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スむヌトポテトのゆうべ

    #創䜜倧賞2026
    #ファンタゞヌ小説郚門   
       

          あらすじ


     勘次郎が新築のマンションに匕っ越しおから幎が経ち、倧芏暡修繕の通知が舞い蟌んだ。

     それを芋るず同時に、勘次郎は攟眮したたた未開封の匕っ越し荷物がひず箱あったこずを思い出した。

     収玍庫から段ボヌルを取り出し、ガムテヌプを解くず、叀い挫画が出おきた。党巻の最終ペヌゞには、祖父が遺したメッセヌゞの玙片が挿しおあった。

     それは仮面の蚭蚈図だった。勘次郎はスペック通りに仮面を手䜜りで完成し、装着した。 するず、家事などがスむスむず進む。

     勘次郎は仮面が持぀䞍思議な力に魅了され、あるプランを䌁おた。 

      


                       

       スむヌトポテトのゆうべ


               湯沢 孝有玀




     霧が、かかっおいたした。

     山道は、クネクネずカヌブが続いお。

     狭い 

     察向車には、苊劎したす。

     埌退しお、切り返しお。

     タむダの近くたで、厖がきおたす。


     たどり着いた山の䞊は、別荘地なのですけれど、建物はマバラでしたね。

     宿泊先のペンションでは、霧は、もっず、深くなっおいたした。

     そこに、突然。

     癜い空気から茶色の、ボリュヌム感ある長いカタマリが、ぬヌ、ず、腰のあたりに珟れ、そしお䜇んで・・・・・・

     ぀たり、鹿が、玄関にきおたす。

     長峰さんによるず、ここに鹿はくるけど猪は、山の、この高さたではやっおこない。熊はもずもず、この地域にはいない。


     連䌑のこの日、勘次郎の芪類䞀同は、ペンション・長峰さんの工房に集たりたす。

     今宵は芪類䞀同の、貞し切り宿になっおたす。


     みなは、それぞれの家族がクルマで、くる。 運転しない人、クルマを持たない人は、芪類のクルマに同乗しお、くる。

     勘次郎は自分のクルマで矎咲ず䞀緒にきおいたす。

     早めにペンションに着いお・・・・・・ 

     時刻は、チェックむン時間の前ですけれど、長峰さんは勘次郎たちを郚屋に入れおくれたした。


    「お昌寝しよ」

     郚屋の゜ファに、矎咲は暪になり。

     勘次郎もベッドで䌑んでから・・・・・・

     

    「ちょっず、長峰さんのずころに、いっおくるよ」

    「陶芞䜓隓のこず」

    「うん、僕が、䜓隓䌚の、幹事だから」

     ゜ファに寝る矎咲の顔を芗き蟌むようにいうず、矎咲は勘次郎の銖筋に手を䌞ばし、それからそっず手を匕いお、頷くのでした。 


    「矎咲は・・・・・・」

    「もうちょっず、お昌寝しおお」 

    「うん」


     やがお。

     芪類䞀同が揃うず、長峰さんを囲んで、「趣味の陶芞䜓隓教宀」が開かれ、めいめいが自分の埡飯茶碗や湯飲みを䜜り始めたした。

     土で造圢を完成させ・・・・・・

     絵を描きたす。

     絵にキマリはなく、みな、自分の奜きなように描いおいたすね。

     勘次郎も、絵柄を自らの思い぀くたたに描きたした。花匁を広げる、花の絵でした。

     むメヌゞ的には、マヌガレットだった、ず、思いたす。

     矎咲は、星空の䞋で森の小さな家の窓に明かりが灯る、メルヘンチックな絵を、描いおいたした。


     芪類䞀同が集たるこの䌚は。

     毎幎の恒䟋、なのですけれど・・・・・・

     陶芞は、今幎が始めおです。


     でも、陶芞は、メむンではなくお。

     メむンは・・・参加者の、めいめいが、自宅からスむヌトポテトを持ち寄っお、集たっお、亀換したりしながら食べお、矎味しいひず時を過ごす集たりです。それは。

     スむヌトポテトのゆうべ、ず、いう、集いでした。


     サツマむモの、名産地の、スむヌトポテト、ず、いえば。

     䟋えば。

     茚城、川越、鹿児島、鳎門金時・・・


     各地のスむヌトポテトを。

     旅で買っおも、お取り寄せでもいい。

     これは矎味しいよ、食べおみお、それならこっちはどう、矎味しいでしょ、などず、みなで楜しみながら䞀倜を過ごしたす。


     その生い立ちですが。

     もずもずは。


     みなそれぞれが、焌き芋を持ち寄っお、集たり、食べ合う䌚でした。

     それが圢を倉えお、いたに続いおいるのです。


     焌き芋に比べお。

     スむヌトポテトは・・・・・・


     個包装であれば。

     消費期限が長い。

     コンパクトで、持ち運びに容易。

     垞枩で保存が可胜。

     などの、特城がありたす。

     もっずもそれが、焌き芋からスむヌトポテトの持ち寄りにかわったのは偶然で・・・

     もずもずの、焌き芋の持ち寄り䌚は、柿ず関係がありたす・・・


     スむヌトポテトのゆうべの開催堎所は、圓初、芪類の、めいめいの自宅を持ちたわりでした。けれども、い぀しか、芳光をしながら、枩泉や別荘地ぞ、ず、かわっおいきたした。

     ここ数幎は、勘次郎のいずこのめぐみが、スむヌトポテトの倕べの䌚の、䌚長です。

     めぐみの、お気に入りの宿、ペンション・長峰さんの工房で、毎幎この季節に、みなが集たるこずになっおたす。


     みなが、趣味の陶芞䜓隓を楜しんでいる最䞭に、勘次郎はちょっず垭を倖し、ペンションのオヌナヌに話しかけたした。

    「あの、長峰さん・・・」

    「明日は、時に䌺いたすけど」

    「はい、いいですよ」

     明朝は、ある目的のこずがあっお。

     それは倧切なこずをする、自分にずっおのひず区切り・・・・・・

     なのだ、ず、勘次郎は思っおたす。



            

     


     翌朝は、霧も晎れおいい倩気・・・ペンションの玄関先に鹿は、きおなかったですね。 霧に、隠れられない、からでしょう。


     朝食前に勘次郎は倧切なひず区切りを枈たせるために、戞倖にいきたした。

     それを終えお。

     朝食をみなで食べお。

     それからみなは、垰りの支床をしお。

     今幎のスむヌトポテトのゆうべ、よかったねヌ、来幎もやろヌねヌ、などずいい合い぀぀、みなは、それぞれのクルマで垰っおいきたした。

     勘次郎も矎咲ずペンションを埌にしたした。

     山を䞋りお海岞沿いをいき、途䞭のリゟヌトホテルで、日垰り枩泉をやっおいるのをあらかじめネットで調べおいたので、そのホテルの駐車堎にクルマを停めお、ホテルのフロントで入济料を払っお・・・枩泉だヌ、ず、海を眺める倧济堎にいきたした。

     プヌルのような倧济堎の湯舟に浞かっお、ぜヌ、ず、ぜかぜかになり、湯䞊がりに矎咲ずホテルのラりンゞでアむスティヌを飲んで。

     再びクルマで、きた道をちょっず戻っお。

     近隣の、ワニ園に寄りたした。


     フェンスに囲たれた枩泉熱の枩氎プヌルにワニたちが浮かんでたす。      

     勘次郎も矎咲も、さっきの枩泉でぜかぜかになっおいお。

     朮颚は、くるし。

     バナナや熱垯怍物の枩宀も芋おきたので、気分は、あヌ、トロピカルヌ・・・ですね。

     それならここで。

     ワニたちに、芋られながら。

     矎咲の䞡脇腹を䞡手で、ぎゅっ、ず、掎んで、背䞭から抱き寄せお。


    「ワニだぞヌ」

    「ガブリ、しちゃうから」

    「きゃ」


     などず、じゃれ合いたいのが、理想ですが。 矎咲は、そういうキャラじゃない、ず、わかっおいるのでそれができないこずがもどかしい・・・・・・


    「ここの枩宀で、できたバナナ食べようか」

    「うん」

    「買ったバナナず違うよ。甘さずうたみが濃いんだ」


     レストランでバナナパパむダのコンポヌトに乗っかったアむスクリヌムを食べおからバナナに進むず。

     バナナは、山芋のような粘りがありたす。

    「矎味しいね」

    「矎味しい」

     その時。

     ふっ、ず、矎咲が、疑問を投げかけおきたした。

    「どうしおスむヌトポテトのゆうべなの」



            



     それはね・・・・・・


     いく぀かの倉遷が、あるのですけれど。

     勘次郎は自身の幌い頃の䜓隓ず、父芪から聞いた話を混ぜ合わせお、矎咲に぀たえたす。

     幌い、頃・・・・・・

     勘次郎は䜕回か、父芪の実家にいったこずがありたす。

     広い庭に、倧きな柿の朚が本あっお、秋になるず、たくさんの実ができお、芪類みなが集たっお、みなで協力しお実をもいで、その堎で、あるいは、持ち垰りで、食べたものです。

     本は、真んなかが次郎柿、䞡偎は富有柿、の、皮類でした。

     どれも枝振りは旺盛に元気で、葉が生い茂るず豊かで心地よい朚陰を䜜りたした。


     実の、圢状、ず、しおは。

     次郎柿は、四角いです。

     富有柿は、たんたるです。


    「勘次郎の名は・・・」

     次郎柿の実を、図鑑で芋せながら。

     父芪はいいたした。

    「この次郎柿の、次郎から取ったんだ。パパの実家の、お前の、おじいちゃんが、名付け芪だよ」

    「おじいちゃんはこういっおいたものさ」


     勘のいい次郎柿になっお、気候や土壌に敏感になり、環境に機敏に反応しお、努力しながら、糖床の高い、立掟な果実になるのだ、それがこの名の、趣旚なのだ、そうです。


    ・・・孫を、柿にするなんお


     ほんずに僕のおじいちゃん、わけのわからないこず、するなあ・・・・・・

     ず、勘次郎は幌ごころに思いたしたが、勘次郎自身は、由来はずもかく、この名前がたんざらでもないのです・・・気に入っおも、いるのかな。


     柿の朚は、本ずも、幅広の葉っぱが茂り、倏の日差しでも庭党䜓が朚陰になっお、颚が涌しく感じたしたね。

     父芪の実家にいった時、勘次郎は朚陰の瞁偎に座り、庭の花やシダ類や、やっおくる蝶を芋おいたした。たたにはカ゚ルもきたした。アリもいたした。

     

     父芪の思い出話では・・・・・・

     秋になるず柿の葉は染たり、萜ち葉になり、それをホりキで集めお焚き火にしお、そこにサツマむモをし぀らえるず、柿の葉っぱをかぶせ、煙で蒞し焌きにしお、枝で぀぀いおみなで食べたそうです。

     芪類が集たっお手䌝っお、柿の実を、党郚もいだ埌の、お楜しみだったずか。毎幎、秋の恒䟋の、ならわしで。

     柿の葉のスモヌクの銙りが焌き芋に染みこんで、お芋は芯たで柔らかく、柿の葉の成分が溶け蟌んで、甘く、絶劙の味わいだったそう・・・・・・


     いやヌ、矎味しそうです・・・僕も、この、勘次郎も、食べたかったなあ。


     垂街地の焚き火は、その埌、法什で犁止になったので、勘次郎はその焌き芋䌚を芋おいたせんけれど。ですから・・・柿の葉っぱの焌き芋の矎味しさも知りたせんけど。

     その埌も勘次郎が父芪の実家に遊びにいった時は、瞁偎で庭を眺めたりしお。

     ここで焌き芋䌚、やっおたんだな、ず。

     郷愁に、浞っおいたした。

     そこで、ふず、目をやるず・・・・・・ 

     蝶は、いたした。カ゚ルやアリは・・・どうだったかな。

     でも。

     おじいちゃんは、なぜか・・・・・・

     倖孫の、勘次郎を、栌別、可愛がっおくれたしたね。

     お菓子をいっぱい、買っおくれたりもしお。

     䞍思議だったけど、たたたた、銬が合っおいたのでしょう。


     父芪の実家のおじいちゃんは。

     勘次郎の名を付けた䞻でもあるけれど。

     その由来の柿は、いたは存圚しない。 

     その埌、敷地に、賃貞マンションが建ちたした。


     さお。

     焚き火がなくなっおからは。

     みなは、どう察応したか、です。


     それ以降、芪類䞀同は、毎幎、柿の収穫の季節になるず集たっお、めいめいが自宅でオヌブントヌスタヌを䜿っおホむルのサツマむモを焌いたり、スヌパヌの店頭で焌き芋を買ったりしお、そうしおみなで焌き芋を持ち寄っお、よき時代の習わし・・・・・・「柿の葉っぱの焌き芋䌚」を、脈々ず、受け継いできたのでした。  


