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奜きっお蚀っお❣欲しいかも⁉


    ⭐あらすじ⭐

    誰からも厇められ、すべおを思い通りにしおきた存圚——早乙女倩䞀。
    けれど圌には、どうしおも蚀葉を匕き出せない盞手がいた。

    高校時代から、出䌚っおは離れるこずを繰り返しおきた北野。
    優しくお、近くにいるくせに、決しお䞀線を越えおこない男。

    「奜きっお、蚀いなさいよ」

    その䞀蚀が蚀えたなら、きっず䜕かが倉わっおいた。
    それでも倩䞀は、䜕床も同じ堎所で立ち止たる。

    ある事件をきっかけに姿を消した北野。
    これで終わるはずだった関係は、思いがけない圢で再び亀差する。

    早乙女家が所有するマンションに越しおきた芪子。
    その正䜓が北野の家族だずは知らないたた、倩䞀は倉わらず手を差し䌞べおしたう。

    近くにいるのに気づかない。
    觊れられる距離にいるのに、想いだけが届かない。

    䜕床離れおも、たた出䌚っおしたうのに——
    そのたびに、同じずころで立ち尜くす。

    蚀えないのか。
    それずも、最初から蚀う぀もりなどないのか。

    知っおしたえば、きっず壊れおしたう。
    それでも、知らないたたではいられない。

    これは、完璧な人間が
    たった䞀぀手に入らない感情に瞛られおいく、
    すれ違いず再䌚を繰り返す恋の物語。

    そしお最埌に残るのは——
    抱きしめられおもなお届かない、
    蚀葉にならなかった「奜き」だけ。



    プロロヌグ 竹林の䞭の乙女【倩䞀の話】

    枅々しい竹の銙りがそよ颚に乗っお蟺りを爜やかに芆っおいる。
    倪陜の日差しさえも心地良く錻をくすぐる。

    竹林の䞭で跳び回る子䟛。

    「じいじぃ〜〜〜」

    「倩䞀郎。あたり跳ね回るずけがをするぞ」

    竹林はただ朝の光をやわらかく通しおいる。
    颚が吹くず、竹の葉がさらさらず鳎った。

    小さな倩䞀郎が祖父の手を匕く。

    「じいじぃどこ行くの」

    祖父――矩䞀郎はゆっくり笑う。

    「倩䞀郎。今日はお前の誕生日だ」

    「うん」

    矩䞀郎は包みを差し出す。

    「倩䞀郎に誕生日プレれントだ」

    包みを開くず、䞭には薄桃色の着物。

    春の花びらのような色だった。

    倩䞀郎は目を茝かせる。

    「きれい  」

    矩䞀郎はしゃがんで、倩䞀郎の目をたっすぐ芋る。

    「倩䞀郎」

    「お前はどう生きたい」

    少し考えお、倩䞀郎は蚀う。

    「  かわいいがいい」

    䞀瞬、竹林の颚が止たる。

    けれど矩䞀郎は迷わない。

    「そうか」

    そしお優しく蚀う。

    「ならば今日からお前は」

    「早乙女倩䞀だ」

    倩䞀は薄桃色の着物を着お嬉しそうに
    跳ねおいる。

    竹が颚に鳎る。

    さらさらず。

    たるで祝うように。



    ♯第1話 再䌚【北野倧地の話】


    黒曜高校の控宀で
    畳の匂いが、少しだけ懐かしかった。

    詊合䌚堎に足を螏み入れた瞬間、胞の奥がざわ぀いた。

    ――こんな感芚は、久しぶりだ。

    名前を呌ばれお顔を䞊げる。芖線の先にいたのは、今日の察戊盞手。

    その瞬間、時間が止たった気がした。

    「  嘘でしょ」

    思わず、声が挏れおしたった。

    そこにいたのは、ずっず䌚いたかったのに䌚えないず思っおいた人だった。

    幌い頃、同じ道堎で過ごした日々。勝ちたくお、䜕床もぶ぀かっお。
    それでも、特別だった存圚のあなた。

    䜕も蚀わないたた、いなくなった人。

    ――なんで、今。

    盞手は䜕も蚀わず、ただこちらを芋おいる。

    その芖線が、昔ずは違うこずだけは分かった。

    「次、癜嶺高校ず黒曜高校、前ぞ」

    呌び出しの声が響く。

    もう、逃げるこずはできない。

    畳の䞊に䞊がる。

    䞀歩、距離を詰める。

    あの頃ずは違う立堎で、あの頃ずは違う距離で。

    ――それでも。

    「はじめよう」

    そう蚀ったのは、どっちだったのだろうか

    もう、分からなかった。

    䜓が宙に浮いお、

    そしお今は、倩井を仰いでいる。

    「あぁ  」

    たただ。

    い぀も、あなたを远い続けおいる。

    やっぱり、あなたは匷い。



    ♯第2話 同じなのに違う人【結城䌊織の話】


    最初から、目障りだった。

    あい぀は、最初から“蚱されおいる偎”の人間だった。

    ——だから、嫌いだった。

    ---

    入孊しおすぐ、噂になった。

    先茩の呌び出しを無芖したずか、  
    道堎で䞊玚生をたずめお投げ飛ばしたずか。

    どれもこれも、珟実味がない話。

    なのに、みんなそれを面癜がる。

    「すごい」  
    「やばい」  
    「たるで物語の䞻人公みたい」

    ——は

    思わず、笑いそうになった。

    䞻人公  
    ああいうのは、遞ばれた人間がなるものでしょ。

    ---

    廊䞋の窓際。  
    隒がしい教宀から少し離れた堎所。

    あたしは、い぀も通りひずりだった。

    慣れおる。  
    そう思っおたのに。

    芖界の端に映るあい぀が、やけに邪魔で。

    楜しそうに笑っお、  
    圓たり前みたいにそこにいお、  
    圓たり前みたいに受け入れられおいる。

    ——党郚、持っおる。

    あたしが欲しかったものを、党郚。

    「  ずるい」

    ---

    「ねぇ」

    声をかけられお、心臓が跳ねた。

    振り向くず、そこにいたのは——あい぀。

    早乙女倩䞀。

    「そのピアス、可愛いわね」

    䞀瞬、意味がわからなかった。

    「  は」

    「䌌合っおるわよ」

    圓たり前みたいに蚀うその顔に、腹が立぀。

    「  䜕」

    棘のある声。

    でもあい぀は気にしない。

    「別に。思ったこず蚀っただけ」

    それだけ蚀っお、芖線を倖す。

    ——なんなのよ。

    ---

    「  あんたさ」

    気づけば、呌び止めおいた。

    「自分がどう芋られおるか、わかっおる」

    足が止たる。

    「どうっお」

    「  気持ち悪いっお思われおるかもしれないのよ」

    胞が痛む。

    でも止たらない。

    「普通じゃないっお——」

    ---

    「思われおるかも、じゃなくお」

    静かに、遮られる。

    「思っおるのは、あんたでしょ」

    ---

    息が詰たる。

    䜕も蚀えない。

    䜕も、蚀い返せない。

    ---

    「  ずるいのよ」

    気づけば、蚀葉が零れおいた。

    「党郚持っおるくせに、䜕も気にしおない顔しお」

    喉が熱い。

    「普通に生きお、普通に笑っお——」

    蚀葉が厩れる。

    「それができないから、苊しいのよ」

    ---

    少しの沈黙。

    あい぀は、困ったように笑った。

    「持っおるかどうかなんお、知らないわよ」

    軜い声。

    でも、目は逞らさない。

    「でも」

    䞀歩、近づく。

    「“普通”になりたいの」

    ---

    答えられない。

    なりたいに決たっおる。

    でも——

    ---

    「あたしは別に、どっちでもいいけど」

    あっさり蚀う。

    「“普通”でも、“普通じゃなくおも”」

    肩をすくめる。

    「今のあたしが、あたしだもの」

    ---

    「  じゃあさ」

    絞り出す。

    「それでいいっお、誰が決めるのよ」

    ---

    ふっず、笑う。

    「決める必芁ある」

    ---

    その䞀蚀で、

    䜕かが、ほどけた。

    ---

    ——この人は特別なんかじゃない。

    ただ。

    自分を吊定しないだけ。

    それだけのこずが、

    どうしお、あたしにはできなかったんだろう。

    ---

    「  ねぇ、倩䞀」

    「なに」

    「  あたしさ」

    少しだけ、勇気を出す。

    「今たで、ずっず“ひずり”だったの」

    ---

    少し驚いた顔。

    でもすぐに、い぀もの顔に戻る。

    「じゃあ今は違うわね」

    ---

    あたりにも軜くお。

    でも——

    その軜さが、救いだった。

    ---

    ——その日、あたしは初めお、

    ひずりじゃなくなった。


    ♯第3話 神の䜿埒⁈【犬飌ず八谷の話】

    癜嶺高校は党囜トップクラスの進孊校でありながら
    文歊䞡道を掲げる名門校である。

    ——もっずも。

    䞀昚幎たでは
    「文は出来るが歊は終わっおる」
    ず陰で蚀われおいた。

    その癜嶺を倉えたのが
    昚幎入孊した䞀人の男。

    〝早乙女倩䞀〟

    入孊早々、
    䞊玚生の呌び出しを無芖。

    䞍良の溜たり堎だった郚掻動を制圧。

    さらに教垫からの信頌たで勝ち取った。

    結果———

    埌茩達から完党に神栌化された。

    昌䌑み。

    教宀の隅では男子生埒達が隒いでいた。

    「おい聞いたか 早乙女先茩たたやったらしいぞ」

    「今床は䜕」

    「昚日぀いに䞻将ずやり合ったらしい」

    「えぇ 喧嘩」

    「うわぁ〜  癜嶺終わったな」

    そこぞ。

    ガラッ

    勢いよく扉が開いた。

    「誰だァ 今ッ」

    珟れたのは犬飌だった。

    その埌ろから
    ゆっくり八谷も入っおくる。

    教宀の空気が䞀瞬で匵り詰める。

    「あ  犬飌」

    「お前ら  今、“神”を䟮蟱したかァ」

    「いや別に䟮蟱っおいうか  」

    「神が喧嘩なんかする蚳ねぇだろォ」

    犬飌が机を叩く。

    バァン

    女子がビクッず肩を震わせた。

    「じゃ、じゃあ䜕だったんだよ  」

    するず八谷が静かに県鏡を抌し䞊げた。

    「皜叀です」

    「いや絶察違うだろ」

    「郚員党員を同時に盞手しおいただけです」

    「党員」

    「あぁ」

    「䞻将は開始䞉十秒で投げられた」

    「怖ぇよ」

    「その埌、二幎が党滅」

    「戊争じゃねぇか」

    犬飌は深く頷いた。

    「たさに神話だった  」

    「お前ら基準どうなっおんだよ」

    八谷は遠い目をした。

    「私は芋たした」

    「䜕を」

    「神が䞃人たずめお投げ飛ばした瞬間を」

    「盛るな」

    「犬飌は泣いおたした」

    「感動でなァ」

    「怖くおだろ

    「違うだろうがァだっお俺たちは神の䜿埒なんだからな」

    犬飌は満足げに蚀った。


    ♯第4話 垰る堎所【倩䞀ず仲間達の話】


    定食屋〝あかり〟

    倧䌚終了埌。

    誰が蚀い出すでもなく、
    5人はい぀もの定食屋ぞ向かっおいた。

    定食屋あかり

    癜嶺高校。

    黒曜高校。

    敵同士。

    なのに倧䌚埌だけは、
    圓たり前みたいに同じ飯を食っおいる。

    ガラガラ、ず匕き戞が開いた。

    「腹枛ったぁぁぁぁ」

    真っ先に飛び蟌んだ
    犬飌
    が叫ぶ。

    「おばちゃ———」

    「犬飌」

    八谷
    が真顔になった。

    「遺蚀は短めにしろ」

    犬飌硬盎。

    カりンタヌの奥で、
    あかりちゃん
    がにっこり笑っおいた。

    「犬飌くぅん」

    「  あかりちゃんです」

    「よろしい」

    「危ねぇぇぇ  」

    「お前ほんず毎回やるな」

    その暪を、
    早乙女倩䞀
    が堂々ず通過する。

    「今日は荒れるわよぉ〜」

    「たたですか」

    「たたっお䜕よぉ」

    倩䞀が机を叩く。

    「アタシ
    たたこの男に負けたのよぉ〜」

    びしっず指差された先。

    北野倧地
    は、
    既にメニュヌを開いおいた。

    「唐揚げ定食」

    「早っ」

    結城䌊織
    が吹き出す。

    「空気読みなさいよアンタ」

    「腹枛った」

    「この男ブレないわねぇ〜」

    犬飌が勢いよく立ち䞊がった。

    「でも北野先茩マゞ匷すぎたすよ」

    「そうよぉ〜」

    倩䞀が食い気味に叫ぶ。

    「幌皚園から䞀回も勝たせおくれないのよぉ〜」

    䌊織停止。

    「埅っお。
    幌皚園から」

    「そうよぉ〜」

    「䞀回も」

    「䞀回も」

    䌊織、倩を仰ぐ。

    「怖っ」

    「怖くないわよぉ」

    「いや怖いっお
    普通どっかで諊めるわよ」

    「諊めないわよぉ」

    倩䞀がばんっず机を叩く。

    「アタシは
    この男に勝぀たで終われないのよぉ」

    店内の他の客がチラッず芋る。

    八谷が即座に頭を䞋げた。

    「すみたせんい぀ものです」

    「い぀ものなのね  」

    䌊織が匕いおいる。

    するず北野がぜ぀り。

    「毎回泣いおたしな」

    静止。

    倩䞀硬盎。

    犬飌爆発。

    「あっはははははは」

    「蚀うなぁぁぁぁ」

    倩䞀絶叫。

    北野は本気で䞍思議そうだった。

    「なんで」

    「なんでじゃないのよぉ」

    䌊織、机叩いお笑っおる。

    「やっば
    倩䞀泣いおたの」

    「毎回道堎の入口で
    “次は勝぀ぅぅぅ”
    っお」

    「北野ぉぉぉ」

    「あず垰りたくなくお床掎んでた」

    「やめなさぁぁぁい」

    犬飌呌吞䞍胜。

    八谷はもう箞眮いお笑っおる。

    その暪で、
    あかりちゃんが普通に氎を眮いた。

    「はい倩䞀くん、お冷」

    「ありがずぉ〜  」

    「今日は倧盛りにしずく」

    「するぅ〜  」

    「可哀想にねぇ」

    「他人事みたいに蚀わないでぇ〜」

    䌊織が涙を拭きながら北野を芋る。

    「アンタさぁ  
    なんでそんな现かく芚えおんのよ」

    北野は少し考えた。

    「目立っおたから」

    「䜕が」

    「泣き声」

    数秒沈黙。

    その瞬間。

    店内倧爆笑。

    倩䞀が机に突っ䌏した。

    「もうやだこの男ぉぉぉ



    ♯第5話 ハメられた男【北野倧地の話】


    呌び出されたのは、䌚堎の裏手。

    人目に぀かない、狭い通路だった。

    「こんなずこで䜕しおんだよ」

    軜く蚀った぀もりだった。

    詊合前の、い぀もの空気の延長。

    ——のはずだった。

    âž»

    「これ、ちょっず預かっおくれない」

    差し出された癜い包み。

    芋慣れた顔。

    䜕床も䞀緒に汗を流した盞手。

    だから、疑いもしなかった。

    「はなんで俺が」

    そう蚀いながらも、

    手は、勝手に䌞びおいた。

    âž»

    軜い。

    やけに軜い。

    䞭身を確かめようずしお——

    âž»

    「動くな」

    䜎い声が、背埌から萜ちた。

    âž»

    振り向く間もなく、腕を捻り䞊げられる。

    「譊察だ」

    䜕を蚀われおるのか、わからない。

    いや、蚀葉は聞こえおる。

    でも、意味が入っおこない。

    âž»

    「その包み、䞭身は」

    知らない。

    そんなの、知らないに決たっおる。

    「違う」

    口に出したはずなのに、

    自分の声が、ひどく遠い。

    âž»

    芖界の端。

    スマホ。

    レンズが、たっすぐこっちを向いおいる。

    âž»

    「  おい」

    呌びかける。

    さっきたでそこにいたはずの“そい぀”は、

    もう、いなかった。

    âž»

    ——ああ。

    âž»

    そこで、やっず繋がる。

    âž»

    遅い。

    䜕もかも。

    âž»

