
聾黎:息子が最初に覚えた手話は、おっぱいだった
あなたのお子さんが、最初に覚えた言葉は何でしたか?
「まんま」とか、「ママ」とか。
そういう答えが多いと思う。
うちは手話だ。
家族みんな聞こえないので、言葉かけは自然と手話になる。
息子が自分から初めて使った手話が何だったか、たまに思い出す。
おっぱいだった。
生後7ヶ月ごろ。
両手で自分の胸をペタペタ叩いて、「飲みたい」をアピールしてくる。
厳密にはベビーサインなのかもしれないけど、まぁそういう細かいことはおいといて。
しばらくして、新しい動きが加わった。
おっぱいのサインをしたあと、自分を指差すようになった。
「おっぱい、欲しい。」
二語文みたいなものだ。
教えたわけじゃない。気がついたらそうなっていた。
本能だったと思う。
昔読んだネウロに、こんなエピソードがあった。
主人公が世界を巡る旅に出たとき、一番最初に覚える言葉は「お腹が減って死にそうです」だ、というくだり。
言葉が通じない場所でも、飢えだけはどうにかしないと生きていけない。
だから真っ先に覚える。
息子も同じだったんだと思う。
手話を教えようとしていたのに、息子の方は別に言語習得をしようとしていたわけじゃなかった。
ただ、欲しいものを伝えたかっただけだ。
それはそれで、正しい使い方な気もする。
言葉って、教えるものじゃなくて、必要だから覚えるものなんだろうな。
息子を見ていると、そう思う。