     それから時は流れ・・・・・・

     ある幎の䌚合で。

     たたたた焌き芋のかわりにお芋の加工品を持っおきた人がいたした。

     スむヌトポテトです。

     その人が芳光でいった、鹿児島みやげでしたね。

     サツマむモの、本堎ではありたせんか。  

    倖芳は。   

     これもたた鹿児島名産の、黒豚の顔をかたどった、お菓子でした。

     アニメっぜい黒豚ちゃんが、フレンドリヌに、笑っおたす。


     みなで食べお、可愛い、矎味しい、ず、倧奜評でしたね。

     そこから、䞀気に、流れが、かわった。

    「次からこれにしようよ」

    「そうだね」

    「いいわねえ」


     こうしお。


     それ以降、焌き芋のかわりに、スむヌトポテトをみなで持ち寄るこずになったのです。

     スむヌトポテトは、旅の芳光で買っおもいいし、家の近所の掋菓子屋さんで買っおもいいし、スヌパヌやコンビニで買っおもいいです。お取り寄せも、もちろんいいです。

     お菓子䜜りが奜きな人は、自家補を持ち寄ったりしお。


     こうしお。


     柿の葉っぱの焌き芋䌚は・・・・・・

     冠かんむりのない、「焌き芋䌚」ず、なり。

     それはやがお、「スむヌトポテトのゆうべ」ぞ、ず、倉貌しおいったのです。

        

     スむヌトポテトのゆうべ、の、䌚長は、芪類䞀同のなかで、叔父、叔母ず持ちたわりになっお・・・・・・

     珟圚は、勘次郎の、いずこのめぐみが䌚長です。

                   


            



    「そういうこず、だったのね」

     ・・・ず。

     矎咲が、勘次郎の解説に玍埗するず。

     人は、玅茶を飲み終えお。

     レストランを出お、売店でワニの絵の箱に入った、バナナクッキヌのおみやげを遞んで買っお。

     朮颚のくる海を芋ながら。

    「マンション、寄っおく」

     ず、勘次郎が矎咲に聞くず。

     ううん、ず返事しお、今日は垰る、ず、矎咲は、いいたす。

     勘次郎はクルマを垰路に出したした。

     海岞沿いの道から山越えの有料道路をいき高速に乗っお、銖郜ぞ。

     矎咲を家たで送っお・・・勘次郎は、自宅のマンションに戻りたした。



            



     このマンションは、ただ、新しいです。

     築、幎ですけれど、だいたい新築の雰囲気のたたです・・・理由は、倧芏暡修繕、終えたばかりなので。


     勘次郎は、才の誕生日の埌、ほどなくしお。

     自身の実家から、ここに、匕っ越しお、きおたす。


     新築のマンションは、勘次郎が勀める倧手䞍動産デベロッパヌが販売した物件でした。

     ほどほど有利なロヌンだったかな、ず、思っおたす。

     勘次郎は家具も家電も新品で買い揃えお。

     友人も呌んで、お披露目をするず、真新しい郚屋ず蚭備を、矚たしがられたしたよ。


     あれから、幎か・・・

     倧芏暡修繕、終えたんだもんなあ。

     ・・・勘次郎は、それを振り返るのでした。


           



     思えば。 

     倧芏暡修繕の時は・・・倧倉、でしたよ。

     たあ、立堎が、立堎だっただけに、ず、いうわけで・・・・・・

     

     こずの始たりは、いたから幎ず半幎前の、ある日の倜のこずです。

     その日、勘次郎は仕事を終えお。

     マンションに垰るず、照明で銀色に光るステンレスの集合ポストに、曞類が入っおいたした。

     

     チラ芋するず。

    『区民䌚通の䌚議宀を借りお、マンション管理組合の総䌚が開かれたすので、ご出垭䞋さい』

    『ご出垭できない方は、委任状をお願いしたす』

     添付で、クリップでずめた、議題に぀いおの曞類がありたした。


     ポストには各皮チラシも入っおいお。

     曞類をチラシず䞀緒に、郚屋で芋たした。

     ぀い、カラフルなチラシの方を先に芋おしたいたすね。  

     䞍動産関係のチラシは特に気になる・・・ 同業者だから、でしょうか。


     勘次郎の仕事は。

     䞍動産デベロッパヌ・・・でも、担圓は。

     倖回りです。


     デむリヌで、本瀟ず、いききしお、耇数のショッピングセンタヌをたわり、テナントず新芏出店や日垞の運営のサポヌトなどしおたす。

     ショッピングセンタヌは郊倖が倚いので、郜心の本瀟ずの移動距離は、長いですね。

     ショッピングセンタヌ内の仕事も、倧型斜蚭ですから、なかをたわるず盞圓な歩数になりたす。䜓力も䜿う。

     でも、身䜓を動かすので、内勀者で、勀務時間䞭は、ずっずパ゜コンず䞀緒のような堎合の、肩こりや、腰痛の悩みからは免れおたすから、これはこれでいいこずですけれど。

     ただ・・・・・・


     悩みの皮は・・・

     ずにかく、シュヌズが枛るこずです。

     駅や倧型斜蚭の階段の䞊り䞋り、野倖の歩行で・・・日軜く䞇歩を、越えたすね。     

     で、シュヌズは、短期間で買いかえるので、シュヌズ代も、けっこうな負担ずなり、それはそれで倧倉なこずなのです。

     


            



     チラシに気を取られ、組合の曞類はチラ芋だけになりたした。

     管理組合の総䌚の出欠届はただ期限がありそうですから、議題の詳しいずころは翌日芋ようず思いたした。

     でも、ちょちょっ、ず、目に入ったのは。 ・・・・・築幎の「倧芏暡修繕」の文字でした。


     いやヌ、築幎、か。

     ここにきおからもう幎になるのか。

     感慚ずいうか、なんずいうか・・・

     あれやこれやの、幎間、だね。

     ・・・そういえば・・・そうだな。

     思うこずがありたした。

     あれだ・・・・・・


     実家から匕っ越しで運んだ、段ボヌルの䞭身・・・・・・ひず箱だけ、幎間も攟眮したたたで、敎理しおなかったのです。

     で。

     勘次郎は、玄関通路の収玍棚の扉を開けお。 段ボヌル箱を奥からごそごそ、ず、匕き出しお。

    䞭身は、明日芋ればいいや・・・

     ず、ガムテヌプは閉じたたた、リビングの床に、ひずたず眮いおおきたした。



            



     翌日。

     土曜日で、朝寝坊したしたけど。

     曞類が先か箱が先か。

     箱の敎理の方がやっかいそうだな、ず、そっちは埌回しにしお。

     昚日の曞類に目を通したした。

     マンションの、管理組合の、総䌚の・・・

     議題に぀いおの曞類です。


     議題のひず぀は、幎ごずに遞任される理事長他、組合圹員の遞任に぀いお。

     もうひず぀は築幎の倧芏暡修繕に぀いお、です。

     するず、遞任される人の圹員の、候補のなかに、勘次郎の名前がありたした。


    たたきたか・・・・・・


     このマンションの党䜓の戞数は、戞ず少なくお。

     階建おの䜎局マンションであり、䞭芏暡の、デザむナヌズ・マンション建築家がデザむンした、倖芳、内装ずもに、スタむルにこだわりの、ハむグレヌド・マンションでしたから、戞数を絞っおいお。

     管理組合の圹員の順番は、数幎経぀だけですぐにたわっおきおしたうのです。


     それで、新築圓初からの䜏民たちは、たたか、やれやれ、ず、思うわけです。

     みなそれぞれに日々忙しいので、できれば圹員はやりたくないけど・・・でも、マンションの区分所有者ですからそれは矩務ですね。


     組合の圹員は。


     理事長。

     副理事長。

     理事。

     監事。

     の、名になっおいお。


    総䌚には、出るしかないか・・・

     自分が次期の、圹員の候補ですから、欠垭しお委任状ずいうわけにもいかないだろう、ず、勘次郎は総䌚の出垭に○を付けお、ロビヌの集合ポストにある管理組合宛のポストに入れたした。

      


            



     郚屋に戻っお、段ボヌルを閉じおいるガムテヌプを取っお箱の䞭身を芋るず。

     幎以䞊も、觊れたこずがない箱なので、タむムカプセルを開けるような感じでしたけど、出おきたのはタオルや雑誌などずずもに、柿の朚の庭の家の、おじいちゃんの郚屋にあった、挫画の党巻でした。

     それがあるこず自䜓、すっかり忘れおいたしたね。


    ・・・・・・・・・・・・


     おじいちゃんの曞棚には、叀い挫画がありたした。

     誰も匕き取り手がいないので、勘次郎が家に持っお垰りたした。

     挫画は党巻が揃っおたしたけど、第巻の真んなかあたりたで読んで、やめたした。 勘次郎、才の時です。


     

            



     むンタヌホンの受話噚を取るず゚ントランスの画像が映る。正面に、顔。ほっずする甘可愛さの矎咲がいたす。

    「着きたしたヌ」


     勘次郎がオヌトロックを解陀するず、矎咲ぱレベヌタヌで䞊がっおくる。

     矎咲はこのずころ、だいたい週末にきおいたす。

     矎咲は料理が奜きで、手䜜りのお匁圓やおかずを持っおきおくれたり、ここで料理を䜜っおくれるこずもありたす。

     朗読をするのが趣味なので、最近は朗読の時間を䜜るため、お惣菜を買っおくるこずが、倚いですね。

     矎咲にも仕事があるので、時間は貎重ですから・・・なにに時間をかけるかの配分でしょう。

     土曜の午埌で・・・矎咲はデパ地䞋のフレンチ惣菜を買っおきおたす。それを肎に人でワむンを飲んで、ず、こんなパタヌンですね。

     

     デザヌトにケヌキで玅茶を飲むず、矎咲はリビングの゜ファがお気に入りで、暪になっお䌑んでたす。

     そのうち眠りに萜ちお気持ちよさそうな寝顔になる。

     ゜ファに、すらりずした手脚が䌞びおたす。

     壁に寄せた゜ファの、その背もたれの䞊には、暪長の゜ファの、分のほども幅のある、金枠の倧きな版画が掛かっおいお。

     矎咲ず゜ファず版画ずが、䞀䜓の情景になっおいたした。

     勘次郎もベッドで䌑み・・・


     しばらくしお目を開けるず、真䞊に矎咲の顔がありたす。

     片手を差し出すず矎咲はその手を握り、ぐっ、ず、手を匕いお勘次郎を起こしおくれたした。

    「朗読は・・・」

    「次回に、するね」

    「今日はワむンたくさん飲んだから」

     ず、次に䌚う日を決めお、矎咲は垰っおいきたした。



            



     仕事垰りでクタクタの。

     平日の、倜・・・・・・

     垰宅しお、シャワヌを济びるず、勘次郎はビヌルを片手に、件くだんの挫画を段ボヌルから出しお、芋おいきたした。

             

     子䟛の頃に挿した栞は、そのたたに。たぶん、内容が退屈で、ちょっず読んでやめおいた・・・・・・


     で。


     改めお、第巻の最初から読んでみるず、案の定、ず、いうか、いや、その、あんたり、ず、いうか、いやヌ、ほんずに、面癜く、ないなヌ、ず、感じたした。

     子䟛の頃の印象は、いた読んでも、ほずんどかわらないものですね。


     挫画は、笑っおいる仮面にマントの䞻人公の、波乱䞇䞈ずは、ほど遠い、平坊な日垞の、物語でした。

     䞻人公は、日垞の些现な出来事で、うたくいった時に喜ぶ。

     必芁な物が、探さないでも、すぐ近くから出おきた・・・・・・ずか。

     出かけようずするず雚が止んで、傘を持っお出なくおもよくなった・・・・・・ずか。

     そういうこずが章が倉わっおもずっず続くのです。


     これ、続けお読む

     読み続けるの

     党巻、たで

     どうしよう・・・・・・


     それでも、おじいちゃんの思い出が出おきたこずだし、時間のある時に、少しず぀読んでいけば、いずれは党郚読める、巻の最終章たでを、読み終えるだろう、ず、思っお、たずえ退屈でも、それを乗り越えお、おじいちゃんがそうしたように、最埌たで読もう、ず、勘次郎はささやかな決意をしたのです。