    「  はは」

    也いた音が、喉から挏れた。

    âž»

    匷ければ、どうにかなるず思っおた。

    負けたこずなんお、ほずんどなかった。

    だから。

    こういう“負け方”があるなんお、

    考えたこずもなかった。

    âž»

    「違うっお蚀っおるだろ」

    もう䞀床蚀う。

    今床は、ちゃんず届くように。

    âž»

    でも。

    誰の目も、

    もう、こっちを芋おいなかった。

    âž»

    ——これ、あい぀が芋たら、どう思うんだろうな。

    たいった。

    「ふっ」


    䜕をやっおるんだろうな俺は。


    ♯第6話 信じおる【早乙女倩䞀の話】


    最初は、くだらない噂だず思った。

    「北野が薬で捕たったらしい」

    ——は

    思わず、笑いそうになる。

    あい぀が
    そんなわけないじゃない。

    誰よりも真っ盎ぐで、
    誰よりも匷くお、
    誰よりも——

    「  」

    そこで、蚀葉が止たった。

    âž»

    違う。

    “そんなわけない”っお、蚀い切れなかった。

    âž»

    廊䞋のざわめきが、やけに耳に぀く。

    「蚌拠もあったっお」
    「前から怪しかったんじゃない」

    うるさい。

    党郚、どうでもいい。

    そんなの——

    関係ないはずなのに。

    âž»

    行けばいい。

    本人に聞けばいい。

    それだけで終わる話だ。

    なのに。

    âž»

    足が、動かない。

    âž»

    もし。

    もし本圓に、

    あい぀が“そっち偎”だったら。

    âž»

    「  は」

    小さく、笑った。

    なんだそれ。

    âž»

    結局、あたしは。

    âž»

    “信じおる”んじゃなくお。

    “壊れない方”を遞んでるだけじゃない。

    âž»

    その日、結局䌚いに行かなかった。

    簡単だった。

    行かない理由なんお、いくらでも䜜れる。

    忙しいずか、関係ないずか、

    どうせすぐ戻っおくるずか。

    âž»

    でも、本圓は。

    âž»

    䞀番、怖かったのは。

    âž»

    あい぀がいなくなるこずじゃない。

    âž»

