
買う理由を探してる。【創作大賞2026エッセイ部門 応募作品】
お金がほしい。
正直だな、こいつ。と思ったそこのあなた。
結局は誰しもが一度は通る道だと思っている。
切実な「お金がほしい」。
ラグは趣味が多い。
好きなアーティスト(いわゆる推し、とか言うやつ)、散歩、水族館巡り、etc.
散歩はお金がかからない(はずのもの)のでまあ置いておくが、問題児は挙げたうちの残り2つ。
推し活と水族館巡りである。
つい数分前、ラグは悩んでいた。
DVD2枚とCD、限定グッズがついてくる初回限定版BOXを買うか否かである。
発売が去年なこともあり、店舗によっては在庫が残り僅かな中、限定グッズを諦めきれず、今になってまた真剣に悩みはじめてしまったわけだ。
問題はその価格、なんと二万円。
真剣に悩んだ。
ラグの収入は月に五万円。
うち、貯金やらスマホ代やら交通費やらに溶けると自由に使えるお金は二万円にも満たない。
とんだ大出費である。
さらに悩みどころとなったのは、CDを既に持っているということ。
発売当時、「とにかくこれだけは買おう!」と息巻いて買ったCD、2枚目になってしまう。
現在の全国津々浦々の在庫が全てなくなってしまったら新品ではもう二度と買えない品。
CDのホームページを見て、限定グッズを本当に使うかどうか、とか
仮に買ったとしてあのクソデカBOXをどう持って帰るのか、とか
1年越しにありとあらゆることを調べ、悩みまくった。
数ヶ月分の収入と出費の計算をして、(たぶん)黒字になるであろうと予測を立てたラグは、何日も悩んだ末、店舗取り置きのボタンを押した。
一方、水族館の方といえば。
ラグは今後、新江ノ島水族館(以降:えのすい)に足繁く通う気がする。
不確実な文章である理由は、まだそうしようと思ったばかりであるからだ。
交通費はかさむが、とにかくえのすいが好き。
魚たち、海獣たちはもちろんだけれど、ラグはしんかい2000がたまらなく好きなのだ。
まだ中学生くらいのとき、しんかい2000のぬいぐるみチェーンがほしくて、クレーンゲームに1000円くらい費やした記憶がある(ちなみに取れなかった)。
当時のラグのおこづかいは月に2000円なので、どれだけ重い出費であるかはご理解いただけるだろうか。
話すと長くなってしまうのでこれくらいにしておくが、まあそれくらい好きなのだ。
しんかい2000に限らず基本的に推し活以外の好きなものは大抵説明に困る。
ついでにえのすいのマスコットである『あわたん』の沼に無事に突き落されてしまった。
故にこの間は4月に彼のお誕生日パーティーイベントにも行ってきた。
平日にも関わらず行くことができたのは、通信制の特権である。
えのすいの年パスはチケット2回分の価格なので、行くやろと思ったラグはほぼ迷わず年パスを購入。
そしてあわたんのお誕生日グッズやらえのすいグッズやらにお金を溶かしまくって応援している訳だが。
こうちまちまと書いていると、自分、かなり金使ってんな〜!!と思い知らされている。
本業(という変な言い方をしてしまうけれども)は推し活だし、行動圏と通販と私生活でじゅうぶんエンジョイできるのでお金を使っているのは圧倒的にこちらだと思う。
えのすいはえのすいで好きなものを(ほぼ)のびのび買えているので超満足している。
同じくらいの金額でどちらのグッズを買うか選べと言われたらえのすいを選んでしまうかもしれないけれど(笑)。
好きなものにも優先順位がある。
が、それは本人にもよくわかっていないらしい。
これまで好きなものに費やした金額(※莫大すぎて考えたくもない)に比べれば二万円のBOXなんてへでもないのに、なぜここまで悩んでいたのかラグでさえ不明である。
二万円という超巨大な出費を、果たして高校生がして良いものなのかという葛藤からきているのだろうか。
いや、それならしんかい2000のマスコットチャームに今と比べたらとんでもない価値のお金を投げたあの頃のラグの度胸はどこへ???
ある種、お金の使い道をしっかり吟味できるようになったというラグなりの成長なんだろうか。
いずれにせよ、数ヶ月先の収支を必死に計算する程度には大人になったらしい。
ただ、ラグは二万円のBOXを買ったあとの罪悪感を恐れて、必死に買う理由を探しているだけだったのかもしれない。
どうせ見つからなくても勢いで買うくせに。
こういうところで謎の浪費癖を発揮するの、いい加減やめようぜ、ラグさん。
という反省というか、過去からの学習というか、自分を変えようとする、謎の決意からのものだったらしい。
さて、明日は給料日であることだし、二万円を握りしめてタワレコに走ることとする。