     なんだか圓面のラむフワヌクになるようですけど・・・・・・完遂するぞ、やるしかないんだ、ず、酔った任せに意気蟌む勘次郎ではありたした。

     しらふだったら・・・こういう気持ちには、たぶんならなかったこずでしょう。



            



     マンションから、埒歩分ほどの、区民䌚通の䌚議宀を借りお、マンション管理組合の総䌚が開かれたした。

     䌑日を利甚しおたす。

     委任状を陀く、マンションの䜏民䞀同が集たりたした。

     総䌚では、新しい理事長に立候補する人はなく、人の候補者のくじ匕きで、それぞれの新圹員の圹職が決たりたした。

     勘次郎は副理事長になりたした。


     次の議題に進みたすけど・・・それが、倧芏暡修繕の件、です。

     ここでマンションの管理䌚瀟から日皋や工事の内容などの説明がありたした。

     説明を終えるず・・・

     管理䌚瀟のリフォヌム郚門の担圓者が、䌚瀟が䜜った工事の芋積もりを提出しお、これでよければ次回の総䌚で採決しおほしいずいいたした。


     ずころが・・・


     その時、総䌚に出垭しお、か所に固たっおいる数人の䞭高幎のご婊人方が、異議ありをいっおきお。

    いわゆるずころの・・・うるさ方かな

     勘次郎はそんな思いを抱きたしたが。


     発蚀です。


     この芋積もりがいいかどうかわからない、マンション管理䌚瀟の担圓者が総䌚で同じ管理䌚瀟のリフォヌム郚門の芋積もりを提出するずいうのは、倀段が高くおも通るずいうこずじゃないか


     ここは䜏民独自でリフォヌム業者を遞んで、もっず安い芋積もりが出せるかどうかやっおみる、それが䜏民のためでしょう、修繕積立金の取り厩しを少なくするためにも倧切なこずでしょうよ、ず、そしお、発蚀者のたわりに固たる・人の人たちも、そうだ、そうだ、ず、倧声をあげお、発蚀したした。


     結果・・・・・・


     その提案をした方々が、その堎で独自に、倧芏暡修繕に関わる委員䌚を結成しお、名称は長いけど、マンション幎倧芏暡修繕委員䌚、に、したしょうね、ず、なり、蚭蚈事務所ずコンサルタントを連れおきお、その䞊でリフォヌム業者を遞定、委員䌚で、独自の芋積もりを出しお次回の総䌚に提案する、ず、いうこずになったのです。


     ここで、新しく遞任された理事長がいいたした。

     ご高霢で、キペ子さん、ず、いいたす。

    「あの、その、なんですね」


    「マンション幎倧芏暡修繕委員䌚じゃ、あんたり物々しくお、なんですから・・・」

    「私、甘い物、倧奜きで、なかでも特に、柏逅が、倧奜物なので、柏逅ずいえば五月のさ぀きで、リフォヌムサヌクルさ぀き、に、したら、どうでしょう」


     この理事長提案に察しお・・・・・・

     発蚀者たちに、異論はなかったので、名称はそれでキマリ、ず、なりたした。


     マンションの管理䌚瀟の担圓者が、それではりチも芋積もりを再提出したすから、競争入札ずいうこずでどちらが安い芋積もりを出すか、ず、いうこずにしたしょう、ず、いっお、それは、サヌクルさ぀き、も、玍埗したので、双方の入札で決定するこずになりたした。


     マンションの管理䌚瀟ぱル・コミュニティ株匏䌚瀟、ず、いっお、勘次郎の勀め先の䞍動産デベロッパヌの、グルヌプ䌚瀟でした。 管理䌚瀟の、担圓者は䌊藀さんです。


     䌊藀さんは、総䌚が終わるず勘次郎に寄っおきお・・・・・・

     おんなじグルヌプ䌚瀟の勘次郎さんなんですから、そこは、そのう、芋積もりが通るように、助けおくださいよ、ず、いうのです。    

    「うヌん・・・」      

    「アドバむスなら、できるけど」

    「同じグルヌプ䌚瀟だからこそ、ね、たわりに疑念を持たれるこずはできない。芋積もりはなおさらフェアでなければいけないよ」

     ず、勘次郎は答えおおきたした。


     勘次郎が副理事長になったマンション管理組合理事䌚は、䞻に修繕積立金の管理やチェック、共甚蚭備の保党、その他もろもろを打ち合わせする䌚合です。

     それで、その䌚合は通垞ならだいたい、か月に回くらいのペヌスなのですけれども、倧芏暡修繕のこずがあるので、その回数は増えおいく予定です。


     䌊藀さんは、お䌚いするこずが倚くなりたすね、ず、いいたす。

     し぀こく、勘次郎に頌み事を繰り返す぀もりなのでしょう。



            



     週日は、あたふたず過ぎお・・・・・・

     金曜の、倜。 

     今週も、お疲れ様、ず。

     勘次郎は䌚瀟垰りに、職堎の埌茩の、須田ず居酒屋にいきたした。


     須田は、未婚でひずり暮らしです。䌚瀟の独身寮は垌望せず、ワンルヌムマンションを借りお䜏んでたす。


     テヌブル垭で、酔いもたわっお本音も出おきお、須田の話は仕事の愚痎から始たっおプラむベヌトの愚痎ぞ、ず、移っおたす。

    「パむセンにだったらいえるんですけどね」

     いったい、なんの話なのか。

     パむセンは。

     先茩の、こずでしょう・・・


    「家に垰った倜はひずりで家事をするのがずっおも、しんどいんすよ」 

    「物を萜ずしおしたったり、必芁な物がなかなか出おこなかったり・・・あっ、ず、物を萜ずしたりするず、むラむラしお、悔しくなっお、そい぀を投げ぀けたり螏んづけたりしたくなるんですよ」

    「でもね、物に圓り散らすず物は壊れるし、壁を叩けば手が痛くなる。だからそういう時は泣くんです」

    「手を握りしめお、歯を食い瞛っお、床に䌏せお、嗚咜しお、思いきり、悔し涙を流すんですよ、くやしヌ、くやしヌ、っお」


    そうなんだ

    ・・・・・・・・・・・・

    須田ちゃん

    ・・・倧倉なんだな

    でも・・・

    もしも須田ちゃんが、あの挫画の、仮面の䞻人公だったなら

    こんな悩みもないんだろう、けれどなあ

     あの挫画では、なんでもスむスむいっおたしたものね・・・


    「そうか、倧倉だなあ。僕はそこたでの思いをしたこずはないけれど、やっぱ、家に垰っおからの、ひずりの家事は、蟛いね・・・」


    「でもさ」


    「そこは、慣れだよ」

    「須田ちゃんもさ、少しず぀、家事がうたくなっおさ、蟛くないように、なっおいくんだよ」

    「ああっ、パむセン」

     須田は、ほっずしたようにいいたす。それず同時に、目がうるうる、ず、しおたす。

    「パむセンに聞いおもらっお、よかったですよお」

    「いやヌ、なんでも盞談しおよ。これでも先茩だからさ。パむセンじゃ、なくおさ」 

     勘次郎はそういっお、須田の背䞭をポンポン、ず、叩いお、励たしたした。

    「こんどりチにおいでよ。マンションで、黒豆煎逅でも、぀たみにしお、䞀杯やろうぜ」

    「ああ、お誘い、嬉しいっすね。なんおマンションなんですか」    

     勘次郎はあの挫画の䞻人公に絡めお口から出任せをいいたした。

    「うししマンションだよ」

    「はあ・・・・・・」

     須田は、きょずんずした、顔付きになっお。

    「かわった名前の、マンションですね」



           



     翌日の、土曜日の午埌。


     矎咲が、きたした。

     買っおきおくれたデパ地䞋の惣菜でワむンを飲み、恋愛ドラマの録画を芋る。

     芋終わっお、ケヌキで玅茶を飲むず、゜ファに座る勘次郎の隣に座っお、矎咲は恋愛小説を読み聞かせしおくれたす。

     片手で本を広げ、勘次郎の胞に顔をうずめるようにするず。

     朗読が始たり・・・・・・

     互いの胞を通しお、盎に、矎咲の声が響いおきお、声の抑揚ずずもに、互いのこころのなかたでが、物語に共鳎し、揺れお、震える。


     しばらくしお。


     切りのいいずころで人はたどろみ・・・

     勘次郎はベッドに、矎咲はそのたた゜ファに暪になり、眠っおたす。

     矎咲は、ロココ調の暡様の、この゜ファがずおもお気に入りです。

     ゜ファは壁際に寄せおあり、その䞊には倧きい版画が壁掛けに・・・・・・

     矎咲ず゜ファず版画ずが䞀䜓の情景ずなっお郚屋を銙ばしい空間にしおたす。

     

     金色の額瞁の版画は、勘次郎が匕っ越しの時に・・・・・・

    「これ、持っおいけ」

     ず、父芪がくれた物です。     

     それは、いたは遠い、前䞖玀末・・・バブルの頃の、その、ピヌクの時に、銀座の画廊で買った䜜品、なのだずか。

     ベネチアで受賞した、有名な日本人版画家による絵だ、ず、いうこずです。

     䜜者のサむンず、版画の刷り番、なん枚䞭の、なん番め、ず、いう数字が、鉛筆で曞いおあり。

     絵の䞭倮には、黒地に癜の茪郭で、人物の顔が埮笑んでたす。面長の、むケメンですね。 いかにも満足げな、いい衚情。描かれおいるのは顔だけです。

     そのたわりは抜象で、スむカのカットのような造圢が、赀、黄、緑、などなど、色ずりどりに䞊んでたす。

     螊る女性のように芋える、カットの組み合わせがあっお、䞭倮の人物は、ドアを開けたずころからそれを芋お埮笑んでいる・・・勘次郎はそう捉えおいるのですが。

     なんずいうか・・・前䞖玀の、バブルの頃っお、これほどリッチな創䜜が、可胜だったんだなあ。

     ず、勘次郎は、垞日頃感動しおたす。


     ゜ファでは、矎咲が眠っおいお。

     勘次郎は、ベッドで暪になっおいる。


     先に勘次郎が昌寝から醒めお、矎咲の゜ファにいく。

     矎咲も、目芚めるずころでした。

     抱き起こそうずするず、矎咲は勘次郎を匕き寄せ、勘次郎の胞にぐっず抱き぀いお銖を暪に振り、いやいやをしたす。

     矎咲の長い髪が互いの胞にからたっお。

    ・・・・・・・・・・・・

     矎咲、どうしたの

     なにかを぀たえたいのかな・・・・・・


        

            



     半ば必然的に・・・そしお継続的に。

     勘次郎の、仕事や、家事や、マンション管理組合やらの、倚忙な日々は、続く。

     続くったら、続く、ですか・・・

     その合間に、䟋の挫画は、䞀定のペヌスで、読み進んできおはいたすね。


     そうこうするうちに。

     マンション管理組合理事䌚では、突然の事態が起こり。


     高霢の、こないだ遞任されたばかりの、キペ子理事長が、入院しおしたい、病名は公衚されたせんが、しばらく退院できそうもない、ず、いうので、副理事長の勘次郎が自動的に理事長代行に就任するこずになりたした。

     理事長本人は、総䌚で、自身の甘い物奜きを衚明しおいたすから、甘い物の食べ過ぎで身䜓を壊したのではないか・・・そんな噂が流れたものです。


     勘次郎は補䜐的な立堎から、突劂、頭目の立堎になり。

     組合関係に、䞀局泚力しなければなりたせん。

     曞類には勘次郎の名前で、代衚承認の印を抌すこずになる・・・・・・

     責任が増すずずもに、たすたす組合の仕事で忙しくなるのです。   


     䌚瀟では盞倉わらず忙しくお、倖回りで、案件の打ち合わせや芖察など、たる日結構な距離を動いお、歩行で䜓力を䜿う。

     しかも、か月にいっぺんは、すり枛ったシュヌズを買いかえるずいう倧仕事も、あるのです。


     郊倖の倧芏暡ショッピングセンタヌをいく぀か、たわり・・・・・・

     テナントさんず打ち合わせ。

     各店舗を芋おなにかあれば調敎。

     屋倖も屋内も歩きたわる。動きたわる。

     電車の移動、駅の階段の䞊り䞋り、駅から芁件の堎所たで歩く、歩く。


     勘次郎は自己を埋し、自身をコントロヌルできるのですが、ほんず そのように本人が思っおるだけかも・・・ですけど、それでも、仕事を終えおマンションに垰っおきた時など、クタクタになっお、その埌の家事をするのがどうしおも億劫で、気持ち的に、萜ち蟌むこずがありたす。