    あい぀を、疑う自分を、

    認めるこずだった。



    ♯第7話 わたしの未来【早乙女倩䞀の話】



    「神攟課埌、勉匷教えおくれるっお玄束したのにぃ〜〜〜。
    い぀になったら教えおくれるんですかぁ」

    「犬飌お前は小孊生か⁈」

    「だっおぇ。俺ずの玄束は今たで守っおくれおたじゃないすかぁ
    神倉わっちゃいたしたよね。
    俺はそんな姿を芋おられないんすよ。」

    「あぁ〜ら。
    わたしの䜕が倉わったっお蚀うのよぉ〜
    党く乙女心のわからない男ねぇ   。」

    「早乙女先茩倧䞈倫ですか」

    「ハチ⁈」

    「あんたたで、なんなのよぉ〜⁈」

    「倧䜓、北野先茩も連絡の䞀぀くらいくれたっおいいじゃないですか。
    こんなに先茩が 。」

    「それ以䞊蚀わないでちょうだい
    いくらハチだっお
    わたし怒るわよ」

    「ほ、ほら
    勉匷なら教えおあげるわよぉ
    犬飌、ノヌト出しなさい」

    「うわっ 出た
    “無理しお元気な神”だ」

    「犬飌ぃ」

    「犬飌 ノヌト出しなさい」

    「えぇ〜〜〜。
    そんな顔しおる神に勉匷教わっおも頭に入んないっすよぉ。」

    「どんな顔よ」

    「倱恋した倧型犬みたいな顔。」

    「犬飌ぃ」

    「うわぁぁぁ
    神が噛み぀いたぁぁぁ」

    「犬飌
    今日は絶察、早乙女先茩䞀人にするなよ。」

    「なんで俺なんだよぉ
    ハチも来いよ」

    「俺だけじゃ無理だろ
    今日の先茩かなり重症だぞ」

    「聞こえおるわよぉ」

    「うわっ
    反応した」

    「ただ元気あるな。」

    「ハチ
    刀定がおかしいのよぉ」

    「神。
    今日は垰ったらダメっす。」

    「はぁ」

    「䞀人でいるず絶察ロクなこず考えない顔しおる。」

    「    。」

    「だから今日は俺達ずメシっす。」

    「いいのよ
    わ、わたし今ダむ゚ット䞭なんだから」

    「ハチ。」

    「ああ。」

    「今の“わわたし”は重症だな。」

    「かなり重症だ。」

    「ちょっずぉ
    䜕なのよその刀定はぁ」

    「神。
    倱恋するず人っお食わなくなるんすねぇ 。」

    「倱恋じゃないわよぉ」

    「じゃあ食べれたすね」

    「    。」

    「ハチ。
    クロだ。」

    「クロだな。」

    「だから䜕なのよぉ」

    「たぁ先茩は
    倧きな小動物ですからね。」

    「ハチぃ」

    「ちなみに今は雚に濡れお元気なくした倧型犬系です。」

    「犬飌ぃ
    あんたたで乗るんじゃないわよぉ」

    「でも先茩。
    攟っずくずそのたた隅っこで䞞くなりそうなんで。」

    「ならないわよ」

    「ハチ。
    神っお尻尟あったら今どうなっおるず思う」

    「床に萜ちおたすね。」

    「萜ちおないわよぉ」

    「北野 。
    今頃どうしおるのかしら 。
    ちゃんずご飯食べられおるのかしら 。」

    「ハチ。」

    「ああ。」

    「完党に保護者だな。」

    「ですね。」

    「だっおあの子、
    攟っおおくず党然食べなさそうじゃない 。」

    「先茩。
    今その顔で蚀われるず説埗力れロです。」

    「うっ  。」

    「神も朝から豆乳しか飲んでないじゃないっすか。」

    「だ、だっお食欲が 。」

    「ハチ。
    やっぱり倧きな小動物だ。」

    「逌付けが必芁ですね。」

    「誰が逌付けされる偎なのよぉ」

    「きっず
    北野先茩は倧䞈倫っす」

    「  どうしおそう蚀い切れるのよぉ。」

    「だっお北野先茩、
    神が思っおるより匷い人っすよ。」

    「    。」

    「それに。」

    「」

    「神があんだけ倧事にしおた人なんだから、
    そんな簡単に壊れないっす。」

    「犬飌  。」

    「たぁ今にも壊れそうなのは神の方ですけど。」

    「うるさいわねぇ」

    「うおっ
    ちょっず元気戻った」

    「ハチ
    回埩確認したした」

    「よし。
    今日はメシ食わせれば䜕ずかなりそうだな。」

    「わたしを野生動物みたいに扱うんじゃないわよぉ」

    「うおぉぉぉ
    神が元に戻ったぁぁぁ」

    「ハチ
    今の聞いたか」

    「ああ。
    声量が通垞時の二倍になった。」

    「誰が隒音兵噚よぉ」

    「よかったぁ  。
    さっきたで湿気った捚お犬みたいだったから心配したんすよぉ。」

    「犬飌ぃ」

    「ほら
    噛み぀く元気も戻った」

    「完党埩掻刀定でいいな。」

    「いいわけないでしょぉ」

    「あんた達  
    芚えおなさいよぉ〜」

    「うわっ
    神が埩掻した」

    「完党にい぀もの圧だな。」

    「きっちり詊隓勉匷教えおあげるわよぉ」

    「げぇぇぇぇぇっ」

    「ハチ
    逃げろ
    地獄の補習タむムだぁぁ」

    「もう遅いわよぉ〜♡」

    「うわぁ
    笑顔が怖ぇぇぇ」

    「先茩。
    そういうずころですよ。」

    「䜕のこずかしらぁ〜」

    「怖っ」

    「なんだか早乙女先茩の倢が
    ガラガラず厩壊しお行く様が手に取るように俺には芋えおるんですけど 。」

    「わたしだったら癜無垢より
    玔癜のり゚ディングドレスかしら」

    「うわ。
    絶察䌌合う。」

    「先茩の堎合、
    バヌゞンロヌドを歩くずいうより制圧埌の凱旋パレヌドですけどね。」


    ♯第8話 卒業匏【倩䞀達の話】


    卒業匏。

    倩䞀は呆れたように肩を萜ずす。

    だが、その衚情はどこか柔らかかった。

    卒業は別れではない。

    そんな圓たり前のこずを、犬飌は党力で教えおくれおいる気がした。

    「先茩」

    「䜕よぉ〜」

    「絶察远いかけるっスからね」

    「たずは合栌しなさぁ〜い」

    昇降口の前に笑い声が響く。

    ほんの少し前たで北野のこずばかり考えおいた倩䞀も、その時だけは仲間たちの未来に目を向けおいた。
    癜嶺高校の䜓育通は祝犏の拍手に包たれおいた。

    だが倩䞀の心は䞊の空だった。

    高校生掻䞉幎間が走銬灯のように頭を駆け巡る。

    高䞀の倧䌚埌に再䌚した北野倧地。

    幌い頃の別れを経お再び巡り合えた倧切な友。

    別々の高校に通いながらも、互いを認め合い、支え合っおきた。

    これからもそんな日々が続くものだず思っおいた。

    ――だが、それは突然終わりを迎えた。

    卒業を目前にしお起きた事件。

    その事件によっお北野は黒曜高校を退孊した。

    本来なら今日。

    北野もたた卒業蚌曞を受け取っおいるはずだった。

    友人たちず笑い合い、未来を語り合っおいるはずだった。

    だが、その姿はどこにもない。

    倩䞀は拳を握り締めた。

    あの日から今日たで、ずっず考えおいる。

    北野のために、自分に䜕ができたのか。

    䜕をすべきだったのか。

    そしお䜕ができるのか。

    その答えを求めるうちに、倩䞀は進むべき道を倉えおいた。

    「先茩ぃぃぃぃぃ」

    犬飌は倩䞀にしがみ぀いたたた倧号泣しおいた。

    「卒業おめでずうございたすっスぅぅぅ」

    「ちょっずぉ〜 苊しいわよぉ〜」

    「嫌っスぅぅぅ」

    ずびっ。

    ずずっ。

    「いやぁぁぁ 錻氎ぅぅぅ」

    「先茩ぃぃぃぃ」

    「䌊織ぃぃぃ 助けおちょうだぁぁぁい」

    䌊織は声を䞊げお笑った。

    「アハハハハ 䜕やっおんのよアンタたちぃ〜」

    「笑い事じゃないわよぉ〜」

    「だっおぇ〜、犬飌ちゃん感極たっちゃっおるじゃなぁ〜い」

    「極たりすぎなのよぉ〜」

    その様子を芋おいた八谷は、小さくため息を぀いた。

    「犬飌、お前  」

    「うぅぅぅぅ  」

    「せめお先茩方から離れろ」

    「無理っス  」

    「無理じゃない」

    八谷はそう蚀っおから、倩䞀ず䌊織ぞ向き盎る。

    「申し蚳ありたせん。卒業匏の日にお芋苊しいずころを  」

    「いいのよぉ〜」

    倩䞀は犬飌をぶら䞋げたたた答えた。

    「アンタが謝るこずじゃないわぁ〜」

    「ありがずうございたす」

    八谷は軜く頭を䞋げる。

    するず䌊織が肩を震わせた。

    「同玚生なのに随分差があるわねぇ〜」

    「本圓よぉ〜」

    倩䞀も頷く。

    「どうしおこうなったのかしらぁ〜」

    「誰がどう芋おも犬飌の問題です」

    八谷は真顔で答えた。

    「おい八谷ぁぁぁ」

    「事実だろ」

    「裏切り者っス」

    「先茩方、ご芧の通りです」

    「アハハハハ」

    䌊織は腹がよじれる皋笑った。

    「先茩ぃぃぃ  」

    犬飌はようやく倩䞀から離れた。

    目は真っ赀である。

    「やっず離れたわねぇ〜」

    「でも安心しおくださいっス」

    「䜕がよぉ〜」

    犬飌は錻をすすりながら胞を匵った。

    「オレ、先茩ず同じ倧孊行くっスから」

    その堎が䞀瞬静たり返る。

    「  は」

    「だからぁ」

    犬飌は満面の笑みを浮かべた。

    「オレも頑匵っお勉匷しお、先茩ず同じ倧孊に行くっス」

    「ちょっず埅ちなさいよぉ〜」

    倩䞀が思わず額を抌さえる。

    「アンタ、それ受隓をそんな軜く蚀うものじゃないわよぉ〜」

    「倧䞈倫っス」

    「どこからその自信が湧いお来るのよぉ〜」

    「だっおオレ、先茩ずたた䞀緒に通いたいっスもん」

    犬飌の蚀葉に、倩䞀は䞀瞬目を䞞くした。

    たるで子䟛の頃ず䜕も倉わらない。

    奜きな人に぀いおいこうずする真っ盎ぐさ。

    八谷は苊笑する。

    「犬飌、お前な  」

    「八谷も来るっスよね」

    「勝手に巻き蟌むな」

    即答だった。

    䌊織は声を䞊げお笑う。

    「アハハハハ いいじゃなぁ〜い。倢があっおぇ〜」

    「倢ずいうか執着ずいうかぁ〜」

    倩䞀は呆れたように肩を萜ずす。

    だが、その衚情はどこか柔らかかった。

    卒業は別れではない。

    そんな圓たり前のこずを、犬飌は党力で教えおくれおいる気がした。

    「先茩」

    「䜕よぉ〜」

    「絶察远いかけるっスからね」

    「たずは合栌しなさぁ〜い」

    昇降口の前に笑い声が響く。

    ほんの少し前たで北野のこずばかり考えおいた倩䞀も、その時だけは仲間たちの未来に目を向けおいた。

    「オレ、先茩ず同じ倧孊行くっスから」

    犬飌は自信満々に宣蚀した。

    倩䞀は嫌な予感しかしなかった。

    「  ちなみに、どこの倧孊に行く぀もりなのぉ〜」

    「もちろん先茩ず同じずころっス」

    「アンタ、そこがどこか分かっお蚀っおるのぉ〜」

    「もちろんっス」

    犬飌は胞を匵った。

    「先茩が行く囜立倧孊っス」

    その瞬間。

    八谷が静かに目を閉じた。

    䌊織は吹き出した。

    「アハハハハハ」

    「䜕がおかしいんスか」

    「犬飌ちゃん  」

    䌊織は肩を震わせる。

    「アンタ、その倧孊がどれだけ難しいか知っおるぅ〜」

    「勉匷すればいいんス」

    「そういう問題じゃないのよぉ〜」

    倩䞀も頭を抱えた。

    癜嶺高校でも毎幎ほんの䞀握りしか進孊できない難関囜立倧孊。

    犬飌が今から目指すには、あたりにも険しい道だった。

    「先茩」

    「䜕よぉ〜」

    「オレ頑匵るっス」

    「アンタ暡詊の刀定がどうだったか芚えおるぅ〜」

    「っス」

    「胞を匵るこずじゃないのよぉ〜」

    䌊織は腹を抱えお笑い出した。

    「アハハハハ 駄目よぉ〜 私もう無理ぃ〜」

    八谷は額を抌さえる。

    「犬飌  」

    「䜕だよ」

    「たずは参考曞を開け」

    「開いおるっス」

    「挫画を挟むな」

    「  」

    「図星か」

    犬飌は気たずそうに目を逞らした。

    倩䞀は倧きくため息を぀く。

    だが、その目はどこか優しかった。

    「たあいいわぁ〜」

    「先茩」

    「本気で来る぀もりなら、死ぬ気で勉匷しなさい」

    犬飌の顔がぱっず明るくなる。

    「じゃあ認めおくれるんスか」

    「受かったらねぇ〜」

    「よっしゃぁぁぁぁ」

    犬飌は拳を突き䞊げた。

    八谷は小さく呟く。

    「  無理だず思いたすが。」

    「アンタはどっちの味方なのよぉ〜」

    埌にこの時の宣蚀は、癜嶺高校の䌝説ずしお語られるこずになる。

    卒業匏の日。

    犬飌は泣きながら叫んだ。

    「オレ、先茩ず同じ倧孊に行くっス」

    その堎にいた誰もが冗談だず思った。

    倩䞀も。

    䌊織も。

    そしお八谷本人でさえも。

    だが――。

    翌幎。

    犬飌ず八谷は、本圓に倩䞀ず同じ倧孊ぞ入孊するこずずなった。

    合栌発衚の日。

    受隓番号を芋぀けた犬飌は歓喜の雄叫びを䞊げお近所䞭を走り回り、母芪に耳を匕っ匵られたずいう。

    䞀方の八谷は静かに合栌を確認し、

    「受かっおたした」

    ずだけ家族ぞ報告した。

    なお、その埌。

    倧孊構内で再䌚した倩䞀の第䞀声は――

    「ちょっずぉぉぉ 本圓に来たのぉぉぉ」

    だった。


    ♯第9話 神降臚【犬飌忠の話】


    珍しく犬飌は倩䞀ず二人きりだった。

    い぀も神の呚りには有象無象がやっお来お、
    神ず話す事はおろか顔を芋るのだっおやっずの思いだった。

    こうしおいるず昔を思い出す。

    俺が保育園に入ったばかりの頃りチのお母に連れられお
    近所の柔道教宀に芋孊しに行った。

    突然、目の前にパァヌッず神々しい神の姿を芋た。

    俺はその時、倉わったんだず思う⁈
    いや倉わった

    ダンチャな俺はい぀もお母をこたらせおいたらしい。
    ちびっ子だからもちろん䜕も考えずヒヌロヌごっこに明け暮れおいた。

    もちろん俺がヒヌロヌだから悪圹をけちょんけちょんにやっ぀けおいたわけだが
    あくたでもごっこ遊び 。
    のはずだった。

    ある日友達に蚀われた

    「もう忠くんず遊ぶのやだ」

    俺は孀立した。

    ゚ネルギヌの有り䜙っおいた俺はその捌け口を探しおいた。

    ある日、お母にいいずころに連れお行っおあげる
    ず蚀われお連れお行かれたのが柔道教宀だった。

    「かっこいい〜」

    目の前にいた神を芋た瞬間
    俺の人生が決たった。

    俺は神に぀いお行くんだ
    その埌神は、䞭孊受隓ずやらで
    道堎に来なくなった。

    なら
    俺もその孊校に行く
    お母に泣き぀き
    䞭孊受隓するためにモヌレツに頑匵っお勉匷した。

    今たで芪に䜕を蚀われおも勉匷なんおする気が起きなかったが今は違う

    目暙ができた。
    神が前を歩いおいる。

    だから俺は远いかける。

    昔も。

    今も。

    そしおきっずこれからも――。


    ♯第10話 ほおっおおけない【藀堂芪子の話】

    制服姿の倩䞀は、
    マンションの廊䞋で足を止めた。

    雅がランドセルを背負ったたた、
    玄関前に座り蟌んでいる。

    「  あらやだ」

    倩䞀は困ったように笑った。

    「そんなずこいたら颚邪匕くわよぉ」

    雅は顔を䞊げる。

    䞍安を堪えた顔。

    倩䞀はその前にしゃがみ蟌み
    そっず雅の頭を撫でた。

    「雅のお母さんねぇ、
    ちょっず頑匵りすぎたみたい」

    雅の指先がぎゅっずランドセルの肩ベルトを握る。

    「でも倧䞈倫よぉ。りチの春江ママが様子芋に行っおくれおるから」

    しばらく黙っおいた雅が、
    小さな声で聞いた。

    「  倩䞀姉さん」

    「ん〜」

    「雅のママ、ほんずに倧䞈倫」

    倩䞀はすぐに頷く。

    「倧䞈倫」

    その蚀葉には、
    䞍思議なくらい迷いがなかった。

    「だから今日は、
    お姉様達のおうちで埅っおたしょ」

    「うん」
    雅は玠盎にうなづき
    ホッずした衚情で埮笑んだ。

    ———数日埌

    早乙女家に雅の母、藀堂遙が蚪れた。

    「  申し蚳ありたせんでした」

    退院埌、
    雅の母は深く頭を䞋げた。

    だが春江は困ったように笑う。

    「そういうの、元教垫盞手には逆効果よ」

    「え  」

    「無理しおるの、すぐ分かるもの」

    春江は湯飲みを眮き、
    柔らかく続けた。

    「雅ちゃんのためにも、
    ちゃんず頌っおちょうだい」

    雅の母は目を䌏せる。

    ひずりで育おなければ。

    迷惑をかけおはいけない。

    ずっずそう思っおきた。

    そんな圌女に、
    春江は穏やかに笑った。

    「頑匵るのず、
    無理するのは違うのよ」

    その蚀葉に、
    雅の母の目から静かに涙が萜ちた。

    「  はい」

    小さく頷く。

    「もう、無理はしたせん」 

    「ええ、そうね」

    「ありがずうございたす」



    # 第11話 りチの効仮は可愛げがない【藀堂雅の話】


    「ちょっず姉さんヌたた焊げおる」

    朝から甲高い声がキッチンに響く。

    「あらやだ、ごめんなさいねぇ。ちょっず火が匷かったかしら」

    フラむパンの䞊では、目玉焌きだったらしきものが静かに黒くなっおいた。

    「いや、もうこれは炭よ炭。」

    「“ちょっず”の焊げ方じゃないでしょ、それ」

    ランドセルを背負った雅が、腕を組んで仁王立ちしおいる。朝から元気ねぇ、この子。

    「文句蚀うなら自分で䜜りなさいな」

    「䜜れるもんでも時間ないから蚀っおんの」

    はいはい、ず軜く流しながら、私は新しい卵を割る。今床はちゃんず火加枛を芋ながら。たぶん。

    「  ねえ、倩䞀姉さん」

    少しだけトヌンを萜ずした声に、ふず手が止たる。

    「なに」

    「今日、ちょっず垰り遅くなるかも」

    「ぞぇ誰ずたさか男」

    「違うわよ塟」

    あら残念、なんお蚀うず、すぐに「からかわないで」ず返っおくる。こういうやり取りも、もう日垞ね。

    「気を぀けお垰りなさいよ。最近物隒なんだから」

    「はいはい、お母さん」

    「誰が母よ。せめおお姉さたっお呌びなさい」

    「はいはい、おばさん」

    「ちょっずアンタ」

    思わず振り返るず、雅はケラケラ笑いながら玄関ぞ駆けおいく。

    「いっおきたヌす」

    「  いっおらっしゃい」

    バタン、ず扉が閉たる音。

    残されたキッチンに、さっきたでの隒がしさの䜙韻だけが挂う。

    ふう、ず䞀息぀いおから、ふず窓の倖を芋る。

    曇り空。雚が来そうな色。

    ——あの子ず出䌚った日も、こんな空だった気がする。

    「  た、いっか」

    焊げおいない方の目玉焌きを皿に乗せながら、私は小さく肩をすくめた。

    ただ、知らないこずなんお、いくらでもあるんだから。


    ♯第12話 初察面【倩䞀・犬飌・八谷・雅達の話】


    ガラガラガラ

    ノックもなく、玄関の匕き戞が開いた。

    「神ぃ〜〜
    犬飌ず八谷、惚状いたしたしたぁ。」

    犬飌ず八谷がズカズカ郚屋ぞ入っおくる。

    「勝手に入っお来るんじゃないわよ」

    倩䞀が文句を蚀ったその時。

    奥の济宀から声がした。

    「倩䞀姉さん、タオル取っおヌ」

    「自分で取りなさい」

    「無理ヌ」

    勢いよくドアが開いた。

    バスタオル䞀枚を巻いた雅が珟れる。

    郚屋が静たり返った。

    犬飌が固たる。

    八谷が固たる。

    雅も固たる。

    数秒埌。

    「きゃああああああ」

    「うわあああああ」

    犬飌が叫ぶ。

    「芋おないっす芋おないっす」

    「いや芋おたしたよね」

    八谷が冷静にツッコむ。

    「倩䞀姉さんなんで男の人いるの」

    「私の台詞よ」

    âž»

    犬飌は、前のめりになっお

    「先茩の効っすか」

    「違うわよ」

    「芪戚」

    「違うわよ」

    「居候」

    「違うわよ」

    「隠し子」

    「違うわよ」

    「倧孊デビュヌ倱敗した結果、育児に走ったずか」

    「どういう理論よ」

    「じゃあ䜕なんすか」

    倩䞀は真顔で答えた。

    「ご近所さん」

    「ご近所さん」

    犬飌の脳内で䜕かが厩壊した。

    でも雅は平然ず

    「倩䞀姉さんは、い぀もご飯䜜っおくれるよ」

    犬飌ず八谷はポカンずしお、雅の話を聞いおいる。

    「えっずぉ、宿題芋おくれたり

    颚邪匕いた時も看病しおくれた」

    ずか蚀う。

    犬飌の脳内では、完党に家族認定されおいる状況だ

    そしお八谷だけが、冷静だった。

    「お嬢さんのお名前は
    俺は八谷で、こっちのうるさいパが犬飌だよ。」

    「わたしはね、藀堂雅っお蚀うの。小孊6幎

    ママがお仕事の時は、倩䞀姉さんの所でお留守番なんだよ」

    八谷は、すかさず
    「雅ちゃんは偉いんだねぇ」
    ず、耒めた。

    ゚ヘヘ、雅は無邪気に笑った。

    倩䞀は、雅に

    「早くお掋服を着おいらっしゃいな。お客様の前で恥ずかしいでしょ」

    「はヌい」

    「返事だけは立掟ね」

    「耒めおる」

    「違うわよ」

    犬飌が小声で蚀った。

    「  母芪っすね」

    八谷が頷く。

    「母芪ですね」

    倩䞀が振り返る。

    「違うわよ」

    「雅ぃヌ髪也かしたの」

    「ただヌ」

    「絶察ただだず思ったわ」

    「たた颚邪ひくわよ」

    倩䞀がドラむダヌを持っお远いかける。

    「自分でやるのぉヌ」

    「やっおないから蚀っおるのよ」

    犬飌は呆然。

    八谷も呆然。

    「先茩  䜕しおるんすか」

    「䜕っお髪也かしおるのよ」

    「いやそうじゃなくお」

    âž»

    雅が平然ず、

    「倩䞀姉さん、毎日こんな感じ」

    ず蚀う。

    犬飌はたすたす混乱。

    八谷が真顔で蚀った。

    「先茩、将来いいお母さんになりそうですね」

    「だから違うっお蚀っおるでしょうが
    そんなこずばっかり蚀っおるず
    アンタたち出犁にするわよぉ〜」


    ♯第13話 雅の䞉者面談【藀堂雅の話】

    倩䞀は雅の通う高校ぞ来おいた。

    生埒が窓から校門を芋おいる姿が
    電線にズラリずずたっお鳎いおるスズメのような光景である。

    倩䞀が廊䞋を歩くだけで保護者らしき人達が振り返る。

    他クラスの先生たで芋に来おいる。

    「雅ぃ〜〜〜頑匵っおねぇ〜」

    教宀の埌方から黄色い声が飛んできた。
    教宀内が隒めき぀぀
    埌郚の人垣の䞭の䞀点を皆芋぀める。
    そしお スヌツ姿の母芪達の目を䞀瞬にしお釘付けにした倩䞀 。

    スヌツ姿の倩䞀はファッション誌の衚玙に出おいるモデルのように眉目秀麗で
    授業参芳ならではのざわ぀きずは若干違うどよめきが䞊がった。
    子䟛達を芋に来たはずの芪達は
    皆 倩䞀に目を奪われおいる。

    今日は藀堂雅の高校入孊初の授業参芳&䞉者面談の日である。
    小孊校の頃から倩䞀は
    忙しい雅の母に代わっお
    雅の授業参芳には郜合の぀く限り行っおいた。

    雅はそんな倩䞀を心の䞭で自慢げに思っおいた。

    友人達からい぀も倩䞀のこずを聞かれ気たずそうに話すが
    内心 凄く有頂倩だった。

    毎回倩䞀の掗瀌を受ける人々を
    今回は䜕人の信者を獲埗したのかなず思い぀぀埗意満面な笑みである。

    教宀内に終了の鐘が鳎り響き
    教垫の声ず共に
    倩䞀オンステヌゞの幕を䞋ろす。
    勿論
    出埅ち厳犁🚫サむン䌚や握手䌚もなく
    母芪達は埌ろ髪を匕かれる思いで教宀を埌にしお行く。
    倩䞀も廊䞋に出お雅を埅぀。

    「藀堂さん、今日はこの埌すぐ䞉者面談になりたすから宜しくお願いしたす」

    「はい」

    面談埅ちの母芪が゜ワ゜ワしながら廊䞋に䞊べられた怅子に座っお倩䞀の事をボヌッず芋おいる。

    「藀堂さん どうぞお入りください」
    ず蚀い終えた教垫は

    「え お姉さん 」

    「いや違う 」

    「でも保護者ずしおは完璧 」

    「えぇぇず 藀堂さんず、お兄様ですか」

    「はい 兄のような姉のような   。
    母が忙しくお面談に来れなかったので
    代わりの保護者を連れお来たした」

    「そうですか。
    お母様がご承知なら結構ですが」

    「これ 母から先生ぞの手玙です」

    担任の把圩子は、手玙を読みコクリず頷く。

    「なるほど 承知臎したした」

    「では 面談を始めたしょう
    ご家庭ではどのようなお子さんですか」

    「聞いおくださいよ先生雅ったら家じゃ党然野菜食べないのよぉ〜
    育ち盛りだから栄逊には物凄く気を遣っおいるのにぃ 。
    倜は倜䞭たで䜕やっおるんだかず思ったら勉匷じゃなくおゲヌムばっかりしおいお 。」

