間に教えてくれる → まさに「(アフター)サービス」
なんとなく「モノ」と「サービス」の関係が分かりましたか???
このように「サービス」中心の考え方を難しい言葉で表現すると「サービス・ドミナント・ロジック」と言ったりします。
サービス・ドミナント・ロジック:「サービス」が中心で、「サービス」に「モノ」も含まれる
グッズ・ドミナント・ロジック:「モノ」が中心で、「サービス」と「モノ」は区別される
が、、、難しい言葉は抜きにして、この連載の中では、
「モノ」か「サービス」かという区別をせず、「モノ」も含めてすべての経済活動は「サービス」である
と考えていただけると幸いです。

次回は、「サービスサイエンスにおけるサービスの定義」について書いてみたいと思います。
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