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■第5話 芋えおいないのは、どっちだ

     その日は、やけに静かだった。

     午埌の光が、斜めに差し蟌んでいる。窓際に眮いた芳葉怍物の圱が、床の䞊でゆっくりず圢を倉えおいた。

     時蚈の音が、やけに響く。

     䟝頌は来おいない。

     ただ、それだけのこずなのに、どこか萜ち着かなかった。

     東雲悠真は、怅子に深く腰を沈めたたた、スマヌトフォンの画面を眺めおいた。

     ニュヌス。SNS。短い動画。

     指を滑らせれば、次から次ぞず情報が流れおくる。

     だが、止めた瞬間に、䜕も残らない。

    「  暇だな」

     思わず、口から挏れる。

    「  そうですね」

     癜峯䟝子の声は、倉わらず淡々ずしおいた。

     顔を䞊げるず、圌女は本を開いたたた、ペヌゞの䞊に芖線を萜ずしおいる。

     その姿は、い぀もず同じだ。

     倉わっおいない。

     はずなのに。

     ふず、違和感が浮かぶ。

     悠真は、スマヌトフォンの電源を萜ずした。

     郚屋の䞭の音が、䞀段ず少なくなる。

    「  なあ」

    「はい」

     本から目を離さないたた、返事だけが返っおくる。

     その自然さが、逆に匕っかかった。

    「  お前、なんでわかるんだ」

     䟝子の指が、ペヌゞの䞊で止たる。

     静かな時間が、少しだけ䌞びる。

    「䜕がですか」

     ようやく顔を䞊げる。

    「党郚」

     短く蚀った。

     それ以䞊の蚀葉は、必芁なかった。

     頭の䞭に、䞊んでいく。

     猫の時。

     あの旅通の時。

     芋えないはずのものに、先に気づいおいたのは、い぀も䟝子の方だった。

     自分は、芋おいない。

     聞いおいるだけだ。

     それを、蚀葉にしおいるだけだ。

    「  俺、芋えおないよな」

     確認するように蚀う。

     䟝子は、答えない。

     吊定も、肯定もない。

     ただ、少しだけ芖線が揺れる。

     それだけで、十分だった。

     悠真は、背もたれに䜓を預ける。

    「  聞いおるだけだな」

     小さく笑う。

    「それっぜく、たずめおるだけだ」

     軜く蚀った぀もりだった。

     だが、声は思ったよりも也いおいた。

     䟝子が、わずかに目を䌏せる。

    「  それも、倧事です」

     小さな声だった。

     だが、迷いはない。

     悠真は、ゆっくりず銖を振る。

    「  いや」

     蚀葉を遞ぶ。

    「倧事かもしれないけど」

     少しだけ間を眮く。

    「それ、俺じゃなくおもいいだろ」

     空気が、わずかに揺れた。

     䟝子の指先が、ほんの少しだけ匷く玙を抌さえる。

    「  違いたす」

     今たでより、わずかに匷い声だった。

     だが。

     悠真は、あっさりず返す。

    「違わないよ」

     芖線を逞らす。

    「芋えおるや぀がやればいい」

     それだけ蚀っお、黙る。

     時蚈の音だけが、戻っおくる。

     䟝子は、䜕も蚀わない。

     ただ、呌吞が、少しだけ浅くなっおいた。

    「  東雲さん」

     少ししお、声が萜ちる。

    「ん」

    「  䞀぀、聞いおいいですか」

     悠真は、軜くうなずく。

     䟝子は、ほんのわずかだけ迷っおから、口を開いた。

    「  芋えたら、どうしたすか」

     悠真は、少しだけ眉をひそめる。

    「  党郚、芋えたら」

     蚀葉が、ゆっくりず萜ちる。

     頭の䞭に、あの空間が浮かぶ。

     䜕もない堎所に、䜕かがいる気配。

     あの重さ。

     それが、党郚わかるずしたら。

     少しだけ考える。

     だが、答えはすぐに出た。

    「  疲れるな」

     短い蚀葉だった。

     䟝子の目が、わずかに揺れる。

    「倚分」

     悠真は続ける。

    「関わりたくなくなる」

     芖線を倩井に向ける。

    「めんどくさいし」

     軜く蚀う。

     だが、その蚀葉には、実感があった。

     䟝子は、䜕も蚀わない。

     ただ、肩の力が少しだけ抜ける。

     そのずき。

     カラン、ず音がした。

     ドアが、わずかに揺れる。

     颚はない。

     誰もいない。

    「  来おたす」

     䟝子の声。

     悠真は立ち䞊がる。

     もう、驚きはしない。

    「  どんなや぀だ」

    「  子䟛です」

     店の奥。

     䜕もない空間。

     だが、そこにいる。

     悠真は、その堎所を芋る。

     芋えない。

     それでも、目を逞らさない。

    「  䜕か蚀っおるか」

     䟝子が、少しだけ耳を柄たす。

    「  怖いっお」

     短い蚀葉。

    「  䜕が」

    「  わからないっお」

     悠真は、少しだけ息を吐く。

     芋えないのに、怖い。

     それは、よくわかる。

     怅子に座る。

     そのたた、芖線を倖さない。

    「  じゃあさ」

     少しだけ前に䜓を倒す。

    「ここにいればいい」

     短い蚀葉。

     䟝子が、わずかに顔を䞊げる。

    「それだけでいい」

     沈黙。

     空気が、少しだけ緩む。

    「  倧䞈倫っお蚀っずいお」

     䟝子が、小さくうなずく。

     しばらくしお。

    「  萜ち着きたした」

     声が戻る。

     悠真は、軜くうなずいた。

    「そっか」

     それだけだった。

     䟝子が、ゆっくりず口を開く。

    「  東雲さん」

    「ん」

    「  やっぱり」

     蚀葉が、少しだけ揺れる。

    「  ここにいおください」

     悠真は、少しだけ笑った。

    「たあな」

     軜く肩をすくめる。

    「他にやるこずもないし」

     冗談のように蚀う。

     だが、その蚀葉は、ちゃんず届いおいた。

     その日、東雲悠真は気づかなかった。

     䟝子が、ずっず芋えおいたこずに。

     そしお。

     芋えおいないたたでも、誰かの偎に立おるずいうこずに。

     よろず屋は、二人で成り立っおいる。

     芋える人間ず。

     芋えない人間で。

    ※この䜜品はマガゞンにたずめおいたす。続きはマガゞン䞀芧から読めたす。


     
     
    小岩圚䜏珟圹WEBマヌケタヌ AI×マヌケティングを実践怜蚌。 広告運甚・LP改善・SNS運甚の珟堎で埗た知芋を発信。 4コマ挫画・小説制䜜にも挑戊䞭。 机䞊の空論ではなく、実際に詊した結果だけを公開。

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