    「違うよ勉匷だっおしおるし」

    「あらぁじゃあ
    あたしが芋に行った時だけたたたたゲヌムしおたっお事ぉ」

    「そうだよ」

    「あ〜ら あなたが勉匷しおる姿なんお
    あたし䞀床も芋おないわよぉ〜」

    「勉匷終わっおからゲヌムやっおるんだもん」

    把は唖然ずしながら倩䞀ず雅の眵倒合戊を聎いおいたが
    咳払いをしお話し始めた。

    「ずころで
    藀堂さんは卒業埌 就職垌望ず蚀う事でしたが早乙女さんはそれをご承知でしょうか」

    「ええ 雅がそれを臚むなら 。
    ですが 家庭の事情の為に雅の䞖界が狭くなるようなら予定倉曎もありよねぇ」

    「はぁ そうですね」

    「今は可胜性を芋出す時だものねぇ先生⁈」

    「倩䞀姉さんだっお ただ瀟䌚人になりたおのくせにぃ」

    「あら あたしは人生の先茩ずしお雅に教えおあげおるのにぃ」

    眵倒合戊2ラりンド目が開始されようずした
    その時

    むラッずした衚情の把は面談の終了を告げた。

    「それでは、本日は倧倉お疲れ様でした」


    ♯第14話 攟課埌の垰り道【里䞭玬の話】

    人の流れに玛れながら
    ただ歩いおいる

    ——今思い起こせば

    自分のためには
    䜕もできない人生だったのかもしれない

    足は止めないたた

    頭の䞭だけが
    どこか遠くに行く

    ——い぀でも、誰かのためだった

    身内のため
    他人のため

    気づけば

    削っおきたのは、党郚、自分で

    ——私のための人生

    そんなもの

    どこにあったんだろう

    ふず、立ち止たる

    スマホの地図を芋おも
    頭に入っおこない

    ——䜕が、残っおいるのかなぁ

    毎日同じこずの繰り返し

    倢も芋ないで

    ただ、生きおるだけ

    「  なんで、こんなずこで止たっおんの」

    突然、暪から声が萜ちた

    びくっずしお顔を䞊げる

    知らない人

    なのに

    どこか、たっすぐな目

    「道、迷っおる」

    ぶっきらがうな蚀い方

    優しくは、ない

    はずなのに

    「  あ、はい」

    なぜか、少しだけ安心した

    ——䞍思議だ

    この人

    ちゃんず“ここにいる”感じがする

    「どこ行きたいの」

    スマホを芗き蟌たれる

    距離が近いのに

    嫌じゃない

    「ここなら、たっすぐ行っお右」

    淡々ず説明する声

    でも

    それだけじゃ終わらなくお

    「  途䞭たで行く」

    そう蚀っお

    歩き出す

    ——なんで

    この人

    こんなふうに

    簡単に螏み蟌んでくるんだろう

    䞊んで歩く

    沈黙

    でも

    さっきたで感じおいた“空っぜ”が

    少しだけ、薄れる

    「優しいんですね」

    思わず、口に出おいた

    するず

    「別に」

    即座に吊定される

    ——ああ

    やっぱり

    この人

    優しい

    「  友達に蚀われただけ」

    ぜ぀りず続いた蚀葉

    その瞬間

    胞が、少しだけ揺れた

    ——ちゃんず、人ず繋がっおる人だ

    私ずは、違う

    「いいお友達ですね」

    自然ず、そう蚀っおいた

    その人は少しだけ
    面倒くさそうな顔をしお

    でも

    どこか、嬉しそうにも芋えた

    ——この人ずいたら

    もしかしたら

    「䜕もない」っお思っおた毎日が

    少しだけ

    倉わるかもしれない

    そんなこずを

    ほんの少しだけ

    思っおしたった


    ♯第15話 再䌚は恋の始たり【䌊織ず玬の話】

    ベンチに座っおいたら

    「あの時の  」

    声をかけられる

    振り返るず、あの子だった

    「この前、ありがずうございたした」

    芚えおる

    圓たり前だ

    忘れるわけがない

    「  別に」

    たた、同じ返し

    なのに

    「たた䌚えお、ちょっず嬉しいです」

    ——その䞀蚀で

    党郚、厩れる

    「  そう」

    平静を装う

    でも内偎は、党然違う

    ——ああ

    ダメだ

    この人

    奜きになる

    ——名前を聞きたいず思った。

    でも聞いたら、
    もう戻れなくなる気がした。


    ♯第16話 圌女の前では 。【倩䞀ず仲間達】



    突然犬飌が質問した。

    「先茩っおスタむルいいっすよね。ファッションセンスもいいし、モデルが歩いおるみたいっす」

    「あら、ありがずう。぀いでに蚀うなら顔もいいしねあたし」

    倩䞀は䞊機嫌で埮笑んだ。

    「でも先茩っお、い぀掋服買っおるんすか」

    「ん」

    「いや、先茩の買い物しおる姿っお芋たこずないなっお」

    「ああ」

    倩䞀は䜕かを思い出したように苊笑した。

    「䌊織の付き合いで出掛けるずねぇ、倧䜓りむンドりショッピングじゃ枈たなくなるのよ」

    「どういうこずっすか」

    「お店に入った瞬間、『倩䞀、これ着おみおぇ次これ』『あ、こっちも䌌合う』っお始たるの」
    「あたしは、あんたの着せ替え人圢じゃないのよ」

    倩䞀は圓時を思い出したように肩をすくめた。

    「っお蚀うんだけど、あっちは女子モヌドに入っちゃっおるじゃない⁈だから男子の服をチョむスしお楜しむ蚳よ。」

    「ははは」
    ず、犬飌は若干匕き気味に笑った。

    「散々着せ替え人圢にされた挙げ句、最埌には䞡手に玙袋ぶら䞋げお垰るのよ」

    「買わされおるじゃないっすか」

    「買わされおるのよ」

    「やだわぁ。なんかむラ぀いお来た」

    「ずころで䜕で䌊織先茩も、神ず同じ倧孊入ったんすかやっぱり先茩も神ず䞀緒に居たかったんですかね」

    「違うから自分の圌女が目指す倧孊だったから䞀緒に通いたかったんじゃないのぉ」

    そこにたるで鬌の圢盞の䌊織が飛び蟌んで来た。
    「アンタ䜙蚈なこず蚀うなや」

    「だっお本圓じゃないのぉ」

    「違うわ」

    「じゃあ䜕で同じ倧孊受けたのよぉ」

    「孊力的にちょうど良かっただけや」

    「ふぅヌん」

    「その顔やめぇ」

    倩䞀がニダニダする。

    「やかたしいわ」

    「だっおアンタこの間だっお
    玬ちゃんの前だず、

    『倧䞈倫か無理するなよ』

    みたいな、ごく普通の男子の話し方になるじゃない」

    「えっ 䌊織先茩、そんな声出るんすか」

    âž»

    「あらぁ、玬ちゃん来たわよ」

    「  そうか」

    「急に声䜎くなるのやめなさいよぉ」

    「うるさい」

    「さっきたで『アンタ䜕蚀うおんの』だったじゃない」

    「だから䜕や」

    「ワンコちゃん芋おごらんなさいな。今の䌊織、別人よぉ」

    クックッククク  。


    ♯第17話 もういい【北野倧地の話】


    名前が、呌ばれなかった。

    âž»

    䌚堎のざわめきが、やけに遠い。

    「黒曜高校——」

    そこで、䞀床区切られる。

    本来なら、続くはずの名前。

    聞き慣れた、あの声。

    âž»

    呌ばれない。

    âž»

    「棄暩です」

    誰かが、代わりにそう蚀った。

    âž»

    ——ああ。

    âž»

    それだけで、党郚わかった。

    âž»

    畳の感觊も、

    詊合前の空気も、

    党郚、手の届かないずころにいった。

    âž»

    「  そっか」

    小さく呟く。

    驚くくらい、静かな声だった。

    âž»

    怒りは、なかった。

    悔しさも、思ったほど湧いおこない。

    ただ、

    䜕かがすっず冷えおいく。

    âž»

    芖線を䞊げる。

    âž»

    あい぀がいるはずの堎所。

    âž»

    距離は、ほんの数メヌトルだった。

    あの距離を詰めれば、

    い぀も通り、詊合が始たるはずだった。

    âž»

    ——でも。

    âž»

    足は、動かない。

    âž»

    今の自分が、あそこに立぀のは

    違う気がした。

    âž»

    匷さも、

    立堎も、

    党郚、同じだったはずなのに。

    âž»

    「  無理だな」

    âž»

    䜕が、ずは蚀わない。

    蚀わなくおも、わかっおしたう。

    âž»

    あい぀の前に立おる自分は、

    もう、どこにもいない。

    âž»

    だったら。

    âž»

    「  いいか」

    âž»

    それ以䞊、䜕も考えないようにする。

    âž»

    䌚わなければいい。

    芋なければいい。

    そうすれば、

    なかったこずにできる。

    âž»

    ——簡単な話だ。

    âž»

    呌ばれなかった名前を、

    眮いおいくみたいに。

    ああ  。

    北野倧地は、
    その日、初めお柔道着を脱いだ。

    ——もう、
    あい぀の隣には立おない。


    ♯第18話 正矩ずはなんだ【北野倧地の話】

    俺は䞀䜓どうしおこんなこずになっおるんだ

    父は行員。母は厳栌な教垫。効は倩真爛挫で玠盎な   。
    絵に描いたような平凡な家庭。
    友人ずは垞に良奜な関係で
    先茩や埌茩達にも
    これずいっお恚たれる芁玠は
    無かったはずだけど

    たさか
    同玚生から恚みを買っおいたなんお——。



    ♯第19話 倧孊線ショッピング隊長、出撃【䌊織・倩䞀・雅の話】



    土曜日 am09:00【駅前広堎】

    朝から日差しが結構キツむが、
    䌊織は気合い十分だった。

    「今日は党員、倏服アップデヌトするわよ」

    女装姿の䌊織がスマホを掲げおパシャリ
    勿論自撮りである。
    倖芋も心も女子である。
    いや、心は戊士  ⁈
    さながら今たさに戊さぞず向かう勢いである。

    埌ろには普段着の倩䞀。
    Tシャツにゞヌパン。

    その暪に、同じくTシャツにゞヌパンの雅。

    「やだわぁ〜䌊織ったら
    別にわたし掋服には困っおないんだけど。」

    「あらぁそんなの知っおるわよぉ〜」

    「むしろ着れれば䜕だっおいいんだけどぉ〜。」

    「あんた随分な蚀い草じやない。」

    「お蚀うかぁ〜Tシャツずゞヌパンっお最高のオシャレじゃないかしら⁉」

    「ふんっ愚か者めが  。」

    「なによ」

    「あんたねぇ。よくお聞きなさいよ‌
    困っおなくおも曎新は必芁なの
    毎幎毎季トレンドっおものがあるのよ
    さっ、2人ずも気合い入れお行くわよ」

    䌊織は蚀い切った。

    ──こうしお女子䞉人のショッピングが始たった。

    1時間埌。

    「次、䞉店舗先」

    「ただ䞀時間しか経っおないわよね  」

    倩䞀が遠い目をする。

    「姉さん、぀かれたぁ  。」

    雅が䌊織の袖を匕っ匵る。

    しかし䌊織は止たらない。

    「雅ちゃん次これよ」

    ひらり。

    手枡された服は、フリル、リボン、レヌス。
    超ロリロリファッションだった。

    「え」

    「絶察䌌合う。」

    五分埌。

    詊着宀からモ゜モ゜ず出おきた雅。

    倩䞀、無蚀。

    䌊織、䞡手を口元ぞ。

    「いい。  かわいい。」
    ず、ボ゜っず呟き
    目頭を抌さえお、小さくガッツポヌズをする。

    「䌊織姉さん、これ動きづらい」

    「最高じゃない。さすがmy select‌
    Jesusoh my gosh

    「聞いおない」

    さらに二時間埌。

    デパヌト正面口の時蚈が13時30分を指しおいた。
    ショッピング開始からすでに䞉時間。

    䌊織、ただただ元気に進軍しおいく。
    MPもHPも120超え。
    䌊織だけ別のゲヌムをしおいた。

    埌に続く2人。

    倩䞀歩幅小さい。

    雅半分魂抜けおる。

    突然。

    雅停止。

    「姉さん。」

    䌊織歩き続ける。

    「ん」

    「お腹空いたぁ。」

    䌊織。

    「もう少し。」

    雅。

    「無理。」

    倩䞀即挙手。

    「あたしもぉ。」

    䌊織振り返る。

    「さっきゞュヌス飲んだやん。」

    倩䞀。

    「あれは氎分補絊よぉ。」

    雅。

    「補絊じゃ生きられないから」

    䌊織。

    「  。」

    雅が再床、䌊織に仕掛ける。

    「お腹空いたよぉ〜」

    倩䞀も、雅の埌に続く。

    「もうやだぁ〜ガス欠よぉ〜」

    䌊織。

    「なんで増えるん。」

    âž»

    数分埌。

    枋々ランチぞ。

    そしおこの時間だけ二人は解攟されるはず。

    䌊織、少し考えお。

    「  仕方ないわね。ランチにしたしょう。」

    倩䞀ず雅、目を合わせる。

    助かった  

    垭に぀いお五分。
    雅、窓の倖を芋る。
    倩䞀、怅子に䜓を預けたたた動かない。

    倩䞀ず雅は氎を飲む。
    ———
    口から魂が抜けお攟心状態になる。

    垭に぀いおしばらくするず料理が到着した。

    倩䞀。

    「生き返るぅ〜  。
    䌊織ぃ〜そのハンバヌグ矎味しそうねぇ。
    いただきっ」

    倩䞀のフォヌクが䌊織のプレヌトに乗っおいるハンバヌグを盎撃した。

    䌊織が、恚めしそうにハンバヌグを芋送る。

    そしお、
    ハンバヌグは倩䞀の口の䞭ぞ  。

    雅は、うっずりず。

    「幞せ  。
    久しぶりにステヌキ食べたよ。
    ありがずう姉さんたち❣」

    倩䞀。
    「䜕蚀っおんのよ。䞀昚日だっお食べたじゃないステヌキ」

    雅は蚀った。

    「あれはね、䞀芋ステヌキにみえる。
    靎の䞭敷でしょ」

    䌊織の眉はピクピクず匕き぀っおいる。

    「倧袈裟。」

    二人。

    倧袈裟じゃない。

    âž»

    食埌。

    倩䞀コヌヒヌ。

    雅デザヌト。

    䌊織スマホで次ルヌト確認。

    倩䞀気付く。

    「ちょっずぉ。」

    䌊織。

    「䜕。」

    倩䞀。

    「䌑憩䞭たで蚈画立おない。」

    雅。

    「䌑憩っお知っおる」

    䌊織。

    「知っおる。」

    倩䞀。

    「知らない顔しおるわよぉ。」

    雅。

    「隊長、午埌からどうするの」

    䌊織。

    「午埌から䞃店舗制芇するわよ」

    静止。

    倩䞀。

    「垰る。」

    雅。

    「姉さん  足がもう垰りたがっおる。」

    䌊織。

    「ちょい埅ちぃただ2時や。」

    雅。

    「あず䞀店舗っお蚀われたら歩ける。
    でも䞃店舗は無理。」

    二人。

    「怖い。」

    âž»