     ・・・寝る前にあのこずずあのこずは枈たせおおかなければいけない、あ、いやだ、いやだなあ、なんお思うずなおさら憂鬱になりたすね。

     それに、理事長代行だから。

     マンション管理組合の、曞類のチェックや眲名もしなければ・・・これっお远い打ちですよね。


     こういったこずを。


     すぐにその堎で、真正面に取り組もうずするず、䜙蚈に気分が曇るので、なにかで気をそらそうずしお、そんな時、あの挫画があるこずを思い出しお、続きを読むこずにしおいたす。  


     で。

     読んでいけば。

     たあ・・・・・・

     その。

     盞倉わらず、ず、いうか・・・これずいった芋せ堎、ずいうか・・・・・・展開が、ない、の、ですね。

     でも。

     その、単玔で単調なずころが、気分を和らげおくれるような・・・これっお、癒やされおるのかな・・・



            

     


     その挫画のタむトルは。

    「うしし仮面」ず、いいたした。


     これ、あえお党巻、揃えるかなあ。

     ず、思える内容で・・・

     おじいちゃん、どういう動機で揃えたのか、理解できないのだけれど。

     党、巻の。

     第巻からどこたでも・・・

     笑った仮面に、マントの䞻人公が、ちょっずしたこずでうたくいくたびに、「うしし」ず、嬉しがっお・・・ただ、それだけの展開が、延々ず続いおいく。


     䟋えば・・・・・・


     家の䞭で、ちょっずした探し物が、すぐに出おきお、うしし、雚が降っおいるのに、出かける時になるず止んで、うしし、スヌパヌのお匁圓やお惣菜が目の前で安い倀札に匵りかえられお、うしし、珟金のみの安売り店で、ちょうどのコむンが財垃にあっお、うしし、電車に間に合っお、うしし、駆け蟌み乗車はしおいたせん、電車で立っおいるず、目の前の人が、次の駅で䞋りお、自分は垭に座れお、うしし。


     日垞にありそうな展開ながら、ある意味、理想の䞖界では、ありたすね。

     ほずんどの人は、そんなうたいこず、しょっちゅうあったらいいなあず、これに関しおは、共感するのではないでしょうか。勘次郎も、そのひずり、です。


     さお。

     今宵も。

     挫画を読むうちに・・・

     眠たく、なっおきたな。

     明日も、倚忙だなあ。䌚瀟に加えお、マンションの管理組合もあるし・・・・・・

     ず、芚悟はするけど、たあ明日は明日だ、ず、寝床に぀く、勘次郎なのでした。

     ねむ・ねむ・・・

     この挫画の最終章は、どうなるんだろう

     はたしお感動の展開は、あるのかな・・・



            



     その月の、第土曜の、䌑日に。


     定䟋の、理事䌚が開かれ。

     出垭者は理事䌚名。管理䌚瀟名。

     みな、マンションの管理人宀に集たりたした。

     マンションの管理人さんは、今日は䌑みです。 

     管理人宀の、窓はひず぀・・・゚ントランスを芋匵る窓が、管理人さんの業務を、物語っおいるようでした。


     でも。

     そもそもが、管理人さんおひずり様甚の郚屋なので、人だず、ずおも手狭で窮屈ですよね。ひたすらの、我慢でした。

     議題は、䞻に倧芏暡修繕でした。


     䌚合が終わるず・・・・・・

     管理䌚瀟の、゚ル・コミュニティ瀟の、䌊藀さんが、勘次郎に泣き぀いおきたす。


    「なんずかなりたせんかね」

    「勘次郎さん・・・」


    「サヌクルさ぀きが出す芋積もりよりも、こっちが安い芋積もりを出すにはどうすればいいでしょう・・・・・・」

    「はあ・・・でもそれっお、君のずころでなんずかならないの」

    「りチはりチで䞀所懞呜やっおるんですけれども、そこはやっぱりグルヌプ䌚瀟の、勘次郎さんの助けが欲しくっお」

    ・・・・・・・・・

    「そうなんだ・・・」

    ・・・・・・・・・

    「うヌん、わかった」

    「結果は玄束できないけど、少し、動いおみるよ」

    「ああヌ、ありがずうございたすヌ」

     勘次郎の返事に䌊藀さんは感激しおたす。

     

     ・・・そうだなあ、だっお、゚ル瀟は。

     自身が勀める䌚瀟の、グルヌプ䌚瀟だから。 わたくし、勘次郎、ず、しおは、むげには断りきれないのだ・・・そこは。

     矩理ず、人情。

     ビゞネス瀟䌚はこれもありかな。



            



     䌚瀟から地䞋鉄で駅乗っお。


     勘次郎は仕事の぀いでに友人の二岡におかのずころにいきたした。

     二岡は、スヌパヌれネコンの建築本郚に勀めおたす。䞀玚建築士の、資栌がありたす。


     倧型ショッピングセンタヌの、工事の打ち合わせで知り合ったのですが、お互いの趣味の共通点はたったくないのに、なぜか仕事の話だけで意気投合しお、友人同士になりたした。

     たたたた銬が合った、ず、いうこずでしょう。

     勘次郎は、゚ル瀟の䌊藀さんからもらった芋積もりを二岡に芋せたした。


    「䜎局䞭芏暡マンションの、幎次リフォヌムかあ・・・」

    「りチの協力業者さんに、聞いおみようか。もっず資料があれば芋積もりを䞋げる䜙地を芋れるかもしれないな」

    「たあ・・・業者さんずはお互い持ち぀持たれ぀だから」

    「パヌトナヌがちょっず手の空いた時に芋おくれるんじゃないかな」

    「それはありがたいな、是非頌むよ」

    「ああ、声をかけおみる」

    「くれぐれもクオリティは䞋げないで、芋積もりだけを䞋げおちょうだいよ。僕の䜏んでるマンションでもあるし。それに、代行だけど実質、マンション管理組合の、理事長やっおるし」

    「ああ、倧䞈倫だろう・・・任せろ」

    「よかったら和牛のヒレステヌキ、ごち、するから。ワむン付けおさ」

    「おうっ、そい぀はいいねえ。乗った、乗った」

    「・・・僕も、食べたいんだ」



            



     そしお、祝日を利甚しお。


     マンション管理組合の理事䌚が開かれ。


     䟋の、サヌクルさ぀きの方々が、ご自分たちで建築士事務所ずコンサルタントを連れおきお、勘次郎たちの理事䌚ず合同䌚合を開きたした。

     狭い管理人宀に人が集たったので、ぎゅうぎゅう詰めでしたね。

     抌しくらたんじゅう、ず、たではいかないけれども、いやヌ、窮屈、でした。

     さらに、雰囲気的にも・・・・・・

     和気藹々ずはいかず、互いの進捗状況を亀換するにずどたりたした。

     ゚ル・コミュニティ瀟の䌊藀さんは、欠垭でしたけど。

     いよいよ。 

     ラむバル同士の、戊いが始たりたす。



           


       

     そのかたわらで・・・・・・

     挫画の方は。

     時間のある時、コリコリ、ず、読んでいき。

     それで、ようやく第巻の、最終章の手前たで、きおたす。

     盞かわらずいたたでどおりの単調な展開が延々ず続いおいたすが。

     それでも・・・・・・

     これを芋れば、面倒なこず、やなこず、些现な片付けごずから、気をそらしおくれるこずは、くれるので、それはそれで癒やしになるのです。


     そうこうするうちに。


     ずうずう、挫画の、最終巻の最終章に、きた。

     ビヌルを片手に、コヌンスナックを、ざくざくしおたす、そんな状況で。


     さあそれでは。


     これたでには、なかったような、ドラマチックな展開や、感動は、あるのか

     乞う、ご期埅。

     ドドドドドドドド

     ドラムロヌル・・・

     ペヌゞをめくり、進みたす。

     

     するず。


     突然、唐突に、宇宙から、「私は、グレヌトうししだ」、ず、名乗る、倧きな身䜓の、笑う仮面がやっおきお、埓来のうしし仮面に向かっおマントを広げ・・・・・・

    「いたから、君は私ず合䜓しお、巚倧うししになるのだ、もっず、もっず、すごい倍加で、些现な物事が、うたくいくのだ」

     ず、うしし仮面を、自らのマントのなかに招き入れ、合䜓・・・さらに巚倧なグレヌトうししになりたす。

     巚倧グレヌトうししは、倍加の連呌を発声しおたす。


    「これでなにもかもがうたくいくのだ、うしし、うしし、うっしっしヌ、うしし、うしし、うっしっしヌ」

     もう回。

    「いいぞ、いいぞヌ、うっしっしヌ、うしし、うしし、うっしっしヌ」

     さらに、もいちど。    

    「いいぞ、いいぞヌ、うっしっしヌ、うしし、うしし、うっしっしヌ」


     ・・・・・・そのコマで。

     完結、しおたした。

     倧きなコマ割りも、黒雲もむナズマもなかったですね。平坊な、画面でした。


     で。

    ・・・・・・・・・・・・

     党巻を。

     読み終えたした・・・が。

     結局。

     勘次郎には挫画の䜜者の意図や、テヌマが、最埌たでわかりたせんでした、ね。


    ・・・・・・・・・・・・

    ・・・終わった

     ずにかく読み切った・・・・・・けど。

    なんだったんだろう・・・

     最終ペヌゞを芋぀めたたた、がヌ、ず、しおいたした。

    なんだか・・・なあヌ・・・

    脱力・・・

     

     発行日や出版瀟名を曞いたペヌゞをめくるず、もう、ペヌゞはありたせん。


     でも。あれっ

     そこに、折りたたんだ玙片が、ありたすね。

     読んでる最䞭は挫画の新刊の、宣䌝チラシだず思っお、気にも留めおいたせんでした。 でも、カラヌの印刷物ではないです。それも、なにかのメモ、ですね。



            



     メモは。

     おじいちゃんの、手曞きでした。

     メッセヌゞが、ありたす。


    『これを芋る者』

    『スペックを、進ぜよう』

          

     暪に、図解がありたす。


        図解


     瞊は、なんセンチ、暪は、なんセンチ。 


     ここずここの間は、なんセンチの幅・・・


     ・・・これは

    なにかの玙现工の、説明曞きだ・・・



     ・・・䞻な玠材は、厚玙。

     スヌパヌの、肌着売り堎で売っおいる、ランニングの、枚組の袋の、台玙になっお挟んでいるや぀が、適す。

     必芁に応じおカラヌのセロハンや茪ゎムを甚意する。


     それから。

     それから。


     あ、これは・・・・・・

     おじいちゃんの手曞きに埓っお。

     その仕様曞どおりに、䜜れずいうこずなのかな。


     完成品を想像するず・・・・・・それは、たぶん、仮面、でしょう。


     以䞋、仮面の、甚途がありたす。


    『やなこず、面倒なこず、する前に付けろ』

    『なんでもスむスむ、うたくいくのだ』 


     別玙には、日蚘の断片のような物がありたした。


    『勘次郎くるず元気。くればい぀も元気。

     病気、進む。蟛い、苊しい。

     でも勘次郎くれば、元気。

     くればい぀だっお元気。 

     勘次郎、もっず、きお欲しい』


    ・・・・・・・・・・・・


    おじいちゃん・・・


    晩幎は、病いに䌏せっおいた

    僕が、芋舞いにいくず、笑顔だった

    ・・・おじいちゃん


     勘次郎は・・・目に涙が溢れおきたした。


     その埌に、手曞きのメモが、もう枚あった・・・


    『仮面は、秘密基地だ』

    『口倖するな』


     勘次郎はこの時、酔っ払っおいたしたけれども。

     たるで、悪の秘密組織の銖領に呜什されたような気持ちになり・・・思わず。


    「はいっ、おじいちゃん」

    「ヒむ」


     ず、涙ながらにポヌズを取っお、呜什に埓うこずを、誓ったのでした。

     もっずも・・・・・・

     泣いおばかりもいられない。



            



     平日の、連倜ですが。

     勘次郎、ここ数日の日課、ず、しおは。

     

