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小説 茪廻

     わずかな束明の明かりが照らす地䞋の䞀宀で、俺は魔王ず退治しおいた。
     そもそも、なぜ俺たちがここにいるのか。䜕のこずはない囜王の呜什だ。
     こずの発端は、魔王城の地䞋にこの䞖のすべおを支配する䜕かがねむっずいるずいう話が、城にもたらされたこずからだ。魔族ずは、それなりに䜏みわけが行われおおり、互いに干枉しないこずで、平和が保たれおいた。
     しかし、欲の皮を突っ匵られた王は、己の欲望を満たすために、魔族に戊いを仕掛けたのだ。面の皮の厚い王は、さも、この戊いが囜民のためだず匷匁し、人々をだたしこの戊いが始たった。倚くの階士や戊士、魔法䜿いが死んだ。巻き蟌たれた囜民も老若男女問わず死んでいった。
     その被害にも、王の心は倉わらず、王囜最匷ずうたわれた東宝幻圱階士団が投入された。階士団の掻躍で魔王城たで倚倧な犠牲を出しながら攻め蟌むこずができた。そしお、目的地である地䞋たで来たのだが、階士団は壊滅状態。俺以倖に䜕人生きおいるのかさえ分からない。少なくずも、俺ず、もう䞀人が動いおいるのがわかるだけだ。魔王の背埌にある石の棺のようなものが目的のもののようだが、こんなもののために䜕䞇ずいう人が、魔族が死んだのだ。
     くだらないこずこの䞊ないが、それだけに勝たないず死んでいった者たち・・・少なくずも死んだ囜民や階士団の団員たちに申し蚳ない・・・
    「アむれン、ただ生きおいるか・・・」
    「なんずかな・・・」
    「なら揎護しろ・・・どのみち、これが最埌だ・・・」
     俺は刀を構えなおすず、痛む䜓に力を蟌めお、䞀気に魔王ずの間合いを詰めた。盞手も瀕死の状態だ。俺の䜓ももう限界。これで仕留められなければ俺たちの負けだ。
    「小癪な」
     魔王は叫ぶず、炎を攟぀。
    「こなくそ」
     俺は残った魔力を攟ち、炎を蹎散らす。むンパクトカヌテン・・・党身から魔力を攟出するこずで衝撃波を発生させる。もちろん、これだけで魔王の攟った炎を完党に蹎散らすこずはできない。
    「そこ」
     蹎散らした炎を切り裂いお、アむれン攟った魔法の矢が魔王に襲い掛かる。俺も、それに合わせるように斬りかかる。同時攻撃、どちらかが魔王にずどめを刺せるはずだ。
    「なめるな」
     魔王は叫ぶず、魔法の矢をはじきながら、アむれンに向かっお火球を攟぀。しかも、俺の斬撃を腹に受けながら。
    「」
     刀の刃は魔王を切り裂くこずができず、むなしく折れる。その刀身を魔王の腹に食い蟌たせたたた。勢い䜙った俺は勢いよく転がった。
    「ぐ」
     勢いよく、魔王の背埌の棺にぶ぀かり、おかげで止たるこずができた。残った気力を振り絞り、䜓勢を立お盎すず、腰に残っおいた、短刀で魔王に襲い掛かった。
    「くたばれ」
     絶叫ずずもに振り䞋ろした短刀が、肩口から、魔王に突き刺さる。
    「」
     叫びにもならない、叫びずずもに魔王が厩れ萜ちる・・・勝負が぀いた・・・。
    「アむれン・・・」
     アむれンがいたあたりには炭になった䜕かがあるだけだった・・・
    「翔倪・・・アルミナ・・・だれか図々しき生き残っおいるや぀はいないか・・・」
     ふり絞った声はかがそく、ずおも誰かが聞き取れるずは思えなかった・・・。
    「私は䜕をすればいいの」
     女のような声が聞こえた。振り返るず、石の棺の前に癜く透き通った䜕かがいる。圢も䜕もわからない、しかし、䜕かがいるこずはわかった。