    「食べ終わったら二駅先行くわよ」

    倩䞀、静かに蚀った。

    「ショッピングっおトラむアスロンより過酷
    だったのね  」

    雅。

    「トラむアスロン、䌑憩ありそう。」

    雅は深いため息を぀く。

    「もう服じゃなくおベンチ探そうよぉ。」


    ♯第20話 圏倖の女【倩䞀ず犬飌ず八谷の話】



    「そういえば〝神〟‚入孊匏、倧倉だったらしいっすね。」
    犬飌が思い出したように蚀った。

    「県倖の乱入女が来たずか⁈」

    「乱入じゃないわ。」

    「え、普通に来たんですか。」

    「そうよ。」

    犬飌が苊笑する。
    「  それ、乱入より怖くないです」

    「ちなみにその女、‚倧孊案内パンフレットず同じ䜍眮に立っお‚『これで合っおる』っお蚀っおたらしいです。」

    倩䞀、遠い目。‚「  合っおたわ。」

    犬飌が笑う。‚「いやいや、そんな偶然ありたす」

    「偶然じゃないわ。」
    ‚「え」
    ‚「倧孊案内の写真、‚去幎のオヌプンキャンパスの日だったの。」
    ‚「  その子、その日来おた。」

    犬飌が目を瞬かせる。‚「  え、蚈画性あるタむプっすか」

    「むしろ逆よ。」
    ‚「党郚その堎で決めおる感じだったわねぇ。」

    八谷が銖を傟げる。‚「䜕しに来たんですその方は」

    「受隓の䞋芋に来たんじゃなぁい」

    「いやいやいやたた、神絡みのやらかしじゃないっすか」

    偎で八谷が、静かにうなづく。

    「高校卒業したのに、ただ信者増えるんすか  」

    八谷が静かに蚀った。
    「倧孊、思ったより広くないかもしれたせんね。」

    犬飌は遠い目をした。
    「〝神〟の圱響範囲は県境越えるほどだったんすね  。」


    ♯第21話 圏内の女【怎名桃花しいなずうかの話】


    ある日、むンスタを芋おいたら‚指が止たった。

    その人は綺麗だった。

    綺麗、ずいう蚀葉では少し足りない。

    茝いおいた。

    画面の向こうにいるのに、‚こちらの茪郭だけが薄くなるような。

    たるでお䌜話の王子さたみたいで、
      でも違う。

    王子さたは誰かを遞ぶ。

    〝倩䞀様〟は遞ばない。

    ただ圚る。

    だから、
    〝神〟だ。

    同玚生が芗き蟌んできた。
    「倩䞀くん奜きなの」

    「奜き  」
    桃花は少し考えた。

    その蚀葉は小さすぎた。
    「違う。」

    「奜きずか嫌いずか、そういう話じゃないよ。」

    「倩䞀様は倩䞀様だから。」

    「なにそれ。」

    桃花は少し笑った。

    「䟋えばさ。」

    「空っお、芋ようずしお芋る」

    「違うよね。」

    「芋ようず思わなくおも、気づいたら芋䞊げおる。」

    「晎れおおも、曇っおおも。」

    「そこにあるから。」

    同玚生が銖を傟げる。
    「  どういうこず」

    桃花は少し黙った。
    「倩䞀様がどこぞ行くかなんお、私には関係ないの。」

    「意味があるかどうかも、本圓は分からない。」

    「でも、神様っおそういうものでしょ。」

    「理由が先にあるんじゃなくお、‚そこにあるこず自䜓が理由。」

    「だから私も同じ倧孊を遞んだだけ。」

    「景色を远ったんじゃない。」

    「気づいたら、その空の䞋に立っおた。」

    「  远いかけたっおこず」

    「違うよ。」
    桃花は銖を振った。

    「远いかけるのは、人にするこずでしょ」

    少し考えお、
    静かに蚀った。
    「神様には、近づかない。」

    「ただ、圏内に入るだけ。」
    同玚生は黙った。
    桃花はスマホを閉じた。

    机の䞊には開いたたたの倧孊案内。

    そういえば、出願締切は今週だった。

    指先で日付を確認しお、
    「あ、ただ間に合うんだ。」

    それだけ蚀っお、
    願曞を取り寄せた。


    ♯第22話 メッセヌゞ【藀堂雅の話】


    今日は、毎週恒䟋ずなり぀぀ある倩䞀䞻催の
    〝勉匷䌚〟だ。
    参加メンバヌはい぀ものように
    犬飌・八谷・雅の3人である。

    ———

    ピロロロヌン♪
    雅のスマホに着信音が鳎った。

    📩『兄』

    犬飌。

    「誰っすか」

    雅。

    「兄。」

    倩䞀、さらっず。

    「兄匟仲がいいのは埮笑たしいわよねぇ〜。」

    雅。

    「違うから」

    倩䞀、止たる。

    雅。

    「兄は超シスコンなだけ」

    犬飌。

    「シスコン」

    雅。

    「倧䜓週䞀か二くらいで近況確認しおくるんだよ。」

    犬飌。

    「普通じゃないっすか」

    雅。

    「いや普通じゃない。」

    八谷。

    「確認ですが、近況確認の内容は。」

    雅。

    「ご飯は食べた
    勉匷はどう
    誰ずいるんだ
    倉な男はいないだろうな」

    犬飌。

    「増えおる。」

    倩䞀。

    「いいじゃなぁい〜。
    かわいい効のこずが、
    心配だなんお  。」

    雅。

    「しかも返信ないず来る。」

    犬飌。

    「来る⁈」

    八谷。

    「物理ですか。」

    雅。

    「物理。」

    犬飌。

    「神、どう思うっす」

    倩䞀。

    「心配なんじゃなぁい〜」

    雅。

    「だから違うっお。」

    犬飌。

    「神、隙されおる」

    倩䞀。

    「お兄様は、ただ離れお暮らしおいる効のそばにいおあげられないのがお蟛いんじゃないのかしら」

    雅。

    「だからぁそうじゃないんだっおぇ‌」

    犬飌。

    「ちなみに最近はなんお来たんすか」

    雅、スマホを芋る。

    📩『今日、絊食どうだった』

    犬飌。

    「普通。」

    📩『苊手なもの食べられた』

    八谷。

    「普通ですね。」

    📩『困ったこずあったらすぐ蚀え』

    倩䞀。

    「優しいわぁ〜。」

    雅。

    「違う」

    スクロヌル。

    📩『あず最近背䌞びた』

    犬飌。

    「  普通」

    📩『制服寒くないか』

    八谷。

    「兄ですね。」

    📩『父さんに蚀われなくおも、お前のこずはちゃんず芋おるから』

    沈黙。

    犬飌。

    「  。」

    八谷。

    「  。」

    倩䞀、静かに頷く。

    「お兄様なのねぇ。」

    雅。

    「だから重いんだっおぇ」

    犬飌。

    「いや、これ神の蚀う通りじゃないっすか。」

    八谷。

    「効偎の評䟡だけ異様に厳しいですね。」

    倩䞀、埮笑む。

    「埮笑たしいわねぇ〜。」

    雅。

    「なんで誰も分かっおくれないのぉ
    だからぁそうじゃないんだっおぇ〜
    人の話ちゃんず聞いおよぉ‵」


    ♯第23話 䌚則【倩䞀様のデフォルトファンサヌクル】


    日頃、倩䞀達は人に囲たれおいるこずが倚いので

    倩䞀には、蚈り知れないこずが倚すぎる。
    そしお、予期せぬこずも倚すぎる。
    倧孊の入孊匏圓日、構内は異様な熱気に包たれおいた。

    たかが新入生の歓迎劂きに垂れ幕ずパレヌドたで甚意されおるなんおぇ〜〜〜
    䜕なのよぉ〜

    ———

    圱の立圹者は、倩䞀様を讃える〝デフォルトファンサヌクル〟だった。
    䌚員䌚則は次のずおりだ。

    【倩䞀ファンクラブ通称デフォルトファンサヌクル 䌚則】

    䞀぀、䌚員は垞に静寂を保ち、浮き足立っおはならない。

    䞀぀、呚囲がどれほど色めき立ずうず、我らは毅然たる態床を取らねばならない。

    䞀぀、どれほど倩䞀様に心惹かれおいようずも、その本心を悟られおはならない。

    䞀぀、男女問わず、倩䞀様に危害を加える者を芋逃しおはならない。

    䞀぀、倩䞀様のお声及びお姿は䌚員同士で共有するものずする。
    ただし、倩䞀様のお心を乱す行為を良しずはしない。

    䞀぀、倩䞀様の日垞における埡動静及び特蚘事項は、䌚員専甚SNSにお速やかに共有するものずする。


    ※なお、怎名桃花は未所属である。

    䌚員からは幟床ずなく勧誘を受けたものの、
    本人は終始、

    「入䌚っお、䜕ですか」

    ず回答しおいる。


    ♯第24話 䌚いたかったです❣【犬飌ず八谷の話】


    桜も散り始めた春の倧孊の入孊匏も終えお
    倩䞀ず同じキャンパスの土を螏む犬飌ず八谷が倩䞀ずの再䌚で  。

    「神ぃ〜〜〜
    やっず、たた䞀緒に通えたすよぉ〜」

    犬飌の目からは倧粒の涙が、
    錻からは氷柱のような錻氎が  。

    「はいはい。
    分かったから泣かないでちょうだいな。
    あたしも、あんた達がたた䞀緒で嬉しいわよ。」

    八谷は呆れたように肩をすくめた。

    「神ぃ
    オレ、すっごく頑匵ったっす
    だから、ご耒矎くださいよぉ〜」

    「あらぁ〜、ワンコちゃんはご耒矎が欲しかったのぉ」

    犬飌は䜕床も銖を瞊に振る。

    「はいっ
    お手でも、おかわりでも、䌏せでも䜕でもするっすよぉ〜」

    そう蚀うや吊や、

    犬飌は返事を埅぀こずなく、
    その堎に正座し、䞡手を差し出した。

    「犬飌お前、自分から犬になるな」
    八谷は眉を逆八の字にしおいた。

    「神専甚のワンコっす」

    「胞匵っお蚀うな」

    「あらぁ〜。
    ちゃんず躟けられおるじゃなぁい💕」

    「神ぃぃぃぃぃ」

    犬飌は感激で再び号泣した。

    八谷は額に手を圓お、倧きくため息を぀く。

    「  先茩。
    こい぀を甘やかすのだけは、本圓にやめおください。」

    倩䞀はニコッず埮笑む。

    「いいのよ。ハチ。
    ご耒矎は、もちろん考えおいたわよ。」

    八谷はキョトンず倩䞀を芋た。


    ♯第25話 就掻戊線異状あり


    🌞 倧孊3幎・春

    桜吹雪が舞い散る今日は、
    初めおの合同䌁業説明䌚に参加するため、
    倩䞀をはじめずする皆が気合を入れたリクルヌトスヌツに身を固めおいる。

    駅前広堎で集合だったので、
    結城䌊織ず里䞭玬は笑顔のツヌショット写真をSNSにアップする。

    そしお、倩䞀は犬飌ず八谷ずずもに
    䜕故か呚囲の人達に写メを撮られおいる。

    遠くからは、甲高い悲鳎なようなものも聎こえおくる。

    䌊織が呆れながら

    「䜕で、アンタ達たで付いお来るのよ」

    「俺らも来幎就掻ですから。
    せっかくだし、〝神〟に぀いお行っお、来幎の参考にしようかなぁっお。」

    犬飌が満面の笑みで答える。

    八谷が肩をすくめた。

    「たぁ、犬飌は単玔に先茩のそばにいたいだけなんですけどね。

    「うるせぇ。」

    䌚堎を芋枡した犬飌が思わず息をのむ。

    「それにしおも、すげぇ勢いだな  。
    こんなに人が集たるなんお。」

    「そうねぇ♡
    あたしも、こんなに人が集たるなんお思いもしなかったわぁ。」

    䌊織は呚囲を譊戒しながら二人を手招きする。

    「アンタ達
    ボヌッずしおないで付いおきなさい
    逞れたら探すの倧倉なんだから」

    倩䞀がくすっず笑う。

    「あらあら♡
    䌊織ったら、玬の前だからっお匵り切っちゃっおぇ。」

    「  え」

    「男口調、忘れちゃっおるじゃない♡」

    䌊織はハッず口元を抌さえる。

    「したった  。」

    玬は思わず吹き出した。

    「ふふっ。」

    犬飌はニダニダしながら、

    「䌊織さん、玠が出おたすよ。」

    「うっさいわね」

    ———

    「早乙女倩䞀様が来た」
    ず呚囲がざわ぀いた。

    採甚担圓者たちも、

    「ぜひ圓瀟ぞ」

    「早乙女さん ぜひ匊瀟ぞ」

    「うちは犏利厚生も充実しおおりたす」

    「初任絊も業界トップクラスです」

    倩䞀は困ったように埮笑む。

    「たぁ〜♡ ありがずうございたす。」

    そこぞ䌊織が割っお入る。

    「ちょっずあんたたちぃ
    倩䞀を独り占めしないでちょうだい」

    玬も苊笑い。

    「倩䞀さん、ただ䞀぀も説明聞けおたせんよ。」

    するず犬飌が遠くから叫ぶ。

    「神ぃヌヌっ
    もう䞉十分、入口から動いおねぇじゃねぇか」

    八谷が時蚈を芋ながら、

    「予定では六瀟回るはずでしたが、珟圚䞀瀟も着垭できおいたせん。」

    そしお䌊織が呆れ顔で、

    「ねぇ、倩ちゃん  。」

    「なぁに」

    「あんた、䜕しに来たのよ。」

    䜕ずか人混みをかき分け、䞀行は最初の䌁業ブヌスぞ腰を䞋ろした。

    担圓者の説明が始たり、

    「匊瀟では若手瀟員にも責任ある仕事を任せおおりたしお──」

    衚情は終始穏やかだ。

    だが、耳元のむンカムだけは慌ただしく鳎り続けおいた。

    孊生たちは真剣にメモを取っおいる。

    誰も気付かない。

    この担圓者が䌚瀟説明よりも、
    **“早乙女倩䞀の動向”**を必死に远っおいるこずに。

    そしお最埌に孊生が、

    「質問いいですか」

    「はい、どうぞ。」

    その瞬間、

    🎧「目暙、立ち䞊がりたした。」

    🎧「䜕っ」

    🎧「急げ先を越されるな」

    🎧「資料を持っお自然に接觊」

    🎧「自然っお䜕だ自然っお」

    🎧D瀟「  もう囲め。」

    「郚長、それはダメです」
    ———

    説明䌚が終わっお、

    「今日は䞀瀟しか回れなかったわねぇ♡」

    犬飌

    「いや、䞀瀟もたずもに回れおねぇっす」

    八谷

    「説明より勧誘の時間の方が長かったですね。」

    䌊織

    「だから蚀ったじゃない。」

    玬

    「合同説明䌚っお、こういうものじゃないですよね」

    䌊織

    「違うわ。」

    倩䞀

    「でも皆さん、ずっおも芪切だったわよぉ♡」

    å…šå“¡

    「そこじゃない」


    ♯第26話 ワクワク倏䌑み❣【倩䞀&倩䞀サポヌタヌズ】



    「皆さん、お埅たせしたしたぁ〜」

    倏䌑み初日の朝。

    雅の元気いっぱいの䞀声で、倩䞀たちの平和な䌑日は幕を開けた。

    「今幎は䞭孊最埌の倏䌑みです
    受隓勉匷が本栌的に始たる前に、思いっきり遊びたすよぉ〜」

    「たぁ〜雅ったら、朝から元気ねぇ💕」

    「倩䞀姉さん
    みおみおぇ〜‌」

    雅が胞を匵っお掲げたのは、カラフルなむラストやシヌルで食られた䞀枚のボヌドだった。

    そこには倧きく――

    【今日は䞀日めいっぱい楜しむぞぉ〜】

    ず曞かれおいる。

    📍ToDoリスト
    【今日は䞀日めいっぱい楜しむぞぉ〜】

    🎆 花火倧䌚で堎所取り合戊

    🍧 倏祭りで食べ歩き

    👘 济衣姿で倧隒ぎ

    🎯 射的や金魚すくいで本気察決

    👻 肝詊しで意倖な䞀面を発芋する

    🌊 海やプヌルでおもしろ䜓隓

      などなど。

    「あらぁ〜💕
    雅ったら、本気じゃないのぉ〜。」

    「もちろんです」

    雅は埗意げに胞を匵る。

    「それじゃあ、これからみんなで盞談したしょうか」

    するず雅は、にやりず笑った。

    「姉さん。」

    「ん」

    「もう党郚、準備は終わっおるの。」

    「  え」

    「倩䞀姉さんに、サプラむズをプレれントしたかったから。」

    「サ  サプラむズですっおぇ」

    倩䞀の瞳がキラリず茝く。

    「たぁ〜
    雅ったら、䞀䜓䜕を䌁んでるのかしらぁ〜💕」

    ———
    🌊 海やプヌルでおもしろ䜓隓

    その文字を芋た瞬間だった。

    「あら  。」

    倩䞀の芖線は、ボヌドに描かれた青い海のむラストぞ吞い寄せられた。
    たるで朮の銙りたで蘇るような、懐かしい倏の蚘憶――。

    「倩䞀姉さん」

    雅が䞍思議そうに銖をかしげる。

    「ううん。ちょっず昔のこずを思い出しちゃっおねぇ。」

    倩䞀はふっず優しく埮笑んだ。


    「ただ小さくお、柔道教宀に通っおいた頃のこずを思い出すず、決たっお蘇る䌚話があるの。」

    ――高校時代。

    あの倏の日。

    「ねぇ、倧地。」

    「ん」

    「海っお、昔も来たこずあったっけ」

    倧地は少し考えおから笑った。

    「幌皚園の遠足で、䞀床だけな。」

    「あっ 思い出した 砂のお城䜜っお遊んだんだよね。」

    「ねぇ、倧ちゃん。」

    「なぁに、倩ちゃん」

    「䞀緒にお砂で遊がう⁈」

    「やだぁ」

    「なんで」

    「だっお、倩ちゃん、すぐ泣くから」

    「泣かないわよ」

    「さっき、波に壊されお泣いおただろ」

    「泣いおないもん」

    「倧ちゃんの意地悪もうっ、いいわよ。
    あたし䞀人で遊ぶから」

    「ほらほら、たた拗ねる。」

    倩䞀は、あの倏の日の倧地ずの䌚話を思い返し、そっず埮笑んだ。


    ♯第27話 花火倧䌚の涙【雅・犬飌・八谷&倩䞀・䌊織】



    倕暮れ。

    䌊織は济衣姿の倩䞀を芋お苊笑する。

    「ちょっず、あんた。
    たた知らない人ず仲良くなっおたんでしょ」

    「だっおぇ、おばあちゃたが『スむカ食べおいきなさい』っお。」

    「だからっお、花火倧䌚に行く途䞭でスむカをご銳走になっおる人なんお、
    あんたぐらいよ。」

    倩䞀はころころ笑う。

    「ご瞁っお、䞍思議よねぇ💕」

    䌊織は肩をすくめる。

    「そのご瞁のおかげで、雅たちは気が気じゃなかったみたいだけど」

    「ふふっ。だから急いで向かいたしょ。」

    「で、目的地は  」

    ————その頃、雅たちは。

    雅はスマホを芋぀めたたた固たった。

    「  。」

    「雅」

    「  。」

    「おい、どうした」

    雅は出来損ないのロボットのようにぎこちなく振り向いた。

    「倩䞀姉さんに  。」

    「うん。なんずなく嫌な予感はしおたけど
    ずりあえず蚀っおみおくれるか」

    「ここの堎所、䌝えおたせんでしたぁヌヌっ!!」

    「「えぇぇぇぇぇっ!?」」

    犬飌ず八谷の声が芋事に重なる。

    「嘘だろ!?」

    「今日は枯も、川沿いも、テヌマパヌクも
    花火倧䌚だぞ!?」

    「空を芋れば、
    どこも花火だらけですよぉ  。」

    雅は頭を抱えた。

    「倩䞀姉さん、どこぞ行けばいいか分かんないよぉ〜」

    「電話」

    「いや、たずメッセヌゞ」

    「䜍眮情報送れ」

    雅が立ち尜くす䞭、
    突然雅のスマホがピカピカブルブル鳎り出した。
    スマホには、〝倩䞀姉さん〟ず煌々ず名前が光っおいた。

    雅は慌おお電話に出ようずした、その瞬間──

    「雅ちゃん💕
    花火の音がする方ぞ歩いおたら、知らないおばあちゃたにスむカいただいちゃったわぁ🍉
      で、あたし
    どこぞ行けばいいのかしら」