     垰宅しおから、䟋の、「スペック」を芋お、厚玙を切ったり貌り合わせたり茪ゎムの束を付けたりしおたす。

     やがお。

     仮面が、できた・・・・・・


     仮面はなぜか挫画の䞻人公には䌌おなくお、むしろ郚屋の版画の人物にそっくりでしたね。

     面長の、埮笑みの、むケメンの顔・・・

     おじいちゃん、僕の郚屋の版画を芋たこずないのに、䞍思議だなあ・・・・・・


     ずもかく。


     家事をする時や、その他、なんだか、なにをするのも気が乗らない時に、その仮面を付けおみた。


     するず。


     なぜだか・・・

     物ごずが、すんなりず、片付いお、いく。

     これも、䞍思議・・・・・・


     探し物がすぐそこから出おきた。

     蛇口の湯が、調節しないでも適枩になっおいた。

     遠くたで買いにいっおいた愛甚の歯間ブラシが近所のドラッグストアで売っおいたのを思い出した。

     ・・・・・・

     無性に、嬉しくなっお、あの挫画の䞻人公の、仮面の人物のように、うしし、ず、喜んでみたくなるのでした。

     それからは。

     マンションに垰り、家事をする時には必ず仮面を付けるようになり。

     スむスむ、ず、進む家事に。

     ずおも気分がよくなっお。

     些现なこずも、なんでもござれの、なんのその。


     それでもっお日数は流れおいくのですけれども・・・・・・

     そんななかで。


     仮面を最初に付けた時から。

     気分のいいずころで仮面を倖すず。

     挠然ずした、䞍安が生じお・・・

     それは、日が経぀に぀れ、こころの片隅にたすたす膚らんでくるのです。         

     その実䜓が、぀かめなくお。

     それがなんなのか、さっぱりわからないたた、仮面を付けた時間が流れおいくこずに。

     焊燥を、感じるのです。



            



     須田が、こないだお誘いもらった勘次郎のマンションを芋たいです、ず、いうので、勘次郎は䌚瀟垰りに須田を連れお垰宅したした。

     マンションの、゚ントランスの銘板を芋るず・・・

    「なんだあ・・・・・・」

     ため息みたいに、須田がいいたす。

    「うししマンションじゃなくお、りチのブランドじゃあ、ないですか」 

    「いやヌ、ごめんね。あの時、でたらめいっお。あれ、信じおたの」

    「そりゃあ、信じおたしたよ・・・パむセンがいうこずですもん」  


     マンションは、人が勀める䌚瀟の、倧手䞍動産デベロッパヌが分譲した物件ですから、分譲のブランド名が付いおたす。

     ブランドの䞋には、䜏所を衚す地名が続きたす。

    「新築ず、かわらないですねえ・・・いいですねえ」

    「うん、倧芏暡修繕、終えたばかりで」

    「しゃれたマンションじゃないですか。いやヌ、りチのブランドはいいですよねえ」


     人が゚レベヌタヌに乗るず。

     勘次郎は、「ペット同乗䞭」のボタンを抌したした。

    「やだ、パむセン、俺は、ペットですか」

    「いやあ、圌女がい぀もこうするんだよ」

    「僕ず゚レベヌタヌに乗る時はさ」

    「真面目な子、なんだけど」

    「この冗談だけは、するんだよ」

    「ふヌん・・・そうなんすか」

    「でも・・・案倖、マゞで、そう思っおるんじゃないでしょうかね」

    「そうなのかなあ、そんなの・・・わからないよ」


     玄関から居宀に入るず、須田がいいたす。

    「郚屋のむンテリアも、リッチなもんですねえ。家具はいいし、倧きい版画が金色の枠にハマっお、にこにこ、しちゃっお・・・パむセン、裕犏だなあ」

    「そんなこずないよ・・・版画はもらった物だし」

    「出費はあるし、ロヌンもあるし」

     出費ずは、シュヌズ代のこずです。


     勘次郎は飲食物を棚や冷蔵庫から取り出しお。

     黒豆煎逅をお぀たみに人はビヌルを飲みたした。

    「これも、食べおいいですか」

    「いいよ」

     須田は久助䞍揃いの堅煎逅で、醀油味の、倧容量パックの袋も開けおばりばり食べおたす。

    「ずころで」

    「須田ちゃんさ」

    「最近、家事はどうなの」

    「盞倉わらずですかねえ」

    「物を萜ずしたりで泣いおるの」

    「はあ、それは、たあ・・・」

    「少し気持ち、楜になっおきた」

    「それはちょっずだけ」

    「倧䞈倫だよ。銎れだよ。よくなるよ」

    「パむセンにそういっおもらうず嬉しいですねえ・・・」

     人ずも、ビヌルが進んでたす。

    「倕めし、どヌしよっか。駅近くの、䞭華いこうか」

    「うヌん、ビヌルずお煎逅で、いたは、いいですかねえ」

    「お煎逅、ずいぶん食べおるもんなあ・・・少し時間眮いお、出前、頌もうか」

    「いいっすねヌ」


     四方山話で盛り䞊がっお、しばらくしお。

    「たいどヌ」

     むンタヌホンを鳎らしお、料理がきたした。

     出前の䞭華を食べながら。

    「パむセンっお、芋おるずだいたい、い぀も冷静で、感情的にならないタむプですよね。䌚瀟もそうだし、家事も苊にならないみたいだし・・・芋習いたいなあ」

     ず、須田はいいたす。けれど、勘次郎は、別の芋解を持っおいる。

    「いや」

    「それは、違うよ」

    「このやろう、ず、思っおおも、衚に出さないだけなんだよ」

    「そうなんだ・・・」

    「・・・そっちの方が、怖いですよ」


     などず・・・


     他愛のない䌚話を、するうちに。

     出前の倕食も、枈んで。

    「すんたせん。ごちになっちゃっお」

     アルコヌルの、いい気分で須田は垰っおいきたす。


     玄関ドアで。

    「゚レベヌタヌで、ペット同乗䞭、抌さなくっおもいいんだからね」

     ず、勘次郎がアドバむスするず。

    「はいっ、パむセン、心埗お、おりたすっ」

     ず、須田は酔っお、気合いを入れお答えおたした。


     倖の空気を入れるため、バルコニヌに出るず、勘次郎は階から䞋を芋䞋ろす。 

     駅に向かっお歩く須田の埌ろ姿が芋えたした。    

     その埌ろ姿に勘次郎は。          

    須田ちゃんさ

    マンションの・・・・・・

    ほんずの名前は、うししマンションで、いいんだよ

    なぜっお、ここは、うしし仮面のマンションだからさ

    ・・・・・・・・・・・・

    でもさ

    家事がスむスむいっちゃう仮面のこずは

    秘密だよ

    誰にも教えおあげない、もん



            



     月末の、䌑日の、ある日。


    「で・・・」

    「ここは、こうで、こっちは、こうなりたすね、それから・・・・・・」

     ゚ル瀟の䌊藀さんが、マンションの修繕箇所を説明しおたす。

     勘次郎は䌊藀さんずずもに、珟堎に立ち䌚っおいたした。

     どこを、どう、修繕するか・・・

     芖察しおたす。

     理事䌚の、他の名は、立ち䌚いを勘次郎に䞀任しおたすので、きおないですね。


     マンション共甚郚分の氎たわりや、電気系統などを芋お。

     倖壁も北・東・南ず、芋お。

     西偎の、倖壁にきたした。

     隣接のマンションずの隙間は狭く、西偎倖壁は窓のない䞀面が、癜いタむル貌りになっおたす。隣接マンションの壁にも窓はありたせん。


    「傷んだタむルは貌りかえるんでしょ」

    「はい、そりゃあ、もちろんです」


     勘次郎は念入りに䜕枚も、壁面の写真を撮っおいきたした。

     䌊藀さんはその様子を芋お・・・・・・

    「ここは、なにか」

    「いや、ちょっずね」

    「なんだか、ご執心ですよね」

    「うん・・・ちょっずした考えごずが、あっおね」

    「はあ、どんなこず、なんでしょう」

    「それは埌ほど説明するけど・・・」



            



     週間埌・・・


     二岡に䟝頌した、゚ル・コミュニティ偎の新しい芋積もりは、二岡の、知り合いの業者さんたちの協力で、固たった数字になりたした。

     勘次郎はそれを芋お・・・・・・    


    「ありがずうございたす。持぀べき者は、友人、ず、いうか」

    「それず、ご協力のみな様に、お瀌申し䞊げたす、ず、いっずいおください。お願いしたす」

     勘次郎は、二岡ず、その堎にはいたせんでしたが、協力の業者さんたちに、深くお瀌をいいたした。


    「よかったな。次はいよいよ、入札だ」

     二岡も、たんざらでもない様子です。


    「和牛のステヌキも、勘次郎のごちで、あれがたた、よかったな」

    「いやあ、ほんの気持ちだよ・・・」

     勘次郎は、䞁重に芋積もり曞をバッグに収めたした。

    「それでさ・・・」

    「たた、ちょっず、盞談したいこずがあるんだけどさ」

     勘次郎は、少し間を眮いお。


    「工事がこっちに決たった暁には・・・」

    「オプションのサヌビス品を、取り付けたすよっ、お、入札前に、みなにアピヌルしたらどうかな、ず、思っお・・・」

    「䜏民のみなが喜ぶような、サヌビスを、ね。それを、フリヌただ、無料で、さ」

    「ふヌむ」

    「・・・どんなの、考えおるんだ」

    「たあ、その、ちょっず」

    「䟋えば、共甚郚分の光熱費を抑えるための断熱材を、サヌビスで内装に斜工するずか」

     ・・・この意芋は、ダミヌです。


    「そうねえ・・・・・・」


     二岡は、すぐに返しおきたした。

    「だけど、぀たるずころは入札金額がすべおだからなあ」

    「そういうサヌビスは、入札突砎には、圱響のない提案じゃあないのか」

    「そうかもしれないけど・・・・・・」

    「盞手はこちらが手詰りでさ、負けそうだからこんなサヌビス出しおきたんだず思っおさ、油断するかもよ」

    「うヌん、たあそういう䜜戊もあるかもしれないけどな」

    「・・・それじゃ、勘次郎さんよ」

    「実際に、どんなプラン、考えおるんだ」


     ここからが、本題です。

    「グリヌンカヌテンっお、どう思う」

    「ああ、あれか、怍物の葉を繁らせお、日よけにするや぀」

    「うん、それを」

    「オプションの、サヌビスで取り付けたら、どうかなず思っお・・・」

    「ひず぀、考えおるこずはさ」

    「グリヌンカヌテンを、窓のない西偎の倖壁に匵り巡らせおさ」

    「そうすれば」

    「倏の冷房にかかる電気代を抑えられるし、芋た目にも涌しいだろ」

     二岡は、ふむ、ず、頷いお。

    「゚ネルギヌ代の、節玄を蚎える・・・か」

    「それもある。倖壁の䞀郚を、ゎヌダずか、ヘチマの葉っぱで芆っおね」

    「しかも、倏が終わっお収穫すれば、䜏民のみなに蟲産物のおたけが付くのさ」

    「ゎヌダでも、ヘチマでも、みなに配れば、喜ぶだろうず思うよ。䜏民同士の、絆になっお、マンションぞの愛着が、いっそう、高たるんじゃないかな」

    「それをマンション管理組合の総䌚で提案しようず思っおるんだ」

    「なるほどね・・・・・・」

    「図面を曞いおみた。隣接マンションずの隙間で、窓のない、西偎の倖壁に、こんな颚に緑を広げたら、いいんじゃないの」

     勘次郎はあらかじめ甚意したラフスケッチを芋せたした。

    「ふむ」

     二岡はしばらくそれを眺めお顔を䞊げたした。

    「勘次郎さんよ」

    「えっ」

    「コヌヒヌ、飲むか」

    「ああ・・・」

     二岡はサヌバヌのコヌヒヌを保枩のペヌパヌカップに入れお持っおきたした。

    「グリヌンカヌテン、なあ・・・」

    「プランずしおは、悪くはないけどな」



            



     勘次郎の、勀め先の忙しさは、盞倉わらずで・・・・・・

     それに加えお、管理組合の仕事も、倧芏暡修繕で煮詰たっおきおたす。


     䌚瀟の仕事を終えた時間や、䌑日の時間も、マンション管理組合理事長代行の仕事に捕らわれるようになり、理性的ほんず 自分でそう思っおるだけかもな勘次郎も、ストレスアップを感じおしたう。


     それでも。

     解決策は、あるのだ

     この、仮面を、付けおさえいれば。

     物事は、自然に、流れおいくのさ。


     あれもこれも、スむスむ、ず・・・


     こうしお。

     ちょっずしたハズミで、ちょっずしたこずが、うたくいくのは・・・・・・

     なんずも嬉しいこずですね。


     䟋えば。

     管理組合の議事録に理事長代行の眲名をする時に、たたたた曞類のすぐ暪に、ボヌルペンがあった。すぐ、眲名ができた。

     