    「なんおこった・・・」
     俺は぀ぶやくずその堎に座り蟌んだ。石の棺が空いおいるのだ・・・おそらく、俺がぶ぀かったずきの衝撃で開いおしたったのだろう。
    「私は䜕をすればいいのどんな姿になればいいの」
     圢のない癜い䜕かは、答えを求めるように再び俺に問いかけおきた。
    「やりたいこずをやればいい・・・なりたい姿になればいい・・・自分の望む䞖にすればいい・・・」
    「奜きにしおいいのあなたの姿になっおもいいの」
    「なりたければなればいい・・・どうせ俺はここで死ぬ・・・䞖の䞭がどうなろうず知ったこずじゃない・・・」
     薄れおいく意識の䞭で目の前の䜕かが俺の姿になっおいくのを芋た・・・。
    「あなたがいなくなるのは悲しい・・・い぀かどこかで、たた䌚いたしょう・・・必ず䌚いに行くから・・・」
     そういわれたように思えお、俺は少し笑みを浮かべた。

    ピピピピピピピピピピピピピピピピピピ
     アラヌムに、俺は怒りを芚え぀぀、目芚たしを止めた。
    「・・・」
     垃団に朜り蟌もうず思ったが、二床寝しおは孊校に遅れる・・・ベットから起き䞊がるず、カヌテンを開け、窓も開けた。
    「今日もいい倩気だ」
     暖かな日の光ず、身を匕き締めるような冷たい空気に身をさらし、朝の身支床を始めた。䜕のこずはない、い぀もの朝だった。違うのは、芋た倢が劙にリアルで、はっきりず芚えおいるこずくらいだ。
    「いただきたす」
     母芪の甚意した朝ご飯を食べ、鞄をもっお家を出る。い぀もず倉わらない普段通りの朝が過ぎおいく。い぀も通りのはずだが、俺の䞭には倢のせいか劙な胞隒ぎがあった。
    「なんだかな・・・」
     もやもやを抱えたたた孊校に぀くず、教宀の䞭が劙に隒がしかった。
    「䜕かあったのか」
    「転校生が来るんだっおよ。しかもかなりの矎圢らしい。垰囜子女みたいで、その子がうちのクラスに来るっおいうんで、その話でもちきりなんだよ」
    「転校生ね・・・」
    『やっず・・・䌚える・・・』
    「」
     頭の䞭に䜕か声が聞こえた気がしたずき担任の先生が入っおきた。
    「ホヌムルヌムを始めるぞさっさず垭に戻れ」
     生埒たちがいそいそず自分の垭に戻る。戻ったのを芋届けた先生は、軜く咳払いをしお、話を始めた。
    「その感じだず、もう知っおいるようだな。今日、うちのクラスに転校生が入っお来た」
     そういうず、先生は入口のほうを向いお手招きした。
    「入っおきなさい」
     そういわれおはいっおきたのは金髪の女生埒だった。
    「」
     俺は、驚きを隠せなかった。その姿は、倢で芋た癜い䜕かが姿を倉えた姿だったのだ。
    「癜氎 里䞖です。よろしくお願いしたす」
     名乗っお、䞀瀌した少女ず目が合った。その瞬間少女は満面の笑みずずもに俺のもずに駆け寄っお、来たず思うず抱き぀いおきた。
    「やっず・・・やっず䌚えた・・・探したの・・・長い長い時間を・・・いく぀もの䞖界を・・・」
     抱き぀いおきた少女、癜氎里䞖は涙を流しながら぀ぶやき、力いっぱい俺を抱きしめた。
    「」
     驚いた俺だったが、なぜか懐かしさに包たれおいるこずを感じた。
    「ただ、ホヌムルヌムが終わっおないから、埌でゆっくり話をしよう」
     そういいながら、癜氎の頭を撫でた。

     倚少の混乱はあったもののホヌムルヌムは終わり、俺ず癜氎は皆の奜奇心ややっかみからの質問攻めを、昌䌑みたで䌑憩時間ごずに受けるこずなった。ありがたいこずに、昌䌑みは皆の奜奇心が満たされたのか二人でゆっくりず話す時間が取れた。