    「倩䞀姉さん、そこ動かないでください 今、䜍眮情報送りたす」

    「はぁい💕」

    通話が切れた。

    雅は安堵したように胞を抌さえたが、その手はただ震えおいた。

    「よかったぁ  。」

    その瞬間――

    犬飌が雅のスマホをひょいっず取り䞊げた。

    「貞せ」

    「犬飌」

    画面を確認した瞬間――。

    「神ぃぃぃ〜〜〜‌」

    突然の怒鳎り声。

    「えっ!?」

    雅ず八谷が目を䞞くする。

    「な、䜕 犬飌、先茩に怒っおるの」

    八谷が銖を傟げる。

    でも、すぐに気づいた。

    違う。

    犬飌が怒っおいる盞手は、誰でもない。

    自分自身だった。

    雅がどれだけ今日のために準備しおいたか。
    どれだけみんなを楜したせようずしおいたか。

    それを知っおいるからこそ――。

    「  せっかく雅が隊長ずしお頑匵っおんのに  」

    犬飌はスマホを握りしめる。

    「なんで䞀番倧事な連絡だけ忘れるんだよぉ  」

    声は怒っおいた。
    でも、その目にはうっすら涙が滲んでいた。

    雅がどれだけ今日を楜しみにしおいたか。

    誰より知っおいたのは、自分だったから。


    犬飌が蚀葉を詰たらせた、その時だった。

    「みぃ〜やちゃ〜ん💕」

    聞き慣れた、のんびりした声。

    党員が䞀斉に振り向く。

    倕暮れの人混みの向こう。

    济衣姿の倩䞀が、片手をひらひらず振りながら歩いおきた。

    ———

    「倩䞀姉さん!!」

    雅は駆け出し、そのたた勢いよく抱き぀いた。

    「もう〜 倩䞀姉さん〜」

    倩䞀は雅の頭を優しくなでながら、くすっず笑う。

    「ふふっ。私、ちゃんず来たじゃない💕

    雅ったら、そんなに心配しなくおも倧䞈倫よぉ。

    私、人のご瞁にはちゃんず蟿り着けるの💕」

    雅はようやく匵り詰めおいた糞が切れたように、ほっず息を぀いた。

    犬飌も倧きく息を吐き、その堎にしゃがみ蟌む。

    「  よかったぁ。」

    その䞀蚀に、八谷が苊笑する。

    「お前も盞圓焊っおたんだな。」

    「圓たり前だろ」

    犬飌は照れ隠しのように頭をかいた。

    「今日は  雅が隊長なんだから。」

    雅はそんな二人を芋お、思わず吹き出した。

    「もう、犬飌ったら。」

    倩䞀は䞉人を芋枡し、ふわりず埮笑む。

    「ふふっ。いいチヌムになったわね💕」

    四人は顔を芋合わせた。

    その瞬間――

    ヒュヌ  ドォォォン――。

    倜空いっぱいに、最初の倧茪が咲いた。

    五人は同時に空を芋䞊げた。

    さっきたで胞を締め぀けおいた䞍安は、倜空に咲いた倧茪ずずもに、静かにほどけおいった。



    ♯第28話 花火倧䌚の涙【雅・犬飌・八谷&倩䞀・䌊織】



    倕暮れ。

    䌊織は济衣姿の倩䞀を芋お苊笑する。

    「ちょっず、あんた。
    たた知らない人ず仲良くなっおたんでしょ」

    「だっおぇ、おばあちゃたが『スむカ食べおいきなさい』っお。」

    「だからっお、花火倧䌚に行く途䞭でスむカをご銳走になっおる人なんお、
    あんたぐらいよ。」

    倩䞀はころころ笑う。

    「ご瞁っお、䞍思議よねぇ💕」

    䌊織は肩をすくめる。

    「そのご瞁のおかげで、雅たちは気が気じゃなかったみたいだけど」

    「ふふっ。だから急いで向かいたしょ。」

    「で、目的地は  」

    ————その頃、雅たちは。

    雅はスマホを芋぀めたたた固たった。

    「  。」

    「雅」

    「  。」

    「おい、どうした」

    雅はぎこちなく振り向いた。

    「倩䞀姉さんに  。」

    「うん。」

    「ここの堎所、䌝えおたせんでしたぁヌヌっ!!」

    「「えぇぇぇぇぇっ!?」」

    犬飌ず八谷の声が芋事に重なる。

    「嘘だろ!?」

    「今日は枯も、川沿いも、テヌマパヌクも
    花火倧䌚だぞ!?」

    「空を芋れば、
    どこも花火だらけですよぉ  。」

    雅は頭を抱えた。

    「倩䞀姉さん、どこぞ行けばいいか分かんないよぉ〜」

    「電話」

    「いや、たずメッセヌゞ」

    「䜍眮情報送れ」

    雅が立ち尜くす䞭、
    突然雅のスマホがピカピカブルブル鳎り出した。
    スマホには、〝倩䞀姉さん〟ず煌々ず名前が光っおいた。

    雅は慌おお電話に出ようずした、その瞬間──

    「雅ちゃん💕
    花火の音がする方ぞ歩いおたら、知らないおばあちゃたにスむカいただいちゃったわぁ🍉
      で、あたし
    どこぞ行けばいいのかしら」

    「倩䞀姉さん、そこ動かないでください 今、䜍眮情報送りたす」

    「はぁい💕」

    通話が切れた。

    雅は安堵したように胞を抌さえたが、その手はただ震えおいた。

    「よかったぁ  。」

    その瞬間――

    犬飌が雅のスマホをひょいっず取り䞊げた。

    「貞せ」

    「犬飌」

    画面を確認した瞬間――。

    「神ぃぃぃ〜〜〜‌」

    突然の怒鳎り声。

    「えっ!?」

    雅ず八谷が目を䞞くする。

    「な、䜕 犬飌、先茩に怒っおるの」

    八谷が銖を傟げる。

    でも、すぐに気づいた。

    違う。

    犬飌が怒っおいる盞手は、誰でもない。

    自分自身だった。

    雅がどれだけ今日のために準備しおいたか。
    どれだけみんなを楜したせようずしおいたか。

    それを知っおいるからこそ――。

    「  せっかく雅が隊長ずしお頑匵っおんのに  」

    犬飌はスマホを握りしめる。

    「なんで䞀番倧事な連絡だけ忘れるんだよぉ  」

    声は怒っおいた。
    でも、その目にはうっすら涙が滲んでいた。

    雅がどれだけ今日を楜しみにしおいたか。

    誰より知っおいたのは、自分だったから。


    犬飌が蚀葉を詰たらせた、その時だった。

    「みぃ〜やちゃ〜ん💕」

    聞き慣れた、のんびりした声。

    党員が䞀斉に振り向く。

    倕暮れの人混みの向こう。

    济衣姿の倩䞀が、片手をひらひらず振りながら歩いおきた。

    ———

    「倩䞀姉さん!!」

    雅は駆け出し、そのたた勢いよく抱き぀いた。

    「もう〜 倩䞀姉さん〜」

    倩䞀は雅の頭を優しくなでながら、くすっず笑う。

    「ふふっ。私、ちゃんず来たじゃない💕

    雅ったら、そんなに心配しなくおも倧䞈倫よぉ。

    私、人のご瞁にはちゃんず蟿り着けるの💕」

    雅はようやく匵り詰めおいた糞が切れたように、ほっず息を぀いた。

    犬飌も倧きく息を吐き、その堎にしゃがみ蟌む。

    「  よかったぁ。」

    その䞀蚀に、八谷が苊笑する。

    「お前も盞圓焊っおたんだな。」

    「圓たり前だろ」

    犬飌は照れ隠しのように頭をかいた。

    「今日は  雅が隊長なんだから。」

    雅はそんな二人を芋お、思わず吹き出した。

    「もう、犬飌ったら。」

    倩䞀は䞉人を芋枡し、ふわりず埮笑む。

    「ふふっ。いいチヌムになったわね💕」

    四人は顔を芋合わせた。

    その瞬間――

    ドォォォン――。

    倜空いっぱいに、最初の倧茪が咲いた。

    五人は同時に空を芋䞊げた。

    さっきたで胞を締め぀けおいた䞍安は、倜空に咲いた倧茪ずずもに、静かにほどけおいった。


    ♯第29話 倜店巡り【倩䞀ファミリヌ】


    「ねぇねぇ雅隊長」

    「䜕よ犬飌」

    「花火の埌は、倜店巡りするっお蚀う行皋じゃなかったの」

    「だっお、倩䞀姉さんはスむカ食べたっお蚀っおたでしょ」

    八谷がそこにツッコミを入れる。

    「それず倜店巡りに䜕の関係があるんですか」

    「犬飌ずハチは、もう少し気遣いず思いやりを孊んだほうがいいず思うよ」

    胞を匵っお、埗意げに語る雅に唖然ずする二人。

    「で、予定倉曎ですか」

    「ただ順番を倉えるだけよ。
    だっお姉さんには長生きしお欲しいんだもん。」

    「えぇ」

    「姉さんはスポヌツやっおるからっお
    ちょっずカロリヌを甘くみすぎおる節があるのよ」

    「おぉ〜、隊長もしかしお、神の健康を考えおスケゞュヌル調敎をするっお事っすかぁ」

    「なるほど、そうだったんですね。
    なんお姉想いなんでしょう
    流石は雅さんですね」

    八谷は深く頷いた。


    「ちょっずぉアタシの知らないずころで䜕の話しおるのよぉ〜」


    「いヌえ姉さん。
    たずは運動しお䞋さい。
    そうでないず屋台の醍醐味は味わえないんです♪」

    「アタシ、毎日走っおるんだけどぉヌヌヌ」

    そこぞ犬飌が、

    「隊長神は毎日走っおるっすよ」

    雅が、

    「知っおるわよ」

    「じゃあ、なんで」

    「スむカは予枬䞍胜のカロリヌ摂取だったもの♪
    この埌屋台で、倧量にカロリヌ摂取するのに
    僅かな摂取の増枛は蚱されないのよ
    分かる」

    犬飌・八谷
    「「そこぉヌヌヌ⁉」」


    「あらあら、雅ったら  。」

    雅隊長は些现な懞念すら芋逃さないず決意したのだった。


    ♯第30話 雅のワクワクプロゞェクト〆【倩䞀ファミリヌ】



    「やっぱり無理よぉ〜
    1日でこれ党郚完遂っお
    これ以䞊お腹がパンパンで食べられないし、疲れおお歩けないわぁ🥵

    元々、花火倧䌚が芳たかっただけなんだから。
    勘匁しお頂戎よ  。」

    倩䞀は、完党に電池切れだった。

    そんな倩䞀を犬飌はキッず睚んで。
    「いや、神‌
    最初から無理な蚈画だずは思いたすよ。
    でも、雅がみんなのために考えおくれたのに、そんなこず蚀ったら頑匵りが報われないじゃないですか」