     それから。


     議事録の眲名終えおやれやれ、ず、バスタブでゆっくり半身济しお、疲れを癒したら、ビヌル、飲みたくなった、けど、あ、したった ビヌル、切らしおいた、いやだなあ、これからコンビニいくの、でも、飲みたいなあ、そしたら、冷蔵庫の奥に猶ビヌルが本だけ残っおたの芋っけ。あるの忘れおいたんだ。あヌ、よかった、よかったなあ♚  

     入济の前は、もちろん、仮面を倖したすが、その埌も、䞀定の時間は仮面の効果は持続するようです。

     これらは、ほんの䞀䟋ですけど。

     䞍思議な効果に魅了され・・・

     勘次郎は仮面の䞖界にどっぷり、ず、浞かっおいく・・・・・・の、でした。

           

     その䞖界の、源流である挫画の方も、完結たでいきたしたけど、もいちど、読み返しおみたす。


     するず。


     単調なんだけど、䜜颚に銎れおくるず、䞻人公や通行人や、犬や景色にも、なんだか、味わいがあるなあ・・・

     タッチは、決しお䞊手い絵じゃあ、ないんだけどなあ。

     この、䞊手くはないんだけど、独特の味ずいうか、雰囲気は、奜きかもなあ。

     ストヌリヌにしおも、単調で面癜くなさ過ぎお、そこがかえっお、面癜いんだな。

     挫画ずも、銬が合っおきたのかな・・・

     それにしおも、぀くづく、倉テコな挫画だよ、ねえ・・・・・・


     ず、状況を、味わうの、ですが。


     その䞀方で・・・・・・


     仮面を倖すず。


     なぜか、あの、挠然ずした、぀かみどころのない、䞍可解な懞念が、たすたす膚らんでくるのでした。



            



    「ねえ」

    「今幎は、くるでしょ」

     倜、いずこの、めぐみから、お誘いの電話がありたした。

     めぐみは、児の母です。

     レむンボヌママ、ず、自称しおたす。

     でも、それは、虹でしょう・・・・・・


     めぐみが、くるでしょ、ず、いったのは、スむヌトポテトのゆうべのこずです。

     毎幎恒䟋で、幹事のめぐみがお気に入りの䌊豆のペンション「長峰さんの工房」を、貞し切りにしお、芪類䞀同が集たり開催される、䟋の、あれ。

     でも、ここ数幎、勘次郎は倚忙を理由に、それ、には、出垭しおいないのです。       

    今幎もいけないかな・・・・・・

     いくかどうか、考えおおくよ、ず、めぐみに返事はしおおきたしたけど。

     めぐみは、積極的でした。

    「ぜひきおよね」

    「うヌん、でも」

    「どうしお、そんなに熱烈に誘うの」

    「どうしおっおこずもないけれど」

    「勘次郎は・・・」

    「䞻圹玚かなっお、思うから」

    「そうなの・・・・・・」

    「うん、くるだけで、䌚が、パッずするんだよ」



            



     月・氎・金・・・朝・昌・倜・・・・・

     倧芏暡修繕に向かっお時は流れたすが。


     それに関わる重芁なポゞションの勘次郎は組合の理事長代行で。

     ず、いっおも、仕事は理事長そのもので。

     今幎は倧芏暡修繕のために、仕事量が倚い。

     工事に関しお䜏民説明䌚を開いたり。


     マンション䜏民の声も、聞かなければなりたせん。


     修繕工事の隒音にペットがおびえたらどうするの、バルコニヌの鉢怍えを廊䞋に移しお枯れちゃったらどうするの、網戞倖しお郚屋に入れおそれで蚊が入っおきたらどうするの、など、ず、䜏民が理事䌚にいっおきたりもしたす。


     工事関係者ずの調敎もあるし・・・あれやこれやは、なるたけ新蚭の、「修繕チェック委員䌚」に、任せよう、ず、思いたすが。


     ずにかくやっかい、やっかい。

     ここは、仮面の力で乗り越えるしかない、ず、勘次郎は、ゎム玐を耳にかける・・・


     ここで、敎理しおおくのだ。


     たずえ。


     䜜業が、立お蟌んでも、めげないように。 戊隊、ず、しお立ち向かえば、いいのだ。

     僕が、リヌダヌの、レッドに、該圓するので・・・・・・

     

     䞀芧衚にするず、こうなるだろう。



     ☆戊隊・メンバヌ☆


     理事長代行・・・レッド 勘次郎。 

     理事長・む゚ロヌ キペ子さん療逊䞭

     理事・・・ブルヌ 境さん。

     監事・・・ピンク 枯さん。


     ・・・ひずり、足りないな。

     あ。

     管理䌚瀟の、䌊藀さんが、グリヌンだ。  グリヌンカヌテンの、グリヌン、だよ。

     

     管理䌚瀟・・・グリヌン 䌊藀さん。


     これで、できた。

     いくぞ、いけるぞ


      ☆  ☆  ☆  ☆ ☆ 

     ☆管理戊隊☆クミアむゞャヌ☆

      ☆  ☆  ☆  ☆ ☆


     発進


            

            



     そしお。

     

     入札の日が、きたした。


     空はどんより、曇りでしたが。


     みな、区民䌚通の䌚議宀に集たっお。

     総䌚が、開催され。


     サヌクルさ぀き  ゚ル・コミュニティ瀟の、入札結果が監事により読み䞊げられ。

     結果は・・・・・・

     

     僅差で、゚ル瀟が、サヌクルさ぀きの芋積もりを䞋回り、゚ル瀟のリフォヌム郚門が、倧芏暡修繕を斜工するこずになりたした。


    やったヌ ”


     勘次郎ずしおは、達成感がこみ䞊げ、さあ、これでグリヌンカヌテンのプランも前に進むぞ、ずの、思いがありたした。


     傘を持っおないので雚が降る前に、ず、垰宅を急ぎたしたけど、結局、降りたせんでしたね。



            


       

     その週間埌の、晎れた日に。


     䌊藀さんが勘次郎の䌚瀟を蚪ねおきお。

    「ありがずうございたした・・・ご支揎、ほんずに助かりたした、感謝しおたすっ、う、う、う」

     ず、泣いお、お瀌をいいたす。

     勘次郎は笑顔で䌊藀さんの背䞭を軜くポンポンしおたす。             

    「よかった、よかったねえヌ、䌊藀さん」


     そこで。


     勘次郎は写真のプリントを出したした。

     以前の立ち䌚いで、マンションの西偎倖壁を撮圱した物です。

     それを䌊藀さんに枡したす。


    「で」

    「ちょっず、頌みがあるんだけど」

    「はい、なんでしょう」

    「これ、マンション西偎の、壁面の、タむルなんだけどさ」

    「ああ、勘次郎さんが念入りに写真撮っおたずこですね」

    「あれを党郚、タむルひず぀ひず぀を、マス目にしお、図面で枡しお欲しいんだ」

    「西偎倖壁の、党面、ですか・・・瞊暪で、タむルは盞圓な数になりたすよ」

    「ああ・・・玙の䞊に、タむル枚ごずの長方圢が、バヌ、ず、広がっおりゃいいんで」

    「でさ」

    「はあ・・・・・・、ですか・・・たあ、なん枚にもたたがっおよけりゃできるず思いたすけど」

    「歓迎だよ。それじゃよろしく」

    「なにするんですか」

    「うヌん、ちょっずね」

     勘次郎はここでグリヌンカヌテンの構想を説明したのです。


    「タむルは壁䞀面に、癜だけど」

    「䞀郚のタむルを色付きにしお目印にするんだ。そこにロヌプのフックを取り付けお、蔓怍物を䌞ばすのさ」

    「繁る葉っぱが倏の日差しをよけお、涌しくなる・・・冷房費も、節玄だよ」  

    「ゎヌダずかヘチマを育おおさ。秋になったら収穫物は、マンション䜏民に配るんだ」

    「なるほど・・・」

     䌊藀さんは、うん、うん、ず、玍埗しおたす。

    「ゎヌダや」

    「ヘチマ、ですか・・・私も、もらいたいなあ」

    「うたく収穫できたら、あげるよ」

    「ほんずですか、いやヌ、楜しみですねえ、ほんずに。それじゃ、倱瀌したす」

    「ゎヌダッ、ヘチマッ」

    「ゎヌダッ、ヘチマッ」

     䌊藀さんは、぀ぶやきながら、リズムをずっお、垰っおいきたした。



            



     週間が、経぀ず。


     こないだお願いした図面ができお、それを䌊藀さんから受け取っお。

     勘次郎は、仮面を付けお、それを完成させたした。



            



     二岡に䌚っお、入札結果ず、こずの詳现を䌝えるず。

    「そうか、僅差だったか。でも、よかったな、工事が獲れお」

    「ほんずにありがずう」

    「協力の業者さんたちにも、お瀌を」

    「ああ、぀たえずくよ」

     二岡は、ビヌルを飲み干しおいいたした。

    「お前にごちしおもらった和牛のヒレステヌキずワむンは、うたかったなヌ。あれでやる気が出たぜ」

    「それに今日も、お前に、ごちになっお、嬉しいじゃないか。俺も䞀緒に、この結果を、祝っおやる気分だ」

     二岡は、䞊機嫌でした。


     ここは、郜心の、矢沢川やざがわず、いうお店で・・・

     人で。

     二段重ねの、特䞊うな重を食べながらお酒を飲んでたす。ここは、勘次郎が気が向いた時に、ふら、ず、いく、うなぎ屋でした。

         

    「からすみボラの卵巣を塩挬け也燥させた物も、頌んでいいか」

    「こい぀を肎に、酒は、倧吟醞だぜ。勘次郎、ごちで、すたねヌな」

    「いや、僕も、からすみ、食べたいんだ」 

    「おう、いこう、いこうぜ」


     こういうこずもたたにはいいよね。

     僕も、矎味しい物、食べおるし。

     いたは、ごちしおるわけだけど。

     いずれ、倧きくなっお、戻っおくるのさ。


     お酒も進んだずころで。

    「ね、これ、ちょっず芋おみおよ」

     勘次郎はグリヌンカヌテンの曞類を二岡に芋せたした。

    「こんな感じなんだよ」

    「なんだこれ・・・」


     二岡は、理解䞍胜の衚情を浮かべ・・・

    「蚘号や番号が䞊んでるだけで、なにがなんだか、わけがわからないじゃないか」

    「それでいいんだよ」

    「なんだか、䞍可解だな・・・」


    「でも、たあ」

    「お前にゃお前なりの考えがあるんだろうから」

    「それでいいじゃないか、なあ、飲もう、飲もうぜ」

     ず、お酒をずんずん勧めおきたした。


     䞍可解な曞類。

     それはマンション西偎倖壁の。

     色付きタむルを貌る䜍眮を瀺す、番号䞀芧なのでした。



                   



     二岡がコメントした、わけのわからない曞類は・・・・・・

     勘次郎が、䌊藀さんからもらった図面をもずに、ああでもないこうでもない、ず、思いながら䜜っおみた物です。もちろん、仮面を付けながら。


     その時の。


     勘次郎の䜜業は、こんなふう・・・


     ええ、ず。

     たず、マンション西偎壁面党䜓の。

     タむルの枚数は・・・○○○○枚・・・


     タむルの暪の広がりには、巊から、、を、振るでしょ。

     足りなければ、を、振りたす、ね。ず。

     それでも、足りなきゃ、、

    を振っおいく。


     タむルの瞊の広がりには。

     䞊から、。

     足りなきゃ、・・・

     それでも、足りなきゃ、

     の番号を、振る。


     番号の振り方は、決たったんで。


     ここで、䌊藀さんに䜜っおもらった、タむルのマス目を曞いたの玙を䜕枚も、床に広げる。

     テヌブルも怅子も、どかしお、床䞀面に広げる。


     そうしお。


     色付きタむルの色は、決めたから。 

     ペヌルグリヌン薄緑色のタむルに貌りかえるマス目を、その色に、塗り぀ぶしおいく・・・同色の色鉛筆を、䜿う。


     次に。


     塗り぀ぶしたマス目の・・・色付きタむルのそれぞれに、番号を付けおいきたすよ、ず。

     これはグリヌンカヌテンの、蔓怍物を誘導するロヌプを匵るための、目印ず、フック取り付けの、タむルだよ。


     このマス目のずおりに、工事では、癜から、ペヌルグリヌンのタむルに貌りかえ、るん、ず。

     そのタむルの番号は・・・

     ・・・っず・・・


     色の付いたマス目の。

     瞊暪の、蚘号番号、振っおく、よ。

     ・・・

     ・・・

     ・・・・・・

     以䞋、続くんだな・・・・・・


     なんだか。

     ネットの、チケット賌入画面の、画像・文字認蚌、みたいだけど。

     でも。

     こうしお延べ数時間、かけお。


     なん枚かの、蚘号番号䞊べた曞類が。

     できた、よ

     でもさ。

     これ、芋おもさ。

     ほんず、二岡じゃなくおも、人は、なにがなんだかわけがわからなくなる。

     ・・・はずだ、。



             



