メインコンテンツへスキップ
見出し画像

星くずの郵便局 #3つのお題に空想のひらめきを

    約900字・童話


    銀河のほとりにある「星くず郵便局」。

    ここで働く白猫のでぶにゃんは、自慢のしっぽをゆらゆら揺らしながら、今日もご機嫌に手紙を運ぶはずでした。

    そう、あの「うっかり」が起きるまでは。

    「今日のミルクはキラキラして、とっても美味しそうにゃん!」

    お昼休み、でぶにゃんは間違えて「一番星の濃縮シロップ」を自分のミルク皿に注いでしまいました。

    ペロリと一口舐めた瞬間、お腹の底からシュワシュワとソーダのような泡が弾ける感覚がして、でぶにゃんのピンク色の肉球がピカッと発光したのです。

    「にゃんっ!?  なんだか、体がふわふわするにゃん!」

    驚いて声を出すたびに、口から小さな金色の星が「にゃにゃんっ!」とリズム良く飛び出します。

    でぶにゃんの体は風船のように丸く膨らみ、四本の足が宙を泳ぎ始めました。

    「待ってにゃん!  天井がどんどん近づいてくるにゃん!  助けてにゃんっ!」

    ジタバタすればするほど、でぶにゃんは真珠のような輝きを放ちながら浮かび上がります。

    ついには窓からお外へ、ふわふわと漂い出してしまいました。

    叫ぶたびにこぼれる星たちが、昼間の街をパレードのように彩ります。

    見かねた局長さんは、でぶにゃんのしっぽに、ひときわ長いピンク色のリボンを結びつけました。

    「でぶにゃん、今日はそのまま、空から手紙を届けておいで」

    「わかったにゃん! お任せにゃん!」

    こうして、でぶにゃんは大きな猫風船のような姿で出発しました。

    普段は見上げるだけだった高い時計台も、煙突のてっぺんも、スイスイと泳いで一っ飛び。

    「歩くよりずっと楽ちんにゃん! 景色も最高にゃん!」

    空中でくるりと一回転して、星の粉を撒き散らしながら笑うでぶにゃん。

    でも、魔法のシロップには期限がありました。

    最後の一通を届け終えた瞬間、お腹が「きゅ〜」と鳴って、魔法が解けてしまったのです。

    「……あ、にゃんっ!?」

    空気が抜けるように縮んでいき、でぶにゃんは夕焼けに染まった大きなクヌギの枝にポスンと着地。

    「ふふ、明日からは普通のミルクにするにゃん。でも、あの空の眺めは……忘れないにゃん」

    でぶにゃんは丸くなって、自分の小さくなった前足をひと舐め。

    夕闇の中、でぶにゃんが喉をゴロゴロと鳴らすたびに、まだ少しだけ残っていた星の欠片が、宝石のようにまたたいて消えていきました。


    画像
    猫風船にゃん

    絵本、3月25日まで無料ダウンロード中!

     
     
     
    ショートショートとか童話とか落語とか声劇台本とかジャンルにこだわらずいろいろ書いてる猫。

    あなたへのおすすめ