
「花が教えてくれた新しい生き方」
「あれは産後うつだった」
「あの頃の私は、どうしてあんなに苦しかったんだろう。」
そう思うことが何度もあった。
毎日が必死だった。
子どもはかわいい。
それなのに笑えない。
泣きたいわけでもないのに涙が出る。
眠れない。
身体は疲れ切っているのに眠れない。
食欲もない。
何をしていても心が晴れない。
「母親なんだから。」
「ちゃんと育てなきゃ。」
「もっと頑張らなきゃ。」
私は、自分を励ますつもりで、毎日そんな言葉をかけ続けていた。
でも、本当に必要だったのは励ましではなかった。
「もう頑張らなくていいよ。」
そんな一言だったのかもしれない。
あの頃は、「産後うつ」という言葉は知っていた。
でも、それはテレビや雑誌の中の話で、自分には関係のないことだと思っていた。
私は子どもを愛していた。
だから違う。
私は甘えているだけ。
弱いだけ。
そう思い込んでいた。
だから誰にも相談できなかった。
「こんなことを話したら、お母さん失格だと思われる。」
そんな怖さがあった。
それから長い年月が過ぎた。
花と向き合い、
自然と向き合い、
自分の心と向き合うようになって、
ようやく気づいた。
「あれは、産後うつだったんだ。」
その瞬間、不思議なくらい涙があふれた。
自分を責め続けてきた年月が、一気に思い出された。
「私が弱かったんじゃなかった。」
「怠けていたわけじゃなかった。」
「あの時の私は、本当に苦しかったんだ。」
そう認めることができた。
その日初めて、
私は過去の自分を抱きしめることができた気がした。
もし今、
子育てをしながら、
笑えなくなっている人がいたら伝えたい。
あなたが弱いからではない。
あなたが頑張りすぎてきたから。
だから、自分を責めないでほしい。
あの頃の私にも、
今のあなたにも、
そう伝えたい。
そして、その頃からだった。
庭に咲く白い芍薬が、
今までとは違って見えるようになったのは。
(つづく)