    「姉さん
    せっかくの倏䌑みなんだから、党郚やろうよ」

    雅の瞳が、今にも決壊しそうなダムのように最んでいく。

    「もぉ〜‌
    仕方ないわねぇ
    アンタの涙には匱いのよぉ〜」

    倩䞀が枋々雅の肩を抱くず、雅はにっこり笑い、誰にも気づかれないよう埌ろのポケットぞ手を䌞ばした。

    カチャ。

    目薬をしたった。

    䌊織ず八谷は、完党に芋た。

    しかし、䜕も蚀わない。

    「うわぁぁぁん‌😭
    雅ぃぃぃヌヌヌ‌」

    なぜか犬飌たで倧号泣。

    「ちょっず犬飌 アンタたで泣く必芁ないでしょ⁉」

    「だっお、雅がかわいそうじゃないですかぁぁぁ‌😭」

    ちなみに、犬飌の涙だけは本物だった。

    「じゃあ、次はお化け屋敷だね」

    雅が元気よく指を差した。

    「  次」

    倩䞀の顔から血の気が匕く。

    「埅っお。今たで食べ歩きしお、射的しお、茪投げしお、その䞊でお化け屋敷
    しかも、なんで運動がおらにお化け屋敷なのよ  」

    「倧䞈倫だよ、姉さん みんな䞀緒だから」

    雅が倩䞀の背䞭を抌す。

    「入口から出口たで、党員で䞀緒に行きたしょう」

    䌊織も頷いた。

    「絶察に、誰も眮いおいきたせんから」

    八谷が力匷く宣蚀する。

    雅も続いお蚀った。

    「倩䞀姉さんは、私たちが守りたす」

    犬飌も胞を匵っお蚀った。

    「俺も、神のそばを絶察に離れたせん」

    「  本圓ね」

    倩䞀は四人の顔を順番に芋た。

    「本圓に、アタシを眮いおいかないわね」

    「もちろん」

    雅が即答する。

    「「玄束したす‌」」

    四人の声が重なった。

    倩䞀は少し安心したように息を吐いた。

    「  その蚀葉、絶察に忘れないでよ」

    「忘れないよ 姉さんの蚀ったこずは、ちゃんず芚えおるから」

    「芚えおるだけじゃ駄目なのよ 䞀緒にいるのよ、䞀緒に」

    「うん だから、先に行っおお」

    「なんでそうなるのよぉぉぉヌヌヌ⁉」

    「出口で合流すれば、みんな䞀緒だよ」

    「それはもう、途䞭で別れおるのよぉぉぉヌヌヌ‌」

    しかし、雅たちは本気で䞍思議そうな顔をしおいた。

    倩䞀は嫌な予感を芚えながらも、四人に抌されるように入口をくぐった。

    ――その盎埌。

    「ぎゃああああああヌヌヌっ‌😭」

    お化け屋敷の奥から、凄たじい悲鳎が響き枡った。

    党員の足が止たる。

    「  今の、姉さん」

    「たぶん  」

    䌊織が答える。

    「倩䞀先茩の声です」

    八谷が叫ぶ。

    「助けに行きたしょう‌」

    犬飌も身を乗り出した。

    「玄束したしたから」

    暗闇の奥で、倩䞀が必死に叫ぶ。

    「ちょっずぉぉぉヌヌヌ‌ こっちよぉぉぉヌヌヌ‌」

    声が届いた。

    みんなが来おくれる。

    倩䞀は、ほっず胞を撫で䞋ろした。

    「今行くよ、姉さん」

    雅の声に、倩䞀の衚情が明るくなる。

    「雅ぃぃぃ 早く来おぇぇぇヌヌヌ‌」

    四人は䞀斉に、悲鳎の聞こえた方向ぞ駆け出した。

    ――そのずき。

    癜い装束を着たお化けが、倩䞀の前にぬっず珟れた。

    「ひっ  」

    倩䞀が腰を抜かす。

    「倩䞀姉さんを脅かしたわね」

    雅の目が、スッず现くなった。

    「え」

    お化けが䞀歩埌ずさる。

    「犬飌 八谷」

    「はいっ‌」

    「確保よぉぉぉヌヌヌ‌」

    「「確保ヌヌヌっ‌」」

    「えっ⁉」

    お化けが逃げる。

    「ちょ、埅っ――」

    犬飌ず八谷が巊右から飛びかかった。

    「倩䞀姉さんを怖がらせた眪は
    重いわよぉ〜」

    「芳念しおください‌」

    「いやいやいや‌ ここ、お化け屋敷なんですけど⁉」

    「「関係ありたせん‌」」

    「関係あるでしょぉぉぉヌヌヌ‌」

    そこぞ䌊織たで加わる。

    「ほらほら、抵抗しないの」

    「私、お化け圹なんですけど‌」

    「知っおるわよぉ〜‌」

    「だったら離しおぇぇぇ‌」

    「倩䞀姉さんを怖がらせたんだから、反省しなさい‌」

    「なんでぇぇぇぇ⁉」

    その間に、雅は倩䞀の腕を取った。

    「姉さん、出口たで行こう」

    「ええ、お願い 今床こそ、絶察に離さないでよ⁉」

    「うん」

    雅は倩䞀の手を、ぎゅっず握った。

    その枩かさに、倩䞀はようやく息を吐いた。

    怖かった。
    でも、もう倧䞈倫だ。

    雅がいる。
    みんながいる。

    今床こそ、誰も自分を眮いおいかない。

    しかし、背埌ではただ犬飌たちずお化けが揉み合っおいる。

    「逃がさないでください‌」

    「そっち抌さえお‌」

    「だから私はスタッフですっおばぁぁぁ‌」

    「ちょっず アンタたち、もういいから行くわよぉぉぉ‌」

    倩䞀が振り返った瞬間、雅の手がふっず離れた。

    「え」

    握っおいたはずの手が、空っぜになっおいる。

    雅は、お化けず栌闘する䞉人を芋おいた。

    「  姉さん、先に出口ぞ行っおお」

    「えっ」

    「この人を逃がしたら倧倉だから」

    「いや、倧倉なのはアタシのほうよぉぉぉ‌」

    「すぐ远い぀くから」

    雅はそう蚀うず、倩䞀ではなく、お化けのほうぞ駆け出した。

    「雅ぃぃぃヌヌヌ⁉」

    倩䞀の声は、暗闇の䞭ぞ吞い蟌たれた。

    「倩䞀先茩、先に行っおおください」

    「出口で埅っおたすから」

    「絶察に远い぀きたす」

    䞉人の声が、暗闇の奥から返っおくる。

    「ちょっず埅ちなさいよ それ、眮いおいくっお蚀うのよぉぉぉヌヌヌ‌」

    「違いたすよ、先茩 先に進んでいるだけです」

    「同じよぉぉぉヌヌヌ‌」

    「姉さんなら䞀人でも出口たで行けるよ」

    雅の声が、悪気なく響く。

    「あのねぇ、行けるかどうかじゃないの
    䞀人にしないっお玄束したでしょぉぉぉヌヌヌ‌」

    しかし、返事はもうなかった。

    倩䞀は、しばらくその堎に立ち尜くした。

    「  玄束したじゃない。
    誰も眮いおいかないっお  」

    返事はない。

    震える足で䞀歩進む。

    「  雅 䌊織 八谷 犬飌」

    誰も来ない。

    そのずき、背埌から別のお化けがゆっくりず珟れた。

    癜い手が、倩䞀の肩ぞ䌞びる。

    「ひぃっ  💊」

    倩䞀が振り返る。

    「ぎゃあああああああああヌヌヌっ‌😭」

    お化け屋敷䞭に、本日最倧の悲鳎が響き枡った。

    しかし、誰も来ない。

    「ちょっずぉぉぉヌヌヌ‌
    アタシ、今ものすごく怖がっおるんだけど⁉」

    返事はない。

    「ねぇぇぇぇぇヌヌヌ‌
    アタシ、ここにいるんだけど⁉
    守るんじゃなかったのぉぉぉヌヌヌ‌😭」

    遠くから、かすかに声が聞こえる。

    「逃がさないでください‌」

    「そっち抌さえお‌」

    「倩䞀姉さんの仇だよぉぉぉヌヌヌ‌」

    「仇っお䜕よぉぉぉヌヌヌ‌
    お化け屋敷のお化けでしょぉぉぉヌヌヌ‌」

    倩䞀のツッコミだけが、誰もいない通路に響き枡った。

    その頃、出口では――

    「倩䞀姉さん、どこ行ったのかな」

    「さあ  」

    「たあ、先茩なら倧䞈倫でしょ」

    「倧䞈倫じゃないわよぉぉぉぉヌヌヌ‌😭」

    「  あれ 今、䜕か聞こえなかった」

    「気のせいじゃないですか」

    「気のせいじゃないわよぉぉぉヌヌヌ‌
    アタシの魂の叫びよぉぉぉヌヌヌ‌😭」

    やがお、雅たちはようやくお化け圹のスタッフを解攟した。

    「先ほどは本圓にすみたせんでした」

    「いえ  こちらこそ、驚かせおしたっお  」

    「もう倩䞀姉さんを怖がらせないでくださいね」

    「いや、仕事なんですけど  」

    その間も、倩䞀は通路の奥で叫び続けおいた。

    「ちょっずぉぉぉヌヌヌ‌
    アタシを眮いお、䜕を和解しおるのよぉぉぉヌヌヌ‌」

    そしお、雅たちは䜕事もなかったかのように出口ぞ戻っおきた。

    「ふぅ〜 これで䞀件萜着だね」

    「次は射的だね」

    「その前に、䜕か足りなくない」

    八谷が呚囲を芋回す。

    「  あれ」

    雅が銖をかしげる。

    「姉さんは」

    「「「あっ」」」

    その瞬間、お化け屋敷の奥から倩䞀の絶望的なツッコミが響き枡った。

    「今さらぁぁぁぁぁヌヌヌ⁉
    気づくの遅すぎるでしょぉぉぉヌヌヌ‌😭」

    䞀同が、ようやく振り返る。

    「  迎えに行く」

    䌊織が尋ねる。

    「うん」

    雅が答える。

    「でも、その前に射的だけやっおもいい」

    「いいわけあるかぁぁぁぁぁヌヌヌ‌」

    倩䞀の声が、お化け屋敷党䜓を揺らした。

    雅たちは、ようやく倩䞀を迎えに戻った。

    けれど倩䞀は、出口に着くたで䜕床も確認した。

    「今床こそ、党員いるわね」

    「いるよ」

    「アタシを眮いおいかない」

    「倧䞈倫」

    雅は笑顔で答えた。

    「今床は、姉さんを忘れないから」

    「だから、忘れないんじゃなくお、眮いおいかないでっお蚀っおるのよぉぉぉヌヌヌ‌」

      こうしお倩䞀は、

    お化けからも、
    仲間からも、
    予定衚からも、

    そしお䞀床は、存圚そのものからも、

    完党に眮き去りにされたのでした💫


    ♯第31話 お祭り隒ぎだぁ❣【倩䞀ファミリヌの話】



    埅ちに埅った倩䞀たちの倧孊祭🎪

    今日は、䞭孊生の雅も遊びに来る。

    倩䞀たちは柔道郚の出し物ずしお『執事喫茶』を出店し、たるで出走前の競走銬のようにスタンバむしおいる。

    廊䞋には、倩䞀たちの勇姿を芋ようず、孊生だけでなく噂を聞き぀けた人々も長い行列を䜜っおいた。

    さらに、入孊匏のずきにも駆け぀けた報道関係者たちが、行列をかき分けるように続々ずやっお来る。

    カメラカメラ📞を向け、マむク🎀を突き出し、開店準備䞭の倩䞀たちに次々ず質問を济びせおいた。

    「もうぅぅ、この忙しい時にあなたたちも手䌝いなさいよぉ💊」

    ぀いに、倩䞀がたたりかねお叫ぶ。

    「ちょ、ちょっず 我々は取材に  」

    「取材するなら、働きながらしなさいよぉ」

    「理屈がめちゃくちゃですよ」

    「いいから、そこの机を運んで」

    「はいっ」

    なぜか玠盎に埓う報道陣。

    䌊織もすかさず指瀺を飛ばす。

    「そこの人、メニュヌ衚をお願い」

    「はい」

    「あなたは呌び蟌み」

    「はい」

    「カメラを持っおるなら、宣䌝甚の写真を撮っお」

    「はい」

    気づけば、報道関係者たちは完党にスタッフず化しおいた。

    しかも、仕事を任された圌らは劙に䞊機嫌だ。

    皆スマホを片手に、䞊叞ずやり取りをしおいるようだ。

    「では、開店前の様子をラむブ䞭継でお届けしたす」

    「芋せ堎を䜜らなくおは」
    「スタゞオの皆さた
    孊祭の芁執事喫茶の倩䞀さんですぅ〜。
    今日は敢えお女子アナの導入を避けた蚳なんですが  。
    我々、男性スタッフも
    もうメロメロな状態です。
    足蹎にされようが眵倒されようが
    屈服せざるをおえたせん。
      ずいう蚳で、珟圚報道陣は
    倩䞀さんの手ずなり足ずなり
    働いおおりたす。」

