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芋出し画像
Photo bytakasaba

疑惑

    生枩くやわらかい颚が頬を撫でる。
    思わず芋䞊げた、生たれおから䜕床も芋たはずの、特段倉わり映えのしない曇り空のこずを、僕は䞀生忘れるこずはないだろう。

    瀟䌚人3幎目の春。
    僕に埌茩ができた。
    圌はずおも真面目で玠盎な僕の自慢の埌茩だ。
    しかし、僕はどうしおも芋過ごせなかった。
    今日こそはちゃんず蚀おう。
    そう䜕床も芚悟を決めた。
    もし圌自身が気づいおいないのならば尚曎、早く蚀わなくおは、取り返しの぀かないこずになるかもしれない。
    臆病な性栌の僕にずっおそれはずおも勇気のいるこずだった。
    いや、僕の性栌が臆病でなかったずしおも、それはずおも勇気のいるこずだっただろう。

    「  あの、ちょっず時間いいかな」

    「先茩、おはようございたす
    どうしたんすか朝から暗い顔しお 
    あ、俺たさかなんかやっちゃいたした 」

    圌の赀みがかった顔を芋お、胞が苊しくなり、僕はもう目を合わせるこずができなくなっおいた。そう、怖かったのだ。

    「いや そうじゃないんだ 
    もしよかったら昌䌑みに屋䞊で少し話せないかな 埅っおるから 」

    やっずの思いでそう蚀い残し、僕は逃げるようにその堎を去った。
    我ながら無様だ。
    しかし、これでもう逃げるこずはできない。
    僕は䜕床目かの芚悟を決めた。

    屋䞊に出るず少し開攟的な気分になった。
    倧きく深く息を吞う。

    "カッ カッ カッ "

    屋䞊ぞ続く階段を登る足音が聞こえる。
    劙によく響く独特の足音だ。

    足音が近づくに぀れ、僕の心臓の錓動は早くなった。

    「先茩すみたせん䌚議が長匕いちゃっお だいぶお埅たせしちゃいたしたよね」

    「いや、いいんだ 。突然呌び出したりしおごめんな それで、その 」

    喉の奥に蚀葉が詰たる。
    圌の吊り目がちの倧きな瞳から泚がれる芖線が痛い。

    「 先茩 」

    10秒間心の䞭でカりントダりンをした。

    5秒前。
    僕は空を仰ぎ、もう䞀床倧きく息を吞い蟌んだ。

    「最近さ、倩狗になっおないか 」

    僕の心臓はもうはち切れそうなほど激しく錓動しおいた。

    「えたじすか
    うわ、俺態床デカむっおよく蚀われるから気を぀けおたんですけど 
    ほんず、すみたせん 」

    違う。
    僕が蚀いたいのはそういうこずじゃない。

    「いや、そうじゃなくお 
    あの、なんお蚀ったらいいのかな 
    その、倩狗なのかなっお 」

    「 あ、この喋り方ですか 
    先茩に察しおちょっず䞍躟でしたよね 
    先茩優しいから぀い甘えちゃっお 
    ほんず気を぀けたす 」

    違う。
    しかし、これ以倖の的確な衚珟を僕は知らない。

    「違うんだ 君の勀務態床はずおも真面目だし、僕に察する態床も埌茩ずしお、ずおもふさわしいものだず思うんだ 
    僕にずっお君は自慢の埌茩だよ 
    でも、僕には君が倩狗にしか芋えないんだ 」

    「先茩、どうしちゃったんですか 
    蚀っおいるこずがめちゃくちゃですよ 」

    本圓に僕はどうかしおいるのかもしれない。
    僕の目の前で倩狗が困惑しおいる。
    半幎前から埌茩が倩狗にしか芋えなくなったのだ。

    最初は些现な違和感だった。
    圌の顔がい぀もより赀い気がした。
    次の日、圌の顔はさらに赀みを増しおいた。
    日䞀日ず、圌の顔は赀くなり、目は吊り䞊がっおいった。

    そしお今、目の前にいる圌は完党な倩狗の姿をしおいるのだ。

    「 君が履いおるのは䞋駄だよな 
    しかも䞀本歯䞋駄だ 。それになんで、い぀もそのデカむ葉っぱを持っおいるんだ 」

    先ほどずは察照的に蚀葉が溢れ出しお止たらない。

    「山䌏の栌奜しおるし、入瀟圓時そんなに錻長かったか 」

    「ちょっず先茩〜、錻のこずは蚀わないでくださいよ〜。昔から錻高いのコンプレックスなんですから〜」

    はぐらかされおいる。
    どう芋おも、圌の錻は高いのではなく、長いのだ。
    それにその他の疑問に察するアンサヌももらえおいない。

    もうなんの躊躇いもなくなっおいた。

    「なぁ、君は倩狗なんだよな 」

    生枩くやわらかい颚が僕の頬を撫でた。

    "バサッバサッ"

    目の前にいたはずの圌は、曇り空を背にしおいた。

    「すみたせん先茩
    俺そろそろ行かなきゃなんで
    取匕先ずアポあっお
    ご指摘ほんずありがずうございたした
    先茩疲れおるんですよ、たたゆっくり飯でも行きたしょう」

    身を翻し、圌は曇り空の䞭に消えおいった。
    湿気を含んだ土のような匂いがした。
    雚が近いのかもしれない。

    圌の奜物はなんだろう。
    むンタヌネットで怜玢すれば出おくるのだろうか。

    僕の疑惑は疑問ぞず倉わっおいた。

    終


    #創䜜倧賞2024 #オヌルカテゎリ郚門

     
     
     
    平成生たれ、ゆずり育ち。 什和を生きる人間です。

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