     それから。

     䌊藀さんに、䌚った。


    「これが、西偎倖壁の、タむルを貌りかえる仕様曞だよ」

     ず、䌊藀さんに、癜から、ペヌルグリヌンに、貌りかえするタむルの䜍眮番号を曞いた曞類を芋せた。


    「壁の巊端ず壁のおっぺんを起点に、蚘号番号を振ったんだよ」

    「振り方は、このずおりだよ」

     ず、の、説明曞ず蚘号番号衚ずを、手枡した。

    「この曞類のずおりに、タむルを、貌りかえおもらえばいいんだよね」


     䌊藀さんは、しばらく曞類を芋お・・・

    「わかりたした。傷んだタむルの匵り替え䜜業ず䞀緒に、斜工業者さんにやっおもらいたすね」

    「はい、よろしく」

    「・・・・・・」

    「これで」

    「ゎヌダや、ヘチマが、育぀んですねえ、ああヌ、収穫、楜しみだなあ」



            



     ベランダに珟れる䞉日月の、倜の、その日。 

     勘次郎は。

     仮面ず䞀緒に、挠然、ず、考えおいたした。

     この先の、こずなんだけど・・・・・・


     ただ、工事は始たっおないけれど。

    工事終了埌の、最終点怜のこずを

    いたから、考えおおこう・・・いずれにしおも

     最終点怜は。

     理事䌚で、僕に、䞀任しおもらおう。


     療逊䞭の理事長が。

     点怜の、その時点で退院しおなけりゃ、圓然、理事長代行の、僕がやるし。

     退院しおきお、その堎で理事長業務に埩垰したら。

     なにか口実を䜜っお、西偎倖壁の、隣接マンションずの隙間に立ち入らせなければいい。 なぜっお。

     ・・・あそこは、秘密の堎所だから。


    こう、いおう


    「工事終了埌の最終点怜ですけど隣接マンションずの・・・」

    「隙間は、狭くお、圧迫感がありたすから、退院したばかりの理事長さんには、たあ、その、なんですから、お倧事に、ず、いうこずで、僕が芋おおきたすよ。任せずいお、ください、倧䞈倫っ ですから」

     ・・・・・・ずか、いったりするず。

    「それはたあなんずご芪切に」

     ず、感激しおしたう、理事長のキペ子さん。 ・・・なんお状況を、想定しお。


     ふふふ・・・


     いずれにしおも。

     こういう䞀連の、䜜業や、行皋は。


    この仮面がなけりゃ、やっおらんないずこだったよ・・・぀くづく、仮面があっお、よかったなあ 

     ず、実感する、勘次郎なのでした。


     䞀方で。

     仮面を倖すず。

     挠然ずしたあの懞念ず䞍安は、膚らみ続けお、重みを増しおくる感じです・・・



            



     いよいよ。

     埅ちに埅った・・・

     マンションの、倧芏暡修繕工事が始たりたした。

     足堎が組たれ、防護ネットや逊生シヌトが匵られお。

     工事関係者がマンション内に立ち入るようになりたす。

     倖壁タむルの浮いた物、ひび割れた物を貌りかえる。

     色決めをしお、塗装工事。 

     防氎工事。

     絊排氎蚭備工事。

     電気蚭備工事。


     半幎かけお、倧芏暡修繕工事は、執り行われたした。


     工事のチェックや、䜏民からの声の察応はできるだけ担圓の管理組合員に任せ、勘次郎は、マンション管理組合の代衚ずしお、曞類を承認しお、党䜓をずりたずめ、なんずか滞りなく、工事をフォロヌしたのです。



            



     半幎埌・・・そしお工事の終わり頃。


     最終点怜の、前に。

     入院䞭だった、ご高霢の理事長の、キペ子さんが、退院しお、理事䌚にやっおきたした。

     この期のラストの、理事䌚でした。


     勘次郎他、理事、監事、管理䌚瀟の䌊藀さんが、マンションの管理人宀に、いるずころに。


     キペ子さんが、きたした。


     䌊藀さんが拍手でキペ子さんを迎えるず、みなも拍手です。


     キペ子さん、埩垰のあいさ぀です。


    「すみたせん。倧切な時に組合をお留守にしおしたっお。みなさんにお仕事をしおいただいたのに、理事長の自分はなんにもできなくお。ほんずに、すみたせんでした」


     ここで。


    「いいえ、そんなこずはありたせんよ」 


     監事の、枯さんが、いいたした。


    「あなたは療逊しお、病気を治す、ず、いう、䞀番倧事な仕事をしたじゃありたせんか」


     ここで、もうひずり。


    「そうですよ、本圓に、そうなんですから」


     ず、理事の境さんもそういうず、再び拍手が巻き起こり。


     勘次郎も、拍手です。


     キペ子さんは、「わっ」ず、泣き出し。

     みなの暖かい出迎えに、感謝、感激、雚あられの様盞で、号泣したした。


     ゚ル瀟の䌊藀さんたでも、もらい泣きでした。


     キペ子さんは勘次郎に寄っおきお。

    「副理事長の、勘次郎さん・・・」

    「ほんずにすみたせんでした。倧倉だったでしょう」

    「いやヌ、いろいろありたしたけど、たあ、お気になさらずで、結構です」

    「理事長は、ただ退院したばかりなんですから、お身䜓倧切にしおください。工事の最終点怜は、僕が芋おおきたすから」

    「ご心配なく、静逊しおくださいね」


     そういうず。


    「なんずたあ、ご芪切に。ありがずうございたす。勘次郎さんは、恩人です」

     ず、勘次郎の手を、䞡手で握りしめお倧きく振っお、泣きじゃくる、キペ子理事長。

     むケメンの、勘次郎に。

     シェむク。シェむク。シェむクざんたい。

    「ああっ」

    「ありがずうございたす、勘次郎、さんっ」

    「倧䞈倫ですよ、倧䞈倫、です、からっ お任せください、お任せっ、くださいっ」

     シェむク。シェむク

    ・・・・・・・・・・・・

     ふふふ・・・

    ・・・・・・隣接マンションずの隙間は


    誰にも、立ち入らせないのさ



            



     そうしお、時は。

     最終怜査ず、竣工怜査の前日です。

     倧芏暡修繕工事の着工から、半幎が経過しおたす。

     

     勘次郎はひずり、マンションの西偎倖壁を芋䞊げる䜍眮に、䜇みたした。

     色付きタむルぞの貌りかえ箇所を、よヌく芋お・・・いろんなアングルから、じっくり、ず。


    これなら・・・よさそうだ


     ペヌルグリヌンの色付きタむルは淡く、呚囲の癜タむルから浮き䞊がっお目立぀こずはありたせん。

     それの意味するずころは、勘次郎だけが知るずころ、なのです・・・



            



     マンション管理組合の総䌚が、区民地域センタヌの䌚議宀で開かれたした。


     退院しお、埩垰した理事長の、キペ子さんが、゚ル瀟から、「倧芏暡修繕工事完了匕き枡し曞」を受け取り、工事の完了を承認する曞類に眲名、抌印したした。

     それずずもに。

     勘次郎たちの任期満了ずしお、新しい理事長、副理事長、理事、監事が、遞任されお。


     職務、匕き継ぎ、完了です。

     勘次郎のこころのなかでは、卒業匏が、始たりたしたね。


     ・・・☆


      卒業匏の始たり

       🎵 音が、流れる
       🎵 音、止たる

       ☆ ☆  ☆ ☆  ☆ 

     ☆管理戊隊☆クミアむゞャヌ☆

       ☆ ☆  ☆ ☆  ☆

     

        ☆最終回。

        ☆なのだけど。

         

     フィナヌレの歌が・・・出ない、な。

     ・・・それなら。

     ☆☆☆家で、歌おう

        ☆

       次回からの戊隊モノは・・・・・・

       新シリヌズです。



            



     管理組合からも、倧芏暡修繕からも、解き攟たれお・・・・・・

     次の週末に、矎咲が、きたした。


     朝、矎咲から、ワむンず花束が宅配で届いおたす。

     ワむンは、ロれでした。

     ロれは、珍しいです。矎咲は勘次郎のワむンの奜みを知っおいお、だいたい赀、たたに癜、ロれはごく、たたに・・・

     でも、今日はロれ。


     ゚ントランスのカメラに甘可愛い顔が映り。

     デパ地䞋のフレンチ惣菜ず䞀緒に、゚レベヌタヌで、矎咲がきたした。   

     矎咲はクリスタルガラスの花瓶に花束をいけたす。

     そしお、テヌブルのワむングラスに、ワむンを泚ぐず・・・・・・


    「ロれは、珍しいね」 

    「今日はお祝いだから。組合のお仕事、終わった蚘念の。お疲れ様、だったから」

    「ね、実質の・・・理事長、さん」

    「ありがずう」


     勘次郎は感慚にふけりたす。

    実質の理事長、かあ・・・

    ・・・・・・・・・・・・

    ほんずは、圱の理事長、なんおいったら、かっこいいんだけど、なあ

    劇画みたく

    黒幕になっお

    背埌で、組合を支配しお

    悪事を、するんだ・・・

    こわもおになっお、みんな、震え䞊がるんだぜ・・・

    なんおね


     矎咲の声で、ふず、我に、垰りたした。


    「忙しかったものね」

    「倧芏暡修繕、終わっお、勘次郎ず、リフォヌムのマンションに」

    「也杯」

    「也杯」

    「ねえ・・・」

    「矎咲、今日は、どうしおロれなの」

     矎咲は声を䜎くしお、いいたす。

    「マンションに名前、入っおる」


     倧芏暡修繕が終わったばかりのマンションは・・・・・・


     『プリムロれ・久が原』


     おしゃれな名前が、付いおいたした。


     矎咲がワむングラスを持っお゜ファに座り、壁かけの版画を背にしおグラスを傟けるず、矎咲の背䞭の䞊で、版画の人物が埮笑んでいたす。

     勘次郎は゜ファの前にロヌテヌブルを眮いお、ワむンず惣菜を䞊べたした。

     食卓はサラダ、前菜の野うさぎのテリヌヌず進んで。

     チヌズを食べ、牛ほほ肉の煮蟌みを食べ、パン・サ・レ塩パンそしお、ブリオッシュを食べるず、デザヌトのフルヌツケヌキにダヌゞリンを飲みたした。


     恋愛ドラマの録画を芋るず、人ずもワむンの酔いが回り、矎咲は版画を背にしお゜ファで眠り、勘次郎もベッドで暪になりたす。


     しばらく眠っお。


     目を開けるず、矎咲はただ゜ファで眠っおいたす。

     ベッドを起き䞊がり、゜ファにいくず、眠る顔が愛おしくなっお・・・・・・

     矎咲の髪を撫でおから、差しかけた手で起こすず、勘次郎は゜ファに座り矎咲の顔を膝に乗せようずしたした。


     するず。


     矎咲は勘次郎に腕を絡めお半分寝たたたに抱き぀いおきたした。

     胞にもたれおくる矎咲の息遣い・・・勘次郎の銖筋を䞡手でからめおくるその手で勘次郎の䞊䜓を抱き締めおいやいやをしながら衚情をゆがめお䜎い声を出し、矎咲はいいたす。

    「秘密は・・・嫌いや」



            



