
居酒屋の「会計バグ」を検証したら、酔いが冷めた
土曜日に居酒屋へ行った。
帰宅後、レシートを見ていたら気になる箇所があった。
金宮ボトルの明細である。
レシートには、
土曜日 金宮ボトル 720ml 1000円引き(2500円→1500円)
数量2 合計3500円(内税)
と印字されていた。

この表示なら、普通は1500円×2本で3000円に見える。
しかし、実際の請求は3500円だった。
最初は会計ミスかと思った。
1か所でも金額に違和感があると、全体を疑いたくなる。
そこで、レシート明細の画像をChatGPTに読み込ませ、各明細の金額を集計した。
結果として、レシート全体の合計金額は一致していた。
つまり、単純な足し算ミスではなかった。
ここで分かったのは、過請求と断定できる話ではない、ということだった。
請求金額そのものが間違っているのではなく、問題はレシート表示との整合性にある。
金額は合っている。
しかし、表示が合っていない。
問題は、合計金額ではなく、金宮ボトルの明細表示にあった。
「スマホ注文画面」と「ホットペッパーのメニュー画面」をそれぞれ確認した。
・スマホ注文画面では、金宮ボトルは1本1,750円と表示されていた。

・ホットペッパー画面では、金宮ボトルは2,750円(税込)と表示されていた。また、日替わりイベントとして「金宮ボトル1000円割引 税抜き」と表示されていた。この税抜きがややこしい。


税込2,750円から1,000円割引と考えれば、1本は1,750円になる。
そのため、スマホ注文画面の1,750円、数量2で3,500円という請求金額自体は合っていた。
しかし、レシートには「2500円→1500円」と表示されている。
さらに、ホットペッパー上のイベント表示にも「1000円割引 税抜き」と書かれていた。
この表示を素直に読むなら、税抜2,500円の商品から税抜1,000円が引かれ、税抜1,500円になるように見える。
その場合、税込では1,650円、2本で3,300円になるはずだ。
つまり、請求額はスマホ注文画面と一致している。
しかし、レシートと日替わりイベント表示は、実際の処理と整合していない。
表示上は税抜きの割引に見える。
しかし、実際には税込価格から1,000円を引いているように見える。
ここに、表示と処理のズレがある。
さらに、ビール等はホットペッパー上の掲載価格とも違いがあった。
私が確認した時点では、ホットペッパー上で生ビールは税込319円と記載されていた。
しかし、店舗のスマホ注文画面とレシートでは税込329円だった。
・スマホ注文画面では、生ビールは329円と表示されていた。税抜換算で約299円。

・ホットペッパー画面では、生ビールは319円(税込)と表示されていた。

こちらもレシートと注文画面は合っている。
ただし、ホットペッパー上の掲載価格とは一致していない。
今回の問題は、整理すると4つである。
1つ目。
レシートの割引表示が、実際の請求額と整合していない。
2つ目。
スマホ注文画面とレシート上の請求金額は一致しているため、過請求とは断定しにくい。
3つ目。
ホットペッパー掲載価格と、店舗での実際の注文価格が一部違っている。
4つ目。
それらを客側が検算しないと分からない。
ここが一番面倒だった。
店側の表示がズレているのに、疑問を持った客側が、レシート、注文画面、ホットペッパー、消費税計算まで確認しないと構造が分からない。
しかも、疑った側が証拠を出さなければならない。
客がその場で気づかなければ、そのまま終わる。
後から気づいても、証拠がなければ「見間違いではないか」「勘違いではないか」で終わってしまう。
だから、疑問を持った側が、いちいち証拠を集めることになる。
酒を飲みに行っただけなのに、帰宅後にやっていることは、ほとんど会計監査だった。
気分としては、『税務調査官・窓際太郎の事件簿』である。
ただし舞台は国税局ではなく、土曜日の居酒屋だった。
結果として分かったのは、「請求金額は合っているが、表示は分かりにくい」という、気持ちの悪い結論だった。
間違いだと断定しにくい。
しかし、何も問題がないとも言いにくい。
これを、私は「居酒屋バグ」と呼ぶことにした。
会計は合っている。
しかし、表示が壊れている。
酔いが冷めるには、十分すぎるバグだった。
もし窓際太郎なら、たぶんこう言う
この件を考えていたら、『税務調査官・窓際太郎の事件簿』を思い出した。
「税抜きと書いてあるなら、税抜きで計算しなければならない。
税込から引いているなら、税込から引いていると表示しなければならない。
そこを曖昧にした時点で、客は店を信用できなくなるんです。」
「私が問題にしているのは、200円の話ではありません。
お客様に見せる価格表示と、実際の会計処理が一致していないことです。
商売は信用で成り立っています。
その信用を、レシート一枚で失っているんですよ。」
「数字は嘘をつきません。
嘘をつくのは、いつも数字を曖昧に扱う人間です。」
そして最後、社長室に乗り込んだ太郎は、立ちはだかる下っ端ガードマンを投げ飛ばし、黒幕の前に立つ。
「会計は合ってる。だが、表示が合ってねえ。
客に見せる数字と、実際に取る金がズレてる。
それをただのミスで済ませるな。
商売ってのはな、金額だけ合わせればいいってもんじゃねえんだよ。
信用の帳尻まで合わせて、初めて商売なんだ。
あんたは二百円をごまかしたんじゃない。
レシート一枚で、店の信用を捨てたんだ。」
今回の問題は、単なる居酒屋の会計ミスではない。
客に見えている注文画面、外部予約サイトの掲載価格、レシートに印字される明細、そして実際に請求される金額。その複数の画面と処理の整合性が取れていない問題である。
いわば、システムのフロントとバックがズレている。
店舗はスマホ注文、予約サイト、POSレジ、キャンペーン価格など、複数のサービスを組み合わせて運用している。その結果、金額そのものは合っていても、客に見える表示が一致しない状態が生まれる。
これは一店舗の小さな違和感であると同時に、現代のサービス業が抱える構造的な問題でもある。
追記:ホットペッパーのクチコミは掲載不可だった
その後、ホットペッパーにもクチコミを投稿した。
内容は、掲載価格と店舗での実際の注文価格に一部差があったこと、またレシート表示と注文画面の見え方に分かりにくい点があったことを、改善提案として書いたものである。
過請求だと断定したわけではない。
店を罵倒したわけでもない。
あくまで、掲載金額、注文画面、レシート表示が一致していた方が、利用者としては安心できる、という内容だった。
しかし、結果は掲載不可だった。
理由は分からない。
ただ、少なくともこうした価格表示の不整合は、口コミサイト上では共有しにくい情報らしい。
利用者にとって本当に必要なのは、「料理がおいしかった」という感想だけではない。
価格表示が分かりやすいか。
注文画面とレシートが一致しているか。
掲載サイトの情報と実際の金額が合っているか。
そういう情報も、店を選ぶうえでは重要である。
今回の件で分かったのは、居酒屋の表示が分かりにくかったことだけではない。
その分かりにくさを口コミとして共有しようとしても、プラットフォーム上では掲載されない場合がある、ということだった。