    「倩䞀さん、こちらを向いおください」

    「ちょっずぉ あたしを勝手に䜿わないでよぉ」

    「倩䞀、笑っお」

    「笑える状況じゃないわよぉ」

    そんな倧隒ぎの䞭――

    倩䞀たち䞀行が、雅のもずぞやっお来た。

    「あれぇ 雅ぃ〜、こんなずころにいたのぉ」

    「あっ、姉さん」

    雅が振り返る。

    しかし、その衚情にはどこか萜ち着きがなかった。

    「どうしたのよぉ」

    「それが  」

    雅が蚀いかけた、そのずきだった。

    「あっ」

    廊䞋の奥を芋た雅が、突然声を䞊げる。

    「お兄ちゃん、来おたの」

    倩䞀が目を䞞くした。

    「えっ!?」

    その声に、呚囲の芖線が䞀斉に集たる。

    「お兄ちゃん」

    「誰」

    「雅のお兄ちゃんっお、あの人」

    「SNSに出おくる人」

    「写真を撮っおる人」

    䞀気にざわ぀く。

    「あらぁ〜 雅のお兄さん、来おたのぉ!?」

    「はい  でも、もういたせん」

    雅は廊䞋の奥を芋぀めた。

    人の波の向こうに、倧地の姿はない。

    「さっきたで、そこにいたんですけど  」

    「だったら、あたしも䌚いたかったわぁ〜」

    「それが  倩䞀姉さんたちの声が聞こえた途端、急に垰るっお蚀い出しお」

    「恥ずかしかったんじゃない」

    誰かがすぐに口を挟む。

    「お兄ちゃん、
    どこ行っちゃったんだろう  」

    ず雅が蚀った瞬間、

    倩䞀が、

    「よぉ〜し 探すわよぉ〜」

    するず䌊織が、

    「ちょっず埅っお。あんたたち、ただ開店前なんだけど」

    倩䞀、

    「そんなこずより雅のお兄さんよぉ」

    報道陣、

    「人探しですか!?」
    「緊急䌁画にしたしょう」
    「カメラ回したす」

    なぜか報道番組化——

    さらに、

    「雅のお兄ちゃヌヌヌん」

    ず倩䞀が廊䞋で叫ぶ。

    雅、

    「えぇぇぇぇ〜姉さん 
    やめおよぉ〜恥ずかしいよぉ〜」

    倩䞀、

    「だっお䌚いたいんだものぉ雅のお兄ちゃんに」

    報道陣、

    「雅さんのお兄様ぁ〜。効さんがお探しです」

    䌊織、

    「あなたたち、䜕を䞭継しおるのよ」

    そしおその声を、物陰に隠れおいる倧地が聞いおいる。

    「  なんで俺を探しおんだよ  」

    䌊織がふず぀ぶやいた。

    「孊祭を芋に来たこずがバレるのが嫌だったずか」

    「あぁ〜、なるほどぉ」

    なぜか党員が玍埗する。

    しかし、雅は銖を傟げた。

    「でも、それなら私に声をかけおから垰ればいいのに  」

    「䜕か蚀っおたの」

    「『ここにいるのはたずい』っお」

    「たずい」

    倩䞀が聞き返す。

    「最初は、ただ写真を撮りに来ただけだっお蚀っおたんです。でも、姉さんたちの声が聞こえた途端、カメラを䞋ろしお  」

    雅は、倧地の衚情を思い出すように眉を寄せた。

    「『あの人たちに芋぀かる前に行く』っお蚀っおたした」

    「誰に芋぀かるのよぉ」

    「私が聞いおも答えおくれなくお。そのたた走っお行っちゃったんです」

    「走っおぇ」

    倩䞀が目を䞞くする。

    「お兄ちゃん、倩䞀姉さんたちを芋お怖がっおたみたいでした」

    「怖がっおたぁ!?」

    「い぀ものお兄ちゃんなら、私を眮いお走っお行ったりしないのに
    むしろ暑苊しいくらいに寄っおくるはずなのに  。
    どうしたんだろう」

    雅はきっぱりず蚀った。

    「それに、逃げる前に䞀床だけ、こっちを芋たんです」

    「こっちっお、あたしたちのほう」

    「はい。でも、芋おいたのは私じゃなくお  姉さんの埌ろにいた人でした」

    その蚀葉に、雅の衚情から笑みが消える。

    「誰を芋おいたのかは分かりたせん。でも、その人を芋た瞬間、お兄ちゃんは䜕かを思い出したみたいに黙っお  」

    「ふぅ〜ん  」

    倩䞀が腕を組む。

    「それは怪しいわねぇ」

    「䜕がです」

    「雅のお兄さんよぉ。孊祭に来おおいお、あたしたちの声を聞いた途端に逃げる。しかも、誰かを芋お顔色を倉えたんでしょぉ」

    「はい  」

    「これは事件の匂いがする」

    「したせんよ」

    雅が即座に吊定する。

    だが、吊定しながらも、芖線は䜕床も廊䞋の奥ぞ向いおいた。

    その様子を芋お、䌊織がぜんっず手を叩く。

    「あっ もしかしお、雅ちゃんが䜕か隠しおるんじゃない」

    「えっ!? 私は䜕も隠しおたせん 隠しおるのは、お兄ちゃんのほうです」

    思わず口から出た蚀葉に、雅自身がはっずする。

    「お兄ちゃんが、䜕を隠しおるのよぉ」

    「分かりたせん。でも、あの顔は  」

    雅は蚀いかけお、口を閉じた。

    倧地が去り際に芋せた、怯えたような目。

    そしお、倩䞀たちの背埌ぞ向けられた芖線。

    「  䜕でもありたせん」

    「䜕でもない顔じゃなかったわよぉ」

    倩䞀がにやりず笑う。

    「お兄ちゃんっお呌んでるけどぉ  」

    「だから、お兄ちゃんはお兄ちゃんです」

    「もしかしお、圌氏だったりしお」

    「違ぁぁぁぁう!!」

    雅の叫び声が、倧孊祭の廊䞋に響き枡った。

    「ちょっずぉ、声が倧きいわよぉ」

    「だっお違うんだもん」

    「でも、顔が真っ赀よ」

    「暑いだけです」

    「今日、そんなに暑くないけど」

    「    」

    雅は撃沈した。

    その様子を芋お、倩䞀が満足そうに頷く。

    「やっぱり怪しいわねぇ」

    「だから違うっおばぁ」

    笑い声が広がる䞭、雅だけは䜕床も廊䞋の奥を振り返っおいた。

    倧地が逃げた方向。

    そしお、圌が最埌に芋おいた方向。

    そこには、倩䞀たちの背埌で報道陣に玛れお立぀、䞀人の男がいた。

    男はカメラを䞋ろし、雅の様子をじっず芋぀めおいる。

    雅が振り返った瞬間、男は䜕事もなかったかのように芖線を逞らした。

    「  今の人、誰」

    「ん どの人よぉ」

    「いえ  」

    雅がもう䞀床目を向けたずきには、男の姿は人混みに玛れお消えおいた。

    胞元に手を圓おたたた、雅は眉をひそめる。

    倧地が逃げた理由も。

    あの男の芖線も。

    ただ、䜕䞀぀分からない。

    ただ、二人が同じ方向を芋おいたこずだけが、劙に匕っかかった。

    その頃――

    💫
    少し離れた堎所で、倧地は䞀県レフを構えおいた。
    倧地はカメラマンのアシスタントずしお、倧孊祭の撮圱を手䌝っおいる。

    本来なら、指瀺された堎所で撮圱を続けおいればいい。
    それなのに――

    ファむンダヌ越しに芋えるのは、盞倉わらず倧隒ぎしおいる倩䞀たち。
    そしお、その䞭にいる効の雅。

    倧地は小さく息を吐いた。

    「  なんで、あい぀らがいるんだよ」

    声には苛立ちだけでなく、明らかな譊戒が混じっおいた。

    倧地はカメラを䞋ろし、倩䞀たちの背埌ぞ芖線を滑らせる。

    そこに、先ほどの男の姿はない。

    だが、安心するどころか、カメラを握る手に力がこもった。

    「  ただ、远っおきおるのか」

    その盎埌、倧地は雅の姿を芋぀けた。

    雅がこちらを芋おいる。

    倧地の肩がわずかに跳ねた。

    声をかけようず、䞀歩螏み出しかける。

    しかし、倩䞀たちの呚囲で報道陣のカメラが䞀斉に動いた。

    倧地は反射的に身を匕く。

    「駄目だ  ここにいたら、雅たで巻き蟌たれる」

    倩䞀たちの声が近づいおくる。

    倧地は雅から目を逞らし、カメラを抱え盎した。

    「俺が芋぀かるだけならいい。でも、あい぀らに気づかれたら  」

    最埌の蚀葉は、人混みのざわめきに消えた。

    その芖線の先では、倩䞀が報道陣を匕き連れお走っおいる。

    「ちょっずぉ そこのカメラマンさん 
    こっちお願い」

    「はい」

    「䌊織 そっちはどう!?」

    「準備䞇端」

    「よぉ〜し 開店よぉ〜」

    「「「いらっしゃいたせヌヌヌ!!」」」

    倧孊祭は、たすたすお祭り隒ぎになっおいった。

    その喧隒に玛れるように、倧地は人混みの䞭ぞ身を滑り蟌たせる。

    ファむンダヌの端には、倩䞀たちを撮圱する報道陣ず、その䞭に玛れる男の姿が䞀瞬だけ映った。

    倧地はシャッタヌを切らず、静かにカメラを䞋ろす。

    男は、こちらを芋おいた。

    倧地は雅の姿をもう䞀床だけ確認するず、螵を返した。

    「  ただ、終わっおない」

    その背䞭が人混みに消えた盎埌、男もたた、別の出口ぞ向かっお歩き出す。

    䞻人公ず裏方。

    同じ堎所にいるのに、ただ互いの存圚を知らない。

    ただし、雅だけは気づき始めおいた。

    倧地が逃げた理由。

    最埌に芋おいた男。

    そしお、倩䞀たちの呚囲に集たる、ただの取材ではない芖線。

    その違和感は、やがお雅を次の出来事ぞず導いおいく。

    報道各局は、ただ取材に来たわけではなかった。

    どうやら各局ずも、

    「うちが䞀番にスクヌプを取る」

    「他局には絶察に負けるな」

    ず、劙な察抗心を燃やしおいるらしい。

    その結果――

    「そこの机、お願いしたす」

    「はいっ」

    「メニュヌ衚、ただです」

    「ただいた」

    「カメラさん そっちから撮ったほうが映えたす」

    「了解」

    「開店たであず五分よぉ」

    「急げぇぇぇ」

    もはや、誰が倧孊祭のスタッフなのか分からない。

    報道各局のスタッフたちは、他局を出し抜くために必死になっお、執事喫茶の開店準備を手䌝っおいた。

    その䞭心で、倩䞀が腕を組む。

    「  あたし、䜕のために倧孊祭やっおるのか分からなくなっおきたわぁ」

    「倩䞀、あなたが原因でしょ」

    䌊織が冷静に突っ蟌む。

    「えぇぇ〜 あたしぃ」

    「そうよ」

    「でもぉ  」

    倩䞀は、呚囲を芋回した。

    机を運ぶスタッフ。

    メニュヌを䞊べるスタッフ。

    呌び蟌みの緎習をするスタッフ。

    そしお、カメラを構えおいるスタッフ。

    「  たあ、いっかぁ」

    「いいの!?」

    「だっおぇ、こんなに働いおくれおるんだものぉ」

    こうしお――

    倩䞀ファミリヌの倧孊祭は、

    報道各局をも巻き蟌んだ、

    前代未聞の執事喫茶ずなったのである。

      ちなみにこの日、

    䞀番働いたのは――

    柔道郚でもなく、倧孊祭実行委員でもなく、報道各局だった。

    そしお圌らは最埌たで、

    「絶察に他局より先にスクヌプを取るぞ」

    ず、劙な䜿呜感に燃えおいたずいう――。


    ♯第32話 雅のサバむバルハむキング‌【倩䞀ファミリヌの話】



    今日は、䞭孊最埌の遠足の日――のはずだった。

    朝から、雅の身䜓は劙に重かった。

    目を芚たしたずきから、頭の奥ががんやりしおいる。
    喉も熱く、身䜓の節々が痛かった。

    「  なんか、倉だな」

    それでも雅は、どうにか支床をしお家を出た。

    ただ、玄関を出たあたりから、呚囲の景色が少しず぀珟実味を倱っおいった。

    道を歩いおいるはずなのに、足元がふわふわする。空はやけに近く、朝の光は癜くにじんでいた。

    「雅ちゃん、本圓に倧䞈倫〜」

    隣を歩く倩䞀が、心配そうに顔をのぞき蟌む。

    「倧䞈倫  たぶん」

    そう答えたものの、自分の声さえ遠くから聞こえるようだった。

    そのずき、通り過ぎたはずの電柱が、たた少し先に立っおいるのが芋えた。

    「  あれ」

    雅が振り返るず、そこには䜕もない。

    気のせいだず思おうずした瞬間、
    倩䞀の圱が䞀぀倚く䌞びおいるこずに気づいた。

    けれど、瞬きをするず、圱は元に戻っおいた。

    気が぀くず、雅はクラスメむトたちず䞀緒に山道を歩いおいた。

    い぀の間にここたで来たのか、よく芚えおいない。

    その列の䞭には、なぜか犬飌たちの姿もあった。

    「  あれ 犬飌たちっお、どうしお今日の遠足に参加するんだっけ」

    雅が銖をかしげるず、犬飌は䜕食わぬ顔で答えた。

    「现かいこずは気にするな」

    「いや、気にするでしょ」

    けれど、犬飌の声もどこか遠い。たるで氎の䞭から聞こえおくるようだった。

    さらにその少し前には、倩䞀ず䌊織たでいる。

    「䌊織姉さんも、どうしおここにいるんですか」

    「私が聞きたいわよぉ 気づいたら参加させられおたの」

    䌊織が叫ぶ暪で、倩䞀は楜しそうに呚囲を芋回しおいた。

    「たあ〜💕 みんなで遠足なんお楜しそうねぇ。空気もきれいで玠敵だわぁ」

    「姉さん、遠足なんだから、あんたり先に行かないでよ」

    雅がそう蚀った盎埌だった。

    茂みの奥から、ずしん、ず倧きな音が響いた。

    「  え」

    芖界がぐらりず揺れる。

    朚々の間から姿を珟したのは、䞀頭の熊だった。

    「姉さん あれ、熊だから」

    「たあ〜💕 倧きなワンちゃんねぇ」

    熊を前にしおも、倩䞀はたったく動じなかった。

    「ほらぁ。いい子ねぇ〜💕」

    そう蚀いながら、倩䞀は熊の頭を優しく撫でおいる。

    その光景はあたりにも自然で、雅は䞀瞬、本圓にそれが普通のこずのように思えおしたった。

    熊の錻先から、なぜか小さな花びらが舞った。

    「姉さん ワンちゃんじゃないから」

    雅が慌おお叫ぶ暪で、犬飌はその光景をじっず芋぀めおいた。

    「    」

    そしお、静かに呟く。

    「  神だ」

    たたしおも、倩䞀が神であるこずを再確認した瞬間だった。

    䞀方、䌊織は頭を抱えおいた。

    「いやいやいや 䜕で熊を撫でおるのよぉ」

    「䌊織先茩萜ち着いお䞋さい」

    八谷は、たったく動じおいなかった。

    「  倩䞀先茩だし」

    「八谷」

    「䜕ですか」

    「なんでそんなに冷静なのよ」

    「だっお、今さらでしょう」

    八谷は淡々ず蚀った。

    「倩䞀先茩が熊を手なずけるくらい」

    「普通じゃないから‌」

    雅の叫び声が、山䞭に響き枡った。

    けれど、その声は山に吞い蟌たれるどころか、䜕床も䜕床も反響した。

    普通なら䞀床しか聞こえないはずなのに、雅の耳には、自分の叫び声が遠くから䜕床も返っおくる。

    「  あれ」

    反響の最埌に、誰かの声が混じった。

    ――雅ちゃん、起きお。

    雅は振り返った。

    けれど、そこには誰もいない。

    頭が、たすたす熱くなっおいく。

    犬飌はなおも倩䞀を芋぀めながら、がそりず呟く。

    「神の奇跡を目撃した  」

    八谷は呆れたような顔をしながらも、どこかほっずしおいた。

    「たた倩䞀先茩が信者  いや、信熊を増やしたな」

    そのずき。

    熊が、ゆっくりず倩䞀の前にひれ䌏した。

    この山の䞻は、熊だった。

    けれど――

    倩䞀を芋た瞬間、その熊は悟った。

    このお方こそ、新たなる䞻。

    🐻「  我が䞻」

    倩䞀「たあっ💕 そんなに畏たらなくおいいのよぉ」

    䌊織「いやいやいや、䜕で熊ず䞻埓関係が成立しおるのよぉ」

    犬飌「  やっぱり神だ」

    八谷「先茩流石です」

    雅「姉さん、すごヌい✚」

    雅は叫びながら、自分が笑っおいるこずに気づいた。

    熱い。

    身䜓がひどく熱い。

    それなのに、目の前の光景だけは劙に鮮明だった。

    いや、鮮明すぎた。

    熊の毛䞊みも、朚々の揺れも、倩䞀の笑顔も、すべおが鮮やかに芋える。

    熊の毛䞊みは䞀筋ず぀光り、朚々の葉は颚もないのに同じ方向ぞ揺れおいた。

    倩䞀の笑顔だけが、たるでそこに貌り぀いたように倉わらない。

    「  これ、本圓に遠足なの」

    雅が呟くず、倩䞀が振り返った。

    「もちろんよぉ。雅ちゃんも䞀緒に行きたしょうねぇ」

    その声が、遠くなった。

    ――雅ちゃん、起きお。

    今床は、はっきり聞こえた。

    山道がゆっくりず揺れる。

    足元が厩れ、空ず朚々が混ざり合い、熊の姿が倧きくにじんでいく。

    「姉さん  」

    雅が手を䌞ばした。

    けれど、指先は䜕も぀かめなかった。

    こうしお、雅の䞭孊最埌の遠足は――

    なぜか、ずんでもないサバむバルぞず倉貌しおいくのであった。

    ――そのはずだった。

    「  ん」

    雅は、ゆっくりず目を開けた。

    芋慣れた倩井が目に入る。

    身䜓は熱く、垃団の䞭は汗でじっずりずしおいた。

    頭の奥には、ただ山のざわめきが残っおいる。

    「雅ちゃん、起きたのぉ」

    隣では、倩䞀が心配そうに雅を芋぀めおいる。

    「姉さん  」

    「そうよぉ。倧䞈倫 ただ熱があるみたいねぇ」

    雅はがんやりず呚囲を芋回した。

    山もない。

    熊もいない。

    犬飌も、八谷も、䌊織も、もちろんクラスメむトたちの姿もない。

    枕元には、飲みかけの氎ず䜓枩蚈が眮かれおいた。

    䜓枩蚈の衚瀺は、倢の䞭で芋た熊の目のように赀く光っおいる。

    「  遠足は」

    「今日はお䌑みよぉ。雅ちゃん、高熱を出しちゃったからねぇ」

    倩䞀が優しく答える。

    雅はしばらく黙り蟌んだ。

    朝から感じおいた身䜓の重さ。

    にじんでいた景色。

    遠く聞こえおいたみんなの声。

    䜕床も繰り返された呌びかけ。

    それらが、少しず぀぀ながっおいく。

    「じゃあ  熊は」

    「熊」

    「姉さんが手なずけた  」

    倩䞀はきょずんずしたあず、ふわりず埮笑んだ。

    「たあ〜💕 倢でも芋おいたのかしらねぇ」

    雅は垃団の䞭で、ゆっくり目を閉じた。

    そうだ。

    あの遠足も、熊も、山の䞻も――

    党郚、熱にうなされお芋おいた倢だったのだ。

    「  でも、姉さんなら本圓にやりそう」

    雅が小さく呟くず、倩䞀は嬉しそうに笑った。

    「たあっ💕 耒めおくれおるのねぇ」

    こうしお、雅の䞭孊最埌の遠足は――

    珟実には行けなかったけれど、倢の䞭では、ずんでもないサバむバルになったのでした。


    第話 雪原【倩䞀ず仲間達の話】


    「雅 行くわよ
    わたしに぀いおらっしゃい
    䞀日で滑れるようにしおあげるわよぉ〜」

    ゎンドラ埅ちの列に䞊びながら、
    倩䞀は劙に匵り切った声を䞊げおいた。

    しかし——
    呚囲の空気は、たるで盛り䞊がっおいない。

    䜕故なら。

    スキヌ初心者の雅に察し、
    倩䞀の“指導”が始たろうずしおいたからだ。

    しかも本人は、
    善意100。
    やる気も100。

    ぀たり、最悪である。

    「  雅くん、生きお垰れたすかね」
    ず八谷が呟き、

    「神の特蚓は死人が出るぞ」
    ず犬飌が遠い目をした。

    誰も口には出さなかったが、
    党員が同じこずを思っおいた。

    ——嫌な予感しかしない。

    山頂ぞ到着した䞀行。

    ——もちろん、䞊玚者コヌスだった。

    「  え」

    雅は県䞋に広がる癜銀の斜面を芋぀め、
    子鹿のように膝を震わせおいる。

    察しお倩䞀は、
    「倧䞈倫よぉ〜」
    ず、たるで近所の坂道でも散歩するかのような顔だ。

    「いや、どこが倧䞈倫なんですか」
    八谷は即座にツッコみ、

    「神はたたに䞀般人の感芚を倱う」
    犬飌は静かに目を䌏せた。

    そんな呚囲をよそに、
    皆は慣れた様子で次々ず滑り降りおいく。

    そしお少し䞋たで滑った倩䞀は、
    斜面の途䞭で雅を振り返った。

    「雅 行くわよ
    わたしに぀いおらっしゃい
    日で滑れるようにしおあげるわよぉ〜」

    「雅〜 おいでおいで〜」

    斜面の途䞭で、
    倩䞀は䞡手を振りながら雅を呌んでいた。

    しかし。

    䞊玚者コヌスを前にした雅は、
    完党に固たっおいた。

    腰が匕けおいる。

    膝は子鹿。

    ずいうか、
    もはや生たれたおである。

    「  む、姉さん、無理です  」
    「えぇ〜 雅、運動神経いいじゃない」

    倩䞀は䞍思議そうに銖を傟げた。

    その時だった。

    シャアアアッ——

    雪煙を䞊げながら、
    䞀人のスキヌ救助隊員が雅の前に滑り蟌んできた。

    高身長。
    爜やか。
    眩しい笑顔。

    完党に雪山の王子様である。

    「倧䞈倫ですか」

    優しく声をかけられ、
    雅は涙目で䜕床もコクコクず頷いた。

    王子様は䞀瞬で状況を理解するず、
    慣れた手぀きで雅のスキヌ板を倖し、
    ひょいっずスノヌモヌビルぞ乗せる。

    「えっ、ちょっ——」
    「安党第䞀ですので」

    そしお。

    王子様は雅を乗せたたた、
    倩䞀の暪を通過した。

    その際、
    雅のスキヌ板だけを倩䞀ぞ手枡す。

    「貎方は倧䞈倫ですよね」

    そう蚀い残し、
    雪山の王子様は雅を乗せたスノヌモヌビルで颯爜ず去っお行った。

    取り残された倩䞀の手には、
    雅のスキヌ板。

    「    」

    数秒の沈黙。

    そしお倩䞀は、
    ふっず髪をかき䞊げるず——

    雅のスキヌ板を右肩に担いだ。

    「たあ、雅が無事ならいいわぁ」

    次の瞬間。

    シュバッ

    倩䞀は片手だけでバランスを取りながら、
    ずんでもない速床で斜面を滑り始めた。

    しかも速い。

    異様に速い。

    右肩には、
    普通にスキヌ板を担いでいる。

    フォヌムは無駄に矎しい。

    「いやいやいや
    䜕でその状態で滑れるんですか」
    八谷が叫び、

    「神だからだ」
    犬飌は真顔で頷いた。

    途䞭、
    䞀般客が次々ず道を譲る。

    「なにあれ」
    「え、プロ」
    「荷物持ったたた黒い圗星みたいに降りおきた」

    しかし倩䞀は、
    颚を切りながら優雅に滑り続ける。

    その姿はたるで——

    “雪山に舞い降りた戊闘民族”。

    そしお数分埌。

    先に麓ぞ到着しおいた雅が、
    毛垃にくるたれながら枩かい飲み物を受け取っおいるず——

    シャアアアッ

    盛倧な雪煙ず共に、
    倩䞀が華麗に停止した。

    右肩には、
    しっかり雅のスキヌ板。

    「雅〜 埅たせたわねぇ」

    「埅たせたの意味がおかしいんですよ  」

    雅たちが雪原ではしゃいでる。
    倩䞀が振り返る。
    少し離れた堎所にカメラを構えた男がいる。

    でも、
    雪ず逆光で顔ははっきり芋えない。

    シャッタヌ音だけが響く。

     
     
    心がふっず軜くなるような、やさしい気づきを蚀葉に。 小説、絵のない絵本、掚し掻゚ッセむ「おしか぀びより」などを曞いおいたす。 な぀の よの

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