
会話に固有名詞はいらない
久しぶりに職場の友達とランチした。よく似た年齢なので、年頃あるあるや、老後に向けての心得などなど,話は尽きない。
早期退職したAが、辞任式の集合写真を見せてくれた。ご無沙汰しているあの人や,この人,懐かしい面々が写っている。
「あ、この人知ってる?退職したんだ。」
「〇〇さんだよね。知ってるよー!」
この辺りまでは順調。いわば,最近まで一緒に働いていた,もしくは近くにいた人,記憶に新しいレギュラーである。
問題は,ここから、数年ご無沙汰している準レギュラーに指が動く。
「あ〜、この人誰だっけ?えっと〜。」
「あの人やん,あそこの支店の☝️」
「あーあの支店のね。」
「あの支店って?」
「あの支店やん」
まったくもって、アラフィフの会話は謎である。この場の4人の頭にあるあの支店って、みんな同じ所?あの人の名前、みんな同じ?ついでに、本当に知ってる人?
とにかく、あれだの、そのだのこそあど言葉が多いのだ。人のことは言えないのは承知だが、この会話を客観的に聞いていると、まるで連想ゲームみたいじゃないか。
「ねえ、誰かはっきり名前が言える人いないの?顔知っているのに、名前が出ないのは気持ち悪いやん。」
「そうそう、kちゃんならわかるわ。直属の上司だったから」
という事で、今からKちゃんにLINEしようということになった。善は急げ。Kちゃんから,速攻で返信が来た。画面をみんなが覗き込む。
「あーそうそう,Wさんだ!」
「あらあら,すっかりおじいさんになって。」
気の毒なのはWさんである。名前をあれ呼ばわりされた挙句、ジジイになったと霰もない言われよう。アラフィフおばさんたちにかかったら,かつてモテモテだったWさんも形無しである。
とにかく、あれさんに名前が戻ってよかった。みんな満足して、食後のデザートをたいらげた。
ご馳走様。Wさん,失礼しました!