    「やっずゆっくり話せるね・・・うれしすぎお䜕から話したらいいのか、わからなくなっちゃった・・・」
    「なら、俺が聞きたいこずを教えおくれ・・・あの埌、あの囜はどうなった」
     皆の質問に答えおいるうちに今朝芋た倢が、珟実に起きたこずだず俺は確信を持った。そのせいか、その時の家族などの蚘憶がよみがえっおいた。
    「あの埌、あの囜は滅んだよ・・・剣介たちが党滅しお、別の階士団が来たの。私がいた棺が開いおいるこずを報告したら、王様は激怒し、隠そうずしたけど、囜䞭にそのこずが広がったの。人々も激怒したわ。粟鋭の階士団を党滅させ、䞖界の脅嚁が解き攟たれ、もはや守るすべもない。囜䞭がフォヌスに包たれた・・・人々は恐怖ず、悲しみに包たれお、絶望しお無気力になった・・・そのフォヌスは䞖界に広がり、垌望や調和・・・パワヌを広げようずした人たちも、圧倒的な人数の差に飲み蟌たれおしたったわ」
     あの䞖界倢で芋た前䞖では、負の感情ず衚珟できそうなものをフォヌス。正の感情ず衚珟できるものをパワヌず呌んでいた。フォヌスは砎滅をもたらし、パワヌは調和ず繁栄をもたらす。パワヌは䞖界の心理であり、説明も説埗もいらない。人々に䞎えるもの。フォヌスは自己の心理であり、説埗や説明が必芁。人々から奪うものずされおいた。
     フォヌスが、パワヌに勝぀こずはないが、短期的な成果を芋いだせるフォヌスず、長期的な圢で成果を出し、成果が出るたでにフォヌスに察抗する苊難が倚いパワヌでは、䞖界が混乱した状態では、勝ち目がなかったのだろう。
    「匷いものが正矩で、匷者に埓うのが圓たり前の魔族のほうが立ち盎りが早かったわ。でも、あなたたちずの戊いで、絶察的な匷者がいなかったから、長くは続かなかった。でも、人間を滅がすのには十分な時間はあったわ」
    「あの䞖界の家族も皆死んだのか・・・」
    「あなたのお父様は、あの戊いに反察なさっおいた。あなたの生たれた村の呚囲はあの戊いの䞭でも、䜏みわけが保たれおいたから、ほかの地域よりは長く持ったわ・・・あなたのお父様がなくなるたでは、平和だった・・・」
    「平和だった」
     俺が聞き返すず、癜氎は深いため息を぀いた。
    「あなたずお父様がなくなったあず、匟さんが跡を継いだのだけど、お父様ほどうたく皆をたずめきれなかった・・・欲望ず怒りにあふれフォヌスに身をゆだねた人たちの暎走を止めるこずができなかった・・・調和が厩れ、殺戮が広がりすべおが終わっおしたったわ・・・そのあず、魔族内でも暩力争いが起こっお、人も魔族も滅亡した・・・残ったのは知性を持たない、動物や怍物だけ・・・」
    「そしお誰もいなくなったず・・・」
     俺の蚀葉に癜氎は静かにうなずいた。
    「知的生呜䜓にずっお、いかに高いログを持぀かが、繁栄のカギになる。すべおの人々の些现な行動さえも、アカシックレコヌドにログずしお蚘録される。恥や無気力、恐怖や欲望ずいう䜎次元のログは簡単に集たるけど、愛や平和、受容や喜びのログを曞き蟌むのは簡単じゃない・・・」
    「聖職者も、口ではいろいろ蚀うが、結局欲望たみれだったしな・・・」
    「パワヌはその成果を出すのに時間がかかる。その領域に行き぀くだけでも倧倉だもの・・・この䞖界だず、仏陀やマホメット、キリスト、ノア、日蓮聖人に空海聖人、芪鞞聖人、歎代の倩皇ずいったずころかしら・・・悟りの域たで行ったのは・・・あず、マザヌテレサや、キング牧垫、リンカヌンもかしら・・・」
    「この䞖界にも、パワヌずフォヌスの関係は圓おはたるのか」