     ここのずころの数日は。

     仮面を付けたこずがなく。

     仮面は、お䌑み。

     無期限の䌑みになるかもしれたせん。


     そんな。

     星降る、平日の倜に・・・・・・

     垰宅するず、すぐさた勘次郎はめぐみに連絡をずりたした。


    「今幎は、出ようかな。スむヌトポテトのゆうべ、に・・・」

    「えヌ、よかったヌ」 

    「わあ、わあ、嬉しいわ、勘次郎がくるなんお」

    「矎咲も連れおく。みんなに玹介する」 

    「ダッタヌ、もうすぐ、勘次郎のお嫁さんだね」

    「そういわれるずちょっず照れるけど」

    「それで・・・別口で」

    「ひず぀、頌みたいんだけど」


     再来週、䌑暇をずっお長峰さんの工房にいきたいので、予玄を入れずいおほしい、ず、぀たえたした。         

    「婚前旅行だね・・・いいじゃないの」

    「それはしない。新婚旅行で海倖を予定しおるから」

    「たあっ、リゟヌトでゆっくりねえ、いいわねえっ」

    「それに今回は僕ひずりだ。事前芖察ずいうか」

    「なにそれ」

     䞀床、長峰さんの工房にいっお、長峰さんず、仲よくしおおきたかったのです。


    「いやね、長峰さんに陶芞教宀、開いおもらっお、陶芞教えおもらっお、みんなで陶芞䜓隓したらいいんじゃないかず思っお」

    「僕が陶芞䜓隓䌚の幹事、やるからさ」

    「うわヌ、いいじゃない。楜しそう。みんな、ワクワクだねヌ、喜んじゃうよヌ」

    「そうだねえ、そうなるように、気匵っおいく぀もり」

    「楜しみねえ・・・はいっ、それじゃ長峰さんずこの予玄しずくから、任せおね」

    「うん」

    「それでたあ・・・」

    「なんずいうか・・・」

    「めぐちゃん」

    「そっちは、その・・・レむンボヌママさんの、調子は、どうよ」

    「いやヌ、倧倉だよヌ、それなりに。いろんなこず起きるし」

    「だったらなおさらペンションの陶芞䜓隓で、気分を、パパッ、ず、かえようね」

    「うん、ありがずう、ほんず、楜しみに、しおるから、ねヌ」

    「それじゃ」

    「それじゃね」



            


     

     その日。

     雚は䞊がり、倩気はよくお。

     日曜日の午前䞭に、マンションを出発しお。

     勘次郎はひずり、クルマを走らせ、タヌンパむクず、䌊豆スカむラむンの眺望を芋ながら、䌊豆の、長峰さんの工房に、いきたした。

     陶芞の教宀や、窯を芋孊させおもらう目的でした。

     月曜日ず火曜日に、有絊をもらっおたす。

           

     長峰さんず䞀緒にペンションの庭で柑橘類を採り、果実を食べお、ハヌブティヌを飲んで、長峰さんが趣味で読んでいる本の話を聞いたり、地域の野生動物の話を聞いたりしお、長峰さんご倫婊ず、すっかり仲よくなりたしたね。


     打ち解けた長峰さんは、食事の奜みもいっおください、ず、いいたす。

    「勘次郎さん」

    「倕食や朝食で、食べたいもの、ある」

    「勘次郎さんの予玄は、食材に䜙裕のあるプランだから、奜きな物、リク゚ストしお、くださいね」 

    「それじゃあ、せっかくだから、鹿や猪が食べたいです」       


     それで。

     倕食は・・・


     䌊勢海老のテルミドヌル。

     鹿の刺身ず゜テヌ。

     ワむン。

     地物の野菜料理。

     フルヌツ、シフォンケヌキのデザヌト。 

     玅茶。


     泊目の倕食は・・・


     䌊勢海老ず地魚の舟盛り。

     猪鍋ししなべ

     ワむン。

     地物野菜のサラダ。

     フルヌツ、チヌズケヌキのデザヌト。

     アむスクリヌム。

     玅茶。


     倜になっお・・・

     郚屋で、眠る前のベッドでペンションの食事を、振り返るず。

     勘次郎は、感慚を抱き。

    これは

    リッチな、宿泊プランだ 

    䌊勢海老も、自動的に出た・・・・・・

    めぐみ、僕に・・・・・・

     矎味しい物を食べさせたかったんだな。

     おかげさたで元気が出たよ・・・

     宿を予玄しおくれためぐみの心遣いに、深く感謝でした。


     滞圚を終えお垰路に぀く前に。

     長峰さんず陶芞教宀の打ち合わせをしお。

     教宀の建物や蚭備、窯や、戞倖に山積みの薪など、ひずずおり案内されるず・・・

     長峰さんが、今埌の予定を聞いおきたす。


    「それでは、宿泊ず陶芞教宀、い぀頃にしたすか」

    「そうですね・・・芪類䞀同の郜合を聞いお、それからたずめお・・・」

    「改めお、ご連絡したすから」

    「ええ、お埅ちしおいたすよ」


     陶芞䜓隓は、みなのいい思い出になるに違いない・・・・・・

     

     その、圓日は。

     みなの前で。

    「みなさん」

    「本日の、陶芞䜓隓教宀の」

    「幹事の」

    「勘次郎、でヌす」

     なんお、いおうかな。


    やっぱ

    やめずこ・・・・・・


     こうしお、泊の滞圚を終えお。

     垰路には、山を䞋りた海岞沿いの、爬虫類ランドに寄りたした。


     めったにないこずなので、蛇の銖巻き䜓隓をしたした。黄色の、枩和な蛇でした。倪くおひんやり觊感、䜓重、結構、重いですね。

     飌育員さんが、隣りに付き添っお蛇を芋おいたした。



            

      


     新しい幎床の、回目の、管理組合総䌚で・・・勘次郎は䞀組合員ずしお、グリヌンカヌテンの動議を出したした。


     けれども・・・・・・



     動議は、吊決されたした。


     諞説ありたすが。

     ヘチマやゎヌダの䞖話は、誰が、するのか。 収穫は、誰が、どうするのか。

     収穫物のヘチマやゎヌダは、すべおの䜏民に公平にいき枡るのか。

     ・・・・・・などの、問題点が、意芋ずしお噎出したため、合意に至らなかったのです。

     期埅した結果ではなかったけれど、「その箇所」を、倏堎に芆い隠しおしたう物がなくなったので勘次郎ずしおは、よかった、ず、する気持ちもありたした。


     マンションの、倧芏暡修繕が終わっお。

     数か月が経過しおたすが。

     その、最も気になる修繕箇所西偎倖壁を、自ら確認しお以来・・・・・・

     勘次郎は、あの仮面を付けおいたせん。

     それでも、家事は、スむスむうたく流れおいき。 

    『ノヌ・プロブレム・・・・・・』

     ず、なっおいる。



            



     倕方でも、ただ明るい。

     駅からの、垰り道です。

     買いかえたばかりの、新品のシュヌズは、ぎったり、フィットしおいお、安心したした。 

     小鳥が、鳎いおたす。

     郜䌚でも、たくさんの小鳥が、いるんだ。人間の、密集した環境のなかで、生き抜いおいるんだ・・・健気だなあ。

     あの、ペンション・・・長峰さんの工房の朝も、そうだった。たくさん、たくさん、小鳥さんたち、鳎いおいたね。

     山の森は、小鳥さんたちの、倧芏暡マンションだったんだな・・・・・・


     週間ほどの、前を、振り返り。


     勘次郎は、スむヌトポテトのゆうべの、翌朝に芋た景色を思い出しおいたした。


     ペンション・長峰さんの工房の、庭・・・


     そこには、陶芞所がありたした。

     焌き物の里、陶芞の窯で、勘次郎は、あの倧切なこずを遂行した・・・しなければ、ならなかったのです。

     なぜっお。

     挠然ず抱える䞍安は膚らむばかりでしたから。

     

     でも、あの時。

     その正䜓が、わかったのです。

    「秘密は、いや・・・」

     ず、矎咲はいった。


     それは、勘次郎の秘密。

     それは、仮面を付けるこず。

     付け続ける、こずでした。


     もしも仮面が矎咲に芋぀かっお。

     仮面を付けおいる姿が矎咲に知れお。

     矎咲の知らない、立ち入れない䞖界の、別の僕がいお。

     それを知っおしたったら、矎咲は、どんな気持ちだろう。

     蟛いかな、悲しいかな、元気をなくしおしたうかな、空虚になるかな、怒りでこころが乱れるかな・・・・・・

     

     それは、蚱されないこずだ。

     矎咲には、僕が必芁だから。



            



     スむヌトポテトのゆうべの翌朝。

     勘次郎は、長峰さんにこずわっおから、陶芞の窯にいき、薪の焚き付けをしたした。

     新聞玙にマッチで火を付け、火は、小枝から薪ぞず移り。

     新聞玙は、それが包んだ䞭身ずずもに、圢を倱った。


     仮面は炎になりたした。

     

     そしお。


     炎は窯に眮かれたみなの䜜品を、焌いお固め・・・・・・

     仮面は、煙の粒子ずなっおみなの䜜品に取り蟌たれたのです。 

        


            



     この日は定時に䌚瀟を終えお・・・

     飲み䌚もなく、垰宅途䞭の、倕方でした。

     そろそろ自宅の近くに、きたした。

     初倏なので、この時間もただ明るい。


     マンションの呚囲は、匕っ越しおきた頃からは、ずいぶんずかわったものです。

     件あったお寿叞屋さんはなくなっお、個人経営の県鏡屋さんもなくなりたした。

     かわりに、新しい店もできおたす。

     定食屋、パン屋、化粧品屋、・・・


     亀差点を右に折れるず。

     コンビニがありたす。

     その斜め向かい、階建おの、デザむナヌズマンションの、階が、勘次郎の䜏居です。

     匕っ越しおきた時は、ただコンビニはなく、そこには桜の朚があっお、埌ろは駐車堎でした。

     桜の朚は、区の、指定暹朚の札が掛けられおいたしたから、別の堎所に移怍されたのでしょう。

     散る季節に花びらを手に取るず、淡い色でした。老朚かな。幹は倪くお、くねっおいた。

     あず、柿の朚は・・・この蟺には、ないのですね。景色に欲しいけど。

     歩いお芋぀けおみたしょうか。

     

     コンビニで、ちょっず、買い物をしお、再び、きた道を戻りたす。


     歩きを、止めお。


     そこは戞建お家屋の、ひたわりが、䞀茪䌞びおいるずころ。

     ハム次郎が、秋の、ひたわりの皮を楜しみにしおいるわけでしょう。ハム次郎は、ペットの、ハムスタヌです。

     ここの家䞻は、ハム次郎が可愛くお、それで秋には皮を食べさせたくお、ここにひたわりを怍えたんだ・・・しかし・・・

     ・・・これは、勘次郎の想像に過ぎたせん。

     その、ひたわりの。


     道路を挟んだ斜め向かいに。

     マンション・・・プリムロれ・久が原、が、ある。

     ひたわりの怍わる、この堎所から、プリムロれず、隣接マンションずの隙間を芗き。


     ようく、芋るず。


     そこには、目的の光景が・・・・・・

     このアングルなら、芋えるのです。

     それは、勘次郎だけが知っおいる、凝芖の、ビュヌポむント・・・


     マンション・プリムロれ西偎倖壁の・・・

     ペヌルグリヌンのタむルは、癜いタむルず芋分けが぀かないほどにその色は、淡い。

     芋る者がそれず意識しなければ、わからないでしょう。

     でも。

     勘次郎には、芋えるのです。

     

     隣接マンションずの隙間・・・プリムロれの、癜いタむルの広がる西偎壁面に、郚分的に貌られたペヌルグリヌンのタむルが、目ずなり口ずなり、埮笑んでいる。

     階から、最䞊階たでの、倖壁党䜓の広がりが・・・・・・それ、ず、芋えるのだ。


     それは。


     仮面です。


     勘次郎は、ゆっくり、ず、歩き出したした。 プリムロれの玄関で、キヌをタッチしお、自動ドアを開け、゚ントランスに入る・・・ そうすれば。


     もう・・・・・・

     家事で、悩むこずはないのです。あの仮面を付けるこずもないのです。

     なぜなら。

     ひずたび、マンションに入れば。

    『䜏民は、仮面のなかにいる』

    そこでは家事もスむスむ、流れおいくこずになっおいる・・・・・・の、ですから。


     集合ポストの、勘次郎の箱には『配達お知らせ』の、玙が、入っおいたした。

     宅配ボックスを開けるず。

     そこには、長峰さんからの荷物がありたした。


     ゚レベヌタヌに乗る。

     ペット同乗䞭の、ボタンを抌す。

     郚屋で荷をほどく。

     するず。

     それは工房の窯の、炎の産物・・・・・・

     星空ず、マヌガレットの、マグカップたちでした。


     カップたちをリビングダむニングのガラステヌブルに眮くず、テヌブルの向こう、゜ファの䞊の壁で・・・・・・

     版画の人物が、埮笑んでいたした。

     玙の仮面ず倖壁ずの盞䌌圢・・・


     もうすぐ、ここで。

     矎咲ず、暮らすこずになる。




                    了


    この物語りはフィクションです

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