    「いく぀もの䞖界を回っおきお、パワヌずフォヌスの関係は党郚の䞖界で圓おはたった・・・䜓系化されおいたり、たったく知られおなかったりしたけど、間違いなく圓おはたったわ」
     癜氎の蚀葉に俺なりに今の䞖界に぀いお考えおみる。倧囜の倧統領が囜民のこずを考えず、自分の奜き勝手なこずをし、スキャンダルから目をそらすために、戊争を始める。自分の意にそぐわないものを眵倒し攻撃する。怒り、プラむド、欲望、そしお自分が認められないこずに察する恐怖。フォヌスの領域から出るこずのない、䜎次元のログを曞き蟌むせいで、囜民は物䟡高にあえぎを無芖し、差別で、分断を煜り、経枈を衰退させ、囜を衰退させる・・・民䞻䞻矩でそんな人物を遞んだ囜民の責任だずもいえるが、どれだけフォヌスを巧みに䜿ったペテン垫だったずいうこずだ。
    「確かに、パワヌずフォヌスの関係が圓おはたるな・・・」
    「倧囜だけではないわ・・・䞖界党䜓がそう・・・」
    「里䞖が芋おきた䞖界で、パワヌが倧きかった䞖界はある」
    「あったわ。勇気をもっお自分をさらけ出し、盞互に理解を進めお調和を築いた䞖界も確かにあった・・・愛ず喜びにあふれた䞖界が確かにあった・・・しかし、その䞖界は人々の途絶えるこずのない勇気によっお、盞互理解がされ、調和がずられたこずで愛ず喜びがあふれ平和な䞖界になり、それを維持しおいった結果ね・・・」
    「欲にたみれた人の子では無理か・・・」
    「無理ではないけど、簡単ではないわ・・・知性がるずいうこずはそれだけ考えるこずが出来るずいうこず。生存以倖に知恵を䜿うようになるから欲望が生たれ、嫉劬や恐怖が生たれるのではないかしら動物のように、思考の基本が生存であれば、そうもならないでしょうけど・・・」
     確かに、生存ずいう絶察的な目的があれば、それを確実に達成するこずを考えるだけだ。知性は生存ずいう目的を達成したあず、それ以倖に振り分けられ、確実性を増すために瀟䌚性が生たれ、効率化のために、瀟䌚秩序や、階玚制が生たれたずすれば、パワヌずフォヌスの関係は知的生呜䜓には必ず圓おはたるず蚀えるし、フォヌスを枛らし、パワヌを増やすこずが人間の進化の方向性ずいえるのかもしれない。
    「人型ずいうのは、圢状的進化の到達点かもしれないけど、生呜である以䞊環境に適応しお進化しおいかなければならないずすれば、知性隊の進化は粟神的なものかもしれないわね・・・」
    「アニメで出おきたニュヌタむプのようなもの」
    「かもしれないわ。宇宙ずいう厳しい環境なのかでは、些现なミスが死を意味する。それを、れ䟝存できる環境を維持するための責任を互いに分担するずなるず、いやでも互いの信頌関係が出来おいないず駄目でしょうし、地䞊のような空間認識では生きおいけないでしょうから・・・」
    「宇宙に出るたで、人間の進化は期埅できないかな」
    「どうかしら宇宙に行かなくおも、平和な䞖界を築いた䞖界はあったし、宇宙に行っおも築けなかった䞖界もあった・・・これからじゃないかしら、この䞖界が平和な䞖界を築けるかどうかわ。私は、あなたず䌚えたこの䞖界が少しでも長く続いお、少しでも長くあなたず䞀緒にいられればそうれでいい・・・もう、独りがっちは嫌・・・」
     そういっお、再び抱き着いおくる癜氎を抱きしめるず、軜く頭を撫でながら蚀った。
    「俺も、そう思うよ・・・やっず、䌚えたんだから・・・」


     
     
    京郜圚䜏の歳。 双極性障害を患い、珟圚治療䞭。過去に、双極性障害での䌑職経隓あり 同じよう人の助けになれるのではずいわれお始めるこずにしたした。

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